連載

※この記事は取材した2012年のアーカイブです。最新情報ではありません。

セレクション21(東京)「ROCK番長」 山洞 夏世 オーナー
TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎

大人気連載「ロック酒場探訪記」、今回は東京のオフィス街にある「ROCK番長」をご紹介しましょう!場所はJR神田駅から徒歩数十秒という駅チカの好立地のお店です。どのくらい駅から近いかと言うと、極端な話、雨が降っていても大丈夫なくらいです。神田という街はいわゆる歓楽街ではないので、サラリーマン相手のお店が大半を占めています。

「ROCK番長」は2Fにありますが、看板が出ているのですぐにわかります。“ROCK番長”と書かれた、インパクトのある★(スター)マークは、それほど大きくない階段を十分に目立たせています。階段を上ると、オーナーが出迎えてくれます。今回は女性オーナーです。いったいどのような経緯で個性的な「ROCK番長」を始めたのか、とても興味があります。

店内に入ると壁一面の圧巻なミュージックライフ誌数々。そしてロックアーティストのポスターや、年代物のロックフライヤー(80~90年代にコンサート等で配られたアーティストの来日チラシなど)が目に入ります。どこか懐かしい感じがして、その理由を考えてみます。はるか昔の記憶を呼び起こすと、実家の私の部屋が、まさにこのような感じでした。それではさっそくインタビューをスタートしましょう!

山洞 夏世 オーナー プロフィール

小学生の頃、KISSの大ファンになりロック道へ。女性だけのKISSトリビュートバンドでドラムを担当したり、前職のグラフィックデザイナー時代に多くのコンサートに通ったりする中、リアルタイムに買い続けていた約260冊のMUSIC LIFE誌を活用したロック喫茶を開店。
価値あるその雑誌を自由に読みながら、コーヒーが飲めるロック喫茶「ROCK番長」のオーナーとして現在に至る。


— 駅からとても近いですね。駅のそばで探していたのですか?

山洞:特にそういうわけでもないのですが、結果的にそうなりました。やはり駅には近い方が良いとは思います。

— 神田というエリアはビジネス街ですが、神田を選んだ理由を教えてください。

山洞:神田にしようと思っていたわけではないのです。最初は目黒が候補でした。何となく渋谷や恵比寿に比べても家賃が安いと思って。実際に探してみると、空いている店舗があっても、坪数の大きいところしかありませんでした。私一人でお店をやるということで、こぢんまりした店舗を探していました。

— 目黒も繁華街ではないですね。

山洞:はい。若い子をターゲットにしていないので、新宿とか渋谷という街よりは、御茶ノ水とか新橋や五反田などを考えていました。年齢的にもある程度の大人を想定して、大人の人がいるところというような。

— 結果的に今の場所になったわけですが、何か決めてはありましたか?

山洞:私は初めての飲食店経営で、心細い面が正直ありました。でもこの物件を見た時、隣が交番というのが安心だし、さらに大家さんが(建物の)上に住んでいるというのが良かったです。ちなみに1Fの居酒屋さんは大家さんの経営しているお店なので、何かあってもすぐに相談できる環境でした。

— それは他にはないメリットですね。

山洞:神田はビジネスマンの街ですが、秋葉原や御茶ノ水からも意外と近いので、良かったと思っています。

— お店を始める前は、何をされていたのですか?

山洞:広告関係で、ずっとグラフィックデザインをやっていました。働いている時に、漠然とロック喫茶を考えていたことはあるのですが、単なる遊び心というか、それに向かって貯金して頑張ろう!みたいな感じではありませんでした。ただ、MUSIC LIFE誌はたくさん溜まっているし(笑)、これを飾ってロックが聴けるお店があればいいなと。

— 気合い入れて、独立するぞ!というわけではなかったのですね(笑)

山洞:まったく違いますね。実は色々あって、勤めていた会社が無くなってしまいまして。それから就職活動を始めたものの、なかなか簡単ではなく。例え就職できたとしても、一から出直しみたいに、新人やるのもどうかなぁって。そこで思い切って、漠然と考えていたロック喫茶をやってみようかなって一念発起しました。

— ということは、会社が今も存在していたならば、お勤めは辞めていなかったということですね。

山洞:はい。会社が無くならなかったら、今でも会社に勤めていたと思います。振り返るとそれがターニングポイントなのですが、2005年頃のことでした。

— お勤めから経営者になるということで、何か勉強はされましたか?

山洞:初めてのことなので、経営の本を読んだり、行政の無料セミナーとかに通ったりしました。経理などのセミナーも受けて、ひたすら知識をつけようと思って動きました。

— お店をやろう!と思ってから、実際にやるまでの期間はどのくらいですか?

山洞:思い立ったのは2008年。そこから準備期間があって、2010年にオープンです。不動産屋を回り始めたのは、2009年の初めくらいです。それまでは、セミナーや事業計画書を作ることに専念しました。特に誰かに助けてもらったわけでもなく、全部を一人でやって開店しました。

— お店の内装もご自身で?

山洞:内装は業者にお願いしています。配線とかありますし。でも、セミナーで知り合った方の紹介ですごく良くしてもらいました。最初のスケルトン状態の時に見にきてもらって、私がやりたいことを理解してくれました。

— 準備期間を長く取られたわけですが、オープン後の宣伝はどうされました?

