渋谷O-EASTの会場に到着すると、すでに入場待ちのオーディエンスが道にあふれていた。今日のイベント『SUPER ROCK BOMB!〜Hard & Soul〜』は、組み合わせが面白い。BOWWOW・Ra:IN・SEX MACHINEGUNSというラインナップは初めてだろう。オーディエンスもお目当てのバンド以外に、ネームバリューのあるバンドを観るのが楽しみに違いない。会場に入ると、ステージ上に設置した2台のドラムセットに目がいく。バスドラムのバンドロゴかららして右手側がRa:IN。左側は今日のオープニングアクト快進のICHIGEKIのセットと推測できる。
開演時間になり、和風のSEに乗って登場する快進のICHIGEKI。衣装も袴を意識したもので、見た目も和風で統一している。メンバーは、コータ(Vocal)・ひさっち(Guitar)・潤(Bass)・佑一(Drums)。演奏が始まると、なぜ今日のオープニングアクトに起用されたのかがよくわかる。あふれる若さと高い技術を持ち、かなりヘヴィなナンバーをプレイしているのだが、歌がとても聴きやすく、初めて観る人にも十分なインパクトを与えている。なんでも反対側の会場である渋谷O-WESTでのワンマンも決まっているとか。O-WESTでワンマンができるというのはすごいこと。バンド次へのステップアップに、今日のオープニングアクトの経験が生かされるのは間違いない。
http://kaishinnoichigeki.com/
【セットリスト】
M01.拘束ルート
M02.バイバイダンサー
M03.さびしんぼクライ
M04.音座芸夢
M05.ダイヤモンドライヴ
大歓声の中、次に登場するのはSEX MACHINEGUNS。言わずもがなの悶絶ヘヴィメタルバンド。メンバーは、ANCHANG(Vocal & Guitar)・KEN’ICHI(Drums)・SHINGO☆(Bass)・SUSSY(Support Guitar)。今日のイベントでは若手ということで、早めの出演になったようだ。SEX MACHINEGUNSは、Deep Purpleのように第何期というくくりでファンにはおなじみ。数々の名作といえる作品を残してきた。こうしてANCHANGとSUSSYのからみを観ていると、デビュー当時のライヴを思い出す。私はステージアクションのフォーメーションが大好き。SEX MACHINEGUNSは、全曲フォーメーションが楽しめるのがすごい。オーディエンス(マシンガー)も強烈なヘッドバンギングでバンドを支える。
http://www.sexmachineguns.com/
【セットリスト】
M01.みかんのうた
M02.ONIGUNSOU
M03.プライド
M04.ファミレスボンバー
M05.桜島
M06.BURN(GERMAN POWER)
続いて登場するのはRa:IN。メンバーは、 PATA(Guitar)・michiaki(Bass)・Tetsu(Drums)・DIE(Keyboard)。アグレッシブでモダンなインストロック。各メンバーの演奏のうまさは圧巻。しかし高度な演奏をしつつも、ステージアクションは過激でパンキッシュだ。DIEはベースアンプの上に乗ったり、ドラムの上に乗ったり、ショルダーキーボードを持って暴れまくる。michiakiは長身で少女漫画から出てきたような雰囲気ながら、客席のオーディエンスをベッドのようにして演奏したり、床やモニターにベースを叩きつけたりと好き放題。Tetsuのドラムも最後にはぶん投げてしまう。一人落ち着いて演奏するPATAは、トレードマークのレスポールの他にダブルネックを弾いてくれる。
http://rain-web.com/
【セットリスト】
M01.Circle
M02.Crying
M03.Thrillin’ High
M04.Indicator To The Future
M05.WITHINYOU
M06.Bombay’s Boogie
いよいよ今日のラストバンド、BOWWOWが登場する。メンバーは、山本恭司(Vocal & Guitar)・斎藤光浩(Vocal & Guitar)・新美俊宏(Drums)・DAISUKE(Support Bass)。シンプルなドラムセットが主流の今、多点セットは珍しい。何よりもそこに目がいく。樋口宗孝亡き後、今も多点セットがウリのドラマーは、新美俊宏しかいないのではないだろうか。6インチのハイタム(※ドラムセットのパーツの1つで小さいタム)からの、フィルイン(※オカズと呼ばれる通常のリズムパターンとは違うフレーズ)は、多点セット好きにはたまらない。それにしてもBOWWOW、演奏の安定感がずば抜けている。歌もよく聴こえるしセットリストも良い。改めて日本最高峰のロックバンドであることに敬意を表したい。
http://www.wildland.co.jp/bowwow/
【セットリスト】
M01.Fallen Angel
M02.Rock Me
M03.20th Century Child
M04.R&R Swindler
M05.Still
M06.Get On Our Train
M07.Theme Of BOWWOW
アンコールで登場した山本恭司がセッション宣言。メンバーを呼ぶと「SUMMER TIME BLUES」をスタート。EDDIE COCHRANのオリジナルよりも、THE WHOのカヴァーが有名なこのナンバーで、山本恭司・PATA・ANCHANGのトリプルギターが炸裂。そして新美俊宏とTetsuのツインドラム!これはすごい。ベースはmichiakiで、メインボーカルは山本恭司が取る。曲途中のギターバトル大会では、大御所を前に遠慮がちなANCHANGが妙に微笑ましく楽しい。山本恭司も、時々ヘッドバンギングを決めながら、終始にこやかに弾いている。PATAの味わい深いギターはセッションでも個性的に光っている。終わりそうで、なかなか終わらないというエンディングを繰り返し、最後はTetsuのドラムセットを壊すパフォーマンス。michiakiがバスドラムを蹴飛ばして客席へ落とすと本当のフィニッシュ。
想像していたよりも、『SUPER ROCK BOMB!〜Hard & Soul〜』のイベントは熱く、まさにハード&ソウルを感じることができた。出演バンドは個性がしっかりしていてブレがまったくない。このようなイベントが継続的に開催されるとうれしい。オーディエンスだけでなく出演バンドのメンバーも、今日のイベントを楽しんだに違いない。普段のステージでは観ることのできないような顔を、最後のセッションで観ることができた。山本恭司が笑いながらANCHANGのギターをいじって遊んでいた光景がよみがえって、渋谷の雑踏を一人ニヤリとしながら帰路に着いたことは内緒だ。