連載

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TEXT:鈴木亮介

Photo二十四節季の「大寒」を過ぎ、まだまだ寒さが厳しい日が続きます。受験生にとっては今が勝負どころですが、在学生の皆さんにとっても、来たる新入生歓迎、部員獲得に向けて、作戦を練る時期ということでは「勝負どころ」の時期でしょう。
 
さて39校目となる今回からはしばらく中部地方の大学をご紹介します。今回登場するのは、愛知県蒲郡市にある愛知工科大学。前身の愛知技術短期大学を母体に2000年に開学した比較的新しい大学で、工学部の機械システム工学科、電子制御・ロボット工学科、情報メディア学科の3学科および大学院を設置しています。また、愛知工科大学自動車短期大学も併設しています。自動車からIT、宇宙まで、ものづくりの基幹となる技術を学ぶことができるほか、国内で唯一、短大から大学3年時に編入し1級自動車整備士の資格を取得できる大学としても知られています。
 
そんな愛知工科大学から今回ご紹介するのは、「De N oN Boo!」です。部長を務める情報メディア学科3年、自身はサックス奏者である山田龍寛さんにお話を伺いました。

— まずはじめに、愛知工科大学De N oN Boo!の部員数やバンド数はどのくらいでしょうか? また、主な活動についても教えてください。

Photo山田:25年度の大学祭までは、4年生4名、3年生3名、1年生7名の合計14名で活動をして来ました。大学祭で4年生は引退、残りの10名で後期から活動しています。本年度も、12月にChristmas Live、1月には、New Year Live、3月には、学位授与式前の祝賀演奏。4月には入学式前の祝賀演奏と新入生 Welcome Liveなど、ほぼ毎月Liveを予定しています。そのほとんどが学内でのLiveで、大講義室をそのままライブハウスにしてしまうという大技を使っています。と言うとカッコ良いのですが、スモーク・マシーンやレーザー照明機器などの使用は、日光を遮ることのできる場所に限られてしまうのと、移動・設営に手間が掛かるため、学外でのLiveが難しいという欠点の裏返しでもあります。
 

— 愛知工科大学De N oN Boo!の特長を教えてください。

山田:「De N oN Boo!」は、ロックバンドやポップスバンド、普通のブラスバンドではありません。あえて言うなら「Techno Pop Brass 」です。吹奏楽をするには、楽器や人数が足りない。ロックバンドやジャズバンドをするにはスキルがない。そこで、本部活のように、楽器初心者も多い管楽器・電気楽器の混成のグループで音楽をするには、打ち込みを駆使して演奏をするというスタイルを思い付き、電気仕掛けの音楽部と言う意味で、「De N oN Boo!」と名付けました。クラッシックの曲をダンス・スタイルにアレンジしたInstrumental、J‐POPでVocalを入れたり、ジャンルを越えやりたい曲をやりたい放題にLive活動をしています。更に演奏するだけなく、講義室を「Live house に!」を合言葉として、スモーク・マシーンやレーザー照明機器などを自前で用意して、Call & ResponseやDanceも交え、演奏する人もお客さんも、今、その時に、そこにいる人みんなが楽しむことができる〝Live〟活動を目指しています。
 
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— ライブやイベントにはどのようなものがありますか?

山田:年間を通して、学内の4号館大講義室にて、ほぼ毎月Liveを行っています。一番大きなイベントは、大学祭の「2 Day’s Live」です。特に25年度は、4年生の実力も高かったこともあり、4年生だけで構成されたバンドの「音切り四人衆」と、実力のある3年生も加え、外部講師も交えた「Orange Tea」という、2つのスピンオフバンドが派生し、大学祭での演奏の他、実際にライブハウスでのLiveも行っており、お客様にも大変好評でした。毎年、9月には合宿練習をして、部員同士の絆を深めて大学祭でのLiveに臨んでいます。本年度も、12月にChristmas Live、1月には、New Year Live、3月には、学位授与式前の祝賀演奏と、式中の「君が代」を演奏する予定でいます。
 

