ロックな演劇集団「劇団鹿殺し」のOFFICE SHIKA PRODUCE公演『罪男と罰男』が松島庄汰と渡部秀のW主演により、2020年3月11日(水)より東京と大阪にて上演される。2017年オンエアのNHKラジオドラマで話題を呼んだ丸尾丸一郎作品の舞台化。罪を犯す男と罰を引き受ける男――どこか浮世離れしているようで、人間関係のリアルを描いたものだ。
本記事では、その出演者の一人として注目を集める女優・岡本玲のロングインタビューをお届けする。大学4年生の頃に劇団鹿殺し作品と出会ったという岡本玲。俳優としてのルーツの一つとも言える鹿殺し作品への出演にかける思い、芝居を続ける中で感じていることなど伺った。
91年6月18日生まれ 和歌山県出身 第7回雑誌『ニコラ』専属モデルオーディションを獲得し、デビュー。以後、ドラマ・映画・CM・舞台と多方面で活躍中。代表作にNHK連続テレビ小説『純と愛』『わろてんか』ドラマ『わたし旦那をシェアしてた』(日本テレビ系)、映画『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでる』(藤原和之監督)、舞台『熱帯樹』『ダニーと紺碧の海』(自主企画公演) 2020年3月よりOFFICE HIKA PRODUCE公演『罪男と罰男』に出演する。
岡本玲:知り合いが出ている・出ていないに関わらず色んな演劇を観に行こうって思い立った時期でした。たまたま面白そうだなって思ってチケットを取って一人でふらっと行ったのがきっかけなんですが…結構圧倒されちゃって。なんだこのエネルギー集合体は?と思って(笑)
岡本玲:そのとき大学4年生で、みんなが就職活動する中、自分はこの仕事をずっと続けていく自信がないなと思っていた時期で、鹿殺しさんの舞台から「自信とか理由とか探さずにやりたいならやればいじゃん!」って言われてるような熱を帯びて…なんか全然泣くシーンじゃないのに一人で号泣してたっていう思い出があります。いつかこのエネルギーに自分のエネルギーを一緒に発することができる役者になれたらいいなと思っていました。
岡本玲:そうですね!
岡本玲:12歳から早めの段階で色んな仕事をさせていただいていたから、本当のこの芸能界という仕事が自分に合っているのかわからなくなってしまって。やりたい!じゃなくて、合わないかも?もっと合う仕事…事務とか、公務員とか、もあるんじゃないかと思って「何か資格を取ろう」と通信講座を調べたりしてましたね(笑)
岡本玲:高校が日出高校の芸能コースだったので、周りはライバルしかいない状態で、共通言語が仕事の話の友達しかいなくて。「普通の感覚って何だろう」って思っていたのが、大学に行って普通に友達と楽しい時間を過ごしていいんだなって気付けたんです。やっぱり学生時代から芸能界に入っちゃうと…「したらいけないこと」がたくさん当時はあって(笑)
岡本玲:それを、別にしてもいいのに、「しちゃだめ」と言われたから素直に従って、それが正解の道だって自分で勝手に思い込んじゃってたのを友達が崩してくれて、それが良い効果であり、新しい道も開けたからこそ、今まで信じてきたお芝居という道は違うんじゃないかなって不安になった時期でした。
岡本玲:自分の長所でもあり短所でもあるのが、浮つけないんですよね。今思うと『赤い糸』など色んな作品に出させていただいた高校生の頃に、もうちょっと調子に乗っておけばよかったなって思うんです(笑)。その勢いのまま流れに身を任せて後から地に足付けるということもあるじゃないですか。そういうのを楽しめば良かったんですけど、流れに身を任せるのが怖くて。10代は。
岡本玲:飲み込まれちゃいけない、というか。実力もないのに地に足付けずにお仕事頂いちゃってるという、変な生真面目さが…仇となり(笑)。そんなことを当時思ってました。
岡本玲:はい。
岡本玲:そうです。本当にそうでした!「細かいこと気にしてんじゃねーよ!」って怒られてる気がして(笑)。衝撃でしたね。
岡本玲:そうですね。大学4年生の迷っていた時期に圧倒されて、また前を向けた自分からこの6年間、自分が役者としてどこまで成長して、人間として女性としても色んな経験をしているか。あのとき背中を押してくれた方たちを逆に圧倒できるか?試されてると思いました。自分で勝手に。
