演奏

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TEXT:chi-chan PHOTO:遠藤真樹

「80年代歌謡ロック」をコンセプトに、キャッチーさと懐かしさを感じさせる「歌謡ロック」を発信し続けているマグヴェリー。バンド名の由来は、ジン(Vocal)の出身地である栃木の名産であるイチゴと、ノブ(Guitar)の出身地である神奈川・三浦の名産マグロを無理矢理MIXさせたという、斬新なもの。こんな掴みどころのない顔を持つ反面、ワンマンライブを次々とソールドアウトさせてしまう実力も兼ね備えている彼らが、12月5日に2年半ぶりのミニアルバム『歌謡ドラマティック』をリリース。そして、12月2日には渋谷club clawlでレコ発ライブ『日曜ドラマティックナイト』を開催した。

先日のインタビュー「BEEAST太鼓判シリーズ第16弾」からはとてもフレンドリーな人柄が伝わってきたが、ステージではそれがいったいどう変化するのか。そして、『歌謡ドラマティック』の楽曲をどう魅せてくれるのか…期待を胸に抱き、会場に入ったが、文字通りドラマティックな出来事が満載となった一夜となった。

マグヴェリー メンバー:
ジン(Vocal)、ノブ(Guitar)、つよぽん(Bass)、カンちゃん(Drums)

 

 

流れてくる往年の歌謡曲と共に、開始を待ちわびるオーディエンス。…と、幻想的なワルツに乗って優雅にメンバーがお目見え。待ちわびていたオーディエンスが熱のこもったクラップでお出迎えすると、「ミラクル☆パワー」でライブはスタート。ジンの歌声が脳天を突き抜けるように場内を駆け巡り、オーディエンスの体をゆさぶる。「素敵ロマンス」で会場の温度をもっと上げたと思うと、なんとノブが、冒頭でジンがマイクを忘れてしまったことを暴露。ジンは「ドジッ子ジンです」とクールに(?)決め、ハプニングもパフォーマンスにしてオーディエンスを萌え上がらせる。

 

 

ここで、ノブからこの日テレビ朝日「musicる」の取材カメラが入っていることがオーディエンスに伝えられる。その後も「炎!!ギャンブラー」「キミトボク」 と、踊れるキャッチーなナンバーを次々と熱演し、会場をマグヴェリー色に染め上げる。『歌謡ドラマティック』に収録されている「ムネドキ!!天国」は、この日初披露にも関わらず、オーディエンスは既に定番曲であったかのように拳で応戦。「いいね! 楽しいね!」と笑顔を見せるメンバーと、彼らの振りとシンクロするようにのっているファンからは、ステージの垣根を跳び越えて通じ合っている様子が伺える。また「ジャッジ」もこの日が初披露。真剣な眼差しで熱っぽく歌い上げるジンの声に、思わず耳を傾けてしまう。つよぽんも猛々しくベースを鳴らす。

 

 

そして、マグヴェリーの芸人顔負けのギャグセンスが存分に発揮されるネタコーナー『日曜ドラマティック劇場』へ。サンタコスプレが妙に似合うジンに、段ボール製のトナカイに扮したつよぽん、つけ鼻を付けて外人になりきるカンちゃん。手作り感満載の小道具が妙に愛おしさを醸し出している。そして、ノブのどうにもこうにも的確なツッコミに他メンバーも時折思わず笑ってしまっている。こうした人柄が、バンドとオーディエンスとの距離をさらに縮めているように思えた。

 

 

マグヴェリーならではのクリスマスムードが作り上げられると、そのまま切なく甘いメロディが印象的な「クリスマスソング」へ。柔らかな歌声が会場を包み込む中、トナカイ姿で演奏するつよぽんや頭にツリーの電飾を付けたままなるべく頭を動かさずにカンちゃんからは、音楽と笑いへの強い美意識を感じられた。

そしてノブのギターとカンちゃんのドラムでの即興演奏を挟むと、「Secret」では会場全体でモンキーダンス、「さよなら優等生」ではタオルを振り回す圧巻の光景が。既にテンションは最高潮。バブルを彷彿とさせるアゲアゲな「バタフライ」では、「楽しくいこうか!」の声に合わせて会場に拍手の嵐が巻き起こった。

 

 

ノブの煽りで「モンスターピーポー」「横濱純情物語」と続けざまに攻め立て、「強引ダーリン」で一撃を喰らわす。会場全体でヘッドバンギング、それを見たつよぽんやカンちゃんの高まるパフォーマンスと、酸欠寸前の激しい熱気が渦巻く。そして本編ラストの「リグレット」では、ファンと気持ちを確かめ合うように、感情豊かに熱演するノブつよぽんカンちゃん。優しげな表情で歌い上げるジンにゆったりと心を委ねていた。

 

 

「マグロ、イチゴ!」のコールに押されて再登場したメンバー。ここでは星空を模した照明に照らされながら“聴かせる”マグヴェリーになり、「星空のランデブー」をセンチメンタルかつ爽快に熱演。本当のラストを飾る「ロックスター」では、ファン1人1人に、またこの日来ることが出来なかった人にも届けるかのように歌っていた。
 

◆セットリスト
M01. ミラクル☆パワー
M02. 素敵ロマンス
M03. 炎!!ギャンブラー
M04. キミトボク
M05. 舞姫ラプソディ
M06. ムネドキ!!天国
M07. ゴージャス
M08. ヒカリ
M09. ジャッジ
M10. シャラルラ
M11. クリスマスソング
M12. Secret
M13. さよなら優等生
M14. バタフライ
M15. 賞味期限
M16. 横濱純情物語
M17. 強引ダーリン
M18. リグレット
-encore-
E01. 星空のランデブー
E02. ロックスター
◆マグヴェリー 公式サイト
http://www.magverry.com/
 
◆インフォメーション
・2013年01月14日(月祝)【池 袋】EDGE
・2013年01月27日(日)【高田馬場】CLUB PHASE
・2013年02月06日(水) 【渋 谷】duo
・2013年02月16日(土) 【新 宿】Ruido K4
 
◆ミニアルバム『歌謡ドラマティック』
発売中 STR-1027/1,800円(税込)

 
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終演後も惜しむかのように「マグロ、イチゴ!」のコールを響かせていたオーディエンス。そして、ラストの「今日は5年間でやってきた中でも本当に最高のライブでした!」というマグヴェリーの言葉。ラストまで、マグヴェリーとファンとの絆が実感できる一時であった。今回彼らの掲げた「ドラマティック」は、まさにこの絆のことなのかもしれない。

 
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【特集】BEEAST太鼓判シリーズ第16弾アーティスト『マグヴェリー』
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【レポート】INO HEAD PARK企画『おっ!トナカイ!?ビッX’masでジングルHELL!!』
http://www.beeast69.com/gig/2193