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※この記事は取材した2013年のアーカイブです。最新情報ではありません。

セレクション23(熊本)「KENLENNON」 河野健(代表)/木野文彦(店長)
TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎

大人気連載「ロック酒場探訪記」。第23回目は九州の熊本からご紹介したいと思います!久しぶりに熊本空港に降り立ち、そのまま熊本の繁華街へとバスに揺られます。目指すは総合ディスカウントストアのドン・キホーテ!ではなく、ドン・キホーテの前にあるロックバー「KENLENNON」。

目印が目印だけに、迷うことなくお店が入ったビルへ到着。3Fの扉を開いて「KENLENNON」へ入店してみましょう。どことなくブリティッシュテイストなイメージです。もちろん、お店の名前からJohn Lennonは想像していましたが、The Beatlesの香りが漂う素敵な空間です。

今回は河野健代表と木野文彦店長のお二人にお話をうかがいたいと思います。お二人ともすごくオシャレな方で、ヨレヨレファッションの自分がとても恥ずかしい感じがします。実に紳士的でスマートなお二人から、いったいどのようなお話を聞くことができるか楽しみです。では早速インタビューを始めてみましょう。

000河野健代表/木野文彦店長プロフィール

河野代表:熊本県出身。1977年から約30年間、輸入&中古盤を主にしたレコード店を経営後、KENLENNONを開店。ロック喫茶〜ロック居酒屋〜ロックバーとその形態を変えて今に至る。
木野店長:熊本県出身。中学校の頃から河野代表のレコード店に通い、膨大な数の洋楽に触れる。IT関係の社長業をしていたが、KENLENNONがロックバーになる時に転職。


001— 聞くまでもない話ですが、KENLENNONという店名の由来を教えてください。

河野:僕がJohn Lennonが好きで、自分の名前のKENと合わせた感じです。The Beatlesが本当に大好きですね。

— お店は演奏できるようになっていますが、お客さんも演奏が目的の方が多いですか?

河野:本当はロックバーなんで聴く人をメインに考えていたのですが(笑)、実際は演奏する人が多いですね。特に常連さんは。世代的には40〜50代が中心です。中には女子大生など若い人もいます。着座で50名は入るので、イベントもよくやっています。

— The Beatlesのナンバーをプレイする感じですか?

河野:自分がThe Beatlesが好きなんで、The Beatlesのイベントをよくやってきましたが、週末にはグループサウンズなどもあるし、割と色々やっています。

002— なるほど。お客さんはギタリストが多い感じでしょうか。

河野:ギタリストもいますが、歌いたいという人が多いですね。僕はギターを弾きますし、木野店長はドラムをやるので、だいたいセッションできる感じになっています。

— お二人がハウスバンドメンバーみたいな感じですね。

河野:そうですね。僕らはThe Beatlesのカヴァーバンドもやっています。あと今レコーディング中のオリジナルをやるバンドもやっています。

— 河野代表は開店前は何をされていたのですか?

河野:僕は以前、東京でデザインの仕事していたんです。7,8年は東京にいたと思います。元々は生まれてから高校まで熊本です。その後に福岡へ行って、東京へ行って。1977年に熊本に帰ってきて、レコード店を始めました。約30年やっていましたね。輸入盤と中古盤でが中心で、マニアックな店でした(笑)。レコード祭などで呼ばれて、90年代までは大阪へもよく行ってました。

004— 30年もマニアックなレコード店をされていたとは驚きです。

河野:2000年くらいまで結構繁盛していました。スタッフも10人くらいいて。大手ではないので、個人経営の店としては盛況な方だったと思います。ミュージシャンのお客さんも多くて、よく「●●のアナログ盤を探しているんだけど」なんて言って来ていましたね。

— その後、レコード店を閉めてロックバーでしょうか。

河野:いえ、そのレコード店はまだあります。若い人に譲りました。僕も朝から晩まで輸入盤のチェックをしたり、紹介カードを書いたり、そんなことを30年やっていたわけですが、けして嫌いな仕事では無かったです。でも別の事がしたくなってカフェを始めました。

003— カフェですか?

河野:KENLENNONって名前でロックカフェを開いたんですが、それがやたら閑静な住宅街で始めたもんで、近所から「うるさい!」って言われて(笑)。結局半年くらいでそこを出まして、居酒屋を始めました。ロック居酒屋のスタイルで3年くらいやっていたと思います。

— ロックカフェからロック居酒屋へ。そこからまたロックバーへと流れるわけですね。

河野:そうです。ロック居酒屋の時からThe Beatlesのイベントもスタートしています。そこもそんなに大きな音は出せなくて、アコースティックのちょっとしたイベントですけど。

— The Beatlesのカヴァーバンドはその頃から始めたのですか?