岡本玲:どこか人間臭い部分?欠陥?がある役を選んでます。真面目に生きてるのにどこかの歯車がおかしくなって壊れてしまった人がすごく好きなんですよ(笑)。作品で観るのもプライベートで出会うのも、なんか事あるごとにうまく行ってない人って、人間臭くて愛らしいじゃないですか。それでも頑張ってるという人を映像や舞台で観ていくと、簡単な言い方になってしまいますがパワーをもらえる。そういう役の選び方をしたいなぁと思ってます。
岡本玲:でも、どんな役をやっても自分とかけ離れてるって思うことは少なくて、突拍子もない性格の設定をどう実生活のエピソードに置き換えるかって考えます。その役が何でそうなってしまったかっていう、生まれてからそこに至るまでの細かいエピソードを自分の中で作るんですけど、そこさえ納得できれば、あんまり悩んだり困ったりすることはないですね。
岡本玲:実際に人の話を聞いたり、いろんな事件が起きたりして、本っ当に心底納得できないことってそうないじゃないですか。例えば家族の生い立ちだったり、そのときの置かれている状況や人間関係だったり、どこかしらに共感できることがありますよね。
岡本玲:そうですね。共感して好きにならないと、逆に演じられなくて。この間の自主企画公演の役も今までの中で一番自分とかけ離れていて、年齢は自分より上の設定なんですけど、まだ青いというか、私が大学生の頃思っていたようなことを悩んでいて…私はもうそこを乗り越えたから、ちょっと過ぎた感覚という役で。そのときは稽古も辛くて…なんか好きじゃなかったんですよね。こんなことで悩んでるなんて!って。
岡本玲:どんどん想像を膨らませたり資料を集めたり、紐解いていくうちに一つ共感できるポイントが見つかるとあとはあっという間でした。その作業が本番ギリギリまでだったのでキツかったです。でもそういう自分と離れた役をやることは大事だなって勉強になりました。
岡本玲:すごく大きいですね。『わたし旦那をシェアしてた』で出会った女優陣はみなさん素敵で!小池栄子さん、りょうさん、夏木マリさん、渡辺真起子さん…この間も真起子さんとご飯行ったんですが。連絡をみんなで取り合っていて、やっぱりみんな自分が生きてる道に対しての責任を背負っているというか、逃げないし人のせいにしないし、愛情深い。女優さんからこんなにも愛情を受けてるなぁって思うことが、『わたし旦那をシェアしてた』の現場が初めてだったんです。本当に姉妹のように仲良くしてもらって。
岡本玲:小池さんは私のお芝居を好きだとずっと言ってくれているんです。初めてお会いしたときにも「ドラマのあの役が素敵だったよ」って言ってくれて感激したんですけど、その後ドラマの共演前にも私の出た『熱帯樹』という舞台を観てくれて、その感想をドラマのプロデューサーさんたちの前で言ってくださったみたいで…それだけが理由ではないけど、その一言が後押しになって『わたし旦那をシェアしてた』の茜役が私に決まったようです。
岡本玲:それで、ドラマが全部終わって女優陣だけで打ち上げをしたんですが、そのときに小池さんに言われたことではっとしたのが、「あなたはもっと評価されるべきだし、評価されないのであればその評価を私が広める」って言ってくださったんですよ。
岡本玲:かっこいいですよね!「でも、それにはまず自分で自分のことをもっと評価しないといけない」とも言われたんです。「あなたは自分がやってきたことへの正当な評価をしてない。なんでそんなに自信ないの?自分はまだまだだ、って思ったらそれが人に伝わってしまうし、もっと自分を正当に評価しなさい」って。あなたはまだまだだよ、調子乗っちゃいけないよて言われることはあっても、もっと自分で自分をいい女優だと思いなさいって言われたのは初めてで…きっとずっと忘れない言葉だなと思います。
岡本玲:もちろんファンの人が応援してくれることは力になりますし、それとはまた違う角度でそういう人が一人でも側にいると思うと、その人にいいところを見せようっていうエネルギーだけでもいい芝居ができるだろうなって。
岡本玲:あ、違うんですよね。全然考えてなくて(笑)。2019年の秋口くらいに会社の人と話していて「自分で舞台を打つことを今後していきたい」って初めて話したのですが、「やりたいなら自分で動いてみなさい」と言ってもらえたので、そこからすぐに周りに「私舞台やりたいんだけど、(一緒に)やりたい人いないかな?」って色んな人に呼びかけたらたまたま一人芝居の戯曲でやりたいものがあるって言ってくれたのが今回一緒にやった中山求一郎さんで。それが10月末だったんですよ!
