TEXT:長澤智典 PHOTO:野原昭子
国内のロックシーンの最先端を駆け抜け、輝き続けるフロンティアたちの横顔に迫るインタヴュー特集「ROCK ATTENTION」。第51回に登場するのはAURA 。AURA が、5月27日に最新シングル「Beautiful way」を発売した。ここへ至るまでには、ドラマというにはあまりにも内容の濃い様々な出来事がメンバーたちの間を駆けめぐってきた。今回バンドを代表し、KoREDS★ (Drums)がインタヴューに答えてくれた。彼の言葉を通し、AURA の近況をお伝えしたい。
AURA New Single 「Beautiful way」
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自分たちの中へも、今までの音楽活動の中、一番大きな象徴としてAURAがありました。
—AURAを再結成してから、もうどのくらいの歳月が経ちました?
KoREDS★: 2006年が再結成なので、なんだかんだ言ってもう12年目ですね。きっかけは、解散以降いろんな事情からAURA のベスト盤が出ていなかったこともあり、「改めてベスト盤を出そうか」という話が生まれました。そこでAURA 初となるベスト盤『memory』を制作。リリースしたのが2006年9月だったのですが、「ベスト盤のリリースに合わせ、AURA を再結成しよう」という話が持ち上がり、そのときの再結成をきっかけに、継続して活動を続けています。
—再結成した時点で、長くAURAを続けようという意志を持って始めたわけですね。
KoREDS★: 「1回きりではなく、継続させよう」という気持ちでAURA は復活させました。その1年半後には、『未来SOUL』というミニアルバムを出せば、2009年のデビュー20周年に合わせ、ふたたびベストアルバム『AURA 20th Anniversary BEST』をリリース。昨年には、昔ビデオで出ていたライブやMVなどの影像をひとまとめにした映像集『FANTASTIC AURA SHOW’90+8 CLIPS』をDVDとして発売。そして今回、不思議なご縁から、とあるスーパーバイザーに「新作を出さないか」と誘われ、今回のシングル「Beautiful way」の発売へと至りました。
—復活後もコンスタントにライブ活動を続けてきてたんですよね。
KoREDS★: やり続けてました。と言っても、平均すると年に10本程度。メンバーそれぞれにいろんな活動をしていることから、細かくツアーをまわってなど、そこまでAURA の活動に時間を割ける環境ではないのも、今の現実です。
—それでも、メンバー全員の中に「AURAという特別な存在」が輝いていたわけですよね。
KoREDS★: ですね。解散していた時期も長いんですけど。やっぱり自分たちの中へも、今までの音楽活動の中、一番大きな象徴としてAURA がありました。僕自身、AURA 解散後もいろんなバンド活動を続けてきましたけど、やっぱし自分の心の中からはけっして拭い去れない大きな存在としてAURA は有り続けたことでしたからね。再結成の話に関しても、僕らの場合は喧嘩別れをしての解散ではなかったので、4人とも「じゃあ、やってみようか」とスムーズに再結成という形にも進みましたからね。
—その関係性を今でもしっかり築きあげているところが、やはりAURAの強みですよね。
KoREDS★: ですね。残念ながら、竜巻のピー (Guitar)ことピー ちゃんは他界してしまいましたけど。AURA は自分らで言うのもなんですけど、性格的な面も含め、メンバーのバランス関係がすごく取れてたんで、再結成したときにも、別に違和感もなく「久しぶりだねぇ」というところから始まったように、自然な流れだった気がします。
こうやって長く続けられるのは、自信を持って自分たちなりの王道スタイルを貫きながらやれているから。
—みなさん、AURA解散後もズーッと現役でバンド活動を行っていたのでしょうか?
