連載

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FLOWER FLOWER 『色』
TEXT:金井孝介

都会から戻ってきた主人公が田舎の生活を通して生きる気力を取り戻していく。映画『リトル・フォレスト』は、肩肘張った心をふっとほどいてくれるような、そんな作品だ。『Laundry』、『重力ピエロ』などの作品で知られる森淳一が監督を務め、主演は今最も旬な女優であるといっても過言ではない橋本愛。「夏・秋編」が2014年8月30日、「冬・春編」が2015年2月14日に公開されている。そして、この映画に音楽を添えるのがyui率いるバンド、FLOWER FLOWERだ。『リトル・フォレスト』のために書き下ろした曲を収録したミニアルバム『色』が、2月18日にリリースされた。
 
「しき」と読ませるこのアルバムは、その響きの通り、春夏秋冬ごとに分けられた4曲を収録している。それぞれのイメージに合うようにyuiが紡ぎだした4曲は、全編にわたって優しげに、どことなくしっかりとした決意のあるようなサウンドと言葉を持っている。音楽ファンなら、FLOWER FLOWERyuiがもともと、「CHE.R.RY」などで知られるシンガーソングライターのYUIであることを知っている人も多いだろう。2012年内での活動休止という出来事を経て戻ってきたyuiは、この4曲に復活へのメッセージを込めたのかもしれない。映画のために書き下ろされた楽曲とはいえ、yui自身の思いも感じることができたのは、筆者だけではないはずだ。
 
「春」の歌詞の一節に「こわがっても くやしがっても 今は今しかない 進もう」というのがある。過去は過去でしかない。乗り越えよう、乗り越えようとしなくてもいい。そんな強さを持つ必要はない。ただ、自分の心に身を任せて、行きたい方に進んでいけば、きっと光が見えてくる。『リトル・フォレスト』のテーマにぴったりと沿うような曲に仕上がっている4曲全てが、これまでのYUIへのyuiからのアンサーソングになっているように思える。これまでの集大成であると同時に、これからの始まりを予感させるような、そんなFLOWER FLOWERとしての楽曲が完成したといっても過言ではないと感じる。
 
初回生産限定盤にはそれぞれの季節をつなぐ間奏曲を収録。さらに『リトル・フォレスト』のフッテージを使用したミュージックビデオも収められている。映画『リトル・フォレスト』を鑑賞してから、このアルバムに手をのばすか、はたまたこの楽曲だけをじっくり味わうか。どうするかはリスナーに委ねられているが、きっとFLOWER FLOWERの音楽は、懐深く耳と心に響いてくるはずだ。
 


◆リリース情報
FLOWER FLOWER 『色』
・2015年02月18日(水)発売
初回生産限定盤:¥2,000(税込) SRCL-8738~9
通常盤:¥1,500(税込) SRCL-8740

 


 

◆FLOWER FLOWER オフィシャルサイト
http://www.flowerflower-net.jp/