— 活動の苦労や困ったことなどがあれば教えてください。

Photo山田:大学である以上当然なのですが、学科も学年も違う学生が集まっての練習ですので、なかなか全員が揃わないのが大変です。合奏練習は、月曜日と金曜日、週に2回ですが、それだけでは個人の演奏力を上げることが出来ませんので、個人練習が重要になってきます。しかし、勉強やアルバイトもしなければならず、なかなか思うように時間が作れないため演奏のクオリティーが上がりません。その辺りのバランスをどのように取るかが苦労します。さらにLiveが近くなると、光での演出やMC、ダンスの振り付けなど、やることが沢山あって大変です。そして会場の設営は、PAや照明機器の設置や調整に3時間近く掛かるので、部員全員の結束が大切です。
 

—山田部長にとって愛知工科大学De N oN Boo!はどのような存在ですか?

山田:人を成長させる大事な機会だと感じています。少人数ではありますが、組織ということでは会社などとも違わないと考えています。機能させるには何が必要か、次にLiveがあるときやイベントのあるときには予めいつまでに何をしなければならないかなど計画をたてて動き、常に何かを考えている。これは普通に大学で授業をやっているだけではなかなか身につかない大事なことだと思います。そして、自分だけでは何事もできないので自然とコミュニケーション能力もアップします。部/サークルとは、内容にかかわらず頑張ったらその分だけ人を成長させて、周りも自身も楽しませてくれる存在です。
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— 最後に、今後の目標を教えてください。

山田:本学は、管楽器やバンドを経験している学生が極めて少なく、工学系単科大学ということもあって、このような活動がなかなか理解されにくい環境にあります。しかし、音楽文化もパソコンを使った最新技術を取り入れるCulture & Technology時代となったことを肌で感じていますが、その時代を部活レベルでは先取りする形で、予算もとても少ない中、手探りの状態でLive活動をして、ここにも「工学」が必要であることをさり気なくアピールしながら”楽しく””聴き応えのある””良いLive”を地道に行い、動員数を増やして、来て頂いたお客さんたちと楽しいLiveをしていけたらと思っています。

Photo※愛知工科大学よりメッセージ
 
「心を磨き、技を極め、夢に挑む」を教育理念に掲げ、未来の「工学」「産業」を支える知識と技術、そして豊かな人間性を兼ね備えたエンジニアを育成しています。
 
3月22日(土)愛知工科大学/愛知工科大学自動車短期大学のオープンキャンパスを開催します。詳細は、ホームページでお知らせます。ぜひご覧ください。
 

◆愛知工科大学 De N oN Boo!
 
◆PR
「De N oN Boo!」では、メンバーを募集しています。資格は、本学学生であることではありますが、楽器の演奏が出来る、出来ないは関係ありません。一緒に何か音楽活動したいという意欲さえあれば、どなたでも歓迎致します。もちろん、楽器の種類を問わず、楽器経験者は大歓迎です。詳しくは、大学ホームページで。

 
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◆愛知工科大学 プロフィール
・ 大学住所
 愛知県蒲郡市西迫町馬乗50-2
・創立年
 昭和62年4月
・学生数
 856名(大学・短期大学の合計
・ 大学HP
http://www.aut.ac.jp/

◆ビースト推薦文
電気仕掛けの音楽部という、全国的に見ても珍しい部活動/サークルを今回はご紹介しました。「ここにも『工学』が必要である」という山田部長の言葉が大変印象的です。予算も場所も限られた中で、工学系の学生らしく自らのものづくりの技術を駆使して、大教室をライブハウスに仕立てたり、楽器未経験者でも本格的に楽しめるような編成を考えたりと、奮闘しながらも楽しんでいる様子が伝わってきます。「大教室のライブハウス化」も、写真を見てわかるようにかなり本格的。愛知工科大学という新設の大学の魅力をそのまま体現しているようです。


 
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