演奏

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TEXT &PHOTO:桂伸也



結成30周年を迎える日本のヘヴィ・メタル・バンドが続々現れ始めているが、今回紹介するSABER TIGERもまた、長い間に実力をアピールし、日本のヘヴィ・メタル界に君臨し続けているバンドだ。活動の拠点を北海道に置いているということで残念ながらその存在を知らないという人もいるかもしれないが、日本の代表的なヘヴィ・メタル・バンドを挙げるとすれば、その実力と存在感は筆頭株といっても過言ではない。現メンバーの中でオリジナル・メンバーはギターの木下昭仁のみがオリジナル・メンバーだが、元メンバー、現メンバーとも日本の有力バンドとのつながりも広く、日本のヘヴィ・メタル界における彼らの存在がいかに大きいかを示している。近年では自身主催のロック・イベント『HAMMER BALL』等の活動でも広く知られ、ますます日本になくてはならないヘヴィ・メタル・バンドとなっている彼ら。この秋のニューアルバム『Messiah Complex』リリースに向け、そこまでの途中経過を示すべく、この日渋谷でワンマン・ライブステージが繰り広げられた。その強力なライブの模様を、今回は振り返ってみた。
 
◆メンバーリスト:
下山 武徳(以下、下山: Vocal)、木下 昭仁(以下、木下: Guitar)、田中 康治(以下、田中: Guitar)、木本 高伸(以下、木本: Bass)、水野 泰宏(以下、水野: Drums)

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会場暗転と同時に、幻想的なシンセベースのSEが鳴り響く。その音がブレイクすると、フロアからは異常な程の大きな歓声が沸き上がる。メンバー個々の名前を叫ぶ声が上がる一方で、「Oi!Oi」とメンバーの登場を即すリズミカルな声が束になってステージになだれ込んだ。そしてその声は、メンバー登場で更に熱く太い声となった。そしてドラムのカウントともにオープニング・ナンバーの「The Activist’s Creed」へ。けたたましく鳴り響く水野のドラムに合わせ、分厚いベースとギターが突進するような勢いを作り出す。そしていよいよ登場した下山が第一声を上げた。「Tokyo!」
 
重量感とワイルドさを感じさせる木下田中のギター。どちらかと言えばうねるようなラインより、小手先のテクニックなど不要とばかりにザクザクと刻むリフを堅実に鳴り響かせていたが、それがかえって彼らSABER TIGERのサウンドに凄みを与える。ヘヴィ・メタルという音楽の課題であるメタリックなサウンドを作り出すのに、これほどまでの常套手段はない、というくらいにマッチしたギターはSABER TIGERの看板ともいえるだろう。そして下山のヴォイスが、そのサウンドを決定づける。飛びぬけたハイトーン・ヴォーカルをずっと張り上げているわけではないが、その声の太さは、世界基準に達する優れた感性を持つバンドという印象を与えてくれる。
 
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一曲目の「The Activist’s Creed」から「Black Fang」へと、強烈なビートで押しまくった序盤だったが、続いた「BIONIC」では、テンポをミディアムに変えながらも、その分ヘヴィネスを増量、あくまでヘヴィ・メタルの美味しい部分を前面に押し出し、フロアの観衆をノックアウトしていく。どんなリズムでも、SABER TIGERのサウンドを成立させる下山のヴォイスと、木下田中のギター。その彼らをしっかりとサポートする水野木本のリズムセクションは、絶対的な安定感すら感じさせる。彼らのナンバーは楽曲としての完成度もさることながら、ライブで受ける抑揚感が素晴らしく、筋金入りのヘヴィ・メタル・ファンが思わずヘッド・バンギングをせずにはいられないほどに、気持ちを揺り動かす魅力を持っている。しかも、彼らのライブ・パフォーマンス自体にも変に観衆をあおろうとする必要もない、絶対的な自信すら感じられ、何の迷いもなく観衆がそのゾーンに入っていけるような世界をそこに作り上げる。
 
間に挟まれた下山のMCは、バンド・サウンドのヘヴィさと比較するとまるで気心の知れた仲間に語りかけるようなアットホームな雰囲気。大きなギャップを感じさせるかもしれないが、作り上げたようなネタを披露するでもないその語り口は、フロアとの親近感を作り上げ、観衆がライブのプレイで感じる興奮をさらに大きくしていく。ハード、ヘヴィ、ワイルドと、ヘヴィ・メタルらしさを強く印象づける彼らだが、ライブでその雰囲気をさらに強く感じさせる秘密は、実はそんなところにあるのかもしれない。
 
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中盤、下山が海外でのエピソードからこのライブに先駆け行われたHAMMER BALLの話と、彼らの周りがにわかに騒がしくなりつつあることを伝えた。バンドが大きな手応えを感じていることは彼の話からも明らかで、今後の彼らの行く末を大いに期待させてくれた。そしてクライマックスへの前哨として、「Fading, Crying Star」「Two Dimensional Sky」の2曲を立て続けに決めた。この2曲は、ここまでの曲とは全く雰囲気が異なる、どちらかというとヘヴィ・メタル創世記に作られた作風にも見られたが、彼らが作りプレイしつづけることで、彼ら自身と同化していることは、変わらないフロアの盛り上がりを見ても明らかだ。
 
