連載

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TEXT & PHOTO:鈴木亮介

Photo受験シーズン真っただ中ですが、この時期勉強が大変なのは実は受験生だけではありません。在学の中高生の皆さんも、来たる学年末試験に向けて勉強を…きっと、していることでしょう!

さてロック版・箱根駅伝ことキャンパスロック図鑑もついに30校目!節目の30校目に登場するのは、日本で一番受験生が多い大学として知られる明治大学です。ご紹介するまでもなく数えきれないほどの著名人を世に送り出していますが、ロックミュージシャンだけに絞っても、あがた森魚宇崎竜童宮沢和史THE BOOM)、深沼元昭PLAGUESGHEEE)、チン中村銀杏BOYZ)、hozzy藍坊主)…と、枚挙にいとまがありません。さらに、LÄ-PPISCHレピッシュ)は明大の軽音楽部メンバーを中心に結成されています。

そんな偉大な先輩を数多く持つ明治大学には軽音サークルもたくさんあります!中でも特に活動がさかんだという「FMF(Folk Music Family)」を今回はご紹介します。実は今回、渉外担当の木村香桜里さんから「是非取材に来てください!」と、本誌編集部宛てにお手紙をいただきましたので、実際に生田キャンパスを訪れ、幹事長の小林俊介さんとともに、インタビューをさせていただきました。節目の30校目、いつもよりロングバージョンでお届けします!

— まずはお二人の自己紹介からお願いします。

Photo小林:幹事長の、理工学部数学科2年の小林俊介です。バンドでのパートはドラムです。

木村:渉外の、理工学部建築学科2年の木村香桜里です。私もドラム叩いてます。

— お二人ともドラマーなんですね。では、皆さんが所属するFMFというサークルについて、詳しく教えてください。

小林:FMFはフォークミュージックファミリーというのが正式名称で、明治大学の生田キャンパスを中心に活動しています。僕たちが46代目なので、約半世紀続いている伝統あるサークルです。部員は現在、4年生が引退したので1~3年生合わせて104人在籍しています。1年生が一番多く、男女比は圧倒的に男子が多いです。やはり生田キャンパスは理工学系なので、女子は数えられるほどしかいませんね(笑)

— お二人はなぜこのサークルに入ろうと思ったのですか?

小林:僕は元々高校生の頃からバンドを組んでいて、HYJanne Da ArcFLOWなどのコピーをしていました。大学でも軽音のサークルに入りたいと思っていて、最初に勧誘されたのがこのサークルだったのですが、先輩がとても熱く、ここに入ろうと決めました。

Photo木村:私も高校生の頃軽音楽部に所属してチャットモンチーなどのコピーをやっていました。大学では最初軽音系のサークルに入るかどうか迷ったのですが、コピーバンドがやりたかったので、ここを選びました。やっているうちにだんだん面白くなってきて、ずっと続けています。

— ではサークルの活動について教えてください。普段練習はどのようにやっていますか?

小林:毎日朝8時から夜の10時までスタジオを開けっぱなしにして、各バンド2時間交代で使っています。学校が休みの日でも開いているので、ほぼ一年中使える状態です。バンド数は、ライブごとにバンドを組むので固定ではないのですが、ライブに出演できないバンドも含めると、11~12バンドになります。

— 「出演できない」というと?

小林:これはうちのサークルの特徴だと思うのですが、明治大が主催するライブの場合は「批評会」があって、ライブをするにあたっては、その批評会で順位をつけます。例えば6枠通過だったら、出場させたいバンドに順位をつけて行って上位6組がライブに出られるという、いわば予選会で、全員が全員に点数をつけ合います。その批評会に出場するバンド、ということでカウントすると、毎回11~12バンドほどになります。

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— ライブは年間どのくらいやっていますか?

