連載

ロック1年生 エントリーNo.2

2009年7月20日 TEXT & PHOTO:鈴木亮介

アニメ化もされた漫画「けいおん!」の人気で、今、ガールズバンドへの注目が高まっています。アニメに感化されて初めて楽器を手に取ったという学生も多いようです。高校や大学の「軽音部」と言うと、男くさい印象が強い!という人もいるかもしれませんが、女の子のバンドも数多くあり、男子学生のバンドとはまた違ったスタイル、魅力があるのです。

Photoそこで今回は、神奈川・横浜で活動する4人組ガールズバンドanimalPark(アニマルパーク)の皆さんに話を伺いました。

新横浜から地下鉄で3駅。横浜市都筑区の「新栄高校」を訪ねると、リーダーの本田恵美(Guitar)さんと小佐野夏実(Drums)さんが迎えに来てくれました。
「まさか自分たちが取材を受けると思っていなかったので、今日まで半信半疑だった」と語る本田恵美さんは1992年(平成4年)2月9日生まれの17歳。現在高校3年生です。

案内された学校の視聴覚室では、井上美和子(Bass)さん、そして奥山舞(Vocal)さんが既に練習をしていました。一週間後に迫ったライブに向けて、演奏にも熱が入ります。
animalParkは「横浜新栄高校」の同級生で結成されたバンドで、小佐野夏実さん、井上美和子さん、奥山舞さんも3年生です。通しで演奏を聴かせていただいた後、話を聞きました。

—バンドを結成したきっかけを教えてください。

Photo本田:1年生の時に私と小佐野で結成しました。メンバーの入れ替わりなどもあり、井上がベースで参加。その後、ボーカルがいなくてどうしよう、ということになり、小佐野が奥山を誘って入ってもらいました。
それが去年の12月のことです。

—なるほど。このメンバーで初めて半年ほどということですね。では、皆さんが音楽を始めた年齢と、そのきっかけを教えてください。

本田:ギターを手にしたのは高校からです。それまで楽器との縁はまるでなく、学校のリコーダーくらいしかやっていませんでした。
ギターに興味を持ったのは中2の時です。友達がアコギを持っていて、当時私が好きだったオレンジレンジの「以心電信」を弾いていました。
その時、「同じ歳なのにこんなにも違うのか」と衝撃を受け、高校に入ったら自分も絶対にやろうと思いました。バンド部がある高校を探して、新栄高校を選びました。

Photo小佐野:私も中学の時にオレンジレンジがすごく好きで、音楽に興味を持ちました。
自分も実際にバンドをやってみたいと思って、高1からバンド部に入ってドラムを始めました。ドラムを選んだのは、バンドの中で一番目立っていて、かっこいいと思ったからです。

井上:私は小2からピアノをやっていました。中学生でやめた後は何もしていませんでしたが、ちゃちゃ(※小佐野さん)に誘われて、バンドを始めました。
ベースを選んだのは、3つ上の兄が中学からバンドをやっていて、ベースをやっていたので、ベースだったら兄に借りてできるなと思って始めました。

奥山:音楽を始めたのは小6の時です。親戚に津軽三味線を教えてもらっていました。

一同:シブい!!

Photo奥山:でも、なかなか時間が合わずに、どの曲も途中までしか弾けずに終わってしまいました。
その後、中2の時にバンドを始めましたが、中学卒業と同時に解散。
しばらく音楽から離れていましたが、ちゃちゃさん(※小佐野さん)からボーカルをやってくれと頼まれて、animalParkに入りました。

—中学の時は、なぜバンドをやろうと思ったのですか?

奥山:先輩たちのやっていたバンドがかっこよかったので、「うちらもやってみよう」と結成しました。

—ところで、皆さんのご両親はバンドブームの世代にあたると思います。皆さんがバンドをやっていることに対しては、どんな反応がありましたか?

Photo本田:父(54歳)も高校生の頃にバンドをやっていたそうです。
指が届かなくてやめた…と。で、最初は「すぐ飽きるだろう」と思っていたようで、入門セットを買ってくれました。

—でも、どんどんその魅力にハマっていった、と。

本田:それで、「本気で、立派なギターでやりたいなら、自分で買え」と言われて。今使っているギター、9万円ですよ(笑)
その後、ライブとかもちょくちょくやっていたら、最近「すごいじゃん」と認めてくれました。

井上:私の両親(母47歳・父48歳)も、「すごいね〜」と言ってくれました。また、兄からはベースをたまに教えてもらったりします。

—音楽に関して、親の影響というのはありますか?

