演奏

TEXT:桂伸也 PHOTO:N-yukano

先日、BEEAASTでもレポートしたCONCERTO MOONによる炎の三番勝負と銘打たれたイベント。第一回に引き続き、第二回が8/26、渋谷のBOXXにて行われた。今回CONCERTO MOONと対する相手は、日本ハード・ロック界では殿堂入りともいえるスーパーグループ、EARTHSHAKER。共にハードなロックサウンドの中に、強烈な印象を聴くものに刻み込むメロディアスなヴォーカルを有している部分など、両バンド間には持ち味に共通した部分も多い。その意味で今回も真っ向勝負の強力な対決カードとなった。日本のロックを支えてきたものと、これからのロックを支えるものの熾烈な両雄対決、その結末やいかに!?かくして幕は開けられた。

1.CONCERTO MOON
 
メンバーリスト:
島紀史(以下、:Guitar)、久世敦史(以下、久世:Vocal)、長田昌之(以下、長田:Drums)、三谷耕作(以下、三谷:Support Bass)
 
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第二回めの勝負を迎え、この日のCONCERTO MOONは気合い十分。オープニングからいきなり「DREAM CHASER」「DON’T LEAVE ME NOW」と強力なナンバーをたて続けにフロアにお見舞いする。個々のメンバー共に鬼気迫る表情がみなぎっていたが、中でも久世の目は鋭く輝く。左手で力いっぱいにマイクを握り締め、右手ではまるでオーケストラの指揮のようにそのメロディの抑揚感を表現し、曲の表情を深く、激しく表していた。
 
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「元気ですか!ようこそ炎の三番勝負へ!」猛暑逆巻く暑い季節を吹き飛ばしてしまうような熱い言葉をフロアに投げかける久世。フロアの観衆は皆腕を振り上げ、CONCERTO MOONのサウンドに応えていた。日本で最もカッコイイギターを弾くトップギタリストの一人であるのプレイはこの日も冴え、力強く鳴り響かせる。華麗にフィンガーボードの上を舞う指。Ritchie Blackmoreのカッコよさを継承し、クラシカルでキャッチーな面を見せながらも、あくまでロック、ヘヴィ・メタルの力強さ、荒々しさを忘れない強力なサウンドが、この日も炸裂。絶対的なグルーヴを司る三谷、長田のリズムセクションも、ガッチリとボトムを支え、揺るがないサウンドの中心を担っていた。
 
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ここまで全く引く気配を見せないCONCERTO MOON。そのスタイルこそ彼らのサウンドの醍醐味といえるスタイル、ファン達もそのことをしっかりと知り尽くしているだけに、大きく腕を振り上げることで応える。しかし、今回は一味違った嗜好として、「LAST BETTING」のイントロで、幻想的な空気を漂わせる。メロディアスなベースラインをつむぐ三谷の上を踊るようなのギター。そこに続くプレイの中にも、絶妙な緊張感を匂わせる。今までの“勝負”を感じさせる力強い暴れ系サウンドとは違った雰囲気で会場を包み、新たな展開を手の内として持ち込んだのかもしれない。
 
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いよいよクライマックス。押しまくる彼らのスタイルが貫かれようとしている。もはや絶対的な信頼を寄せるメンバー間のコンビネーションの中で、フロントを務める久世自身の迷う表情は微塵も感じられない。さらに声につややかで輝きを増した表情を見せるシャウト。のギターとあいまってさらに印象を深めていく。そして最後は「TAKE YOU TO THE MOON」へ。その強力な盛り上がりで、日本ハードロック界の帝王EARTHSHAKERに一矢報いた強力なステージを展開した。
 
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2.EARTHSHAKER
 
メンバーリスト:
西田昌史(以下、MARCY:Vocal)、石原慎一郎(以下、SHARA:Guitar)、甲斐貴之(以下、KAI:Bass)、工藤義弘(以下、KUDO:Drums)
 
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登場のSEが会場に流れ始めただけで、場内には大きな熱気が巻き起こる。そのリズムにのってクールに登場したEARTHSHAKERの面々。SHARAのギター・イントロが印象的な「T-O-K-Y-O」からステージは幕を開け、いきなり「これは盛り上がらずにはいられない」という雰囲気が会場を包む。
嬉しそうな表情をしたMARCY。そしてたて続けに彼の「WHISKY!」という叫びから「WHISKY AND WOMAN」へ。グルーヴィーなリズムと、せつなさをたたえたメロディ。もう20年以上も人々に親しまれたこのメロディは、まるで条件反射的に観衆の興奮を呼び起こす。
 
