近年、様々なガールズメタルバンドがシーンに台頭し始めているが、今回紹介するMary’s Bloodもそのバンドの一つであるが、この春メジャーデビューという一つのステップを踏み、そのアピール度を増している。今回はその彼女らのメジャーデビューアルバムとなる新作『Countdown to Evolution』を紹介しよう。
ガールズメタルの中でも音に対して非常に柔軟で、様々な音楽要素を貪欲に吸収し表現する特徴があるが、この作品のリリースで、そのスタイルが一つ決まったようにも見える。もはやガールズメタルという枠はとうの昔に飛び越え、日本のメタルバンドとして堂々と張り合っていけるだけの実力がある、とこのアルバムでは感じられる。
様式的な発想にとらわれがちなメタルという枠の中で、この作品はとにかくバリエーションの幅が広い。アップテンポでキラーな「Marionette」、ワイルドでダーティーな「XOXO」など、メタルファンが喜びそうなナンバーの一方で、「Campanula」のようなキャッチ―でポップなサウンドも、ガールズの主張の一つとも見える「Black★Cat」の怪しい雰囲気など、バリエーションの豊富さも彼女らならでは。様々なサウンド感が堪能できる作品だ。
ボーカリストEYEが歌い上げるメロディが秀逸だ。自己の内面を様々な方向から見つめながら、生きることに対して攻めの姿勢を見せる、そんなポジティブな詞を乗せた彼女のメロディは、凄みを増している。メタルボーカリストの中でも、これまでの作品では割とソフトな声質を感じさせていたが、メタルバンドのボーカリストとしての開眼であろうか、時に男勝りのワイルドさを前面に打ち出し、強さを見せている。オープニングナンバーの「Marionette」の冒頭で見られる一発のシャウトに、その力強さは感じられるだろう。
その対極に、Mary’s Bloodの売りの一つであるSAKIのギターも見逃せない。アルバムという作品の括りの中でこれほどテクニカルでエモーショナルなギターを弾けるガールズもそうはいまい。これまでリリースされた彼女らの作品の中でも、攻撃的な面がこのアルバムでは冴えわたっている。その全てで、メタルファンにはこれ以上ないほどにエキサイティングな音が披露されている。さらにラスト曲「Promised Land」エンディングに見せる仕掛けなど、ニクイまでの演出もきっちり決めるうまさを持っていることにも注目だ。
また、鉄壁の安定感を誇るRIO、MARIのリズム隊も、Mary’s Bloodのサウンドをリッチなものにするために大きな貢献をしていることが感じられる。良い意味でガールズらしからぬ、どっしりとしたボトムを感じさせるリズム、ベースは、サウンドに絶妙なグルーブを与えている。めまぐるしい展開の中、攻めの気持ちを前面に打ち出した彼女らの楽曲群を、このバランスで出せるのは彼女らならではのリズムがあるからに他ならない。
Mary’s Bloodは、既にこのアルバムのタイトルの語句が霞み、不要なくらいに進化が止まらない状態といえよう。どこまで進化し続けるのか?その行く末に、新たなメタルヒーロー、ヒロインを求めるファンたちは、是非注目していただきたい。
Mary’s Blood『Countdown to Evolution』
(初回生産限定版:CD+DVD)
発売中
COZP-952-3/3,500円(税抜)
収録曲:
CD:
M01. Countdown to Evolution
M02. Marionette
M03. XOXO-kiss&hug-
M04. Wings
M05. Campanula
M06. Paranoid Delusion
M07. Coronation Day
M08. I, Lament
M09. Black★Cat
M10. Promised Land
DVD:
「Marionette」MUSIC VIDEO+MAKING
Mary’s Blood『Countdown to Evolution』
(通常版:CD)
発売中
COCP-38676/3,000円(税抜)
収録曲:
M01. Countdown to Evolution
M02. Marionette
M03. XOXO-kiss&hug-
M04. Wings
M05. Campanula
M06. Paranoid Delusion
M07. Coronation Day
M08. I, Lament
M09. Black★Cat
M10. Promised Land