木村:「9大」というコミュニティがあって、その中の3つの大学、例えば中大、東京女子大とジョイントするライブというのが5月、9月、10月の年3回あります。また、FMFが主催するライブが年2回、夏とクリスマスにあります。その他にも個人が主催する自主コンサートや、学祭、新入生歓迎ライブ、あとは合宿の最終日もライブを行います。

小林:「9大」というのはこの辺りの近い大学…というわけでもなく、昔誰かが作ったらしいのですが(笑)、中央大、東京女子大、相模女子大、津田塾大、東京農工大、日大商学部、日大生物資源学部、実践女子大…あと1個、どこだ?あ、俺らが入ってない(笑)

— 合宿はいつ頃に、どこに行くのですか?

小林:毎年夏に、長野に行きます。ホテルにスタジオが完備されていて、5日間ひたすら練習をして、最後にライブをします。

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— 合宿の特徴、目玉のようなものはありますか?

小林:うちのサークルは元々技術志向というか、向上心のある人間しか残らないようなサークルなので、初心者も多いですがやる気の多い人ばかりなのです。合宿では、行った先でバンドが決まります。例えば「HYのコピバンをやります!」と決めて、その場でくじを引いてメンバーを決めるというように、運営の主体になっている2年生が合宿先でやりたいバンドを決めていきます。あとはもう一つの特徴として、「処刑バンド」というのがあって…

— 「処刑」ですか?

小林:はい。2年生が、後輩の中で来年サークルの中心になるであろう人物を選び、「こいつは多分役職に就くだろう。技術もあるし」という部員に、普段やっているバンドとは全く違うジャンルの「メタルをやれ!」「お前はアングラだ!」と無茶ブリをするのです。合宿の初日に発表して、たったの3日間でひたすら練習させ、4日目のライブでみんなの前で発表するという(笑)

— 面白いですね!合宿以外にもサークルの行事はありますか?

Photo木村:「納会」が年2回あるのですが、その時は楽器のことを忘れてひたすら外で遊ぼう!ドッヂボールやろう!と遊びます。

— ここまで活動をしてきて、大変だったことはありますか?

小林:FMFは歴代ずっと部員が多いためOBの人数も多いのですが、明治大が主催するクリスマスライブは現役バンドだけでなくOBバンドも出場することができます。そのため批評会で現役バンドがたくさん出たくてもOBバンドが出場枠を勝ち取ってしまうこともあり、運営が難しいと感じます。ただそうは言ってもOBの存在は有難いものだと感じています。

— どういった面でその「有難さ」を感じますか?

小林:批評会でOBの方々が出場バンドに対して点数をつけるだけではなく「このバンドはこうだった、ああだった」と批評文も書いてくださるので(※右下の写真参照)、みんな楽しむだけでなく「こいつ成長したな」「うまくなったね」と見てくださるので、有難いです。優しく書いてくださる方もいますし、成長してほしいという願いを込めて敢えて強い言い方で指摘してくださる方もいますし…そうした縦のつながりがあることも、FMFの特長です。

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— 確かにそうしたアドバイスは貴重ですね。

小林:先輩に認めてもらえるのは嬉しいですね。自分自身、高校の頃は身の回りに教えてくれる人がいなかったので、自分がうまくなってくるのを実感できるし、FMFで良かったと思います。

— その他にも「FMFで良かった!」ということはありますか?

木村:交流校が9つと多いのも、このサークルに入って良かったなぁと思えることです。色んな人と出会えますし、他の大学のライブに呼んでいただけると嬉しいです。

— ちなみに、普段はどのような音楽を聴きますか?

木村:私は人間椅子が好きです!ドラムを習っていた先生の知り合いが人間椅子ファンで、教えてもらって「なんだこれ!」とどんどん好きになっていきました(笑)夏あたりに人間椅子のコピーバンドをやりたいと思っています。

Photo小林:僕は色々聴きますが、Do As Infinityなどの歌モノも好きだし、あとは最近はスクリーモが好きで、Fear, and loathing in Las Vegasとか、coldrainも好きですね。今(=1月の取材時点)はライブがないのでまだやる曲を決めていないのですが、今度組むバンドはSound Horizonをやりたいねと部員同士で話しています。

— お二人にとって、明治大学FMFというサークルはどのような存在ですか?

