演奏

Banner

TEXT &PHOTO:桂伸也


先日、『BEEAST太鼓判シリーズ 第15弾 DESTROSE』でも取り上げた、気鋭のガールズ・メタル・グループDESTROSE。記事で伝えたとおり、この11月にリリースされたシングルは、彼女らの次のステップアップに対する大きなカギとなる重要なアイテムだ。そのリリースを記念し、彼女らには一つの聖地でもある目黒Live Stationにてレコ発ライブ・イベントが開催された。来年には現メンバーで初のアルバム・リリースを予定している彼女らにとっては、スターダムへの試金石ともいえる今回のイベント。開始前から緊張は高まる。さらに対バンとしては、元LINDBERGのドラマー小柳”Cherry”昌法が在籍するGLANZと、LIGHT BRINGERの凄腕ベーシストhibiki率いるセッションプロジェクトFox sound lab.という強力な面子が揃い、そのイベント・タイトル以上に彼女らの真価を表すにふさわしいイベントとなった。2012年のクライマックスへの序章とも見えるこの時、DESTROSEは輝かしい未来への扉を開けることが出来るか?彼女らを取り巻く緊張の瞬間を追った。
 

1.SEYLESS(オープニングアクト)
 
◆メンバーリスト:
MUSUBU(Vocal)、YOCHAN(Guitar)、MAKOTO(Bass)、HIROAKI(Drums)
 
Photo Photo Photo Photo

この日トップを飾ったのは、オープニング・アクトのSEYLESS。見るからにカッコいいロックを披露しようと意気込む姿が見られるYOCHAN、MAKOTO、HIROAKI。プレイするのが楽しくてしょうがないという表情が見て取れる彼らの中心で、クールな表情の中に激しい情熱を込めた表情を見せるMUSUBUが歌を聴かせる。そのファッションはスリージー(退廃的)なメタルを彷彿とさせるが、反してサウンドはシャープで骨太。堅実なリズムを作るMAKOTO、HIROAKIの中で、聴かせどころもいっぱいのギターを弾きまくるYOCHANと、ハイトーンな激情ヴォイスを誇りながらも、メロディをしっかりとフォローし、訴えかけるような歌を聴かせるMUSUBUの魅力は十分。イベントの幕開けに相応しいスタートを飾ってくれた。
 
Photo Photo
 
Photo Photo
 

Photo
◆公式サイト
http://x110.peps.jp/seyless/
◆セットリスト
M01. Misery
M02. Dreamy heart
M03. Invisible World
M04. Cry…

2.hibiki Session 「Fox sound lab.」
 
◆メンバーリスト:
hibiki(from LIGHT BRINGER: Bass)、百合(from Albion: Vocal)、Jay(from LIGHT BRINGER: Guitar)、Mao(from LIGHT BRINGER: Keyboard)、タクヤ(from M.E.S.: Drums)
 
Photo Photo Photo Photo

ジャパニーズ・メタルの若手群の中では一歩抜きん出た存在とも言えるLIGHT BRINGER。そのメンバーである超絶ベーシストhibikiが主導となり結成されたテンポラリ・プロジェクトFox sound lab.。セッション・プロジェクトとはいえ、同バンドのメンバーであるJay、Maoと、勝手知ったる面子が揃い、コンビネーションも抜群。オープニングはhibiki、Jay、タクヤの3人によるCUBE-RAYの超絶テクニカル・ナンバー「Spice Circus」をサラッとプレイし、いきなり観衆の度肝を抜いた。超絶技巧派のメンバーが揃っているだけに、弾けない曲はないのではないかと思わせるような勢いで終始フロアを圧倒した。後半にヴォーカルの百合が入っていきなり、石川さゆりの「天城越え」をやってのけるという意外な面を見せたが、これが返って彼らのストライクゾーンの広さを見せ、とらえどころのなさを観衆に見せつける。締めはLIGHT BRINGERの持ち曲2曲をプレイし、自らを存分にアピール。この日のハードルの高さを見せつけた。
 
