連載

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TEXT:鈴木亮介

Photo猛暑を通り越した酷暑に、竜巻に台風に…と、今夏は遊びたい盛りの学生にとっては残念な天候が続きました。読者の皆さんは2013年の夏を満喫できましたか?
 
さてロックの箱根駅伝こと連載「キャンパスロック図鑑」、今回は九州工業大学が登場します。九州工業大学は北九州工業地帯に1909年(明治42年)に開学し、1949年(昭和24年)5月に国立大学として九州工業大学が設置。「技術に堪能(かんのう)なる士君子」の養成を基本理念として、100年余にわたって高度技術者を輩出しています。近年では小惑星イトカワに到達した小惑星探査機はやぶさ(MUSES-C)の試験を行った大学としても知られています。
 
そんな九州工業大学工学部から今回ご紹介するのは、Free Spirits!第40代部長を務める工学部機械知能工学科機械工学コース3回生浦川大地さんにお話を伺いました。
 

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— まずはじめに、九州工業大学工学部Free Spiritsの部員数やバンド数はどのくらいでしょうか? また、主な活動についても教えてください。

浦川:このサークルはイベントなどの運営を行う1~3回生(その中で3回生は幹部)までを現役回生、その役目を終えた4回生から院生までを上回生と分けていて、現在の人数はそれぞれ41人と36人となっています。ただ卒業されたOBの方にもバンド活動を続けている人もいますし、サークルのイベントにも顔を出してもらっているので、実際はもっと多くの人がこのサークルに関わっています。バンド数は大体いつも20~30のバンドが活動しています。活動頻度はバンドごとに1週間で2時間×2回の練習を設けていて平日、休日問わず8時から22~24時まで部室内で練習できるようにしています。他大学との合同ライブやサークル独自のイベントもありますが、それ以外はバンドごとにライブハウス側にブッキングをしてもらいライブをしています。
 

— 九州工業大学工学部Free Spiritsの特長を教えてください。

Photo浦川:まずバンドのジャンルはJ-POP、パンク、ハードコア、ガレージ・ロックなど様々で、中には映像を取り入れたラップトップ形式で活動をする人もいますし、バンドという形式にもとらわれないで自由な音楽を日々作っています。このサークルへ入った当初はみんな、好きなアーティストのコピーから入りますが、ある程度演奏力をつけると大体の人がオリジナルの曲を作り、バンドごとでライブハウスに出演して演奏をします。サークルのイベントや月1回の部会など絶対参加が必要なところはありますが、基本的にはこのようにバンド単位で活動をしていくのが僕らのサークルの特徴です。あとは未経験者が毎年多く入ってくるのも特徴です。もうちょっとバリバリの経験者がいてもいいんじゃないかっていうくらい未経験者が多いです(笑)ただその分、下手に敷居が高くならないので経験を問わず純粋に音楽が好きな人が集まるサークルだと思っています。
 

— ライブやイベントにはどのようなものがありますか?

Photo浦川:5月に新入生を主役として新歓ライブを行い、夏休みの8、9月に北九州近辺の大学の軽音サークルが1バンドずつ出演するオープンライブと、あとウチのサークルは毎年オリジナルバンドのコンピレーションアルバムを作っているのでその収録バンドが出演し、CDを配布するサマーライブというのが同じく夏休みにあります。この時期にはキャンプにも出かけて数日遊びまくります(笑)そして11月に学祭を前夜祭も含めて3日間行い、1月はシャッフルライブを開催します。このシャッフルライブというのが、楽器のパートごとに全員くじ引きをして、できたバンドでライブをするという内容でとても面白いイベントです。最後に3月に卒業生を送る追いコンライブをして1年間すべてのイベントが終わります。その他イベントがない月は他大学と合同ライブを企画しているのでほぼ月に1回は何らかのイベントをやっています。
 

— 活動の苦労や困ったことなどがあれば教えてください。

Photo浦川:苦労することといえばまずイベントの運営がすごく大変です。基本的に場所の確保、機材の運搬、PAなどすべて自分たちでやっています。特にPAは機材に関するきちんとした知識が必要なのでその役を任されている人は本当に大変な思いをしていると思います。だから円滑にイベントが進行できるよう3回生を中心としてPAの意見も踏まえ話し合いを何度も行い、考えられる問題点を解決した上でイベントに臨んでいます。あとは、サークルとしてのルールを徹底させることですね。遅刻や無断欠席をしたり回生間の上下関係を大きく乱したりするようなことがあれば、あまり乗り気ではないですが部長の僕が厳しく注意をすることになります。自由に音楽活動を促している分、メリハリを付けさせ、サークルのモラルを守るために敏感にならなければいけないのが苦労しているところです。
 

—浦川部長にとって九州工業大学工学部Free Spiritsはどのような存在ですか?