KoREDS★: 再結成の話が出た時点では、REDS☆ (Vocals)とMARBLE (Bass)は、音楽活動を辞めていました。だけど、今やREDS☆ も湾岸の羊 というバンドでギターを弾いたり、僕とJIU~慈雨 というユニットをやっていれば、Bokurano fune という大人数のカバーロックバンドをやったり、REDS☆ 名義でソロとしても動いてますし、いろいろ活動をしています。
僕は僕で、HeavensDust のサポートドラムを叩けば、弾き語りで昔のロックの名曲のカバーを行うアコースティックユニットをやったり。他にも、いろんなバンドさんに頼まれるたびにドラムを叩いてます。MARBLE はAURA を解散してから社会適合者になったので、音楽活動はAURA のみですね。
—活動当初のAURAは、いろんな面で衝撃を与える存在でした。そのぶん、まわりに翻弄されてしまう面も多かったのかなと想像します。
KoREDS★: 自分らで言うのもなんですが、AURA って特殊な存在でしたもんね。でもまぁ、いい時代を経験してきたというか、あの時代の経験があるからこそ、今もしっかり出来ているのも確かなこと。確かに、デビュー当時はいろんなとらわれ方をしてきましたけど、僕たち自身はズッとロックバンドという意識で活動を続けてきたこと。もちろんライブバンドでありたいと思ってやってきたし、僕自身、ロックドラマーという意志を根底に据え、いろんなバンドで叩いてきた。そこは、他のメンバーも考えていることは一緒。時代の変遷に合わせ、ロックというカテゴリーも変わってきている時代だなとは感じてますけど。それでもこうやって長く続けられているのは、自信を持って自分たちなりの王道スタイルを貫き続けているから。逆に言ったら、これしか出来ないんですけどね(笑)。
—続けていく、その意志こそが大切ですからね。
KoREDS★: そこは、まわりの環境や仲間たちとの関係性も含めてね。中には、どうしても辞めなきゃいけない奴らだっていたし、続けられる環境の中でやり続けている奴らも大勢いる。僕も、後者のほう。だけど、それを出来る環境にいることについてはすごくありがたいなと思ってるし、感謝もしていること。やはり、やり続けられるのは幸せですね。
竜巻のピーの意志をしっかり受け継いだうえで、AURAとして活動をしている。
—竜巻のピーさんの他界は、とても大きな痛手だったと思います。でも、そこで活動を止めることなく前へ進むという意志を3人は選んだわけですよね。
KoREDS★: そうですね。じつは復活した当初から、ピー ちゃんの場合はライブに出れたり出れなかったりという状況もあったので、ライブではつねにサポートメンバーを立てて演奏をしていました。ただ、コンポーザーとしてAURA の中ですごく大きな存在ではあったのも事実。彼の作る曲は、すごく人とは違った、他にはないオリジナリティを持った曲たちばかりでした。ピー ちゃん自身、とても良いセンスの持ち主のように、彼の他界はとても悲しいこと。今は、彼の意志をREDS☆ が受け継いでいます。当時からREDS☆ も作詩や作曲はしてましたけど。今は、完全にREDS☆ がメインでAURA の楽曲を作っています。しかも、ピー ちゃんの意志を受け継いだうえでのREDS☆ WORLDをAURA に反映させている。そこが、今のAURA なんです。
—ピーさんの楽曲は、AURAの音楽性の軸として大切な存在感を放っていたんですね。
KoREDS★: だからこそ、彼の意志をしっかり継承したうえで、AURAとしての活動をしているわけですからね。
—その意志を受け継いだ形で制作した面も、最新シングル「Beautiful way」にはあるのでしょうか?
KoREDS★: 新作シングルに関しては、長くAURA を応援し続けてくれるファンの方々、復活以降新しくファンになった方々、それぞれから「早く新曲を」という声やプレッシャーを、もうだいぶ前からいただいていたことでした。もちろん、「新しい作品を作らなきゃ」とはメンバーみんな思っていたけど、やっぱし、個々で活動していることがいろいろあると、なかなかAURA として集まれる時間も限られてくるから、制作を進めていくのは正直難しい面もあったんですよ。たまたま今回、音源化の話を昨夏頃にいただけたことから、そこからなるたけ3人ともAURA のための時間を作っては、ようやくシングルの完成まで辿り着いた形でした。
—前作って確か…。