奥山:うちは両親(母40歳・父41歳)、特に母がエックス(X JAPAN)好きで、胎教でエックスを聴いていました(笑)
そのせいか、私もエックスとか尾崎豊とか、横浜銀蠅とかは結構歌います。

—これまでのバンドの活動について教えてください。

Photo本田:昨年12月に結成してから、これまで4回ライブを行ってきました。

奥山:初ライブは新栄高校の先輩の卒業ライブとして今年3月にやったのですが、完成度は低く、MCも考えてなくて、グダグダでした。
でも、4月前半のライブでは、みんなが盛り上がってくれて、楽しくできました。

—やる楽曲はどのように決めていますか?

小佐野:そうですね。ノリの良さと、あとは自分たちができるかという技術面とで決めています。

本田:私がやりたい!というのを、結構おしたり・・・

小佐野:あとは、他のバンドがやりそうにない曲を選びます。演目がかぶってしまうと困るので・・・

animalParkの売りは何ですか?

本田:実は、新栄高校には同じ学年にもう1つのガールズバンドがいるのですが、勝手にライバル意識を持っています。
あきらめない!ということと、根気強さがうちらの良さだと思っています。

—ありがとうございます。皆さんは現在高校3年生で、進路についても色々と考えている時期だと思います。最後に、皆さんの今後の目標を教えてください。

Photo本田:音楽は絶対に今後も続けていきたいです。進学を考えていて、大学に入ったらフランスに留学して、日本で活かせる仕事がしたいです。
翻訳に興味を持っていて、戸田奈津子さんのフランス版みたいな仕事ができたらと考えています。「他の国の言葉を自分の言葉で伝える」ことって素敵ですよね。
周りからは難しいとは言われましたたが、できるところまでやってみたいです。

小佐野:音楽はできるのであれば続けていきたいし、音楽関係の道も考えました。
例えば、私はオレンジレンジが好きなのですが、ドラマーが抜けちゃったから私が叩いてみようかな、とか。そうでなくてもマネージャーとか、役に立つことがしたいと思いました。
それも遠回りしながら目指すとして、今は自分が見つけた場所で頑張りながら、いずれ音楽の道に進もうかなと思っています。

井上:私は看護士になりたいので、専門学校に入り、その道を突き進んでいきたいと思っています。
看護の勉強もしつつ、ベースやピアノも続けられたらなと思います。

奥山:私は就職希望ですが、まだ「特にこれがやりたい!将来こうなりたい!」というものが見つかっていません。
音楽については卒業まで全力で楽しんで、今後もやれる機会があれば携わりたいです。

—最後に一言!

奥山:私はanimalParkを、やっている自分たちはもちろんのこと、お客さんも楽しませるバンドにしたいです。
自分たちが楽しいだけでなく、他のバンドも、来てくれたお客さんも楽しんで、満足して帰ってもらえるバンドになりたいです。

本田:バンドって・・・こんな楽しいことって他にないですよね。
高校でバンドを始めた時に、こんな楽しいのになんでみんなバンド部に入らないのだろ、って思いました。animalParkとしては、他のうまいバンドに近づけるようになりたいです。
7月のライブが終わった後は、10月に文化祭と来年3月の卒業ライブで最後になりますが、もしできるなら他にもう1本ライブがやりたいです。

Photoインタビューから1週間を経た7月24日(金)の夜、横浜・関内の「CLUB24WEST」にて、彼女たちが主催する企画ライブ『”animalPark企画”この水はスープにも使用しています』が行われました。

多くのバンドが熱演し、熱気に包まれる中、animalParkは満を持してトリに登場。まずは本田恵美さん、小佐野夏実さんを音楽の世界に導いたオレンジレンジの「以心電信」で盛り上げ、メンバー紹介。
出だしからボーカル・奥山舞さんの明るさが光ります。続いて「Re:Re:」と「リライト」、アジカンが2曲続きます。「Re:Re:」では本田恵美さんのリフが強く刻まれ、
「リライト」では井上美和子さんの奏でる低音が心地よく響き渡ります。4曲目はポルノグラフィティの「メリッサ」、5曲目は木村カエラの「TREE CLIMBERS」。
5曲目にして初めて女性アーティストの楽曲が披露されますが、ここでは小佐野夏実さんが力強くビートを刻んでいくのが印象的でした。
偶然か必然か、1曲ずつメンバーそれぞれの見せ場が用意されていたように感じました。
そして最後は、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のテーマ曲でおなじみ高橋洋子の「残酷な天使のテーゼ」で、会場のボルテージは最高潮に。
あっという間にエンディングを迎えました。「楽しむこと」を妥協しない、そんな彼女たちの活動を今後も応援していきたいと思いました。

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★animalParkの今後の活動予定

10月31日(土) 新栄高校文化祭「翌檜祭」

詳細はanimalParkホームページにて
※mixiにも「animalPark」でコミュニティあります。

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★取材協力
神奈川県立 新栄高等学校
http://www.shinei-h.pen-kanagawa.ed.jp/

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CLUB24WEST
http://www.club24west.com/