Photo浦川:僕にとってFree Spiritsは改めて音楽を好きになるきっかけをくれた存在です。みんないろんな音楽を聴いて、演奏をしていて、そういう人たちと一緒に音楽をやることでいろんな目線で音楽に触れることができ、また自分のバンドや好きな音楽によりこだわりを持つようになりました。日々、面白い音楽を作ることに時間をかけたり外部の有名なバンドさんと共演をする時に自分のバンドが埋もれないように試行錯誤しながら練習したりしていますが、同時に先輩や同期、後輩がどんな活動をしているか僕は常に目を光らせています。その意味ではサークルの人はライバルと言えます(笑)でもそれ以前に一緒に遊び、時には語り、また遊び…と多くの時間を共有する仲間でもあるので、そういう人たちと出会えたこのサークルはとても居心地の良いものだと思っています。
 

— 最後に、今後の目標を教えてください。

Photo浦川:サークルとしての目標は今も昔も変わらず、サークルのモラルをきっちり守った上で自由に音楽活動をすることです。その上で僕の目標…というより理想は、もっとサークルの外に各々の活動を発信していく人が増えることです。これは特に後輩の子たちにそうあって欲しいと願っています。確かにサークル内での活動でもバンドの演奏を評価してくれる人はたくさんいますが、サークルとは無関係な人に演奏を観てもらいそれに関して評価をもらうのはすごく興味深いことだと思っています。実際、外部の人に観てもらうのは、最初は緊張すると思いますが、音楽好きな点ではウチのサークルはとても優秀な人が集まっていますので他のバンドのライブをたくさん観に行ったり、日々の練習を積み重ねたりする中で一歩踏み込んで外のいろんな人との出会いを果たしてほしいと思います。そうやってFree Spiritsのバンドが北九州界隈を盛り上げてくれたらとても面白いことになると確信しています。僕もそういう勢いに負けないようにバンド活動を頑張ります(笑)

※九州工業大学よりメッセージ
本学では、学部・大学院を通して、技術者・研究者としての基礎・専門知識はもちろん、創造力・国際力・人間力を総合的に養う濃密なカリキュラムを提供しています。授業以外でも学生たちは、課外活動・海外研修・インターンシップ・ロケットやロボットなどの世界大会への参加、車や飛行機やソフトウェアの開発といった自主的な活動を通して、学ぶ目標をみつけ、ものづくりの本当のおもしろさを知ります。11月には大学祭「工大祭」があります。日程などはホームページに掲載していますので、ぜひご参加ください!
 

◆九州工業大学工学部 Free Spirits
http://kyutechfreespirits.com/
 
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黒崎マーカス、kokuraFUSEなどといった北九州、福岡のライブハウスでは随時ウチのサークル出身のバンドが出演しています。是非お越しください!!
 
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◆九州工業大学 プロフィール
・ 大学住所
福岡県北九州市戸畑区仙水町1-1
・創立年
 1909年(明治42年4月1日)
・学生数(平成25年5月1日現在)
 5,876名(学部・大学院の合計)
・ 大学HP
http://www.kyutech.ac.jp/

◆ビースト推薦文
バンドではギターを担当する浦川部長の話から、非常にきっちりと活動をしている様子が伝わってきます。とは言え「きっちり堅苦しく」というわけでは決してなく、OB・OGとの絆も深く向上心の高いメンバーが集まり音楽を探究しているようです。PAもしっかりと自分たちで勉強して行っているのは、苦労が多い分ライブを終えた後の達成感もひとしおでしょう。
 
福岡と言えばめんたいロックの開祖、鮎川誠シーナ&ザ・ロケッツ)は九州大学農学部農政経済学科の出身。大学を卒業した翌年にメジャーデビューを果たしました。学業と両立しながら本気でロックンロールへの就職を目指す!という学生の出現にも期待したいですね。


 
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http://www.beeast69.com/category/serial/campus