連載

ロックライフソリューション

TEXT:桜坂秋太郎

ロックな生き様を紹介する「ロックライフソリューション」。第6回はMichael Schenkerマイケルシェンカー)トリビュート界で有名な“マーマーイケル”こと安立直史氏にお話をうかがいたいと思います。ここ数年、大人のトリビュートバンドが活発になっています。単なるコピーバンドの枠を超え、長年に渡るリスペクトを表現したトリビュートバンドは、大人ならではの本格派が多いのも特徴です。

有名な海外のアーティストであれば、複数のトリビュートバンドが日本で活動しています。単発のLIVEをやるのではなく、定期的にステージをこなし、アーティストのファンと一体になって盛り上がる傾向があります。そうした中、トリビュート界で活躍するギターヒーローの声を聞いてみたいと思います!取材は、お仕事が終わった後の遅い時間にスタートです。

 


安立 “マーマーイケル” 直史 プロフィール

1967年埼玉県生まれ。Michael Schenkerのプレイといえばこの人と言われるほど、トリビュートバンド界で有名なギタリスト。ハードロックからフュージョンなどオールマイティなスタイルのプロ志向のギタリスト生活を経て、電気工事関係の仕事に従事。現在はMichael Schenkerのトリビュートバンドで定期的な活動をしている。

— お仕事帰りの取材対応ありがとうございます。お住まいはどちらですか?

安立:埼玉の所沢です。仕事では色々な現場を回っています。この商売は手が真っ黒になるのです。今日も実は結構洗ってきたのですが(笑)、それでもこうして汚れが本当に取れないですね。

— 具体的にはどのようなお仕事ですか?

安立:一言で言えば、電気工事、設備関係をやっています。現場仕事なので朝早くからの仕事です。

— 手が汚れないように、手袋はしないのですか?

安立:手の感覚が大切なので、手袋はしないですね。汚れても素手でやります(笑)。

— 今のお仕事をされる前は何を?

安立:アルバイトをしながら、渡辺香津美さんのボーヤ(ローディ)を2年くらいやっていました。

— プロ志向だったわけですね。

安立:大学時代にプロになりたいと思いました。当時はバンドではなく、個人で弾いていたのですが。プロ志向だったので、大学を卒業した時点で、就職しませんでした(笑)。大学にはそんなの(プロミュージシャン)は、絶対無理だと言われましたが。

— そんなこと言うのですか。

安立:たぶん就職率を下げたくないからだと思います(笑)。

— ロックギタリストを目指していた感じですか?

安立:その頃は、ロックだけというより、もっとオールマイティな感じで考えていました。オールマイティなギタリストになりたかったです。

— ボーヤ時代のエピソードをいくつか教えてください。

安立:そうですね。『キロワット』っていうアルバムのメンバーでツアーしている頃始めたのですが、ドラムの音のデカさパワーに驚きましたね。シンバルがバシー!!ってね。で、ベースのローディーって事でついて来たのがカイル・イーストウッド…って、クリント・イーストウッドの息子だって(笑)。メンバーたちがここで一番なのは彼だね、って笑い話していたのが印象的でした。あとは、神戸のチキンジョージでライヴの後に打ち上げで散々飲まされて…。泊まったホテルがウォーターベッドだったので、ここで寝れるんだなって喜んでいたのに、気がついたら床に倒れていて(笑)。早朝から二日酔いで、車を取りに行く途中、ソルマックを歩いているとき飲んだら気持ち悪くなって水もなくって…あれは最悪でしたね。

— では、プロギタリストをあきらめたキッカケを教えてください。

安立:一般的な話ですが、音楽では食べられないのでアルバイトをやりますよね。その中に電気屋さんがありました。コンセントの工事とか。その電気屋さんが面白い人で、業界に入ってしまった感じです。

— 本気でギターをやっていたことが、今の仕事に影響していることはありますか?

安立:仕事には特に影響はないのですが…。今もライヴやったりしているので、髪を長くしていまして、それが邪魔な時がありますね。床とかにくっ付いてしまうとか。他の業者の方からは覚えられやすくっていいのですが(笑)。

— 今は独立されているのですか?

安立:10年くらい務めて、それから独立しました。

— ギターをスッパリと辞めて…はいないのですよね?

安立:ライヴとかではなく、街のギターが弾ける飲み屋などで弾いていました。音楽理論とかそういうのをすべて捨てて、自分が好きな物だけを弾こうと思ったら、昔より演奏は良くなりましたね(笑)。

— 好きな物というのが、Michael Schenkerというわけですね。

安立:そうですね。そこからMichael Schenkerに特化して弾くようになりました。ここ数年は特にMichael Schenkerだけですね。

— ハンドルネームが“マーマーイケル”なのは、どうしてですか?