小林:サークル名にあるように「家族」、ファミリーですね。とても仲が良いです。先ほどの「批評会」のような話をすると技術面ばかり追求しているように思われるかもしれませんが、みんな苦しんで頑張って一緒に力を合わせてやってきた仲間なので強い絆があると思います。全てにおいて、本気です。楽器も本気でやるし、納会の時のような遊びも本気でやるし、他校との交流も本気でやるし。全部のことにおいて本気でやれるサークルです。

Photo木村:私は元々人と話すのが得意ではなかったのですが、1年生の後半にこのサークルで渉外担当に選ばれ、他校の色んな人と関わる役職に就いて、交流の楽しさを知りました。大学に入る頃は将来の夢のために勉強を頑張り、サークルは息抜きで…くらいに思っていたのですが、今では人と関わることの楽しさにすっかり魅了されています!

— 最後に、今後の目標を教えてください。

小林:今まで45年以上にわたり先輩方が作ってきたサークルなので、FMFの技術的なレベルの高さは…自分たちで言うのはおこがましいかもしれませんが、必死にしがみついてこれを引き継がなければいけないと思いますし、そして「9大」というコミュニティがあるので、もっと交流を広げていきたいと思います。

Photo※明治大学よりメッセージ

創立130周年を迎えた明治大学は、都心型総合大学として、現在9学部に約30,000人の学生が学んでいます。サークル活動も盛んで、約330もの公認サークルが活動しています。

「個を強くする大学」をスローガンに、学生一人ひとりの学ぶ環境をサポートしており、近年は国際社会で活躍できるグローバル人材の育成を推進するため、英語教育プログラムの強化や海外留学プログラムの充実をはかっています。

駿河台、和泉、生田の3キャンパスに加え、2013年度からは、中野キャンパスを開設し国際日本学部と理系の新学部・総合数理学部の拠点となります。

また、50万人を越える明大出身のOB・OGが、社会のさまざまな分野で活躍していることも、大きな強みと誇りになっています。

◆明治大学FMF ホームページ
http://folkmusicfamily.web.fc2.com/
 
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みんな仲良く、慣れ合いではなく心の芯の部分でつながり合うサークルなので、入って損はないです!一人ひとりが責任を持ってバンド活動をこなさないといけないので、ちょっとでも気を抜くと周りに迷惑をかけてしまうので、人間的にも成長できるサークルだと思います。また、自分の違う一面にも出会えるサークルです。僕自身、誰かの上に立って率先して動かすなんてことはなかったのですが、このサークルだからこそ上に立って動かしていこうと思えました。…色々あって言葉に表せませんが、本当に魅力がたくさん詰まったサークルです!(小林幹事長)
 
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◆明治大学 プロフィール
・ 大学住所
駿河台キャンパス:
 東京都千代田区神田駿河台1-1
和泉キャンパス:
 東京都杉並区永福1-9-1
生田キャンパス:
 神奈川県川崎市多摩区東三田1-1-1
・学生数(2012年5月1日現在)
29,861名(学部のみ)
・ 大学HP
http://www.meiji.ac.jp/


◆ビースト推薦文
インタビュー後に練習スタジオも見学させてもらったのですが、思いのほか狭いことにびっくり!限られたスペースと時間を有効に使って、中身の濃い練習をしているのだなと瞬時に悟りました。インタビュー中の「本気」という言葉のリアリティを実感します。

ちなみにお二人とも理系の大学生。将来の進路を尋ねたところ、木村さんは建築家志望、小林さんは高校数学の教員を目指しているとのことでした。サークルで全てのことに全力で打ち込んだ経験は、将来必ず自分を助けてくれることでしょう。前途洋洋なFMFの皆さん、今後のさらなる活躍を期待しています!


 
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【連載】キャンパスロック図鑑 バックナンバーはこちら
http://www.beeast69.com/category/serial/campus