岡本玲:で、(中山求一郎と)会ったその日に、戯曲は決まってないけど劇場を抑えちゃおうって(笑)
岡本玲:その日のうちに色んな劇場に電話をして…知り合いのプロデューサーさんに「こういうことを思ってるんですけど何かアドバイスないですか?」って電話したりして。それで、たまたま楽園という劇場が1月に空いていて…3カ月もないけど取ってしまえって(笑)。そのまま数日後に前払い金を払いに行きました。事務所に「決まりました」と報告に行く前でしたが、そのお金が無駄になってもいいやと思いながら。
岡本玲:色んな自分に対するフラストレーションが溜まってたんです。『わたし旦那をシェアしてた』の放送終了後、新しい仕事が流れてしまうなど「行きそうで行かないジレンマ」を感じていて。それは高校生のときからお腹に溜まっていた、コップに溜まっていたものが満杯になった瞬間だったんです。求められないなら自分で動いてしまえ!って。自分は海外戯曲で硬めの芝居を、演劇を本気でやっていきたいんだっていうことを示す宣言という形で。海外戯曲で行きたいということは決まっていて。
岡本玲:そうですね。自分の中でお芝居に対する思いは昔から変わっていないんですが、でもそれを人に伝え切れてなかった。「こういう役をやりたい、こういう仕事をやっていきたい」と周りに伝え切れてなかったんだなってここ一年くらい思っていて。その伝える表現方法の一つが舞台で自主企画をやるということだったんですよね。
岡本玲:正直甘く見ていました。急に決めたことだし、制作面なども自分たちで何とかやれるんじゃないかと思って、結局自分に色んなタスクをかけすぎてしまって。でも自分たちは役者だから他のこと…例えば事務作業とかは得意ではなくて(笑)。で、そういうことを日々やっているから芝居の読解に集中できず芝居が上がっていかなくて。人を頼らずに自分たちでできるんじゃないかという驕りみたいなものを改めて感じましたね。やっぱり自分は役者でしかなくて、演出面や構成面はできないんだなって。「できるかもしれない」じゃなくて「できない」。だったら役者やるしかないって。
岡本玲:『罪男と罰男』も今日(=インタビューを受けている2月中旬)から稽古ですけど、ここまで来るにも色んな人がいて準備してやっと稽古が始まる。始まってからも色んなこまごましたことがあるんだってことを何にも知らずに15~16年やってきたので、すごく良い経験でしたね。だからこそ一つ一つの仕事を手を抜かずに、周りの人たちに「任せてください」って胸を張れるくらい芝居を真剣に取り組まなきゃいけない、取り組みたい、って、本当に綺麗事でなく思えるようになりました。
岡本玲:本番中の相手役へのすがる思いというのはお互いに今まで以上にありましたね。「信頼してる」じゃなく「すがる」っていう(笑)。もちろん私は信頼してほしい、でも甘えさせてくれっていう。それも芝居にとっては大事なのかなって。信頼してないと甘えられないから。自分に任せてくれって思うことはあっても、何とかしてくれって相方に思ったことはなかったので面白かったです。
岡本玲:稽古場で完璧にして臨みたいタイプなんですけど、そのときは奇跡が起きることを初めて待ってみた(笑)。(中山求一郎と)二人で奇跡を死ぬ気で起こしに行こうとしていて、それは新しい感覚でしたね。
岡本玲:久しぶりの小劇場でしたが、お客さんの集中力の変化はわかりますよね。自分たちの集中力がいいときはお客さんの集中力もいいし…入りからお客さんの集中を途切れさせてしまってはいけないというのは、小劇場だからこそ意識しました。
岡本玲:そう、その点ではすっごい素敵なお客さんでした!1回も物音で嫌な思いをしなかったんですよ。
岡本玲:7ステージあったんですけど、携帯のバイブ音が鳴っちゃうとか本当に1回たりともなくて。それはすごく感謝ですし、それほどお芝居に興味がある方々を私たちが呼べたということが嬉しかったです。
岡本玲:そうですね。
