演奏

Phil Lewis & Keri Kelli

TEXT:Yuji-Rerure-Kawaguchi PHOTO:万年平男

日本では「L.A.メタル/ヘアーメタル」と呼ばれる音楽ムーブメントがある。その名の通りへヴィーメタルムーブメントの1つで、80年代〜90年代に登場したGuns ‘N Roses, Mötley Crüe, RATT, Dokken, Poison, Cinderella, Skid Row… 等々(まだまだ沢山挙げたい!)のバンドが一斉に活躍し、シーンとして築き上げた。ロン毛に化粧のグラマラスなファッションで固めた野郎達が、ド派手なライヴパフォーマンスを繰り広げる。ルックスを反映するかの様な軽快なアップビートに、ザクザクしたリフを絡め、歌詞は楽しけりゃ最高!なノリ重視が多い。
 
今「L.A.メタル/ヘアーメタル」のレコードを改めて聴いてみると、その時代性をも掴めてしまいそうな、1つの文化を真空パックしたサウンドを楽しむことが出来る。余談となるが、昨年来日したSteel Pantherというアメリカのバンドが、「L.A.メタル/ヘアーメタル」のオマージュバンドとして現在大活躍している。気になる方は要チェック!
 
さてそのムーブメントの中、L.A.Gunsはワイルドでありながら、口ずさめるナンバーでヒットを飛ばした。そのL.A.Gunsの看板アーティストとして長年活躍しているPhil Lewis(Vocal)が来日!パートナーはL.A.Gunsにも一時期在籍し、泣く子も黙るロック界の重鎮Alice Cooperのバンドや、多くのロックミュージシャンと競演しているKeri Kelli(Guitar)だ。まさにスペシャルカップリングの来日。会場となる高円寺HIGHは、昨年の春頃に新しく出来たライヴハウス。天井がとても高く、音楽ホールのような開放感を味わうことが出来る会場だ。
 
会場に入ると、ムーブメントをリアルタイムで駆け抜けてきたと思われるオーディエンスが、ステージを見つめ開演を待ち望んでる。この日はメインアクト以外にも、日本のバンドが登場する。オーディエンスに比べると、出演者は若い世代の様子。カルチャーは回っている事を示唆しているようにも見える。20代のミュージシャンが、自分達が生まれた頃の「L.A.メタル/ヘアーメタル」ムーブメントに触発され、その音楽文化に興味を持ち、アプローチしているのは大変興味深い。
 
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会場が暗転し、フロアからの暖かく乱暴な拍手から1番目のQuiet Roseがスタート。メンバーは、TAKAHIRO(Vocal)・chihiro(Guitar)・KAZUKI(KAZUKI)・u-suke(Drums)。白いフライングVと足には「神風」と共に日の丸をあしらったバンダナを巻いているchihiro、赤パンツにバンダナそしてサンダーバードを構えたKAZUKIのビジュアルが目に付く。Skid Row系のザクザクしたリフを刻み出し、随所でオーディエンスを手拍子・シャウトで煽るステージングに、ムーブメントに対する愛情たっぷりのオマージュを感じたのは私だけでは無いだろう。彼らは1989年生まれの若干21歳…。これからの活躍に期待!

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【Quiet Rose 公式サイト】
http://id33.fm-p.jp/355/quietrose666/

【セットリスト】
M1.Get Your Gun
M2.Through The Night
M3.Sweet Nightmare
M4.Rock It Up
M5.Dance With The Devil

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2番目は紅月(AKATSUKI)。メンバーは、SHOHEI(Vocal & Guitar)・Ori(Bass)・(Drums)。ポップなリードギターの旋律を武器に、LUNA SEA, X JAPAN, DEAD ENDから影響を受けたというSHOHEIの話通り、聴かせる歌メロを放ち、特殊な怪しさを放つバンドだ。世界観を持ったボーカルを披露してくれる。はスティック回しを難なくこなしながら叩きまくるパワーヒッター。SIAM SHADE淳士からの影響が強いらしく、ツインペダルではなくこだわりのツーバスだ。Oriは実はサポートメンバーで、MCではシュールな笑いを取りながら、今日がラストライヴとのこと。紅月がきっかけでバンドを始めたという彼に、ファンから花束の贈呈。今後は、BassとGuitarが新しく加入し、4人編成のバンドになるとのこと。SHOHEIはまだ20歳!1番目のQuiet Roseと同世代だ。

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【紅月 公式マイスペース】
http://www.myspace.com/akatsuki.z

【セットリスト】
M1.アダム
M2.和風純愛歌
M3.Moon
M4.Voice
M5.想
M6.平和主義者

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DJ Mar-Washがロック超定番ナンバーでフロアを盛り上げる中、3番目のTHE LEXが登場。メンバーは、HIDEKI(Vocal & Guitar)・#2(Bass)・TATSUYA(Drums)そしてサポートのKeirry(Guitar)。ノースリーブTシャツ、バンダナ、豹柄のエクスプローラー、サンダーバード、全員サングラス…完璧じゃないか!どこか微笑ましいハジけまくりのステージング!観ていていちいち反応してしまうアクション!これだよ…これが「L.A.メタル/ヘアーメタル」だ!MCでもキャラを崩さずイケイケなその世界観を維持。 楽曲もザクザクなリフをキメたラウドな曲も有り、ステージングだけでなく演奏面もしっかりしている所を見せ付ける。ラストナンバーではHIDEKIがギターを捨てて自由に駆け回り、最後までTHE LEX流パーティで突き進む。

