連載

※この記事は取材した2013年のアーカイブです。最新情報ではありません。

セレクション22(大阪)「bar ROE」 遠藤 千亜紀 オーナー
TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎

大人気連載「ロック酒場探訪記」。取材先や取引先へ行くと「酒場の連載を楽しみにしている!」という声を多く頂きます。単なるお店紹介ではなく、実際にそこに居る人の顔を通じて、よりリアルにお店を感じてもらえる工夫が、人気のポイントのようです。さて今回は大阪の北新地にある「ROE」をご紹介しましょう!

大阪のキタを代表する繁華街にある「ROE」は、飲食店が入るビルの3階にあります。大阪には何度も取材に来ている私ですが、キタの繁華街に足を運ぶことは少ないので、少し緊張しながら現地へ向かいます。まだ陽がある時間帯の取材なので、夜の街もすごく静かです。

ビルの外から「ROE」の看板を確認して、階段を3Fまで上がります。踊り場にロックサウンドが聴こえてきます。いったいどのようなお店なのでしょうか。前回に続いて今回も女性オーナーの登場となります!挨拶を済ませ、さっそくインタビューを始めたいと思います!

遠藤 千亜紀 オーナー プロフィール

大阪に生まれ育ち、CDショップのスタッフからロックバーオーナーに転身。酒場を愛し、大好きな音楽を聞けるロックバーを2006年3月に開店。大阪のキタ(新地)にて、特にカテゴリー分けすることもなく、店内では幅広いロックを流している。開店前から複数のロックバーを行きつけにしており、他店のオーナーとも親しい。若い女性一人で切り盛りするロックバーとして、大阪以外からの来店も多い。


— お店をオープンされたのはいつ頃ですか?

遠藤:2006年の3月です。今度の3月でオープンからちょうど7年になります。

— お店をやろう!と思ったキッカケを教えてください。

遠藤:ロックバーという物を知って、すごくカッコいいなと思ったんです。今まで色々なロックバーへ遊びに行きましたけど、お店を始めるまでは普通にお客さんとして頻繁に飲みに行っていました。

— お店を始める前は何をされていました?

遠藤:ずっとCDショップで働いていました。CDショップの職場仲間がロックバーを知っていて、連れて行ってもらったのが最初ですね。その時行ったロックバーが私のロックバー原点みたいな感じです。実はその連れて行ってくれた方も、今ミナミのロックバーで働いています(笑)

— CDショップ勤務から、いきなりロックバー経営というのもすごいですね。

遠藤:私は元々飲食店で働いた経験もあったので、ロックバーをやることに特に抵抗は無かったです。それに最初はパートナーがいて、その子と一緒にスタートしたというのもあります。ただその子はオープンからちょっとして辞めてしまいました。

— そうなんですね。急にお一人で経営となると心細いような気がしますが。

遠藤:私はあまり考え込まないタイプなので(笑)、まぁなるようになるやろ!って感じでした(笑)。実際何とかなって今に至ります。

— キタのエリアでお店をオープンしようと思った理由を教えてください。

遠藤:地元がキタの方なので、キタが馴染み深かった感じです。もちろんミナミにも頻繁に遊びには行きますが(笑)

— 物件探しなどはスムーズでした?

遠藤:この新地ってエリアは、東京で言えば銀座みたいなところだから、当初は候補にしていませんでした。キタで良い場所がなかなか無くて、あきらめかけていた時に、ココの話が舞い込んできて。新地に物件が余っているよって言うから(笑)観て決めました。今ではココで良かったと思います。

— 新地でロックバーというのは珍しいですよね。

遠藤:はい。お客さんにも新地で珍しいねってよく言われますけど、何だかんだ言って人がすごく集まるエリアだから本当に良かったです。

— お店を作る時に何かイメージはありましたか?

遠藤:ありません(笑)。若かったし、勢いでロックバーを始めてしまったので、イメージ的にどうのって考えは無かったですね。単に自分の好きな音楽をかけて、飲んでもらって、楽しくできたらいいなって。

— お店の客層を教えてください。

遠藤:年齢で言うと、場所が新地だから年配の方が多いですね。あ、でも若い人も来てくれるし、意外とバラバラですね(笑)。中心は30代じゃないかと思います。

— お店の宣伝方法はネットですか?

遠藤:はい、ネットですね。オープンしてすぐにホームページも作ったし。mixiなどでもコミュニティを作りました。

— ロックバーを女性一人でやっているというのに、驚かれることはありますか?