Photo Photo
 
Photo Photo
 

Photo
◆公式サイト
http://ningen-isu.com/
◆セットリスト
M01. Spice Circus(CUBE-RAY
M02. Child’s Anthem(TOTO
M03. YYZ(RUSH
M04. Ytse jam(DREAM THEATER
M05. 天城越え(石川さゆり
M06. In the end(STARLESS
M07. DIAMOND(LIGHT BRINGER
M08. Resistance(LIGHT BRINGER

3.GLANZ
 
◆メンバーリスト:
TAKAKO(Vocal)、ShigE(Guitar)、sHIGe(Bass)、小柳”Cherry”昌法(以下、Cherry:Drums)
 
Photo Photo Photo Photo

続いて登場したのは、GLANZ。マカオ公演を終えたばかりという彼らは、その疲れを微塵も見せずパワフルなステージを披露してくれた。バンドのイメージとしてはやはりCherryの存在が大きいが、彼を柱としてアピール性も抜群のShigE、sHIGeの両名によるパフォーマンスは、ステージを大きく見せるような広がりを与える。そして、屈強そうな男共の間で歌うTAKAKO。一見、小柄で華奢にも見える彼女だが、マイクを手に観衆にアピールする姿は存在感抜群。百戦錬磨の経歴を持つメンバーに負けない強さすら感じられるステージ度胸と、訴えかけるようなメッセージをしっかりしたメロディにのせて、最後の一音まで歌い切る。
会場を包み込むような勢いと、最後には前を向いて歩かせてくれるような、勇気を与えてくれる優しさ。そんな彼らのプレゼントは様々な8ビートのパターンにのせられ、会場中に振りまかれる。バンドとしての強さ、勢い、旨味のようなものをふんだんに披露し、フロアを最初から最後までずっと興奮させたGLANZ。そのステージの素晴らしさは、そのままトリのDESTROSEに対して、スーパースターとなるために打ち破らなければならない壁として立ちはだかった。
 
Photo Photo
 
Photo Photo
 

Photo
◆公式サイト
http://www.glanz69.com/
◆セットリスト
M01. DREAMER
M02. Like I care
M03. ネガイゴト
M04. The TRUE WAY
M05. ディフェンダー
M06. Ready Go
M07. 冒険者
M08. HAVE A NICE DAY

4.DESTROSE
 
◆メンバーリスト:
Marina(Vocal)、Mina隊長(Guitar)、成美(Guitar)、miho(Bass)、Haruna(Drums)
 
Photo Photo Photo Photo

Photo Photo
 
いよいよこの日の主賓、DESTROSEの登場だ。SEにのって一人、また一人と登場する彼女らの表情には、そこまでに登場したツワモノどもが発したプレッシャーなど微塵も感じさせないほどに晴れやかで引き締まっていたようにも見えた。迷いのないその姿には、十分な気合いと集中力も感じられた。そして、ニュー・シングルのカップリング曲「Sword of Avenger」で幕は開かれた。音源以上の、ライブならではの良さ、迫力を次々と存分に発揮していくDESTROSE。何かに気を取られている様子もなく集中し、彼女らの一番カッコいい部分を観衆にアピール、会場を最高に興奮させていく。
 
Photo Photo
 
Photo Photo
 
そして、この日のクライマックスを作り上げた新曲「Nostphilia」へ。Harunaが叩き出す強烈なイントロから激情感満点のメロディがステージから飛び出していく。DESTROSEとして新しい、かつDESTROSEらしいサウンドが会場を凌駕していく。彼女らが打ち出すビートがフロアの観衆を揺らし、その注意をMarinaに向け、彼女らの新たな歩みに誤りがなかったことを立証した。
 