岡本玲:うーん…整った表情はなるべくしないように、と思いますね。CMでも綺麗な笑顔を求められますが、自分が元々完璧な美人だと思ってないので…
岡本玲:昔ムロツヨシさんに言われたんですけど「お前は”ブス”も”ちょっとかわいい”もどっちもできるからいいよな!」って(笑)。でもそれって役者の強みだと思うし、ちょっとヘンな顔だから頭に引っかかるのかな?自分の強み…なんだろうな。なんか…うーん…「さみしい」っていう感情は小っちゃいときから人より大きく捉えがちでした。
岡本玲:さみしいっていう感情がきっかけの役作りが多い気がします。だから幸薄い役をよくやらせてもらうんですけど(笑)、そこを自分の強みにしていきたいです。
岡本玲:そうですね。子どものときの経験だったり、親との関係性だったり、人の感情の作り方やバランス感覚は子どもの頃の経験や家庭環境、家族構成で決まると思いますが、それは自分の個性だと思っていて。決してめちゃめちゃ不幸せでも、幸せでもなく、普通にちょっと色んなことがあった家だったのですが、そこが根幹にあってさみしいという感情からお芝居を常にしています。さみしいというエネルギーは自分の中で枯れることがなくて。
岡本玲:どんなに人といても幸せでも、お仕事があっても、なんかさみしい、誰かから愛されたいっていう思いが枯れることがないから、そういう役を演じられる役者になっていけたら。
岡本玲:ありますね。さみしいとか愛されたいとか愛に飢えているとか。芝居や演劇、映画…芸術に触れるって愛を欲しているということなのかな。愛情は芸術の中で重要な要素だと思います。
岡本玲:はい。
岡本玲:暗いもの…そうですね。若い頃は何か起きると全て自分の内巻きの循環にしていたんですが、そういう感情になる自分さえもここ1、2年は愛らしく思えるようになって。
岡本玲:自分のお芝居を楽しんで愛してくれる人が少しずつ増えたことが、そういう風につながっている気がします。1年前に『熱帯樹』という舞台に出たのですが、その演出を務めた小川絵梨子さんと出会ったことが大きくて。本気で評価してくれてるって思ったんですよね。何というか、小川さんの愛をきちんと感じて…
岡本玲:なんというか、うまく言えないですが「この人に愛を与えてもらったこの2か月があったら何でもできる!」ってそのとき思ったんですよ。その後ニューヨークに舞台を観に行って、より演劇を好きになって帰ってきて…うーん、やっぱり海外に行ったのがよかったですね…。あ!変わるきっかけ、わかりました!2、3年前に約1カ月、初めてお休みを取ったんです!
岡本玲:それで、アメリカにホームステイしたんです!
岡本玲:はい。忘れてました(笑)。そのときに「私、ここで生きていける」って思ったんですよ。
岡本玲:日本に戻らなくても生きていけるじゃん、って。だったら日本で何やってもいい、失敗してもいいって。本当にそうでした。
岡本玲:はい。吹っ切れたというか。行く前は、この世界で仕事がなくなったらどうしよう、求められなくなったらどうしよう、生きていけない…だから好かれるように振る舞わなきゃいけないって…「○○しなきゃいけない」ってずっと思ってたんです。でも「英語さえ喋れればずっとここで生きていける!」って(笑)。12歳から仕事始めて…初めてですよ!1カ月丸々、マネージャーさんたちとほとんど連絡取らなかったの。
岡本玲:どんなところでも生きていけるって。それでもやりたいことはお芝居だから、吹っ切れた気持ちで…恥をかいてもいいって戻ってから思ったんでしょうね。嫌われてもいいやって。
岡本玲:うんうん。続けなきゃいけない、だから失敗しちゃいけない、って。渡米中に実はCMの仕事があったんですが「どんなつもりで私が1カ月行くって決めたと思ってるんですか?」なんて生意気なことを言って断っちゃって。事務所としては今までの私からするとあり得ない発言なので驚いたと思います。それで現地で何してたかって、そろばんの先生ですよ(笑)。英語で!
