演奏

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TEXT:鈴木亮介 PHOTO:矢沢隆則

普段は学生バンドからいぶし銀のプロまで、世代を超えて日々ロックな音楽にあふれている立川BABEL。2008年にオープンし、赤い公園らを輩出した西東京ロックシーンの担い手であるライブハウスが、設立6年目にして初の試みを行った。その名も「BABELがピアノバーになる日」。普段BABELに出演する女性ボーカリスト8組が登場し、色とりどりの演奏と歌声を披露するのだという。
 
フロアにはベンチが設けられ、会社帰りのと思しきスーツ姿の観客も続々と訪れる。メインステージを使わず、フロアに鍵盤を設置してのライブ。出演者8組のジャンルや年代は様々で、BABEL常連のシンガーソングライターから、普段はロックバンドのボーカルとして活動するミュージシャンのソロ出演まで。共通するのは「ピアノを演奏する女性ボーカルであること」。フロアライブということで客席との距離も近く、間近でその魅力を堪能できる、まさに「一夜限りのプレミアムなライブ」が届けられた。

1. Eve


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夕陽が沈みきった午後5時、BABELの入口に灯りがともった。いつもとは違った落ち着いた雰囲気の中、鍵盤の前に最初に座ったのはシンガーソングライターEve。透明感のあるワルツからスタートし、地球の命の胎動を表現した曲、水中の曲など、曲ごとにガラっと雰囲気を変える。幸せな恋の曲では、スケールの大きい楽曲でありながら身近にいるような親近感のある歌声を披露。”女優・Eve“を思わせる色とりどりのステージに心躍る。
 
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◆Eve Twitterアカウント
https://twitter.com/pf_eve
◆インフォメーション
・2014年02月28日(金)【高円寺】Reef

 

2. ゆきみ


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2組目はあいくれのボーカリスト、ゆきみが登場。丁寧に鍵盤を弾きながら、芯のある歌声を披露。成人式を終えたばかりの彼女、「20歳で大人になるのだけど、なりきれない」そんな葛藤を低音のメロディに乗せて表現。普段はバンドサウンドで魅せるあいくれナンバーも弾き語りで演奏。そして最後は大切な思いを込めたという切ないナンバーを、力強く歌い上げる。
 
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◆あいくれ Twitterアカウント
https://twitter.com/aikure1
◆インフォメーション
・2014年03月11日(火)【立 川】BABEL
・2014年03月24日(月)【吉祥寺】PlanetK
・2014年03月26日(水)【渋 谷】Cyclone

 

3. mick


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3組目はmickが登場。普段はAmelieのボーカリストとして活動しているが、今宵は一人登場。1曲目はある少年とモンスターを歌ったという曲を披露。シンプルなピアノに、「陽」のエネルギーをギュッと詰めたボーカルが映える。「ホットミルク」「僕だけの太陽」など、楽曲もバリエーション豊か。元気な曲は少年のような快活な歌声で、そして切ない曲もソウルフルに歌い上げる。
 
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◆Amelie ホームページ
http://amelie-band.jimdo.com/
◆インフォメーション
・2014年02月23日(日)【 柏 】616
・2014年03月01日(土)【越谷】EASYGOINGS
・2014年03月09日(日)【秩父】ladder ladder
・2014年03月20日(木)【越谷】EASYGOINGS

 

4. sanatorium


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4組目は男女混合のsanatorium。パーカッション、バイオリン、べース、ピアノ、ボーカルの5人で、普段と異なるアコースティック編成だ。序盤はミステリアスな世界観を披露。ジャジーな鍵盤が光る。後半は一つ一つの音をはっきりと紡ぐ楽曲「水たまり」などを披露。アコースティックバージョンということでしっとりとした演奏に徹底していたが、内に秘めたエネルギーの強さを感じる。通常のバンド編成も聴いてみたい。
 
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◆anatorium ホームページ
http://kkazuki1918.wix.com/sanatorium
◆インフォメーション
・2014年02月21日(金)【下北沢】REG
・2014年03月04日(水)【立 川】BABEL
・2014年03月14日(金)【下北沢】MOSAiC
・2014年04月03日(木)【立 川】BABEL
・2014年05月16日(金)【立 川】BABEL

 

5. 野坂ひかり


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5組目はシンガーソングライター野坂ひかり。が登場。序盤は浅瀬を海水浴するようなのびやかなボーカルに、曲間のつなぎは流麗なピアノを披露。「しっとりな曲とアップテンポな曲、どちらが良いですか?」と客席に問いかけ、セットリストを決めていく。後半は一転、立ち上がっての演奏。ダークなピアノに悲痛な叫びにも似た曲を感情爆発させて歌い上げ、鮮烈に印象を残していく。
 