河野:当時お客として来ていた木野店長をヴォーカルにして組みました。まぁ、彼はレコード屋時代の上客ですし、古くからの関係です(笑)

005— 大きな音が出せないということで、今のお店に移転する感じでしょうか。

河野:ココは以前オールディーズの店で、ライブもバンバンやっていたし、音の問題が無かったので決めました。移転する中で、ロックカフェKENLENNON、ロック居酒屋KENLENNON、ロックバーKENLENNONと変わりましたが、コンセプトは一貫しています。

— 木野店長は元々バンドをされていたのですか?

木野:いえ、まったく(笑)。誘われた時に何もできないので、ヴォーカルで参加しました。その後、ドラマーが居ない時にちょっと叩いていたら、結構できるようになってしまい(笑)、今はドラムもやっています。

— それまた凄い話ですね。

木野:それまでは、ひたすらリスナーで聴く専門でした。歌ったこともないし、演奏もしたことがないけど、曲は結構知っているので、始めたら割とすんなりできました。

河野:ドラムも毎日4年近く叩いているから上達が半端じゃないです。普通ドラムやるって言っても、週に1回とか2回ちょっと叩く程度だと思いますが、彼は店で毎晩やっていますからあっという間に上手くなりましたね。歌も同じで、今はLed Zeppelinのカヴァーバンドもやっているくらいです。

— 未経験から短期間でRobert Plantとは驚きです。お店のお客さんはブリティッシュ系が好きな方が多そうですね。

河野:基本はブリティッシュが多いですね。年代では1960〜70年代中盤な感じです。普段なかなかライブハウスへ行かれない人にも、KENLENNONで生の演奏を楽しんでもらっています

006— レコードやCDが数多くありますが、演奏以外に音のリクエストなどはありますか?。

河野:リクエストがあればもちろんかけています。The Beatles以外にもフレンチポップスや映画音楽までそろえてあるので。

— お店は何時までやっていますか?

河野:夜中3時まではやっています。お客さんはそれをだいたい知っているので、2時頃に帰る人が多いですね。お互いに知らないお客さん同士も、音を出して盛り上がるので、週末なんかはもう少し遅くまでやるケースもあります。

— 良く出るメニューを教えてください。

河野:バーボンやウイスキーが多いですね。焼酎は少し置いてますけど、あまり出ないです。つまみは軽い物だけの用意です。

007— 見渡すと、機材やレコード類がたくさんありますね。

河野:機材はだんだんと増えました(笑)。中にはお客さんの楽器なんかもありますけど。CDとレコードはざっと1万弱はありますね。自分がレコード屋だったこともあるし、マニアだから海外に行って探して来た物もあります。

— それにしてもお二人は不思議な縁というか、関係ですね。

河野:僕が1977年にレコード店を開いた頃は、彼は中学生で、本当に熱心に店に来ていたのを覚えています。それからレコードからCDに変わる時代に、持っているアイテムを全部CDに切り替えてくれまして。本当にいいお客さんだったなぁと(笑)。今こうやって一緒にいるのも縁なんでしょうね。

— では最後に、アピールを一言お願いします。

河野:熊本にいらしたら、ぜひ遊びに来てください。音楽談義するもよし、セッションするもよし、楽しんでもらえると思います。

河野代表のお話は大変面白く、会話のリズムが弾みます。木野店長は自分の会社を投げ打って、ロックバーKENLENNONへ来たと言う話がインパクト大です。簡単な話ではないはずなので、もう少し聞いてみると「やはり音楽に携わった仕事がしたくなって。契約関係とかは整理に1年かけてやりました」とのこと。

木野店長はかつて年回100枚ペースで、レコード・CDを買っていたようで、それは何と中高大学時代から、30歳過ぎるまで続いたようです。今でも買いますか?という質問には、「今でも結構買っていますね。今は戦前のブルースやジャズを買うことが多いです」という驚きの回答。

インタビューを終えた後、しばし歓談。ロックバーKENLENNONの印象は、オシャレな空間と感じましたが、インタビューを終えてみると、それが居心地の良い空間に変わっていました。河野代表と木野店長の人柄に惹かれている私がいます。近所の方はもちろん、遠方の方も仕事や観光で熊本へ行った際には、KENLENNONへ足を運んでみてください。行って良かった!と思う酒場です。

ROCK BAR KENLENNON

営業:20時~03時
定休:日曜日・祝日
住所:〒530-0003 
   熊本県熊本市花畑町13-13 米納会館3F
TEL:096-354-9401

公式サイト:http://www15.plala.or.jp/kenlennon/index.html

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熊本県熊本市中央区花畑町13−13



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