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「Oh,Yeah!こんばんは、EARTHSHAKERです!」MARCYが、まるで親友にあいさつをするように観衆に語りかける。力いっぱい全力疾走で駆け抜けたCONCERTO MOONに対し、ベテランならではのリラックスしたステージング。その貫禄が返ってサウンドの厚みを倍増させ、フロアの観衆をワクワクした気持ちにさせる。来年で結成30周年を迎える彼らだが、ここに表されたプレイは、正しく彼らが刻んできた年輪の深さそのものだった。
そしてMARCYの「火をつけろ!Start your engine!」という叫びと共に、昨年発表された新曲「PRAY FOR THE EARTH」「火の鳥」へ。それに続いたのは、かつてスーパースターを夢見て彼らが努力し続けたときを振り返った思い出と共にプレイされたバラード「GARAGE」。今、新たなステージへのステップアップを目指すにあたり、新たな決意を固めるための原点回帰ともいえる様相を呈していた。絶対的な歌唱力を持つMARCY、揺ぎないボトムを支えるKAIのベースとコーラス、前に進む力を感じるKUDOのドラム、そして輝き続けるSHARAのギター。
 
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ステージは後半に入り、彼らの代表曲をたて続けにプレイするスペシャル、ステージとなった。ウーマン・トーンを利かせた甘くせつないギターの音色が印象的な「FUGITIVE」から、EARTHSHAKERのライブでは恒例のドラム・ソロへ。ときに激しく、ときにマーチのように勇ましく。観衆とのコールアンドレスポンスもしっかりと決め、観衆から大きな拍手喝さいを浴びる。そして、「俺達は、この曲から始まったんだ!」というMARCYの叫びから「EARTHSHAKER」へ。ステージに向かってフロアから何本も力強く腕が伸びていく。サビの「EARTHSHAKER!」というフレーズでは、さらに観衆が彼らを力強く指差す。激しくうねりを利かせるベースから、ドラマチックなギターがまた展開していく。
 
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そしてクライマックス。「あのメロディ」と一部分を聴いただけでわかる「MORE」のイントロがSHARAのギターから流れると、ウォーッ!という歓声がフロアから沸きあがる。激しさとせつなさを併せ持つ、ハードなEARTHSHAKERを表した秀逸なナンバーだ。クライマックスを迎えるにあたり、これ程適切なナンバーがあるだろうか?そしてラストナンバーは、MARCYの「最後に皆でデカイ声で歌おうぜ!」という叫びと共に流れた、「RADIO MAGIC」。ポップでキャッチーなメロディとハーモニー。それとは裏腹に哀愁味を込めた詞の流れに、観衆はそれぞれの胸の内にある思いを込め、ほぼフルコーラスを会場全員で歌う。サビの「Wonder Radio!」を叫ぶ。人々の思いを正しくそのRADIOは捉え、BOXXの会場から空に放たれたような解放感を見せた。後にすがすがしい空気を残し、彼らはステージを降りた。
 
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彼らが去った後には、割れんばかりのアンコールをせがむ声と、拍手が鳴り響いた。その声に応じ再びステージに登場した4人。この日の礼をMARCYが告げ、アンコールとしてプレイされたのは「記憶の中」。まるでステージがスタートにリセットされたくらいに、アクティヴで気持ちを高揚させてくれるようなマーチ風のリズムが会場を包む。

3.セッション
 
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EARTHSHKERがアンコールに応えた後も、観衆の歓声は止まらなかった。さらなる興奮のときを作るべく、MARCYから、CONCERTO MOON久世がステージに呼び出された。久世も自分達の大先輩とステージを共にできることに対して少し緊張気味にも見えたが、その光栄な立場にいられることに対し、その何倍も興奮と喜びに満ち溢れていたようにも見えた。そしてラストのセッション曲として選ばれたのは、島のほうから提案されたという、EARTHSHAKERの「COME ON」。先程の「記憶の中」に続く、人々に立ち上がる元気と勇気を与えてくれるような、アクティヴな空気が、さらに観衆を興奮の坩堝へと誘う。貫禄十分のMARCYの声に触発されて、久世の声も伸びやかに会場に響く。SHARAのギターバッキングは厚み、聴き応え十分で、ギターソロもまるで襲い掛かるように強烈なのソロに対し、SHARAのギターソロは、もう歌メロと同じくらいに完成された流れが、揺ぎ無い聴き応えを作り上げていた。まるでその夢のようなステージは、こうして幕を閉じた。
 
