演奏

マキシ・シングル発売記念〜地獄四人衆! 熱き夜の宴界ツアー〜大阪公演

TEXT:法印堂沙亜羅 PHOTO:曲香-mageshang-

2009年8月12日、うだるような暑さの中、大阪の一角では他とは異なるロックパワーあふれる地獄の熱気が立ち上りました。場所は「北堀江club vijon」。熱気の源泉は地獄カルテットの四人衆。今回のライブは、2009年7月28日の仙台を皮切りに、9月12日の東京まで日本各地を転戦してゆく『マキシ・シングル発売記念〜地獄四人衆! 熱き夜の宴界ツアー〜』の大阪公演。ツアーも中盤戦とあって加熱を重ねるロックの宴に、この大阪公演ではオープニングアクトに、Silver’s Crest(シルバーズクレスト)、ARESZアレス)の二バンドも参戦しての強力ラインナップです。

オープニングアクト1番手は、Silver’s Crest。メンバーは銀次(Vocal)、(Guitar)、(Bass)、VEN(SupportDrums)の4人。銀次が背を見せて静かにたたずむステージ、宴のはじまりへの期待を込めて息を詰めるオーディエンス。銀次が勢いよく振り向けば、静から動へ一瞬での変転、VENのドラムが激しいビートを刻みだし、「Out Law」へ。続いて「Don’t say good bye」。ワイルドでありながら胸に迫る銀次の歌声が印象的。激しい「動機」では間奏でのギタープレイが魅せてくれます。挟んだMCでは銀次がカミまくり、がフォローする一幕も。曲に戻れば銀次もパワー全開で新曲「Mix up」を披露、キャッチーかつパンキッシュな一曲。スピード感はありながらもメロディアスな「紡—ツムギ—」を経て、ラストは「Shattered」。フロントメンバー3人のヘッドバンギングにオーディエンスも同調、宴は順調な幕開けとなりました。

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オープニングアクト2番手はARESZ。メンバーは瑠海狐(Vocal)、那都己(Guitar)、翔己(Bass)、雅己(Bass)の四人。「戦闘型重鋼楽団」を自称する彼らだけに、特攻服仕様の揃いの衣装での登場です。重低音を響かせる弦部隊3人の中央で、瑠海狐が胸に手をあて一礼する様は女帝の風格。一曲目は「破壊殺戮洗礼の歌」。のっけから男前な?パワーボーカルぶりを発揮する瑠海狐に会場も灼熱化。さらに激しく「BATTLE MODE」、挟んだMCでは瑠海狐の関西的マシンガントークが炸裂、続く楽曲は精鋭部隊を意味する「CRACK UNIT」。事前にタオルの回し方指導が入ったこともあり、オーディエンスも皆精鋭部隊と化し、会場中にタオル旋風が吹き荒れます! そのままの勢いで「Act Up Power」、ラストは「闘争本能」。メンバーうち揃って長髪振り乱しての四連獅子状態のヘッドバンギングでオーディエンスをアオったかと思えば、カワイく人形焼!?のポーズまで入るエンターテイナーぶりを見せて終了。終始パワーを見せつけ続ける瑠海狐と、ステージ中をところ狭しと動き回る弦部隊の三者三様の華麗なプレイで、宴の器を十二分に加熱させきったオープニングアクトでした。

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2組のバンドによるオープニングアクトが終了し、いよいよ宴の本番、地獄カルテットの登場です! メンバーはNOV(Vocal)、小林信一(Guitar)、MASAKI(Bass)、GO(Drums)の4人。タオルを回しつつ、一人ずつステージへと上がってくるメンバー。全員揃えば「蒼い月の下で」からスタート。MASAKIの神速の指づかいと小林信一の七弦ギターによる、音数の多さ華麗さは圧巻。「愛想くらいの知恵」では会場中から拳が上がり、序盤戦から地獄ワールドが全開。さらにボルテージをあげて、「熱き夜の華が咲く」、「永遠の微笑」。次の「使途、忘却の旅路」はノスタルジックなメロディに乗せて、高らかに歌い上げられてゆきます。メタルな音でありながら、頭の中をまばゆい何かがスウッと通りぬけてゆくような高揚感すら覚える演奏。

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続いてバラード「狼少女の嘆き」を経て、MASAKIのベースソロへ。随所で超絶テクニックを見せ続けてきたMASAKIですが、ソロともなればよりスゴみが際立ちます。ベース演奏とは思えない速度の速弾き。さらには銀の棒状のモノを手にし、弦に押し当て弾き出し、何事!?と思えばなんと『十手奏法』とのこと。GOが登場し、二人で軽く演奏した後MASAKIは退場、GOのドラムソロへと。GOのスティックが叩き出す激しいビートは、耳で聞く音であることを越え、オーディエンスの心臓から震わせてくれる勢い。他のメンバーが戻ってくれば「明日のあなたは何処へ」、「心酔の宴」と2曲続けて演奏。

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ここで挟まれたMCでちょっとした事件が。進行手順を間違えたNOVがステージから逃走! ニヤリとしたメンバーはNOV不在のままで次の楽曲「幻の楓」の演奏を開始。NOVがイントロを聞きつけダッシュで駆けつけるといった一幕も。出だしこそドタバタでも、曲に入れば心に刺さるスゴみを存分に見せつけます。続いて、NOVの「さあ、もっと苦しめ!」との叫びから「勇者の孤独」へ。オーディエンスも「ジ・ゴ・ク!」と声を張り上げます。ラストは「存在の成りゆき」。ステージ上下とも疲れも見せず、むしろヒートアップ気味。疾走感のある出だしにいきなりヘッドバンギングの嵐。演奏に本能から揺さぶられ、会場一体となって暴れまくりました。

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アンコールは、1人ステージに現れた小林信一のギターソロから。「弾いちゃおっかな〜?」という軽いつぶやきとは裏腹に、速弾きテクニック全開。心地よく歪みゆく音にオーディエンスが酔いしれたところで、MASAKIGOもステージへ。3人でしばし聴かせた後にNOV登場。アンコール1曲目の「朝の許しを待ちて」のために踊りの事前練習を開始するも、何故かMichael Jacksonマイケル・ジャクソン)の「Thriller」を踊り出す事態に。さらに芸能人のモノマネなど、お笑い空間化するライブハウス。しかし曲がはじまれば、あっという間にメタルな地獄空間へ。練習の甲斐あって、会場中が踊り狂い、ついにオーラス「罪と罰の戦」。GOのドラムから曲がスタートすれば、センターのNOVに合わせて、両サイドからMASAKI小林信一も声を出します。オーディエンスもこれが本日のラストバトルと暴れに暴れ、地獄の宴は最高潮に。

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アンコール最後の曲の後には、全員で声を合わせての地獄コールが。「ジ・ゴ・ク!!」とコールする筈が、「ジ! ゴ!……??」と一度肩すかしを食らわせるのもご愛嬌。そんな様子さえもがカッコよく、オーディエンスを魅了してしまうのは、音の凄まじさがあればこそ。「ジゴク」の「ク!」は全員ぴったり揃っての叫びで気持ちよくキメ、かくして、『マキシ・シングル発売記念〜地獄四人衆!熱き夜の宴界ツアー〜』大阪公演は終了。キャリアあるメンバーが集結している地獄カルテットだけに、これぞ本格メタル! な迫力満載のライブでした。