連載

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IN A SCAR 「SPIRIT」
TEXT:kai

情熱の国スペインから極上のハードロックサウンドが届いた。日本人のリーダー中村淳一とバルセロナ出身の20代の若いメンバーたちで2012年12月にスペインで結成されたバンド、IN A SCAR。結成と同時に月に一度のペースで楽曲を配信し、スペインでは稀なCDの無料配布をライヴ会場で行うなど、精力的な活動が現地でも話題となっている。そんな彼らの2曲入りのシングルCDが2014年1月16日に日本で発売となる。
 
1曲目「Spirits」は哀愁漂う漢のバラード。切ないメロディーラインとKarlの色気のあるヴォーカルに重なるピアノの物悲しい旋律が、メロウな世界観を表現するのに一役買っている。2曲目「Wasteland」、キャッチーでポップなイントロが若いバンドらしく、メタルファン以外へのアプローチも十分なされており、冒頭から無限の可能性を感じさせてくれる。メロディアスな早弾きのツインギターも聴きどころであろう。
 
今回、バルセロナ在住のリーダー中村淳一とコンタクトが取れ、自らの言葉でIN A SCARの音楽について、またスペインの音楽事情を聴くことができた。
 


 

— まず、日本を離れスペインでバンドを結成しようとしたきっかけは何ですか?

中村:きっかけは2009年まで遡ります。当時日本で活動していたメロディックデスメタルのバンドが解散したと同時期に、以前からヨーロッパのライヴで世話になっていたスペインのプロモーターに気分転換に来るように誘われました。その時にヨーロッパ内で活動してみたいと思うようになり、日本からライヴをしに行くのではなく現地で活動することを決めました。
 

— バンド名の意味、由来をお聞かせ下さい。

中村:僕が作る曲ってどうしても暗いものが多く、人の心の傷とかを表現したものが多いので、単純に”scar”(=傷跡)にしたかったのですが、そういう名前のバンドが多いのでこのバンド名にしました。
 

— 今回のシングルは、すでにスペインで発売されているとのことですが、現地での反響、手応えはいかがでしょうか?

中村:かなり良いと思います。スペイン、特にバルセロナでCDをリリースするバンド自体が存在しないので、結成して1年未満でリリースするだけで注目されます。
 

— 今回の楽曲には、それぞれどんな思い、意味が込められていますか?また、レコーディングで苦労されたエピソードやアピールしたいポイントなどありましたらお聞かせください。

中村:1曲目は「バラードを1発目のCDにしたい」と言う意図があり作りました。2曲目は昔から僕を知っている人なら笑ってくれると思います。伝家の宝刀と言いますか…ビートロックが好きですって一曲です。メロデスをやっている時からキャッチーなものが好きだったので、へヴィなリフとビートロックを上手く合わせられたかなと自分では思っております。苦労した点はスペインの音楽環境の悪さです。日本と違い、生活全てを投げ打って音楽に集中する人がいないので。全て文化の違いで片付けられることなのですが、なかなか理解し合うのは難しいです。
 

— バンドのFacebookページに「バルセロナ日本化計画」とありましたが、それはどのようなものですか?

中村:冗談です。嫌味と言うか。本当に環境が悪い国なので「日本人のように働け」と言うメッセージです。けどこの悪環境を悪いことだとは思っていません。少し頑張っただけで、頭一つ抜け出せますから。
 

— そちらで、音楽に本気で向き合うのは、至難の技…なんでしょうか?いろいろご苦労がありますね。

中村:まず人生投げ打って音楽にかける人間がいないですね。その上、スペインという風土が新しいものを受け付けないのです。オリジナルのバンドよりもAC/DCのカバーバンドの方が動員ありますから。なので僕みたいに急に頭角を現しても、良く思わない人間も多いです。もちろん応援してくださる方もいますが。
 

— 日本のリスナーへメッセージをお願いします。

中村:以前のバンドから僕を知ってくれている人も今回知って頂いた人にも、とにかくこういうバンドが存在していることをまず知ってほしいです。そして聴いて欲しいです。そして良い悪い関係無く感想まで持ってくれたら嬉しいです。
 


 
文化や国民性の違いに戸惑いながらも、日本を離れ遠くスペインから音楽の発信源になろうという中村淳一の挑戦。二つの文化と音楽性の融合が生み出すIN A SCARの音楽は、その国の情熱の温度を超え、大和魂が情熱の国を音楽というツールで揺るがしてくれるに違いない。趣の違う二曲の音源に、そんな期待感を持たずにはいられなくなった。今後の大いなる野望に注目したい。
 

 


isc◆リリース情報
IN A SCAR CDシングル「SPIRIT」
<収録曲>
M01. Wastelands
M02. Spirits

 


◆メンバー
Junichi Nakamura –中村淳一(Guitar & Keyboard)
バンドのリーダーであり、メロディメーカーである。98年より上京し音楽活動を開始。幼少より学んだピアノを含んだ楽曲を作成。翌99年よりヴィジュアル系バンドTHE PLASS (現、妃阿甦)のサポートキーボードを、06年からはギタリストとしてサポートをはじめる。それと並行しつつ00年にメロディックデスメタルバンドPLASMA JETを結成して08年まで活動した。活動中にオムニバス1枚を含む6枚のCDを発表し、日本のみならずスランス、スペイン、スウェーデンでのCD発売とライヴツアーを行った。その間にもKENZId.p.s)のソロ活動やFUZZ、Maydayといったバンドのサポート・ギタリストとしても活動した。
 
Karl(Vocal)
25歳、バルセロナ出身。IN A SCAR結成前は、バルセロナ初のヴィジュアル系バンドVIOLENT PACHINKOで6年間ベーシストとして在籍。英語が堪能で80’sメタルを好む。
 
Gun(Guitar)
26歳、Karlと共に一時VIOLENT PACHINKOに在籍。エレキのほかフラメンコ・ギターも担当。DIE EN GREY等のJ-メタルを好む。
 
Alex(Bass)
20歳、バルセロナ出身。日本のヴィジュアル系バンドに影響されベースを弾きはじめた。

 

◆IN A SCAR オフィシャルfacebookページ
http://www.facebook.com/InaSCAR
 


 
 
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