遠藤:外の看板を見て初めて入ってきた人には驚かれますね。ごっつい刺青入れたマスターが居るかと思った!って(笑)

— 音楽の好みはどの辺ですか?

遠藤:私は基本的に何でも聴きますけど、90年代が青春だったから、やはりその辺が好きですね。あとは初期パンクとか。

— 流れている音楽はランダム再生のようですね。

遠藤:はい。iTunesです。パソコンっていうか、iTunesだと外人さんでも触れるし、適当にいじって好きなアーティストの曲をかけていますね。

— お店のキャパはどのくらいですか?

遠藤:20席あります。カウンターが8席で、テーブルが12席。

— ギターなども置いてありますが、内装へのこだわりを教えてください。

遠藤:ギターは頂いた物なんですが、あればあったで結構お客さん弾いています(笑)。ココは居抜きで借りて、内装は私と友達でやりました。床や壁も手伝ってもらいながらやりました。

— 遠くから来るお客さんはいますか?

遠藤:東京のお客さんが多いですね。この界隈はホテルも多いので。出張の際に、「ロックバー」で検索してきましたとか。私が自分で検索しても出てこないんですけど(笑)、なぜか見つけて来てくれます。

— ライフサイクルを教えてください。

遠藤:お店は18時から始めて、3時までやっています。時々6時くらいまでやる時もあります。店を締めた後は飲みに行きますね(笑)。私はお酒が好きっていうよりも、酒場が好きなんです。酒場の雰囲気が大好きで。

— なるほど。ところでお店のロゴやイラストが特徴的ですね。

遠藤:はい。タトゥアーティストの方に描いてもらいました。すごく気に入っています。インパクトもあるし愛らしいし。

— よく出るメニューを教えてください。

遠藤:ビールやウイスキーです。でも色々な感じですね。一通りの物はあると思うので好きな物を飲んでもらえたらと思っています。

— では最後に、アピールを一言お願いします。

遠藤:この(新地)界隈にいらしたら、お気軽にお立ち寄りください。ビルの3階になります。音楽聴きながら楽しく飲みましょう!

インタビュー中に流れていたのは、The Birthday。壁にはパンクからメタルまでのCDが飾られ、良い意味でロックという大枠でくくることができるお店です。店に立つ女性オーナーで、何か不安や怖いことはありませんか?という質問には、「最初は少し心配していましたが、ビルの3階という場所なので、酔っぱらいなどは入ってこないですね。お客さんも私が女なので、気を使ってくれますし、酔いつぶれるみたいな人もいません」とのこと。

お店の名前「ROE」には面白いエピソードが隠されていました。「開店準備をしている時に、準備を手伝ってくれていた建築士(Oさん)と真心ブラザーズのライブに行きまして。ラストに演った曲が「Relax, Open, Enjoy」という曲で、大好きな曲だし、バーにぴったりなタイトルなので頭文字を取ろうかなって。ライブの後、一緒にお店を始めた子(Rさん)と打ち合わせで合流して、半分冗談で「お店の名前を『ROE』にするわ!」って言ったら、「うちらの名前の頭文字やん!」って言われて、「ほんまや!」って即決しました(笑)」

さらに、オープンから7年を迎えようとしている「ROE」を振り返ってどうですか?という質問には、「7年も経ったという実感がまったくないですね。何だか、気が付いたら経ってしまったような(笑)私は本当に楽観的な性格なんですが、それが一番大切なことじゃないかなって思っています(笑)」と、実に楽しい答えを返してくれました。確かに考えすぎは良くない結果に結びつくことがあります。何とかなるさ!の思い切りの良さが成功の秘訣かも。お仕事の出張で大阪へ行く機会がある方、キタに宿を取ったら夜はぜひ「ROE」へ足を運んでみてください。ゴキゲンなロックを聴いて、遠藤オーナーとカウンター越しにトーク…楽しいひと時は間違いなし!

bar ROE

営業:18時~03時
定休:日曜日・祝日
住所:〒530-0003 
   大阪府大阪市北区堂島1-4-6 和光ビル3F
TEL:06-6345-1355

公式サイト:http://www.barroe.net/

大阪府大阪市北区堂島1丁目4−6



◆関連記事
【連載】ロック酒場探訪記 バックナンバーは以下をクリック!

http://www.beeast69.com/category/serial/drink