安立:そのまんまです(笑)。「マイケル」ではないけど、マーマー、イケる?感じです(笑)。

— ギターを始めた頃のことを教えてください。

安立:ギターを始めたのはフォークソング時代です。70年代です。当時流行っていた曲を弾いていました。でも割とすぐにエレキに転向した方です。

— エレキでの思い出、何か印象深いことはありますか?

安立:Michael Schenkerとの出会いみたいな話をしましょうか(笑)。高校の文化祭で、友達が「Armed And Ready」を弾いていたのです。そこでショックを受けました。

— 文化祭では見る側だったのですか?

安立:いえ、僕も出ていました。でも僕はSouthern All Starsか何かを弾いていました。当時はその友達が、無茶苦茶上手に思えて、本当に悔しかったことを覚えています。今思うと、それほどでもなかったはずです(笑)。

— ハードロックへの道は、その事件がキッカケなのですね。

安立:はい。そこからハードロックへ。あとは高中正義が好きで、平行してフュージョン系にもハマりました。

— お話を聞いていると、Michael Schenker一筋ではないですね(笑)

安立:そうですね。色々とやってみた結果、Michael Schenkerが今は一番しっくりきます。寄り道はするけど、結局最初の衝動に戻ってくるような感じですね。

— 今お持ちのギターは全部フライングVですか?

安立:多くはそうですね。DEANのVが1本、GibsonのVが1本。あ、Gibsonは黒いVと81年のヴィンテージなVもあります。その他はOvationです。

— ギタリストの活動はどのような場所ですか?

安立:『マイケル祭』というイベントがあって、それによく出ています。ライヴとしては年4回くらいです。今までやっていたバンドが解散したので、今年は僕が主体で新バンドをやろうかなと思っています(笑)。

— 仕事のストレスはギターで解消されるものでしょうか?

安立:ストレスってあまりないのですが、次のライヴとか決まってきて、色々考えることが楽しみの一つではありますね。仕事が早く終わりそうだから楽器屋に寄ってあれ買って…とか。気分転換できるのは良いことだと思います。

— ギターは毎日弾いていますか?

安立:あえて毎日弾くようにしています。車にも小さいギターを載せていますし(笑)、日々少しでも弾くように意識しています。

インタビュー終了後、「僕らの世代、40代50代がもっと音楽を楽しまないといけないよね」と語る姿に、元バンドマンの私も、このままではいけないな…と思う瞬間がありました。若い頃とは違い、紆余曲折を経た今だからこそ楽しむスタイル。それもトリビュートバンドの一つの形なのだと思います。

朝が早いという仕事の帰り時間を聞いてみると、早くても帰るのは19時くらいとのこと。長い時間現場で働くというのは大変なことです。そして話題は中学1年のお子さんへ。何でも小学校の卒業時で、身長が165cmあり、イマドキの子供は成長すごい!という話から、もう少し子供とも遊んであげないといけないな…という、お父さんの顔も見せてくれます。

最後に、お父さんがこれだけギターを弾いているので、お子さんの楽器への興味を聞いてみると、「子供はまったく楽器に興味ないですね(笑)絵ばかり描いています」という回答。家で流れるロックの曲は知っていても、興味は特にないということのようです。しかし、お子さんが高校生くらいになり、文化祭でショックを受け、お父さんと同じ道を歩む可能性は否定できないかも?しれません!

Flying God伝説 第四章 通称マイケル祭り
◆日程:2012年8月5日(日)
◆時間:OPEN 17:00(予定) STRAT 17:30(予定)
◆場所:高円寺High(http://www.koenji-high.com/)
◆料金:前売り予約2500円・当日3000円共にドリンク別
◆出演:KSG・Team Crybabay・マーマーイケル&Captainネ申・SMG
◆共催:◇BAR CRYBABY http://www.bar-crybaby.com/
    ◇alternative http://www.sonic-groove.com/index.html
    ◇IHush Guitars http://ihush-guitars.com/
    ◇DEAN (株)クロサワ楽器

<取材協力> bar CRY BABY
所在地:東京都中野区中野5-50-10
営業時間:19:30~
電話:03-3387-8140
定休日:月曜(不定休有り)

公式サイト:http://www.bar-crybaby.com/
東京都中野区中野5丁目50−10




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