昨年10月にSCANDALのニューアルバム『STANDARD』が発売された際、「ガールズバンド日本代表」と書かれた巨大広告が各都市の街頭に掲示された。それを見て「サッカーのようにガールズバンドの日本代表選抜チームを作ったら、どのバンドが入るだろう」なんて他愛ない妄想を浮かべたのだが、真っ先に挙がったのがSCANDAL、ねごと、赤い公園の3組であった。3ヵ月後、まさかその3組の共演が果たされるとは、当時知るよしもなかった。
2014年・日本のガールズバンドの頂点を決するであろう、SCANDAL×ねごと×赤い公園の対バンが、1月24日にEX THEATER ROPPONGIにて実現した。昨年11月にオープンしたばかりのこの会場、テレビ朝日が手がけただけあって、ステージの見映えという点でも音の広がりという点でも、極上のエンタテインメントが実現する空間になっている。決戦の舞台は、整った。
◆赤い公園 メンバー
佐藤千明(Vocal)、津野米咲(Guitar)、藤本ひかり(Bass)、歌川菜穂(Drums)
◆ねごと メンバー
蒼山幸子(Vocal & Keyboard)、沙田瑞紀(Guitar)、藤咲佑(Bass)、澤村小夜子(Drums)
◆SCANDAL メンバー
HARUNA(Vocal & Guitar)、MAMI(Guitar & Vocal)、TOMOMI(Bass & Vocal)、RINA(Drums & Vocal)
TEXT:鈴木亮介 PHOTO:齋藤明
午後7時、ドラマ「GTO」のテーマ曲でおなじみ反町隆史の「POISON~言いたい事も言えないこんな世の中は~」が流れる。スモークの中、ステージに姿を見せるメンバー4人。「ポイズ~ン!」佐藤千明の絶叫から、戦いの火ぶたが切って落とされた。唐突に”富子”(=津野米咲のギターの愛称)が掻き鳴らされる。綺麗にコーラスを決める津野米咲と歌川菜穂。楽しそうにステージを舞う”リードベース”藤本ひかり。1曲目は2月にリリースされる新曲「ひつじ屋さん」。「最後までついて来れますか?」佐藤千明は客席を挑発。のっけから予測不能な展開を見せる4人のサウンドとパフォーマンスに圧倒される。
続く2曲目「娘」(=1stシングル「のぞき穴」のカップリング)も激しいナンバー。爆発的なボーカルに合わせてライトが激しく点滅する。この日初めてライブを観る者もいたであろう中、赤い公園は完全に戦闘モードだ。ドラムロールが期待値を高めに高めたところで、3曲目「今更」、絶妙なギターサウンドで唸らせる。このEX THEATERの広い広いホールに音が響き渡り、大きな対流が生まれる。われわれ観客はもう完全にその渦に飲み込まれている。
と、ここに来てリズム隊がその音を鎮め時間を止めると、静寂の中に佐藤千明のミニピアノが響く。静と動の見事なコントラストを作り、観客の心を操る。赤い公園は今、この空間を、このライブを、完全に支配している。もはやロックとかポップとか定型の言葉で表せるものではない。こんな芸術を、彼女たちはいったいどうやって脳内でイメージしているのだろう。
続く2曲目「娘」(=1stシングル「のぞき穴」のカップリング)も激しいナンバー。爆発的なボーカルに合わせてライトが激しく点滅する。この日初めてライブを観る者もいたであろう中、赤い公園は完全に戦闘モードだ。ドラムロールが期待値を高めに高めたところで、3曲目「今更」、絶妙なギターサウンドで唸らせる。このEX THEATERの広い広いホールに音が響き渡り、大きな対流が生まれる。われわれ観客はもう完全にその渦に飲み込まれている。
と、ここに来てリズム隊がその音を鎮め時間を止めると、静寂の中に佐藤千明のミニピアノが響く。静と動の見事なコントラストを作り、観客の心を操る。赤い公園は今、この空間を、このライブを、完全に支配している。もはやロックとかポップとか定型の言葉で表せるものではない。こんな芸術を、彼女たちはいったいどうやって脳内でイメージしているのだろう。
ここで、4曲目はインストゥルメンタルの「ずっと」。鍵盤のリフレインをバックに様々な音が出たり入ったり。脳内には駅のホームで行き交う人々を朝から晩まで定点観測してるような風景が浮かぶ。既成のカテゴリーに分類するならば、ボーカルがないから「インスト」ということになるだろうが、「言葉のない叙景詩」と言った方が正確かもしれない。
