2009年9月26日（土）27日（日）、兵庫県姫路市の姫路城シロトピア公園にて『タコロックFES‘09 in 姫路城〜世界遺産編〜』が開催されました。前回の『タコロックFES‘08』は兵庫県明石市大蔵海岸で行われ、海水浴場ということもあり、夏らしい開放的なフェスティバル（以下フェス）になったそうです。今回は姫路城。はたしてどのように盛り上がるのでしょうか。

『タコロック』というフェスは、入場が無料！そして出演者のギャラも無料！という、まさにDIYな野外フェスです。そのDIYぶりは、『タコロックFES’08』と書かれた前回のフラッグにシールを貼って、『タコロックFES’09』と誤魔化して使い回すほど。出演したバンドもDIYぶりをネタにしていました。

会場となったシロトピア公園は、姫路城の裏側にあり、普段はお年寄りがゲートボールを楽しんだり、家族でキャッチボールに興じたりする広場があります。その奥へ進むとステージが設置されており、今回はその野外ステージが舞台となりました。見上げれば世界文化遺産である姫路城の天守閣が鎮座しており、美しいその姿に思わず息を飲んでしまいます。

400年前に姫路城を築城した池田輝政は、まさか400年後に「ライヴステージ姫路城」になるとは考えもしなかったでしょう。そんな文化的な舞台となった今回のタコロックには、『UNION WAY』というプロジェクトの一環で、韓国からも3組のバンドが参加。日韓の音楽を通じた文化交流的な側面もあるイベントとなっていました。

9月末とは思えないほど日差しが強く、まるで夏のよう。まさに絶好のフェス日和です。朝9時にもなると、少しずつオーディエンスが集まり始めます。ステージでは、サウンドチェックが行われていますが、その様子を見つめながら、フェスのスタートを今か今かと待っています。オーディエンスは、ロックなTシャツに身を包み、ビビットなカラーのスニーカーで会場に彩りを与えていました。

午前10時過ぎからフェスはスタート。バンドのライヴが始まると、一気に会場はヒートアップ。「オイッ」のかけ声、モッシュ＆ダイブ、日差しにも負けず劣らずの熱を帯びていきます。熱いバンドが次々と出演し、開放感のある野外ステージを使って、底無しのパワーでロックしています。

タコロックの由来

主催者：
Live + Club BAR KINGS CROSS
代表AKI-HERO(アキ-ヒーロー)

明石で始めるのに『へそロック』としようとしたが 日本のへそが西脇ということで 急遽変更。 明石の名物が『タコ』『タイ』『アナゴ』ということで 『タコ』は海に引きずり込むという由来から音楽で観客を引き込むニュアンスを含め 『タコロック』に決定。

兵庫県を盛り上げるフェスとして始まり今年で2回目。 日本で唯一ダイブとモッシュが許される緩いフェス。

出演者は熱い演奏を披露しながらも、会場のスタッフに感謝を述べ、物販ブースの紹介や屋台のカレーライスを勧めるなど、終始アットホームで温かみのある雰囲気が漂っていました。オーディエンスも出演者も主催者も、気持ちが一つになっている。まさにDIYなフェス、その場にいる全員が自分達のためのフェスを楽しんでいると感じました。

大人気の屋台のカレーライスを食べた後は、後半戦のライヴが待っています。お腹を満たしたオーディエンスは、モッシュ＆ダイブにとどまらず、さらに激しさを増します。テンションは最高潮。カラフルなスニーカーを踊らせてステージ上を走り回ったり、マイクで叫んだり、通常のライヴでは見られないようなことが次々に起こります。これぞまさにお祭り騒ぎ！

一見、無秩序のようで、しかし固い信頼がそこには存在しているフェスです。激しくプレイするバンドと、走って飛んで叫ぶオーディエンスの間には、境界線などありません。お互いに楽しげな笑顔を振りまいていました。「タコの足は八本あるけど、みんなの心は一本に！」という心に染みるMCもあり、晴れ渡る空の下、姫路城の麓でロックビートが響くのは、何とも言えない趣があります。

陽も傾き始める頃になると、フェスも佳境に入ります。しかしオーディエンスの熱は冷めることなく、ライヴステージ姫路城は一層の盛り上がりを見せます。夕方、オーディエンスと出演者と主催者が、アンコールの代わりに記念撮影。全員それぞれに最高の笑顔を持ち寄り、心を一本にした瞬間です。この思い出はしっかりと心に焼き付けられたことでしょう。

来年の『タコロック』は、いつどこで行われるか今のところ未定ですが、『タコロック』は心を一本にするフェスです。ぜひ一度足を運んでみてください。入場無料でここまで濃い内容、楽しいフェスは他には無いかも。『タコロック』はアットホームな雰囲気で、あなたを迎え入れてくれることでしょう。ロックとビールとカレーライス、そこに次はあなたの笑顔を！