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いよいよステージはクライマックスへ。田中木下のギター・リフが絶妙に絡む「Hate Crime」へ。このライブのタイトルにもなっているナンバーだけに、ここは盛り上がらぬはずはないとばかりに会場全体が一体となって揺れる。そこからブレイクでフロアとのコール・アンド・レスポンスを仕掛ける「Money」で会場とともにコーラス合戦のバトルを繰り広げると、会場はさらにヒート・アップ。下山の声が徐々に高音の鋭さを研ぎ澄ましていく。いま日本のヘヴィ・メタル・ヴォーカリストの中でも、彼ほど骨太で、荒々しい雰囲気を持ちつつメロディをしっかりと歌いきるヴォーカリストが他にいるだろうか?最後のナンバー「THE HAMMER」を目前に、下山の声が、またフロアを鼓舞する。「おいTokyo!もう一発いけるか!?いけるよな!!」その声に大きな歓声で応えた観衆は、約束通りこの超スピードのナンバーに全力で立ち向かった。観衆に立ち向かうバンドと、負けじと応戦する観衆。強烈なアクティブさを会場全体で作り上げ、ステージは有終の美を飾った。彼らがステージを降りても、彼らを呼ぶ声は、絶えることなく続いた。
 
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ステージから彼らが去っても、心から物足りないと感じた観衆は、絶え間ないアンコールをステージに浴びせ、再び彼らをステージに引き出した。この日の礼を、下山は次のように語った。「時計を見てびっくりしたんだけど、もう2時間経っているんだよ!それが長く感じないなんて、いいライブだと思わないか!?」その言葉に心からうなずくよう、観衆がその声に大きな歓声で応えた。その言葉を証明するかのように、もうフラフラという様子など微塵も感じさせないようなアンコールが始まった。ステージとフロア、どちらも引く様子を見せず、アンコールは3度に亘って行われ、トドメには怒涛の「ANGEL OF WRATH」へ。「Tokyo!今日はありがとう!感謝します!また会おう!」という下山の言葉と、5人そろっての礼によりステージは幕を下ろしたが、最高のステージを繰り広げてくれた5人に対して、観衆はいつまでも彼らに送る拍手を止めようとはしなかった。
 
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◆ライブ情報:
『SABER TIGER presents“FAN感謝DAY 2012”』
2012/12/24 札幌 KRAPS HALL
『SABER TIGER TOUR 2013 ~Messiah Complex~』
2013/02/01 広島 ナミキジャンクション
2013/02/03 大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
2013/02/08 名古屋 HeartLand STUDIO
2013/02/10 東京 LIQUIDROOM
2013/03/2 札幌 PENNY LANE 24
◆ 公式サイト:
http://www.sabertiger.net/

◆セットリスト:
M01. The Activist’s Creed
M02. AT THE FRONT
M03. CROSS YOUR HEART
M04. VIRTUAL UNREALITY
M05. Black Fang
M06. BIONIC
M07. DEFYING GRAVITY
M08. REMINISCENCE
M09. AVENGER
M10. Fading, Crying Star
M11. Two Dimensional Sky
M12. HateCrime
M13. Money
M14. FIRST CLASS FOOL
M15. THE HAMMER
1st Encore
E01. HARD WIRE
E02. PAINTED RED
2nd Encore
E03. The Vague Blessings
E04. 屈辱
3rd Encore
E05. ANGEL OF WRATH

この日のMCの一部で下山は、海外の評価と今後の意思を語ったが、それが嘘でない証拠に彼らのサウンドには国内では収まらない世界基準のスケールの大きさが感じられる。熱さにまみれながらも、そのどこかクールで重々しい空気を醸し出すそのサウンドは北の大地で育まれた。サーベル・タイガーといえば、氷河期に生息した食肉獣。その名が示すように、彼らのサウンドには大きな牙を感じさせる鋭く危険な色さえ見えてくる。しかしその荒々しさは決して人々を威圧させるものではない、獣のような牙を持てと人々を鼓舞するものであることを、彼らはこのライブで示してくれた。ステージが展開するたびに大波のように大きな動きを見せるフロア、それこそ彼らから勇気の牙を授かり、自らを獣のごとく解放し暴れていた観衆たち。彼らは、プレイが終わってもSABER TIGERの名前を叫び、絶え間無い拍手を逆にステージに浴びせ、彼らのステージが最高だったことを彼ら自身に示した。
 
リリースも完了し、年明けにはいよいよ待望のリリース・ツアーが始まるSABER TIGER。さらに大きな希望をその先にも待たせている彼らは決して今の位置に甘んずることはなく、また彼らの牙をむき出しにして戦い続けることだろう。多くのファンたちの、彼らを望む声を自らの糧として。
 

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SABER TIGER Latest Album
『Messiah Complex』

YZSS-30005/3,500円(税込)
発売中

 

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