竹の節のように一筋の静寂を作ると、5曲目「風が知ってる」でパッと色を変えてきた。佐藤千明の幽玄な歌声とそれぞれの音の広がりによって、再び脳内には景色が映し出される。サビに向けて高まっていった所で紡ぎだされる高音のボーカルが美しい。間髪入れずに「かーもめ、かもめ」コーラスが次の色へ変えて、6曲目は「塊」。EX THEATERという会場名に相応しい、銀幕を観賞しているような展開。
「ねごと、SCANDALと、やりに来ました。女のてっぺん取ったるで、かかってこいや!!」宣戦布告するや否や、いきなりボルテージMAXのギター、ベース、ドラム。キラーチューン「のぞき穴」を披露し、一気に攻め落とす!ベース爆裂!さらにヤケドもおさまらないうちに新曲「絶対的な関係」を投下!こちらも藤本ひかりのベースが主導権を握って牽引。常識を覆す音作りの展開に、ただただ波に身を委ね、拳を挙げるしかできない。すさまじい曲だ。
MCは言葉少なに、あくまで音楽でその闘志を伝える。最後は「ふやける」。ギターが静かに高い音を爪弾き、ディーバ・佐藤千明の大迫力の歌声が天井まで突き抜ける。4人の全身全霊のプレイは最後まで一音たりとも手抜きがされない。最後はパレットの全ての色を混ぜ合わせてキャンバスにぶつけたかのような、ディーゼルエンジンにも似たノイズを轟かせ、1人ずつフェードアウト。中でも津野米咲は、その華奢な体が壊れてしまいそうになりながら、”富子”に自らの魂をぶつける。真っ向から戦いを挑んできた赤い公園によって、このライブが文字通り「対バン」の、緊張感ある空気になってきた。
竹の節のように一筋の静寂を作ると、5曲目「風が知ってる」でパッと色を変えてきた。佐藤千明の幽玄な歌声とそれぞれの音の広がりによって、再び脳内には景色が映し出される。サビに向けて高まっていった所で紡ぎだされる高音のボーカルが美しい。間髪入れずに「かーもめ、かもめ」コーラスが次の色へ変えて、6曲目は「塊」。EX THEATERという会場名に相応しい、銀幕を観賞しているような展開。
「ねごと、SCANDALと、やりに来ました。女のてっぺん取ったるで、かかってこいや!!」宣戦布告するや否や、いきなりボルテージMAXのギター、ベース、ドラム。キラーチューン「のぞき穴」を披露し、一気に攻め落とす!ベース爆裂!さらにヤケドもおさまらないうちに新曲「絶対的な関係」を投下!こちらも藤本ひかりのベースが主導権を握って牽引。常識を覆す音作りの展開に、ただただ波に身を委ね、拳を挙げるしかできない。すさまじい曲だ。
MCは言葉少なに、あくまで音楽でその闘志を伝える。最後は「ふやける」。ギターが静かに高い音を爪弾き、ディーバ・佐藤千明の大迫力の歌声が天井まで突き抜ける。4人の全身全霊のプレイは最後まで一音たりとも手抜きがされない。最後はパレットの全ての色を混ぜ合わせてキャンバスにぶつけたかのような、ディーゼルエンジンにも似たノイズを轟かせ、1人ずつフェードアウト。中でも津野米咲は、その華奢な体が壊れてしまいそうになりながら、”富子”に自らの魂をぶつける。真っ向から戦いを挑んできた赤い公園によって、このライブが文字通り「対バン」の、緊張感ある空気になってきた。
◆セットリスト
M01. ひつじ屋さん
M02. 娘
M03. 今更
M04. ずっと
M05. 風が知ってる
M06. 塊
M07. のぞき穴
M08. 絶対的な関係
M09. ふやける
M01. ひつじ屋さん
M02. 娘
M03. 今更
M04. ずっと
M05. 風が知ってる
M06. 塊
M07. のぞき穴
M08. 絶対的な関係
M09. ふやける
◆赤い公園 公式サイト
http://akaiko-en.com/
◆インフォメーション
・3rdシングル「風が知ってる/ひつじ屋さん」
2014年2月12日発売
・4thシングル「絶対的な関係/きっかけ/遠く遠く」
2014年3月12日発売
http://akaiko-en.com/
◆インフォメーション
・3rdシングル「風が知ってる/ひつじ屋さん」
2014年2月12日発売
・4thシングル「絶対的な関係/きっかけ/遠く遠く」
2014年3月12日発売
異空間を思わせるSEが流れると、ステージが瞬時に宇宙船ねごと号へと化す…2組目はこの日が2014年初ライブとなるねごとだ。メンバー1人ずつ登場し、最後に登場した蒼山幸子はセンターに備え付けられたキーボードへと向かう。昨夏頃から変更されたこのステージ上の立ち位置もすっかり定着してきたようだ。
