演奏

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TEXT:桂伸也

 
ガールズHeavy Metalバンドとして、完成度の高いバンドサウンドとパフォーマンスを武器に、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍中のDESTROSE。その彼女らが2013年11月14日、渋谷O-WESTでワンマンライブを行った。
 
この日は彼女らの最新シングル「霖-Rin- / MAZE」のリリース記念イベントでもあり、かつ現体制による活動再開から2周年が経過したことを祝うイベントも兼ねていた。(以前から活躍をしていたが、2年前にリーダーのMina隊長以外のメンバーが脱退。その後メンバーを刷新し活動再開を果たした)
 
2013年は、DESTROSEに対して大きな追い風が吹いた。女性Rockミュージシャンによるイベント『NAONのYAON』への出演、1stフルアルバムのリリース、初のワンマンライブ開催。そして今回レポートする渋谷O-WESTでのワンマン。以前、『BEEAST太鼓判シリーズ第13弾アーティスト『DESTROSE』』のインタビューで語っていた際、彼女らは渋谷O-WESTでのワンマンライブを目標として掲げていた。それは1年の時を経て現実のものとなった。果たしてDESTROSEは、初の渋谷O-WESTでのワンマンというステージで、どのようなライブを見せてくれたのだろうか。今回はその模様をレポートしよう。
 
◆メンバーリスト:
Marina(Vocal)、Mina隊長(Guitar)、成美(Guitar)、miho(Bass)、Haruna(Drums)

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彼女らの入場曲となるSE「The Generations of Chaos 」を背に、彼女らは一人、また一人とステージに登場した。まさにこの日は待ちに待った瞬間。会場を見回す彼女らの表情には、あふれんばかりの笑顔と覇気が感じられた。そして打ち鳴らされるドラム、ベース、ギターによる彼女らの第一声に、大きな歓声を上げた観衆。その合間に響いたMarinaのシャウトは、いつにもまして伸びやかに会場を突き抜けた。ステージはニューシングルのナンバー「MAZE」で幕を開けた。そのリズム、音圧感ともに「DESTROSEらしい」と、彼女らのファンならだれもが思うであろうストレートなHeavy Metalナンバーだ。新曲ではあるが、昨年の『WOMEN’S POWER Vol.55』あたりから、早くもステージの定番曲としてプレイされているこの曲で、サビではそのリズムで観衆の猛烈な合いの手が入り、サウンドの重圧感をさらに増していった。続いた彼女らの代表曲の一つ「Skykiller」では、Marinaが観衆を猛烈にあおり、強烈なヘドバンの嵐を巻き起こした。
 
「Skykiller」のエンディングに合わせて、Marinaが叫んだ。「こんばんは!DESTROSEです!」そして待望のこの日を迎えたこと、無事ニューシングルをリリースした感謝の辞をMCで伝えた。続いたナンバーは「Lifer 13」「Hearts Grave」と、ファンにはたまらないキラーチューンの連続。Harunamihoの打ち出す重量感たっぷりのビートと、成美Mina隊長が刻む攻撃的なギターサウンドで観衆を攻め立てた。2年前、現メンバーによるDESTROSE復活の第一歩となったお披露目ライブもこの渋谷O-WESTで行われていたこともあり、2年でこのステージにワンマンライブで立てたという彼女ら。その思いの強さを告げるように、復活の狼煙(のろし)として発表されたナンバー「Fenixx」をフロアに炸裂させた。
 
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ステージは一度ブレイクし楽しさを演出したメンバー紹介から、こちらも定番曲である「Headless Goddess」へ。刃物のようなシャープな鋭利性を持つMarinaの声だが、このナンバーの一声は凶悪なまでのデスボイス。つかみの展開を作った一幕から、さらに演奏、パフォーマンスの完成度の高さがここでは披露される。その評価には「ガールズだから」とハンディキャップを考えることなど一切不要。曲としても、サウンドとしても、そしてステージングも高い完成度を誇る。「現存する日本のHeavy Metalバンドでも、ここまでのプレイができるバンドはそうはあるまい」そう思わせるまでに、ステージでは彼女らのバンドとしての完成度を見せつけるプレイが展開された。
 
重量感、攻撃性のあるサウンドこそ彼女らの持ち味であるが、その中にキラリと光るMina隊長のソロも見逃せない。DESTROSEを知り尽くしている彼女だけに、ここぞというところで見せるソロは、単にテクニックをひけらかすような見せ物ではない。流麗なフレーズのあとにも必ず、歌心をしっかりと聴かせるチョーキングやビブラートを聴かせたフレーズが存在し、「ギタリストが歌っている」というイメージをしっかりアピールしてくる。さらに成美とのコンビネーションで見せるツインギターでのハーモニーは、その印象が何倍も鮮明になっており、大きな存在感を示していた。
 
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ステージは中盤へ。照明の落ちたステージで、彼女らは次のプレイのタイミングを待っていた。そのタイミングは、流れたナレーションにより生まれた。この日初公開となった新曲「霖-Rin-」。この曲は、Marinaが「作詞、作曲においてここまで自分を曲に投影したのは初めて」と語る、入魂のナンバーだ。2013年のツアー中に彼女に起こった、突然耳が聴こえなくなったというアクシデント。そこから生まれた彼女の、さらに前に向かおうとする強い思い。この曲はそんな切っ掛けから作られたという。今までのDESTROSEには見られなかったドラマチックな展開の見えるナンバーだ。曲のイメージから受ける抑えきれない衝動を感じながら、観衆はそのプレイをしっかりと見つめていた。
 