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◆野坂ひかり 公式ブログ
http://ameblo.jp/singpika/
◆インフォメーション
・2014年03月03日(月)【渋 谷】7th FLOOR
・2014年03月16日(日)【恵比須】天窓switch
・2014年04月30日(水)【大久保】真昼の月夜の太陽
・2014年09月04日(木)【渋 谷】7th FLOOR
 ※バースデー前夜ワンマン

 

6. ミウラスマ


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6組目は妖艶なドレスに身を包んだミウラスマ。まずは乾杯、と観客を促し温度を取ると、自らの音の世界へいざなう。すらっと長身のボーカリストは、その歌声にも妖艶さがある。序盤は低音でそっと歌うが、優しく包み込むバラードソングでは高音の綺麗なボーカルを披露。声域の広さに加え、音の余韻の残し方も綺麗。鍵盤を綺麗に弾き、間の使い方も絶妙だ。
 
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◆ミウラスマ(GUN FRIEND SHIP)
 公式ブログ

http://ameblo.jp/gunfriendship/
◆インフォメーション
・2014年02月24日(月)【稲 毛】K‘S DREAM
・2014年02月25日(火)【横 浜】LIVE CAFE 2000
・2014年03月04日(火)【代官山】晴れたら空に豆まいて

 

7. yukomusic


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7組目はシンガーソングライターyukomusic。1曲目はバイオリンを従えての演奏。「ファンタジー映画のオーケストラ音楽を彷彿させるプログレッシブ・ポップ」と評される通りの楽しいピアノ音を奏でる。1曲ごとにストーリーが作られ、演劇を見せるように音楽を披露する様は圧巻。中盤はバイオリン奏者を下げて、一人鍵盤とボーカルだけで透明感ある曲を奏でる。
 
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◆yukomusic ホームページ
http://yukomusic.com/
◆インフォメーション
・2014年02月27日(木)【恵比寿】天窓.switch
・2014年03月30日(日)【阿佐ヶ谷】Yellow Vision
・2014年04月29日(祝)【代官山】NOMAD

 

8. 川崎レオン


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あっという間に最後の演奏者。膝を抱えて顔をうずめたまま暗転を待つのは、シンガーソングライター川崎レオン。「YAMAHA murevo caravan 2012 宮地楽器大会」本選出場、「SMAコトビキVol.2」ファイナルプレゼンテーションライブ出場など数々のコンクールでも活躍する彼女の持ち味は一言一言、一音一音の説得力ある表現。圧倒されるほどの感情をむき出しに、熱唱する。
 
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◆川崎レオン ホームページ
http://www.music-scene.jp/lioniscatfamily/
◆インフォメーション
・2014年02月26日(水)【西荻窪】アートリオン
・2014年03月20日(木)【代々木】Zher the ZOO
・2014年03月27日(木)【渋 谷】7th FLOOR

 

月曜の夜に、ゆったりと座って観られる落ち着いた雰囲気のライブ。BABELでは初の試みだったが、出演した8組がいずれも違ったタイプの魅力があり、中には普段バンドでBABELに出演しているという女性ボーカリストもいて、「ロックなBABEL、ロックな出演者の違った一面」を楽しめる貴重なライブであった。
 
全組その魅力をもう一言語りたいところだが、昨年秋に開催された『エフェクターの祭典、EffEXPO(エフェクスポ)』 第二回の本誌企画ライブにも出演してくれたあいくれに絞って、もう一言書いておきたい。
 
あいくれとの出会いは5年前、当時彼らが高校1年生の頃にさかのぼるが、音大に通う才女・ゆきみのピアノ&ボーカルソロを観るのは今回が初めてだ。あいくれの魅力は、エモーショナルなサウンドと心の片隅に残る独特の歌詞にあるが、その歌詞が弾き語りによっていっそう鮮明に聴こえ、一言一言を噛み締めてその世界観に浸ることができた。直球のバンドサウンドを軸にしつつも、こうした変化球もまた時々堪能できればと思う。
 


◆立川BABEL 公式サイト
http://www.babel-rocktower.net/

◆関連記事
【特集】『エフェクターの祭典、EffEXPO(エフェクスポ)』 第二回 (Part1)
http://www.beeast69.com/feature/91685
【PHOTOレポ】あいくれ@立川BABEL
http://www.beeast69.com/report/75646