連載

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ユニコーン『イーガジャケジョロ』
TEXT:鈴木亮介

~オッサンがいよいよ本気出してきた!
 ベスト盤以上にベスト・オブ・ユニコーンな珠玉の1枚~

 
ユニコーンの再結成が発表されたのは2009年の元旦。あれから早5年が経過した。当初、多くの歓迎の声に混じって、「個々のメンバーのソロ活動が見られなくなってしまう?」、「同窓会的な再結成になってしまわないか?」など懸念の声があったのは事実だ。しかし、再始動後1枚目のアルバム『シャンブル』(2009年2月リリース)と全国ツアー「蘇える勤労」(2009年3月~5月)で、そうした懸念はいとも簡単に払拭される。1993年9月の解散から16年の時を経て、阿部義晴(現・ABEDON)を新たなリーダーに動き出した彼らは、その後も2011年にアルバム『Z』、ミニアルバム『Z II』と立て続けにリリースし、ファンの期待や想像をはるかに凌駕する秀逸な楽曲を続々と世に送り出す。
 
SF39746ユニコーンとして華々しく活動する傍ら、個々のソロ活動も継続。さらには地球三兄弟奥田民生)、電大川西幸一EBI手島いさむ)といった新たなプロジェクトも始動した。2009年には川西幸一、2013年には手島いさむのそれぞれ生誕50年を祝う日本武道館ワンマン公演を敢行した。
 
落ち着き払うどころか、今なお攻め続けるユニコーン。その勢いに比例するかのように、ファンの期待も膨らむ。ユニコーンという名の大樹があるならば、四方八方に枝分かれする多様な魅力のそれぞれに鳥(=リスナー)が集まり、果実を求めてさえずる。その広がりはいよいよ限界に達したかに思えた2014年正月、ニューアルバムの制作が発表される。そして3月26日(水)、いよいよ全国のCDショップに”期待の結晶”が並ぶ。先に結論から言おう。彼らは期待の限界値を、軽く突破して見せた。今作『イーガジャケジョロ』は、ベスト盤以上にベストな1枚に仕上がっている。
 
何でも「最高」とだけ言うのは安易だ。許される限り詳らかに、その理由を列挙しておきたい。まず1曲目、表題作の「イーガジャケジョロ」。意味不明なようでどことなく広島臭のするこのタイトルは、ユニコーンファンならすぐに誰の作品か分かるだろう。今回、このアルバムタイトルにも象徴されているように、川西幸一の作品が共作も含めて5曲と、これまでのアルバムに比べて数多く収録されている(『Z』、『Z II』はそれぞれ1曲ずつ)。人を食ったような、それでいて出オチにはならない中毒性の高い楽曲は、最年長の元リーダーだからこそ出せる独特の味。8曲目「俺のタクシー」(作詞・作曲とも奥田民生と共作)はコーラスにメンバー個々のパートがあり、「音楽家と政治家と地球と犬」(8thアルバム『SPRINGMAN』収録)のようなノリで楽しい。10曲目「トキメキーノ」は異国情緒漂う甘美なマンドリンのサウンドと、間奏に突如現れるギターノイズとの奇妙な融合。とことんおちゃらけ倒したボーカルが思わず真似して口ずさみたくなる、ユニコーンの新境地だ。
 
そして、ユニコーンファンの中でも「ペケペケ」、「大迷惑」、「おかしな二人」といったコミカルな一面を好むファンにはたまらないのが、2曲目「夢見た男」。再結成以来初めて、「○○な男」シリーズがついに制作されたのだ。それだけでもニヤけてしまうのだが、 聴いてびっくり、EBI作詞・作曲のこの曲、語弊を恐れずに言えば「20代当時のユニコーンメンバーをタイムマシーンで2014年に連れてきて作らせた」ような曲なのだ。バブリーなあの頃の曲のようだけど、古くない。思えば「君達は天使」(3rdアルバム『服部』収録)、「フーガ」(4thアルバム『ケダモノの嵐』収録)などに象徴されるEBIの持つ変態的な才能が爆発する楽曲も、ユニコーンの持ち味の一つだ。とにかく、20年近く待ってました!な1曲だ。
 
「夢見た男」は或いは、「ユニコーンが平成26年のアゲアゲ盛り上げナンバーを作ったらこうなりました」というアレンジを楽しめる点でも奥深い。同様に、奥田民生川西幸一の共作である4曲目「あなたが太陽」は、平成26年のオシャレナンバーをユニコーン流に作ってみました、というタイプの楽曲。「ユニコーンが○○してみた」。流行りのメロをいとも簡単に、それもユニコーン色を巧妙に絡ませつつポンと出してしまうその様は、さらっと匠の仕事をして若手につけ入る隙を与えない、お笑い怪獣・明石家さんまの邦ロック版とも言うべきか。
 
