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フジファブリック『GIRLS』
TEXT:鈴木亮介

今年、コンセプトミニアルバム『BOYS』と『GIRLS』をリリースするフジファブリック。6月リリースの『BOYS』に続いて『GIRLS』が10月14日(水)にリリースされた。前作はフジファブリックらしい「叙情性と普遍性と変態性」を昇華させた1枚になっていると感じたが、本作『GIRLS盤』を最初に5曲聴き終えたときにまず感じたのは、その「普遍性」が前作に比べて突出した、という印象だ。
 
潔いまでに、直球だ。「変態性」を敢えて封印して、全体的に懐かしさを帯びた普遍性の追究。男心を描いた『BOYS』に対して『GIRLS』では女心を描くのかと思ったが、そうではなく、”女性に向けたギフト”のような5曲ということをコンセプトにしている。
 
1曲目「夜明け前」と2曲目「Girl! Girl! Girl!」は山内総一郎(Guitar & Vocal)が作詞・作曲。「夜明け前」では前作に続き百田留衣がプロデュースを担当し、山内総一郎の歌声の”温和”と”情熱”をともに引き出している。「Girl! Girl! Girl!」ではCHOKKAKUがプロデュースを担当。フジファブリックの持ち味をよりいっそう軽やかに、爽やかにブラッシュアップしている。
 
さらに、加藤慎一(Bass)と金澤ダイスケ(Keyboard)もいい仕事をする。個性は失わずに、しかしあくまで「普遍的」に徹する。イントロのベースラインがふわっとストールを肩にかけるように優しい、3曲目「キノウ」は加藤慎一が作詞・作曲を担当。シンセの4つ打ちで心躍る4曲目「裸足のバレリーナ」は金澤ダイスケ(Keyboard)が作詞・作曲、さらにはプログラミングやミックスまですべて一人で手がけたという。
 
山内総一郎のウィスパーボイスが光る5曲目「BABY」まで、今作は徹底して「普遍的」が貫かれている。あれこれ奇をてらったり下心をこぼしたりせず、”真冬に誰もが喜ぶブランケットの温もり”を表現することだけにとことん徹しているという意味では、本作はフジファブリックの意欲作という定義づけができよう。
 
国民的バンドとしての、矜持=プライド。今作のヒットを経て、フジファブリックは再び、一段高いステージで、「変態性」「叙情性」を追究してくれるに違いない。
 

 


 
GIRLSt◆リリース情報
ミニアルバム『GIRLS』
・2015年10月14日(水)発売
初回生産限定盤[CD+グッズ] AICL2968-9 ¥2,300(tax out)
通常盤[CD]AICL2970 ¥1,850(tax out)
※【BOYS盤】とのW購入応募ハガキ封入
<収録曲>
M01. 夜明け前
M02. Girl! Girl! Girl!
M03. キノウ 
M04. 裸足のバレリーナ
M05. BABY


GIRLSs
◆ライブ情報
「フジファブリック HALL TOUR 2015 Hello!! BOYS & GIRLS」
・2015年10月25日(日)【東京】日比谷野外大音楽堂
 ※雨天決行・荒天中止
・2015年11月08日(日)【愛知】日本特殊陶業市民会館フォレストホール
・2015年11月15日(日)【石川】金沢市文化ホール
・2015年11月27日(金)【大阪】オリックス劇場
・2015年11月29日(日)【東京】NHKホール

チケット料金:全席指定¥5,400(税込) ※3歳以上チケット必要
一般発売日:9/19(土)

◆「FUJIFABRIC HALL TOUR 2015 SPECIAL SITE」
http://www.fujifabric.com/special/tour2015/

◆フジファブリックオフィシャルサイト
http://www.fujifabric.com/
◆フジファブリック CONCEPT MINI ALBUM「BOYS」&「GIRLS」特設サイト
http://www.fujifabric.com/special/boys_girls/
 


 
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【連載】新譜るLIFEダイアリー フジファブリック『BOYS』
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