SEが徐々にフェードアウトする中、キーボードが突破口を開き、ドラムがそれに続く。すると、ミラーボールが高速で回転し始めた。1曲目は「カロン」。宇宙船ねごと号、出発進行!蒼山幸子の儚げなボーカルを中軸に据えつつ、4人の色々な音が折り重なる。
2曲目はシングル曲の中でも軽快なノリが心地よい「Re:myend!」。この曲も1曲目に引き続き4人の色とりどりのサウンドが融合するが、中でも藤咲佑のベースはどっしりオトナな重厚感と遊戯に興じる子どものような軽妙さが同居していて、実に独特で楽しい。といえ、誰か一人が引っぱっているというわけではなく4人のバランスが保たれていて、一体感がある。
さらに3曲目は温かい手拍子に合わせてゆったりと展開する「ワンダーワールド」。ねごとのデビュー作である1stミニアルバム『Hello! “Z”』収録のこの曲は、ねごとの最大の持ち味である「透明感」を、クールにというよりホットに表現した1曲。例えて言うなら縁側に差し込む日の光。蒼山幸子のキュートでアンニュイな歌声が広がっていく。「せーの」と客席に手拍子を促す蒼山幸子。笑顔で、悠々と歌い上げる。
ベースがリードフレーズを弾くと、先程までの軽妙洒脱な空気がガラッと変わる。ピアノが綺麗に粒を揃え、演奏するのは4曲目「たしかなうた」。音飾盛りだくさんな魅力とはまた違ったシリアスなサウンドが魅力的。蒼山幸子の透明感あふれるボーカルが全曲とはまた趣向を変えたスポットライトの当て方で、際立つ。沙田瑞紀のギターがメリハリをつけ、単調にはさせない。
SEが徐々にフェードアウトする中、キーボードが突破口を開き、ドラムがそれに続く。すると、ミラーボールが高速で回転し始めた。1曲目は「カロン」。宇宙船ねごと号、出発進行!蒼山幸子の儚げなボーカルを中軸に据えつつ、4人の色々な音が折り重なる。
2曲目はシングル曲の中でも軽快なノリが心地よい「Re:myend!」。この曲も1曲目に引き続き4人の色とりどりのサウンドが融合するが、中でも藤咲佑のベースはどっしりオトナな重厚感と遊戯に興じる子どものような軽妙さが同居していて、実に独特で楽しい。といえ、誰か一人が引っぱっているというわけではなく4人のバランスが保たれていて、一体感がある。
さらに3曲目は温かい手拍子に合わせてゆったりと展開する「ワンダーワールド」。ねごとのデビュー作である1stミニアルバム『Hello! “Z”』収録のこの曲は、ねごとの最大の持ち味である「透明感」を、クールにというよりホットに表現した1曲。例えて言うなら縁側に差し込む日の光。蒼山幸子のキュートでアンニュイな歌声が広がっていく。「せーの」と客席に手拍子を促す蒼山幸子。笑顔で、悠々と歌い上げる。
ベースがリードフレーズを弾くと、先程までの軽妙洒脱な空気がガラッと変わる。ピアノが綺麗に粒を揃え、演奏するのは4曲目「たしかなうた」。音飾盛りだくさんな魅力とはまた違ったシリアスなサウンドが魅力的。蒼山幸子の透明感あふれるボーカルが全曲とはまた趣向を変えたスポットライトの当て方で、際立つ。沙田瑞紀のギターがメリハリをつけ、単調にはさせない。
「新年一発目のライブ!赤い公園、SCANDALとの対バンということで…」「楽屋が女子校並みだったね」シリアスな曲調からMCでは一転、「今日の日をすごく楽しみにしてきました…レコーディングでずっと地下にこもっていたので、色んなエネルギーとかうずうずした気持ちをここで爆発させたいと思います!」と目を輝かせる。
3月リリースのミニアルバム『“Z”OOM』のレコーディング中であることから、MCの話題は収録曲にちなんだものに。貫地谷しほり主演のドラマ『おふこうさん』(NHK BSプレミアムで放送中)の主題歌に起用された「真夜中のアンセム」も収録されているが、澤村小夜子は「新年におみくじを引いたら凶だったの。『おふこうさん』っていうドラマだから、それかなぁって」と会場の笑いを誘う。
その新曲「真夜中のアンセム」を5曲目に披露。年末のフェスで初披露して以来2度目の演奏で、初めて生で聴いたファンも多いであろう。展開が楽しいポップな楽曲に、体が自然と揺れる。ギターは軽快な反面、シンセサイザーは軽くなりすぎずに、全体の均衡を取っている。