KoREDS★: 2008年に出したミニアルバム『未来SOUL』となるように、もう10年前のこと。他にも2010年に、仲間たちであるTHE DEAD POP STARS とTEST NO 、そこへAURA を加えた3バンドで合同ツアーを行ったときに、オニムバス『Jack’a’napes』を会場限定盤として制作。今回のシングルに新録で収録した「DAYS」のオリジナルバージョンもそこに収録していました。この楽曲を、今回「DAYS(2018 Re-Recording ver.)」として収録出来たのも嬉しかったですね。
新しいAURAの姿をシングル「Beautiful way」に詰め込みました。
—新曲を作るにも、なかなか大変な環境なんですね。
KoREDS★: 一番大きいのが時間ですね。ただ、新作を待っててくれる人たちがいるのをわかっていたからこそ、今回は、なんとか時間のやり繰りをしては新しいAURA の姿をシングル「Beautiful way」に詰め込みましたし、これからも、今のAURA の姿をみなさんへ伝え続けたいなと思って活動をしています。
—シングルの冒頭を飾った「Beautiful way」、とても壮大かつどっしりとした、スケールあふれた楽曲へ仕上がりました。
KoREDS★: ありがとうごさいます。僕ら最近、「大人のAURA 」という言葉を使わせていただいてます。それは、今の自分たちだからこそ出来る音楽があるなと思ってのこと。あの頃はあの頃で、もちろん良い音楽を作っていましたけど。「今のAURA を見せたい」という意味に於いては、以前と比べたらちょっと落ち着いて、大人っぽいイメージを意識して楽曲制作をしているかも知れません。
—今回の作品では、6月からのライブでもサポートギタリストとして参加する藤本泰司さんがギターを弾いています。
KoREDS★: ギターのピー ちゃんが他界して以降、いろんなサポートギタリストの方にお願いをしてきました。ただ、新作のレコーディングとなったときに、ギタリストの人選面ではいろいろと考えました。と言うのも、僕らよりも若いギタリストを誘い、ちょっと新しいエキスを取り入れようか。それとも、同じ世代のギタリストに頼んで王道のAURA スタイルでいこうか、最初にそこですごく考えました。
結果、「今の大人のAURA を見せるには同世代の、理解しあえるギタリストがいいんじゃないか」と判断。僕らが昔から付き合いがあり、僕がヴォーカルで活動していたPIRANHA 69 KINGZ というバンドでもギターを弾いていた藤本泰司 にお願いをしました。彼も、今回の依頼を快く引き受けてくれましたからね。
もちろん先輩ではあるんですけど、さすが藤本泰司 はギターヒーローらしく、僕らの感覚をすごくよくわかってくれていれば、ピー ちゃんの心もわかってくれているんですよね。結果、「泰司 くんにして良かったなぁ」とすごく感じてる。むしろ今は、早くライブをやって、彼がAURA のライブで弾く姿をみんなに見せたいですからね。
「今のAURAはこうなんだよ」という姿を素直に見せたほうがいい。
—今の自分たちの等身大の姿を楽曲へ投影することが、やはり今は一番似合うんでしょうね。
KoREDS★: 等身大の自分たちを出したほうがいいんだろうなとは思っていること。変に格好をつけたり若ぶっても、限界って見えるだろうし。だったら、今の等身大のAURA を、「今のAURA はこうなんだよ」という姿を素直に見せたほうがいいんじゃないかなとは感じてるし、実際にそういう音へ仕上がったなと思います。
—聴いてて腑に落ちた感覚は「Beautiful way」を聴いててすごくありました。収録した3曲、KoREDS★さんはどのように受け止めているのでしょうか?
KoREDS★: 今のAURA を出せてる自信はありますね。サポートメンバーである鍵盤の松原博 然り、ギターの藤本泰司 然り、彼ら2人の力を借りてるんですけど、トータル的に今のAURA 感はすごく出せてるなと思うように。とても自信のある作品に仕上がりました。個人的なことを言わせてもらえれば、「Beautiful way」は僕のわがままを言って、LUDWIGの70年代のビンテージのドラムを用意し、ノーミュートで縦をすごく重要視した音にしたりと、音作りの面でもかなりこだわりました。けっこう奥行きの出ているサウンドへ仕上がったように、僕はとても満足してますし、そこは全体のサウンドにも出ています。
—C/Wに収録した「大切な人」は、何時頃に生まれた曲なんですか?