岡本玲:なんにもしなかったです!そろばんの先生やって、初めて「クラブ」っていうものに、ホームステイ先のお母さんに連れていかれて。語学留学なんてかっこいいものでもなく、ただただ普通に楽しく生活したっていう、社会勉強(笑)
岡本玲:そんなに英語喋れないから、みんなでボウリングに行っても、ちょっとハブられる(笑)。大人になってからプライベートでハブられるってなかなかないじゃないですか。でも喋れたら話し返してくれるから、自分次第。アメリカってやっぱり自分次第だなって。
岡本玲:なりましたね。やりたい!って思って帰りました。
岡本玲:強くなりました。
岡本玲:できないことが悪いことと思わなくなりました。できないならできないって判断した上で、じゃあできないならどうするか?その次を考えることが大事だなって。
OFFICE SHIKA PRODUCE『罪男と罰男』
脚本・演出:丸尾丸一郎
出演:
松島庄汰 渡部秀
鷺沼恵美子 近藤茶 有田あん 長瀬絹也
岡本玲 丸尾丸一郎 ほか
公演:
【東京】座・高円寺1
3月11日(水)~3月15日(日)
【大阪】ABCホール
3月19日(木)~3月22日(日)
<物語>
罪を犯す男、罰を引き受ける男。二人の再会は、世界を変える魔法の電話に繋がってゆく。
「思い返せば、いくつ罪を犯してきたのだろう」オレオレ詐欺をしている電話口から、
孫に会いたいと懇願するお婆ちゃんの声を聞いた時、日出男はそう思った。そして罰を引き受けてくれた旧友・武男を思い出す。
再会した武男は、世界中の罰を受けて瀕死の状態であった。
特設サイト:
http://shika564.com/tsumibatsu
岡本玲:うーん…幼少の頃から、自分が何か行動を起こすことで誰かに不利益を与えるから、私は色んなことをしちゃいけないんだ、って割と思っていました。人に対して迷惑をかけることを極度に恐れている、子どもらしくない子どもでしたね。
岡本玲:姉が幼い頃から病気がちで、入退院を繰り返していたんですよ。お母さんが「強い子に産んであげればよかった」って漏らしてるのを聞いてしまったこともあるし、姉も「なんで玲だけ元気なの?」って…子どもだからこそストレートに言えることですが。私、これまで一切大きな病気をしたことがないんです。親に「お前がみんなからエネルギーを吸い取ってるんじゃないか?」って冗談で言われるくらい、本当に元気そのもので。自分がいい思いをするからみんな不幸なのかなって考えてしまいました。
岡本玲:変なことですよね?でも日本人らしいですよね(笑)。みんなおんなじが素晴らしいっていう。
岡本玲:乗り越えたというか、「自分は自分」って。強くなったんですけど、傷つくことも減って、傷つけることも減って、それってどうなんだろう、と思う瞬間もあります。不感症というか…
岡本玲:あーそうかもしれないですね。
岡本玲:そうですね。最近なかなか「あなたこういうところ直した方がいいよ」って人に言えない世の中ですよね。「自己責任でしょ」って。今は特にそういう世の中だと思うし。そういう助言を人に言うときにはきっと、それまでの思い出だったり関わり方だったり、言わないことでの自分への罪悪感だったりが背景にあると思うので、役作りの上でそういうことを逃さず発見したいです。
岡本玲:包みたい!って思ってます。色んなことをひっくるめて。観てくれる人が人としていい人か悪い人かわからないし、不幸なのか幸せなのかもわからないから、観る人、受け手によって伝わり方は異なると思いますが、どう捉えてもらってもそれが正解!って思えるような。「ありのままで…」とか言いたくないけど(笑)、でっかい心で受け止められる器の大きい役者になりたいと思います。
岡本玲:そうですね。底知れぬ愛情を持った人になりたいです。敬愛する小川絵梨子さんのように。そして、鹿殺しさんの舞台にもそういう愛情やエネルギーがあるので、今回一緒にやれて光栄です。
http://www.okamotorei.com/
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◆岡本玲 Instagramアカウント
https://www.instagram.com/rei_okamoto/
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