山洞:ブログとホームページを立ち上げました。あとはチラシですね。小さいチラシは、看板に糸でぶらさげていたのですが、結構無くなっていました。本当は神田の駅前でも配ろうかとも思っていたのですが、一人でやっているのでその時間も難しくて。後はバンド関係の友人の友人が、ケーブルテレビの番組コーナーを持っていたので、オープン間もない頃に取材してもらったことがあります。

— 提供するものを喫茶、つまりソフトドリンク系としたのはなぜですか?

山洞:最初からお酒を飲まない人や未成年にも楽しんでもらえるロック喫茶というイメージがありましたし、女が一人でやるお店ということもあって。でも、お酒は一切置かないつもりだったのですが、ビールくらいは置いた方がいいじゃない?ってお客さんに言われて(笑)、一種類だけ置いてみました。

— 反応はどうでした?

山洞:良かったです(笑)。私一人なので、酔っ払ったお客さんがいると、対処ができないのですが、そういう人は今のところゼロです。お店にほろ酔い状態で来ても、音楽目当ての人ばかりなので、お客さんに恵まれています。

— お休みは日曜だけですね。

山洞:そうです。祝日はやりますので、純粋に日曜だけです。

— 喫茶なので夜遅くというよりは、早目の時間帯が混みますか?

山洞:それがまったく読めない感じです。時間もそうですし、月末月初、週末も関係ないですね。雨が降って寒い日に、すごく多くの方が来てくれる時もあります。

— 近所の方が多いですか?

山洞:確かに近所のサラリーマンの方が一番多いかもしれません。コーヒーを飲みに、ちょっと休む感じで来てくれます。あとは神田の客先に来たついでに、寄ってくれる方もいます。土曜は逆に割と遠いところから来てくれます。

— お客さんがらみで、何か面白い話はありますか?

山洞:そうですね。オフ会っぽい感じになることが多々あります。Twitterやmixiなどに、「今、ROCK番長に居ます!」って誰がが書き込みをしたら、「あ!僕も今から行きます!」というような突発的な集いが面白いですね。

— お薦めのメニューを教えてください。

山洞:ケーキセットやドーナツセットがよく出ます。私一人なので、自分ができるものだけをメニューにしています。スペースも狭いし、無理しても仕方ないので(笑)、この空間で出来るものを提供しています。

— それにしても数々のグッズが小物一つとってもすごいですよね。

山洞:はい。貴重なロックのチラシや書籍、それから公演のパンフレットを提供してくれたり、Tシャツなどのコンサートグッズやサイン入りCDなども、お店に飾るように持ってきてくれたりします。 お客様が編集したCDを持ってきてくれることも。お客様が、皆で「ROCK番長」を盛り上げよう!としてくださっていて、本当に感謝しています。

— では最後に店名の由来を教えてください。

山洞:飾りっけの無い“番長”って響きが心地よくて…、正に店内を賑わしてくれているロックスター達そのものだと思いません?そして、そんなロックスター達を熱く語るお客様ひとりひとりが“番長”なのです。余談ですが、デザイナー時代に“番長”と呼ばれていましたし…(苦笑)

連載21回目を迎える「ロック酒場探訪記」ですが、喫茶店の登場は初めてです。ロックな雰囲気は大好きなんだけど、アルコールが苦手…という方には、今回の「ロック番長」はまさにベストなお店ではないかと思います。もちろん、今はお酒も置いてありますので、アルコールを希望する方もokです。今のアルコールメニューは、ビールの他に、アップルワインハイボールやバーボン、それからワインが置いてあります。

残念ながら外タレの来店はまだ無いようですが、世界にその名を轟かせるロックフォトグラファーのWilliam Hames(ウイリアム・ヘイムス)の来店話を聞かせてもらいました。実に楽しい取材で、予定時刻をオーバーしてのトーク。今後の抱負を聞いてみると、トークショーみたいなイベントをやってみたいとのこと。ロック一色な店内なら、色々なイベントが楽しめそうです。お客様と共に創りあげていく「ROCK番長」ならではのイベントに期待大!

お店の客層的には、30歳代後半から50歳代と、70~80’sのロックを通ってきた方が多く、まさにMUSIC LIFE世代がドンピシャというわけです。かくいう私もリアルタイムにその世代。ある意味、MUSIC LIFE誌の申し子と言えます。なぜならBEEASTを創刊する時、イメージしたのは他ならぬMUSIC LIFE誌だったからです。コーヒーを飲みながら、そんな懐かしのMUSIC LIFEバックナンバーを読む、素敵なひと時を過ごしに、ぜひ「ROCK番長」へ足を運んでみてください。

ロック番長

営業:17時~20時(月曜・水曜・金曜)
    12時~20時(火曜・木曜・土曜)
定休:日曜日
住所:〒101-0047
東京都千代田区内神田3-21-6 森山ビル2F
TEL:03-6311-1559

公式サイト:http://rockbanchyo.web.fc2.com/

東京都千代田区内神田3丁目21−6



◆関連記事
【連載】ロック酒場探訪記 バックナンバーは以下をクリック!

http://www.beeast69.com/category/serial/drink


 
 
  コラムニスト
戦国★コンプレックス
戦国★コンプレックス
2023年2月6日更新
第9回「レジェンド&バタフライ」
The HIGH
さかもとえいぞう
2019年5月30日更新
人生の宿題その4(最終回)
mondo
中村 “MR.MONDO” 匠
2019年11月23日更新
第十三回「一問一答 Part.2」
PINK SAPPHIRE
PINK SAPPHIRE
2019年4月3日更新
第20回「AYA」
永川敏郎
永川敏郎(Toshio Egawa)
2019年5月29日更新
Progressive Man 第42話