KoREDS★: 「大切な人」は昨年の夏頃からライブで演奏しているように、ライブで楽曲を煮詰めたうえで作品へ収録することが出来ました。ライブでも毎回演奏しているように、今のAURA にとって大切なライブの軸となる楽曲、だからこそ音源化しました。6月から始まるツアーでは、間違いなく収録した3曲をメインにやっていくので、そこも楽しみにしていてください。
—「DAYS」も仲間へ向けての歌。それもあったのか、今回のシングル盤を聴いてると、ピーさんへの向けての想いを詰め込んだ作品集としても胸に響いたんですよね。
KoREDS★: あー、なるほど。僕たちの中の何処かにも、そういう気持ちはあることですからね。そういうのも自然と滲み出たうえで今の等身大な歌たちとして組み立てたのが、今回のシングル盤だと思います。
—KoREDS★さんの中でも、AURAの存在は大切なものになっているわけですよね。
KoREDS★: 生涯、切っても切れないものでしょうね。だから、ずーっとKoREDS★ という名前で活動を続けていますし、それが答えだと思います。
大人感あふれるAURAとしてのサウンドとして仕上がった1枚。
—6月より全国ツアー『AURA 2018 Tour Beautiful way』がスタートします。
KoREDS★: 基本はワンマン公演なんですけど。今回は仲間の協力もあって、6月9日の本八幡公演にはTHE SLUT BUNKS さんと、15日の仙台公演ではLADIESROOM さんと共演します。2バンドとも初の2 MAN LIVEのようにめっちゃ楽しみにしています。仲間の絶大な協力があって出来ることは、ホント嬉しく思います。
—同世代バンドたちから受ける刺激っていいですよね。
KoREDS★: そう。それに音楽を続けてさえいれば、どこかのタイミングでこうやって出会えますからね。そこからまた「一緒にやろうぜ」となったり。昔から続いてる仲間には、僕は頻繁に会っているほうじゃないかと思います。そういう環境に置かせてもらっていること自体ありがたいですよね。だから今後も、仲間たちと一緒にやれることはとにかくやっていきたいなと思っています。
—改めて、完成したシングル『Beautiful way』についてひと言お願いします。
KoREDS★: やっぱり今の、この歳になって出来ることを最大限引き出せた、大人感あふれるAURA としてのサウンドとして仕上がった1枚だと思います。楽曲もレコーディングもマスタリングもすごくいい環境で作らせていただいたように、ジャケットも含め、新しいAURA を。今の大人になった等身大なAURA を100%出せてる音源。ぜひ、聴いてください。
—相変わらずメロディメイカーぶりを発揮していますよね。
KoREDS★: ありがとうございます。僕らは音源は音源、ライヴはライヴと考えるスタンスで昔からやってきてるので。音源は、あくまでも作品としてきちんと捉えたいという気持ちでいること。ライブはそのときの抑揚を。自分らの気持ちであったり、そのときのパワーをすごく出し切りたいもの。とにかくライヴはガンガンにロックな姿勢を持ってドカーンといきたいですね。
—KoREDS★さんも自分の芯をずっとぶらさず持ちながら活動を続けていません?
KoREDS★: なんとかやってきてますね(笑)。むしろ、これしか出来ないんですよ、これしか出来ない俺に集まってくれるみんなといいものを作りたい。いい環境で音楽をやっていけたらなぁと思えているのは、昔も今も変わらないごとなので。
—その人間性に惹かれて人が集まってくるわけですからね。
KoREDS★: ありがとうございます。いまだに繋がり続けてる仲間たちはいい意味でもライバルでもあるし、本当に悪友だし、戦友だし…。だからこそ、いまだに付き合えてるなとすごく感じています。
—その繋がりはもう途切れないもの。
KoREDS★: ずっと続くでしょうね。後悔のない生き方は出来てると思います。やれる限りは続けます。
—だって、生涯ドラマーですよね。
KoREDS★: やりたいですね。多少体力面には出てきてますけど(笑)。もう朝まで呑んでるとか無理っすよ(笑)。
これからの発表も含め、今年のAURAは精力的に動く。
—HeavensDustでも、最近シングル「Scars That Were Meant To Be」をリリース、こちらのバンドも今、ツアー中になります。
KoREDS★: 今年はAURA としてもライブ本数を増やし、積極的にいろんな活動をしていけば、先の展開も作っているんですけど。HeavensDust でも、海外ライブを終え、今は国内ツアーを始めているところ。HeavensDust はもともと海外を中心に活動していた日本人たちによる、和太鼓と尺八が入ったラウド系のバンドとして活動をしています。AURA も一度、韓国でのライブ経験はありますけど、海外でもライブが出来たらなという気持ちもあれば、AURA の楽曲も海外で知られてるようなので、チャレンジする機会があれば、ぜひふたたび海外ライブは経験したいですね。
—AURAも、今年は精力的に動く形なんですね。
KoREDS★: そうです。これからの発表も含め、今年は精力的に動くので、追って徐々に発表していく動向をチェックしていてください。シングル「Beautiful way」は全国リリースですので、ぜひ各地のCDショップなりネット上を通して手に入れてください。メチャクチャ自信のある作品ですので。
◆CD Information
New Maxi single「Beautiful way」
初回限定特典DVDには「Beautiful way」ミュージッククリップ Full ver./メイキング映像/AURA オフショットギャラリーを封入。
収録曲
(1) Beautiful way
(2) 大切な人
(3) DAYS
◆AURA
Official Website
http://www.aura-station.com/
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