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【THE LEX 公式サイト】
http://a-babe.plala.jp/〜lex/

【セットリスト】
M1.Let Me Go
M2.No War
M3.Blue Sky
M4.Destroy
M5.Oh Right
M6.Burning Flash

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4番目はBABYLON STAR。メンバーは、YUU(Vocal)・MILO(Guitar)・AKIRA(Bass)・TOSHIYA(Drums)。レスポールをどっしりと低い位置で構えたMILOは、兎にも角にも徹底的に弾き倒すタイプのギタリストだ。楽曲は軽快なカウベル・リズムが随所に散りばめられ、切れが良いリフをガンガン撃ってくる。それに対しYUUのしっかりと強調されたメロディーが乗せられるところが強く印象に残る。TOSHIYAはシンバルの扱い方が派手でカッコいい。3曲目のラストには、「I Shot The Sheriff」のリフを持ってくる等遊び心も満載。イベントの流れをかっちりと掴みながら、独自のBABYLON STARワールドを繰り広げてくれる。

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【BABYLON STAR 公式サイト】
http://babylon-star.com/

【セットリスト】
M1.Slave
M2.Sweet
M3.Liar
M4.Feel Up
M5.Juliet
M6.Peel The Skin
M7.Naughty

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Guns N’ Rosesの「Welcome to the Jungle」がフロアを盛り上げているところで暗転。いよいよ本日最後のPhil Lewis & Keri Kelliだ。バックメンバーは、BABYLON STARMILO(Guitar)・ACE OF SPADES, ex.PUMPKIN HEADSRyuzy(Bass)・ex.PUMPKIN HEADSKabu(Drums)。Kabuがスネアでビートを叩き始めるとメンバーが登場してくる。ワインを片手に現れたPhil Lewis。何から始まるかと思いきや、1曲目はCheap Trickの「Hello There」だ!盛り上げ方を知っている!そのままAlice Cooperを含むカヴァー曲を惜し気もなく披露してくれる。

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ファックイエーを連発したMCの5割は酒の話。バックメンバーが即興で3コードセッションをしたり、想定外の演出も楽しい。「Born To Be Wild」ではKeri Kelliの切れの良いチョーキングが炸裂し、「Jailbreak」ではKeri Kelliが歌も担当。後半はいよいよL.A.Gunsのナンバーだ。名曲「The Ballad Of Jayne」ではPhil Lewisも ギターをプレイ。「Never Enough」「Sex Action」で一気にヒートアップ!その時代を表現している象徴的な曲である。「Rip N’ Tear」で本編を終え、アンコールは「No Mercy」というファンにはたまらないセットリスト。駆け抜けるように白熱のステージの幕を閉じた。

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【Phil Lewis & Keri Kelli 公式サイト】
・Phil Lewis(L.A.Guns)
http://www.laguns.net/
・Keri Kelli
http://www.kerikelli.com/

【セットリスト】
M1.Hello There
M2.Under My Wheels
M3.School’s Out
M4.I’m Eighteen
M5.Walking The Dog
M6.I Just Want Make Love To You
M7.Born To Be Wild
M8.Suffragette City
M9.Honky Tonk Women
M10.Jailbreak
M11.The Ballad Of Jayne
M12.Never Enough
M13.Sex Action
M14.Rip N’ Tear
-encore-
M15.No Mercy

ロック・ポップス・ジャズ・フュージョン・ファンク・ソウル・レゲエ・ヒップホップ・クラシック等々…音楽というスタート地点からジャンルとして様々な細分化がされている昨今。音楽で好きなジャンルは?という質問に、身を乗り出して「スウェーデン デスメタル!」答える人も居れば、「ジャンルはわからないけど…」と、自分の好きなものを無差別に紹介してくれる人もいる。分類とはあくまで区切りであり、ジャンル前提で音楽を判断してしまうのは大変勿体無い。良いものは良いという確信の下で、自分に素直に生きている人は美しい。
 
「L.A.メタル/ヘアーメタル」、バンダナ・サングラス・ド派手な髪型、この日の出演5バンド中4バンドのベースがサンダーバードで、ドラムのセッティ ングは 2バスを前提とした斜めバスドラム。本気の愛情を観た気がする。その証拠に時計の針は23時を回っていたにも関わらず、オーディエンスは誰もが笑顔で、満足感に浸っていた。Phil Lewis & Keri Kelliステージのアンコール前には、イベントオーガナイザーが登場し、Phil Lewisが使ったギターの抽選会も行われ、Phil Lewisのファンサービスの精神が良く伝わった。…メタル最高!


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■Phil Lewisのギターをゲットしたラッキーガール「SATOMI」さんのコメント

—おめでとうございます!やりましたね!

SATOMI:6人の中から抽選で選ばれて、本当にびっくりしました!ステージに上がって、フィルが私の顔を見た途端、笑顔で私にキスを(唇に!)してくれました!ギターを手渡してくれた時は、夢を見ているのかと思ったくらいです!

—本当に夢のような贈り物ですね!

SATOMI:10年近くフィルのファンなので、ギターという、大好きな彼のパーソナルな物を手にする事ができて、すごく光栄です!

—世界に一つだけというのが最高です!

SATOMI:ギターにサインとメッセージを書いてくれて、そのメッセージに感動して、泣ける位嬉しかったです…本当に、一生の宝物です!ありがとうございました!



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