連載

NICE’N’EASY

※この記事は取材した2010年のアーカイブです。最新情報ではありません。

TEXT:桜坂秋太郎 PHOTO:株本和美

新コーナー「ロック酒場探訪記」がスタートします!このコーナーは、全国津々浦々に存在する“ロックな酒場”をご紹介することで、読者の『ロックライフ』のスパイスにしてもらえたらと思っています!ご期待ください。

たまたま立ち寄った街で一杯飲む・・・お気に入りの酒場で飲むためにその街へ行く・・・最寄り駅や乗換えの駅など、日常生活の中にロックなひと時を作って楽しむ・・・。「ロック酒場探訪記」を通じて、新しい出会いが待っているはずです。

第1回目は、2008年12月にオープンした高円寺の“ロックンロール小料理屋”をご紹介します。昭和を知る世代にとって、“小料理屋”は馴染み深いものがあると思いますが、ロックな“バー”ではなく、なぜ“小料理屋”なのか、マスターを通じてその秘密を探りたいと思います。

000-2マスター 坂田(MARCY)雅俊プロフィール

長野県出身。大学入学と同時に上京。卒業後は出版社で働きながらバンド活動を継続。パートはヴォーカル。バンド活動にピリオドを打った後、調理師学校へ通い、学校卒業と同時に料理の道へ。調理修行後にロック小料理屋NICE’N’EASYをオープン。現在バンド活動はしていないが、LIVEイヴェントなどでDJ、また、セッションバンドなどで稀に歌うことがある。

—まず、ロックンロール小料理屋を開店した経緯を教えてください。

PhotoMARCY:僕は30歳くらいまでロックバンドをやっていたんです。で、バンド辞める時に、他に熱中できることは何か?と考えました。それで趣味だった料理を、ちゃんとやってみようかなと。いつかは自分の店を開きたいという目標もあったので、まずは調理師学校に入って修行しました。

—はじめから店をやることは想定していたのですね。

MARCY:そうです。最初から漠然と“小料理屋”なイメージを持っていました。もちろんここまでロックっぽい店を出すとは思っていませんでした。結果論ですが、料理もロックンロールも自分が大好きなものを、全部一つにまとめちゃった・・・感じでしょうか。

—お客さんについて教えてください。どのような方が多いですか?

PhotoMARCY:プロ、アマ併せて、やはりバンドマンが圧倒的に多いですね。殊に男性のお客様の長髪率は90%を超えているかもしれません(笑)。僕自身、洋楽ではハノイやガンズ、モトリー、邦楽ではTHE DUST’N’BONEZ、THE YELLOW MONKEY、毛皮のマリーズといったROCKバンドが大好きなのですが、この店を支えてくれるお客様も、男女関わらず、そういった音楽的嗜好を持った方々が多い様です。

—それは狙い通りですか?

MARCY:実際は、ちょっと違っていて(笑)料理的にはもう少し普通の人が来るかなぁと思っていました。もっとも外見がこれだけロックなので(笑)普通の人はなかなか入ってこないですね。

—お店の宣伝は、あまりされていないようですが。

PhotoMARCY:クチコミだけです。特に宣伝もしてないので、今はクチコミだけで来ていただいてます。宣伝したくないわけではないのですが(笑)そこまで手が回らないのが正直なところです。このように店も小さいので、大勢も入れないし。クチコミで連れて来られた方が、次は違う方を連れて来てくれるような感じですね。

—お薦めのフードやドリンクについて教えてください。

MARCY:バーの定番的なチリビーンズなどもあります。でもウリとしては、和風な日替わりメニューです。小鉢から一品まであります。今日のお薦めは角煮ですね(笑)小料理屋なので家庭料理が多いです。お酒は・・・バンドマンが多いので(笑)ビールやサワー系が一番よく出ます。たまに頑張ってジャックダニエルを入れてくれるお客さんもいますが。それ以外だと定番の芋焼酎など。

—お店の名前はZIGGYのアルバム名ですか?

PhotoMARCY:その通りです。大好きなZIGGYのアルバムから拝借しました(笑)

—ジャケ弁の企画にも参加されたようですね。

MARCY:はい。あの企画を担当された編集者が知り合いだったので、プロ側の作品ということで参加しました。オバッチさんの作品はハイレベルなので、プロとして負けないように頑張ってみました(笑)
ジャケ弁

—なるほど(笑)それではマスターの一日の過ごし方を教えてください。

MARCY:僕は、昼間は別のお店で料理をやっているんです。なので、朝は8時前には起きてご飯を食べて、そっちの店でランチを作る仕事をしています。その仕事が終わった後、15時か16時くらいから、自分のお店の仕込みを始めます。店は18時から24時くらいまでやってます。

—結果的に、2つのお店で仕事されているのですか?

MARCY:もちろんこちらの店が主軸ですので、理想としてはこちらだけでやっていきたいのですが(笑)。とにかく体力勝負になっていますので、健康面には意識的に気を使っています。

—最後に読者に向けたコメントをください。

PhotoMARCY:一見、入りにくく感じる方もいらっしゃるかと思いますが、一度入れば、なかなか居心地が良い店になっていると思います。一生懸命、料理をしますので、ぜひ食べにきてください!バンドマンに煮物をほめられると最高にうれしいです!


NICE’N’EASYがなぜ小料理屋なのか、それを理解しました。マスターの料理への愛情は、まさにロック。こだわりも当然あると思いますが、料理人としてのこだわりよりも、美味しい物を食べてほしい!という愛情面を強く感じた取材でした。

撮影は、お店の雰囲気がわかるように撮りました。赤と黒のコントラストが最高です。BGMには80年代のロックなビデオが流れ、気さくなマスターのトーク。そして美味しい料理で一杯・・・まさに至福のひと時。

NICE’N’EASYは、場所が高円寺ということで、近隣にはライヴハウスが多数あります。ライヴのアフターは、空腹なこともよくあります。お腹を満たしつつ少し飲んで帰りたい・・・そんな時、最適な小料理屋と言えるのではないでしょうか。ぜひ一度NICE’N’EASYへ!

NICE’N’EASY

営業時間 18:00-23:30
定休   日曜(事前にご予約の場合はOPEN)
〒166-0003
東京都杉並区高円寺南3-61-11
rocklikefuck@di.pdx.ne.jp

Photo

〒166-0003 東京都杉並区高円寺南3丁目61−11




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