コラム
なつきのロック解体新書
伊佐なつき
北海道帯広市出身。SHERBETSの福士久美子、外村公敏を擁するTHE HiPPYのギターボーカルとしての活動と平行して、ソロ活動を展開。 THE HiPPY脱退後は、本格的にソロアーティストとして、オリジナリティー溢れる個性的な楽曲で弾き語りを中心に活動を行う。 “七色の声”を使い分ける独特のヴォーカルスタイルとスタイリッシュなパフォーマンスに定評がある。
伊佐なつきオフィシャルサイト
http://www.isanatsuki.com

第二回 欠けているようで満ちているもの。

第二回ということで、
今回はロックに因んだ映画のお話を2つ解体したいと思います。

まず、昨年私のコメントをパンフレットに載せて頂いた
『ジェイソン・ベッカー 
Not Dead Yet 不死身の天才ギタリスト』

2-2

ハードロックファン、音楽ファンには当時から有名であった
天才ギタリストが突然、ALS(筋萎縮性側索硬化症)
に罹患してしまったという一見とてつもない悲劇
のようなこの話。

しかし、この映画のなんと清々しいことか。
音楽に興味の無い人も
最近なんだかやる気が起きない人も
覚醒できるチャンスかもしれない映画なんです。

なぜなら、ジェイソンが今まさに生きているからです。
しかも情熱的に音楽を楽しんでいるんです。

確かに、事実を目の当たりにしたとき
彼自身や周囲の人々も、未来なんて見えないほど
想像絶する深い闇を覗いたことでしょ う。

しかし今その姿は美しく、明るく輝いています。

身体が丈夫でも死んだように生きているような
人もいるこの世の中で。

すべての人の心身のどこかにヒントを与えてくれる。
そんな映画です。

こちらの映画は全国絶賛公開中で、
これから上映されるエリアもあります。
まだまだ劇場で楽しめますのでご興味ある方は是非!
http://notdeadyet.jp/introduction/

 
 
2つ目はこちら

『THE PUNK SYNDROME』
2-3

つまり、パンク症候群という意味なのですが
こちらもドキュメンタリー映画で、
バンドメンバーはフィンランドの知的障害者達です。

はっきりいって本物のパンクです。

パンクって何?って人も
あぁ、コレがパンクなんだ。
と思ってもらってもいいんじゃないでしょうか。

私自身も先日精神科病棟へ臨地実習に行って来ました。
その時に、まず見つけたのは自分のなかの偏見でした。
患者さんにどう接していいのか、
急に豹変して自傷他害行為に至ってしまうのではないか。
それこそ恐怖に似た感情でした。
しかし触れ合っていけばいくほど
それはただの思い込み、決めつけだと分かるのです。

彼らは自分と外界に妙な違和感を感じて生きていますが
それは社会にある「こうでなくてはならない。」
というような周囲の目があるからではないでしょうか。
私達だって子供の頃からそのような枠に
自分のサイズを合わせていく窮屈さを感じていたはずです。

皆、心は清らかでまるで童心のまま。
社会に適応していると思われる私達が
どこかで失くした
大切な部分を自然に持っている人ばかりでした。
その無邪気な笑顔に心が救われるような感覚です。

そしてこの映画の主人公達のバンド
「ペルッティ・クリカン・ニミパイヴァド」
はそんな社会との隔たりや違和感を どストレート! に
吐き出しているんです。

彼らの「昇華」の姿は見事であり
何よりスカッ!とします。

是非御覧ください!

1月17日より公開!!
http://punksyndrome.net/

そう、今回のコラムのタイトルのように
欠けている(これらの映画の登場人物のように
一つの角度からは欠けてみえるもの)も
角度を変えれば溢れるほど満ちているものは
沢山あって、時折そういった気づきを得ることで
日常の凝り固まった価値観を飛び出して
世界が輝いて見える感覚になるのだと思います。

こういった作品には本当に感謝したいです。
 


 
ということで!

今回の 格言のコーナー は…
海外ネタつながりで
世界的に有名なカントリーミュージックの
大御所 Willie Nelson のワールド・ツアーや
SMAPmiwaなどでも活躍しているベーシスト

Merlyn Kelly の言葉。


2-1

初めて持つ筆ペンw
に戸惑いながらも素敵な言葉を書いてくれました。

マーリンは私のシングル「DANAE」にも参加してくれています。

次回のコラムもお楽しみに!