REPORT丨2025.12.09
【REPORT】Keyboard Prince「Autumn Tour 2025」
TEXT & PHOTO:桜坂 秋太郎
Keyboard Prince「Autumn Tour 2025」 2025.10.12 @新宿WildSide Tokyo
日本のプログレ・ハードを中心としたロックシーンに大きな影響を与えてきたキーボーディスト二人によるユニットKeyboard Prince。メンバーは、NOVELA・GERARD・EARTHSHAKER等で活躍の永川”Toshi”敏郎と、GALNERYUS・ALHAMBRA等で活躍の YUHKI。まさに鍵盤王子という名にふさわしい至高のキーボーディストの共演ユニットだ。今回は新宿Wild Side TokyoにおけるKeyboard Prince の2025年10月12日ライブの様子をお届けしよう。

2024年12月に発売されたKeyboard Princeの1stアルバム『Apocalypse』のオープニングを飾る「Revelation」の重厚なSEが流れる中、Keyboard Princeの大きなロゴを背に、永川”Toshi”敏郎とYUHKIがステージへ登場。そして『Apocalypse』の2曲目のタイトルチューンである「Apocalypse」でショーがスタート!変拍子を多用しながらも疾走感を薄れさせないリズムの上で、シンセサイザーとオルガンサウンドの高速フレーズが炸裂!のっけから二人のソロバトルが火花を散らすハイライトシーンをオーディエンスに魅せつける。
大きな拍手の中、コミカルな二人の動きから『Apocalypse』の3曲目の「The Chestnut Labyrinth」へ。ユーモアと超絶技巧が交錯するナンバーだ。キーボードサウンドが交差し、まさに迷路の中を駆け回るような錯覚で聴くものを魅了する。変拍子のキメが連続する超難解なパートでも、アイコンタクトをしながら、二人はまるで遊ぶようにキーボードを奏でている。MCではネット視聴しているオーディエンスへの気遣いも忘れない。そして今日のライブは新曲も披露するとのこと。ライブ配信で遠隔参加の方にもうれしいお知らせだ。





MCの後は『Apocalypse』の4曲目の「Fear And Courage」へ。恐怖と勇気の楽曲ストーリーを作り出すドラマティックな展開がたまらないナンバー。テクニックの技巧はもちろんだが、二人の魅力はアーティストとしてのずば抜けた表現力ではないだろうか。MCをはさんで新曲コーナーへ。まずは「Evil Secret Society」という新曲。イントロの永川”Toshi”敏郎のオルガンフレーズが会場に広がり空気を揺るがす。二人はそれぞれ独自のリズムの取り方をしながら、複数のキーボードを弾きこなし、その超人的な才能はまさに圧巻だ。今日のライブは二部制になっていて、MCを挟んだ第一部の最後は、壮大で美しいメロディが印象的な新曲の「FANTASIA」へ。





休憩後の第二部は、King Crimson の破壊的な攻撃力と変拍子の名曲「Larks’ Tongues in Aspic (Part II)」でスタート。アグレッシブなフレーズがキーボードを中心に見事に表現された素晴らしいカバーソングだ。そして『Apocalypse』の7曲目の 「The Highway Prince」へ。疾走感のあるスピーディーな展開とモダンなキーボードサウンド、メロディアスかつダイナミズムを感じるハーモニー、血沸き肉躍る感じがたまらない。個人的には『Apocalypse』のアルバムで一番好きなナンバーだ。





グッズ紹介のMCをはさんで『Apocalypse』の5曲目の「Sad Song」。繊細なタッチで奏でられる永川”Toshi”敏郎のピアノ、その静寂の中で涙をぬぐうオーディエンスがいる。YUHKIの哀愁漂うリードパートと重なり、誰もが今、極めて美しいメロディに心が洗われている。そして『Apocalypse』の6曲目の「The Castle Of Keyboard Prince ~The Day That Never Ended~」。二人が築き上げた「鍵盤の城」を探検するような構成のナンバーでは、Keyboard Princeの扇グッズをオーディエンスが左右に揺らす。勇壮なイントロから始まり、ダンジョン抜け、舞踏会へとシンフォニックに情景が変化し、エンディングまで息もつけない展開だ。





新年のライブや2ndアルバムなど、来年の構想を含んだMCの後は、オーディエンスの手拍子の中、『Apocalypse』の6曲目の「Departure」だ。『Apocalypse』のアルバムの世界観において、キーとなるナンバーでもあると感じている。なぜならば、それは新たなる旅立ちへと向かうための希望の光を、楽曲の中に見出せるからだ。そしてステージ前方に二人が移動してのMC。スタッフを交えてダンスの振り付け指導からのキーター(Keytar:ショルダーキーボード)を手に、新曲「小枚神/大枚神」。❝小枚神❞のダンスと❝大枚神❞の拳で、Keyboard Princeとオーディエンスが一体化!会場のボルテージが最高潮となり第二部が終了。


アンコールの声に応えて登場したKeyboard Prince。サングラスで変装し、MCからの「Nijuman」へ。キーターを抱えたままEXILE「Choo Choo TRAIN」のイントロ回転ダンスを披露し、そのままコールアンドレスポンス!ラップ的にリズミカルに言葉を繋ぎつつ、踊りながらキーボードのハーモニーフレーズを奏でる。二人の引き出しの多さによる化学変化を満喫できるナンバーだ。アンコールの後は、さらにダブルアンコール。複雑なリズムチェンジと転調をしながらハードに迫るNOVELAの「ソマの戦士」を、ステージで重なり合うようにキーターでプレイする二人。ライブを楽しんでいるのが、時折見せる笑顔から伝わってくる。
◆Set List
第一部
M01. Apocalypse
M02. The Chestnut Labyrinth
M03. Fear And Courage
M04. Evil Secret Society(新曲)
M05. FANTASIA(新曲)
第二部
M06. Larks’ Tongues in Aspic (Part II)
M07. The Highway Prince
M08. The Castle Of Keyboard Prince ~The Day That Never Ended~
M09. Departure
M10. 小枚神/大枚神(新曲)
アンコール
M11. Nijuman(-encore-)
M12. ソマの戦士(-encore-)
M13. REVENGE(-encore-)
「もう一曲やらせてください!」とYUHKI。本日最後は予定になかったというGERARD の「REVENGE」。二人は壮絶なキーボードフレーズの掛け合いを披露。大拍手の中、ショーが終了となる。そして演奏が終わるとステージ上の二人とオーディエンスの記念撮影。さらにKeyboard Princeのファンサービスは、そのまま終演後のサイン会へと続く。Keyboard Princeは、世代の異なる天才的な超絶キーボーディスト二人による、日本の音楽史に残るユニットであり、その楽曲は「鍵盤ロックの教科書」的な価値のあるものだと思う。今後は海外でもKeyboard Princeの評価が高くなるだろう。多忙な二人なので、次のライブやツアーの貴重な機会を逃さず、ぜひ足を運んでいただきたい。