楽しいイントロが続く。6曲目はRPGゲームを模したミュージックビデオでも話題になった「nameless」。やはり、ねごと新参者も古参のファンもともに目を引くであろうことが、澤村小夜子の圧倒的なドラムだ。同じ曲でも聴くたびに手数が増えているような印象を受ける。それでいて、ステージドリンクは500mlパックのココア。ひとたびMCになるとその愛されキャラを見せるのだから、「魔性のドラマー」というより他ない。
ここで観客に少々難易度の高いクラップを求めてきたねごと。ステージ上の動きも激しさを増してくる。曲に合わせて蒼山幸子が踊る、踊る!まるで曲の世界観が憑依したかのような、いわば「曲の擬人化」とも思えるダンスを披露する。
「この曲で宇宙に行きましょう!」7曲目は「ループ」。2014年最初にして最高のワクワク感を提供してくれるイントロがたまらない。客席も見事な一体感を見せる。夢の中を冒険しているかのような、ねごとのステージは、夢の世界にふさわしく、冒険しているかのように、時に予測不能な変化を見せる。われわれは”結果”ではなく、その”過程”を楽しむことができるのだ。彼女たちのライブに何度も足を運びたくなる理由の一つが、おそらくそれだろう。
最後は「シンクロマニカ」で一つになる。そう言えば今宵彼女たちはこの曲のジャケット写真のコンセプトである、カラフルな衣装でステージに立った。そんな衣装のイメージにも合ったカラフルな展開が楽しい40分間であった。
3月リリースのミニアルバム『“Z”OOM』のレコーディング中であることから、MCの話題は収録曲にちなんだものに。貫地谷しほり主演のドラマ『おふこうさん』(NHK BSプレミアムで放送中)の主題歌に起用された「真夜中のアンセム」も収録されているが、澤村小夜子は「新年におみくじを引いたら凶だったの。『おふこうさん』っていうドラマだから、それかなぁって」と会場の笑いを誘う。
その新曲「真夜中のアンセム」を5曲目に披露。年末のフェスで初披露して以来2度目の演奏で、初めて生で聴いたファンも多いであろう。展開が楽しいポップな楽曲に、体が自然と揺れる。ギターは軽快な反面、シンセサイザーは軽くなりすぎずに、全体の均衡を取っている。
楽しいイントロが続く。6曲目はRPGゲームを模したミュージックビデオでも話題になった「nameless」。やはり、ねごと新参者も古参のファンもともに目を引くであろうことが、澤村小夜子の圧倒的なドラムだ。同じ曲でも聴くたびに手数が増えているような印象を受ける。それでいて、ステージドリンクは500mlパックのココア。ひとたびMCになるとその愛されキャラを見せるのだから、「魔性のドラマー」というより他ない。
ここで観客に少々難易度の高いクラップを求めてきたねごと。ステージ上の動きも激しさを増してくる。曲に合わせて蒼山幸子が踊る、踊る!まるで曲の世界観が憑依したかのような、いわば「曲の擬人化」とも思えるダンスを披露する。
「この曲で宇宙に行きましょう!」7曲目は「ループ」。2014年最初にして最高のワクワク感を提供してくれるイントロがたまらない。客席も見事な一体感を見せる。夢の中を冒険しているかのような、ねごとのステージは、夢の世界にふさわしく、冒険しているかのように、時に予測不能な変化を見せる。われわれは”結果”ではなく、その”過程”を楽しむことができるのだ。彼女たちのライブに何度も足を運びたくなる理由の一つが、おそらくそれだろう。
最後は「シンクロマニカ」で一つになる。そう言えば今宵彼女たちはこの曲のジャケット写真のコンセプトである、カラフルな衣装でステージに立った。そんな衣装のイメージにも合ったカラフルな展開が楽しい40分間であった。
◆セットリスト
M01. カロン
M02. Re:myend!
M03. ワンダーワールド
M04. たしかなうた
M05. 真夜中のアンセム
M06. nameless
M07. ループ
M08. シンクロマニカ
M01. カロン
M02. Re:myend!
M03. ワンダーワールド
M04. たしかなうた
M05. 真夜中のアンセム
M06. nameless
M07. ループ
M08. シンクロマニカ
◆3組目・SCANDALのレポートはこちら!
http://www.beeast69.com/feature/98310
http://www.beeast69.com/feature/98310
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