さて、悪ふざけを芸術に昇華した楽曲がユニコーンの翼の片割れなら、もう片方の翼と言えるのが泣きのナンバーだ。ABEDON作品の6曲目「We are All Right」や、手島いさむ作品の12曲目「それだけのこと」など、静かなバラードやシリアスな曲調の曲が本作にもしっかりと揃っている。加えて、音楽家・ABEDONの壮大な世界観が堪能できるのが、アニメ「宇宙兄弟」の主題歌となり2012年6月に先行シングルとしてリリースされた「Feel So Moon」だ。今作『イーガジャケジョロ』のリリースに先立ち、ABEDONのソロアルバム『BLACK AND WHITE』が3月6日に発売されている。ユニコーンでのABEDONナンバーとはまた違ったテイストをソロアルバムで既に堪能しているファンも多いと思うが、今のABEDONの仕事は間違いなくわが国の音楽シーンの50年後、100年後に残る金字塔を打ち立てている。間違いない。
 
まだまだ語り尽くせないほどの魅力が詰まった『イーガジャケジョロ』だが、最後に一つ。やはり何と言ってもユニコーンは日本を代表するロックバンドだ。奥田民生のギターロックが冴えわたる5曲目「早口カレー」や13曲目「鳥の宅急便」、奥田民生が作詞・作曲を手がけ力強いボーカルで聴かせる9曲目「ユトリDEATH」、ABEDONの3曲目「Boys & Girls」はロックなユニコーンを渇望するファンをしっかりと納得させる仕上がりになっている。
 
そして、ABEDON作品の7曲目「KEEP ON ROCK’N ROLL」。この音と詩とタイトルが、2014年・再始動6年目を迎えたユニコーンの方向性を明確に指し示している。
 
「歌えて、踊れて、笑えて、しんみりできて、感動する」アルバム。それでもダイジェスト盤のような軽さもなければ、詰め込み感もなく食傷気味には決してならない。繰り返すが、これはベスト盤以上にベストな1枚だ。
 



◆リリース情報
ユニコーン ニューアルバム『イーガジャケジョロ』

リリース日:2014年3月26日(水)
通常盤(CD) KSCL 2395 ¥3,000+tax
初回生産限定盤(CD+DVD) KSCL 2393~2394 ¥3,600+tax
セブン&アイ盤(CD+エクストラCD) KSC7 11~12 ¥3,250+tax

アナログ盤(完全生産限定/2014年04月30日発売) KSJL 6171~6172 ¥3,500+tax

<収録曲>
M01. イーガジャケジョロ
M02. 夢見た男
M03. Boys & Girls
M04. あなたが太陽
M05. 早口カレー
M06. We are All Right
M07. KEEP ON ROCK’N ROLL
M08. 俺のタクシー
M09. ユトリDEATH
M10. トキメキーノ
M11. お前BABY
M12. それだけのこと
M13. 鳥の特急便
M14. Feel So Moon

【初回生産限定盤DVD】
MOVIE27
「冬季ゴニンピック ~13/14秋冬シーズンを観測、笑いの祭典~」
「Feel So Moon」 Music Clip 収録

【セブン&アイ盤エクストラCD】
「はいYES!」収録


◆ユニコーンツアー情報
『ユニコーンツアー 2014 イーガジャケジョロ』
・2014年03月29日(土) 【千 葉】市原市市民会館
・2014年04月01日(火)【福 井】フェニックス・プラザ
・2014年04月02日(水)【富 山】オーバード・ホール
・2014年04月07日(月)【静 岡】アクトシティ浜松
・2014年04月08日(火)【愛 知】名古屋センチュリーホール
・2014年04月11日(金)【埼 玉】さいたま市文化センター
・2014年04月12日(土)【埼 玉】さいたま市文化センター
・2014年04月23日(水)【福 島】郡山市民文化センター
・2014年04月24日(木)【宮 城】仙台サンプラザホール
・2014年04月26日(土) 【北海道】札幌市民ホール
・2014年04月27日(日) 【北海道】札幌市民ホール
・2014年05月07日(水)【東 京】東京国際フォーラム ホールA
・2014年05月08日(木)【東 京】東京国際フォーラム ホールA
・2014年05月12日(月)【神奈川】よこすか芸術劇場
・2014年05月13日(火)【神奈川】よこすか芸術劇場
・2014年05月19日(月) 【大 阪】大阪フェスティバルホール
・2014年05月20日(火) 【大 阪】大阪フェスティバルホール
・2014年05月23日(金)【兵 庫】神戸国際会館こくさいホール
・2014年05月24日(土)【兵 庫】神戸国際会館こくさいホール
・2014年05月26日(月)【福 岡】サンパレス
・2014年05月27日(火)【福 岡】サンパレス
・2014年05月29日(木)【広 島】広島文化学園HBGホール
・2014年05月30日(金)【広 島】広島文化学園HBGホール
・2014年06月04日(水)【山 形】やまぎんホール(山形県県民会館)
・2014年06月05日(木)【山 形】やまぎんホール(山形県県民会館)

◆ユニコーン オフィシャルサイト
http://www.unicorn.jp/


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【レポート】奥田民生 2013ツアー“SPICE BOYS”
http://www.beeast69.com/report/92358
【連載】新譜るLIFEダイアリー 奥田民生『O.T. Come Home』
http://www.beeast69.com/serial/simple/90909
【連載】新譜るLIFEダイアリー 奥田民生「風は西から」
http://www.beeast69.com/serial/simple/83158


 
 
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