リリース以前から既にステージでプレイされていた「MAZE」に対し、「霖-Rin-」がこの日までプレイされなかったのは、新たなDESTROSEの一歩を示すという大いなる野望があったからなのかもしれない。ラストのMarinaのシャウトでしっかりとその情感豊かな世界の幕が閉じられると、観衆から「おおっ!」という大きな歓声とともに、素晴らしいオーケストラの演奏をたたえるような、盛大な拍手がフロアから上がった。さらにまた違うDESTROSEの新しい一面を見せるべくカバーソングのプレイへ。80年代を代表するHard Rockグループの一つ、SKID ROWの「Youth Gone Wild」、そして彼女らが尊敬してやまないSHOW-YAの「FAIRLY」と、Rockファンの好奇心をくすぐる興味深い選曲で、また観衆を沸かせた。
 
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そしていよいよ終盤。『NAONのYAON』、アメリカ公演やファーストフルアルバムリリース、ワンマンライブと激動の1年の振り返りと、これからに向けた新たな決意をMarinaが語り、「Nostphilia」そしてラストナンバーの「Sword of Avenger」へ。彼女の高らかなシャウトを迎え撃つように歓声とヘドバンを繰り出す観衆。演奏がうまい、完成度が高いというレベルを超え、DESTROSEはステージにより大きなエネルギーを生み出すことができる、その証拠ともなった瞬間だ。8ビートの重いリズムと重厚なハーモニーが、聴いている側に「気持ちいい」と感じさせた、そんな雰囲気を会場に充満させた彼女ら。最後はステージ、フロアとも完全にシンクロしたヘドバンで、エンディングを決めた。
 
何度その言葉が響いたかもわからないほどに上がった、アンコールを求める声。そしてSEのサウンドに合わせて再びステージに登場したDESTROSE。何度もこの日を迎えたことに感謝の礼を告げるメンバーたち。その思いを込めるようなアンコールも、彼女らは全力でプレイし、2ndアンコールを迎えた。ラストに披露したのは、この日のステージ最初にも披露した「MAZE」。この場に立った喜び、そして輝ける未来を信じる信念、様々な思いすべてが、彼女らのサウンドとパフォーマンスを後押しした。ステージから放出されたエネルギーは最高潮に達し、この日のステージを締めくくった。
 
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◆公式サイト
http://destrose.net/
◆セットリスト
M01. MAZE
M02. Skykiller
M03. Lifer 13
M04. Hearts Grave
M05. Fenixx
M06. Headless Goddess
M07. Destination
M08. Romancer
M09. Fade Out
M10. 霖-Rin-
M11. Youth Gone Wild
M12. FAIRLY
M13. Nostphilia
M14. Sword of Avenger
encore
E01. Deathless Memories
E02. 破壊の薔薇
E03. MAZE

2013年、DESTROSEを取り巻いた多くの出来事は、彼女ら自身の生活、そしてアーティストとしての位置に対して大きな変化をもたらした。しかしそんな多くの出来事も、この日彼女らが観衆に見せたパフォーマンスに対する評価の、ほんの一部でしかない。そのことは、彼女らのライブを自分の目で確かめた観衆たちこそが感じただろう。
 
年も明けた今日、また彼女らを取り巻く状況は激変していくにちがいない。残念ながらオリジナルメンバーであるMina隊長が、体調の都合によりこの日をもって一時活動を中止するというアクシデントに見舞われたDESTROSEだが、彼女の信念を込めて作られた楽曲、その信念を共有する強力なメンバーたちによって活動を続けるDESTROSEに、迷いは見られない。きっとMina隊長の復帰も、そしてDESTROSEのさらに大きな舞台での活動も、それほど遠い未来ではないことに、疑いの余地はないだろう。
 

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Single『霖 -Rin- / MAZE』
発売中
DESR-0004/1,575円(税込)
FLYINGCAT RECORDS

 

◆ライブ情報
 
『MUSCLE ATTACK 1st LIVE TOUR ~Road Of Muscle~』
2014年02月11日(火祝) 【東 京】新宿 BLAZE
WOMEN’S POWER Vol.56 ~大阪編~
2014年02月23日(日) 【大 阪】心斎橋 ALIVE!
WOMEN’S POWER Vol.56 ~東京編~
2014年03月02日(日) 【東 京】目黒ライブステーション
 
◆トピックス


 
◆DESTROSE、2度目の海外公演が決定!
昨年、初の海外公演(『Editor’s Note…PASSION Mind13(桜坂秋太郎)』参照)を果たしたDESTROSEだが、アメリカはカンサス州のOverland Park Convention Centerで行われるイベント『Naka-Con』に出演することが決定、昨年に引き続き2度目の海外公演を行うことが先日公式サイトにて発表された。昨年の公演でも日本のHeavy Metalバンドとして高い評価を得た彼女らだけに、さらに注目度が高まることが予想される。その動向に、是非注目してもらいた。
 
『Naka-Con』
2014年3月14~16日 【USA】Overland Park Convention Center,Kansas
 

◆関連記事
Editor’s Note…PASSION Mind13(桜坂秋太郎)
http://www.beeast69.com/feature/85431
DESTROSE ONEMAN
http://www.beeast69.com/report/73766
DESTROSE『DESTROSE』
http://www.beeast69.com/serial/simple/65217
BEEAST太鼓判シリーズ第13弾アーティスト『DESTROSE』
http://www.beeast69.com/feature/45175