ラストを目前に、この日を迎えた礼を観衆に告げるMarina。去年の再始動からここまで突っ走ってきての思い、この日を迎えたこと、そして未来に向けての意気込み。それらを一つ一つ語るMarinaの表情は、少し涙ぐんでいたようにも見えたが、それ程までにこの日に賭けた意気込みが強かったことを伺えた。いよいよラストナンバー「Headless Godess」へ。腕も首も振りっぱなしの観衆をさらに痛めつけるように、楽しませるDESTROSE。会場の人間の熱気が一番濃くなった状態でフィニッシュを迎えた。
 
Photo Photo
 
Photo Photo
 
続くアンコールでは大きなプレシャーから解放されたかのようにのびのびと、そして溌剌とした雰囲気で彼女らの定番ナンバーとなった「Fenixx」まで全力投球のプレイを見せ、終始会場を熱い空気で覆ったイベントのエンディングとともに、次への足がかりをしっかりと築き上げた。
 

Photo
◆公式サイト
http://destrose.net/
◆セットリスト
M01. Sword of Avenger
M02. Skykiller
M03. 破壊の薔薇
M04. Hearts Grave
M05. Fade Out
M06. Destination
M07. Nostphilia
M08. Headless Godess
Encore:
EN01. Lifer
En02. Fenixx

SHOW-YAの登場以降、ガールズのハード・ロック/ヘヴィ・メタルバンドは長らく彼女らほどのアピールをする後継者を待たれていたが、昨今はガールズ・メタル・バンドの登場が顕著に見られ、いよいよこのシーンにもニュー・ヒロイン登場が期待できるときがやってきた。その中でも、この日見事にショウをプレイしきったDESTROSEは、それと同時に大きな舞台に立てる可能性を見せてくれた。12月に行われるWOMEN’S POWER SPECIALでいよいよ現存の体制による活動開始後一周年を迎える彼女ら。その前哨戦として、この日も堂々のステージで成長ぶりを見せた彼女らは、そのことをしっかりとアピールした。
 
いよいよ来年は待望のフル・アルバムを出すべくその勢いを増しているDESTROSE。ガールズとして、ヘヴィ・メタル・バンドとして、どこまで上り詰めることができるだろう?メタル・クイーンの地位にかなり近い一バンドだけに、今ぜひ注目すべきバンドであることは間違いな。引き続きその動向を注意深く見守っていきたい。
 


DESTROSE New Single「Nostphilia」
発売日:2012年11月14日
DESR-0002/1,365円(税込)
CD収録曲:
M01.Nostphilia
M02.Sword of Avenger
M03.Heart’s Grave
M04.Nostphilia (Instrumental)


 



◆関連記事
WOMEN’S POWER Vol.53
http://www.beeast69.com/feature/47552
BEEAST太鼓判シリーズ第13弾アーティスト『DESTROSE』
http://www.beeast69.com/feature/45175
水津宏☆還暦までのカウントダウン(笑) ファイナル!!
http://www.beeast69.com/report/30513
WOMEN’S POWER Vol.52 ~東京・大阪 ひなまつりLIVE~
http://www.beeast69.com/feature/14563
WOMEN’S POWER 20th Sp. 2012/1/9@渋谷O-WEST
http://www.beeast69.com/feature/9087
WOMEN’S POWER Vol.52~東京・大阪ひなまつりLIVE!~
http://www.beeast69.com/news/rockinfo/9233
WOMEN’S POWER 2011 2011.12.12@渋谷O-WEST
http://www.beeast69.com/feature/2727
WOMEN’S POWER SPECIAL 2010
http://www.beeast69.com/feature/129
WOMEN’S POWER Vol.49
http://www.beeast69.com/feature/2528
WOMEN’S POWER Vol.48 〜東京・大阪 ひなまつりLIVE〜
http://www.beeast69.com/feature/2525
J’s music Motchy presents 『ロック魂Vol.3』
http://www.beeast69.com/gig/275
The Iron Maidens Metal Gathering Tour Live in Japan 2010
http://www.beeast69.com/gig/196