第二回 欠けているようで満ちているもの。
第二回ということで、
今回はロックに因んだ映画のお話を2つ解体したいと思います。
まず、昨年私のコメントをパンフレットに載せて頂いた
『ジェイソン・ベッカー
Not Dead Yet 不死身の天才ギタリスト』
ハードロックファン、音楽ファンには当時から有名であった
天才ギタリストが突然、ALS(筋萎縮性側索硬化症)
に罹患してしまったという一見とてつもない悲劇
のようなこの話。
しかし、この映画のなんと清々しいことか。
音楽に興味の無い人も
最近なんだかやる気が起きない人も
覚醒できるチャンスかもしれない映画なんです。
なぜなら、ジェイソンが今まさに生きているからです。
しかも情熱的に音楽を楽しんでいるんです。
確かに、事実を目の当たりにしたとき
彼自身や周囲の人々も、未来なんて見えないほど
想像絶する深い闇を覗いたことでしょ う。
しかし今その姿は美しく、明るく輝いています。
身体が丈夫でも死んだように生きているような
人もいるこの世の中で。
すべての人の心身のどこかにヒントを与えてくれる。
そんな映画です。
こちらの映画は全国絶賛公開中で、
これから上映されるエリアもあります。
まだまだ劇場で楽しめますのでご興味ある方は是非!
http://notdeadyet.jp/introduction/
2つ目はこちら
つまり、パンク症候群という意味なのですが
こちらもドキュメンタリー映画で、
バンドメンバーはフィンランドの知的障害者達です。
はっきりいって本物のパンクです。
パンクって何?って人も
あぁ、コレがパンクなんだ。
と思ってもらってもいいんじゃないでしょうか。
私自身も先日精神科病棟へ臨地実習に行って来ました。
その時に、まず見つけたのは自分のなかの偏見でした。
患者さんにどう接していいのか、
急に豹変して自傷他害行為に至ってしまうのではないか。
それこそ恐怖に似た感情でした。
しかし触れ合っていけばいくほど
それはただの思い込み、決めつけだと分かるのです。
彼らは自分と外界に妙な違和感を感じて生きていますが
それは社会にある「こうでなくてはならない。」
というような周囲の目があるからではないでしょうか。
私達だって子供の頃からそのような枠に
自分のサイズを合わせていく窮屈さを感じていたはずです。
皆、心は清らかでまるで童心のまま。
社会に適応していると思われる私達が
どこかで失くした
大切な部分を自然に持っている人ばかりでした。
その無邪気な笑顔に心が救われるような感覚です。
そしてこの映画の主人公達のバンド
「ペルッティ・クリカン・ニミパイヴァド」
はそんな社会との隔たりや違和感を どストレート! に
吐き出しているんです。
彼らの「昇華」の姿は見事であり
何よりスカッ!とします。
是非御覧ください!
1月17日より公開!!
http://punksyndrome.net/
そう、今回のコラムのタイトルのように
欠けている(これらの映画の登場人物のように
一つの角度からは欠けてみえるもの)も
角度を変えれば溢れるほど満ちているものは
沢山あって、時折そういった気づきを得ることで
日常の凝り固まった価値観を飛び出して
世界が輝いて見える感覚になるのだと思います。
こういった作品には本当に感謝したいです。
ということで!
今回の 格言のコーナー は…
海外ネタつながりで
世界的に有名なカントリーミュージックの
大御所 Willie Nelson のワールド・ツアーや
SMAP、miwaなどでも活躍しているベーシスト
Merlyn Kelly の言葉。
初めて持つ筆ペンw
に戸惑いながらも素敵な言葉を書いてくれました。
マーリンは私のシングル「DANAE」にも参加してくれています。
次回のコラムもお楽しみに!