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◆セットリスト
CONCERTO MOON
M01.DREAM CHASER
M02.DON’T LEAVE ME NOW
M03.WE GET TOGETHER
M04.LONERY LAST JOURNEY
M05.SHINING LIGHT OF THE MOON
M06.THE LAST BETTING
M07.FROM FATHER TO SON
M08.LOST IN THE DARK
M09.TIME TO DIE
M10.TAKE YOU TO THE MOON
 
EARTHSHAKER
M01.T-O-K-Y-O
M02.WHISKY AND WOMAN
M03.PRAY FOR THE EARTH
M04.火の鳥
M05.GARAGE
M06.FUGITIVE~Dr.Solo
M07.EARTHSHAKER
M08.WALL
M09.MORE
M10.RADIO MAGIC
Encore
E01.記憶の中
 
Encore(Session)
E01.COME ON

 


 

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◆ 公式サイト
 
CONCERTO MOON
http://concerto-moon.com/
 
EARTHSHAKER
http://www.earthshaker.jp/

 

かくして壮絶なバトルは幕を閉じた。人々の胸に残るメロディを、衝撃的なサウンド共に叩き込むバンドとしては、今日本でも秀でた特徴を持つ彼らだが、ロックの「単にうるさい音楽」という悲劇的なイメージを壊してしまうような、見事な勝負だった。この日、観衆の中には本誌ではすっかりお馴染みのKelly SIMONZがゲストとして来場していたが、EARTHSHAKERがラストの「RADIO MAGIC」をプレイしていたとき、彼もその歌を聴きながら、歌を口ずさんでいた。80年代のロックに強い影響を受けた彼にとっては、正にこのナンバー、そして彼らのプレイは垂涎モノ、たまらない一時だったに違いない。そんな彼が象徴するように、EARTHSHAKERのプレイは会場の観衆を虜にし、MAGICのような一時を与えてくれた。彼らの後に続く若きCONCERT MOONもそれに負けじと溌剌としたプレイを見せ、場内に爽快な風を吹かせた。特にお互いに敬意を払うようにプレイされた「COME ON」では、曲調とあいまってまるでハードロックというカテゴリの中での仲間達がお互いにタッグを組み、「まだこれからや!もっとロックを盛り上げていこうぜ!!」と、皆を後押ししてくれているようにも見えた。人それぞれの人生に活力を与えてくれるロック、その醍醐味を見せてくれた彼ら2バンドは、共にこの日の勝者といっていい。さらなる勝利を確信し、勝負は続く。次に彼らの前に立ちはだかるものは、果たして...?


 

東京音協主催 今後のライブ予定
 
1)ACCEPT『STALINGRAD WORLD TOUR 2012』
日時及び会場
2012年11月25日(日)18:00開演 東京:品川プリンス ステラボール
2012年11月26日(月)19:00開演 名古屋:ボトムライン
2012年11月27日(火)19:00開演 大阪:梅田クラブクアトロ
席種料金:立見-7500円
詳細内容:
※スタンディング、入場時ドリンク代別途必要。
 
2)Dos a tres caidas ! ~コンチェルト・ムーン炎の三番勝負~
日付・曜日:2012年10月28日(日)18:00開演
会場:Shibuya BOXX
席種料金:立見4,500円(前売り)[出演及びメンバー]
UNITEDhttp://www.united-official.com/
ken-shin(Vocal)吉田”Hally”良文(Guitar)大谷慎吾(Guitar)横山明裕(Bass)Akira(Drums)
コンチェルト・ムーンhttp://concerto-moon.com/
島 紀史(Guitar)久世敦史(Vocal)長田昌之(Drums)三谷耕作(Bass ※サポート)
詳細内容:
※入場時ドリンク代別途必要。
 
お問合せ:
東京音協 03-5774-3030

 

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OUTBREAK7周年&長沢生誕記念 島紀史・長沢共同企画イベント
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密着レポート第3弾Concerto Moon「ANGEL OF CHAOS」ツアーファイナル
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Let The Music Do The Talking ?テイク9「島紀史(CONCERTO MOON)」
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CONCERTO MOON 関東5Days
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Dos a tres caidas ! ~コンチェルト・ムーン炎の三番勝負~Vol.1 2012/6/23 @Shibuya BOXX
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密着レポート第8弾 EARTHSHAKER「PRAY FOR THE EARTH 」
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絆フォーエバー ~素敵にいい夜~ 第2回 石原“shara”愼一郎&大谷令文
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