演奏

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TEXT:MASASHI YODA PHOTO:岡田祐貴子

EARTHSHAKER 35th Anniversary Tour【THE STORY GOES ON】tour final
2019年5月11日 東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE
2018年11月17日の奈良公演を皮切りに、北海道から鹿児島まで全国19箇所で大盛況のうちに繰り広げられてきた『35th Anniversary Tour』は、遂にこの日でファイナルを迎えた。前回のライブ・レポートはツアー序盤ということもあり、敢えて演奏曲目を記載しなかったが、今回はツアー・ファイルとなった東京公演の全容をレポートしたい。
 
『35th Anniversary Tour』の20箇所目の会場となったduo MUSIC EXCHANGEのフロアは、開演前から立錐の余地もなく、熱気が充満している。定刻となって場内が暗転しオープニングSEが流れた。オープニングSEといっても、このツアーのために新たに用意されたオープニング曲に繋がる序奏である。その序奏のなか、メンバー達が登場!最後に西田“MARCY”昌史(Vocal)[以下:MARCY]が両手の拳を突き上げながらの入場だ。メンバー全員が気迫に溢れた表情を見せている。
 
このツアーのタイトルでもある「THE STORY GOES ON」でスタート!石原“SHARA”愼一郎(Guitar)[以下:SHARA]の手首ごと大きくビブラートさせて奏でられたイントロが唸るように鳴り響く。永川“TOSHI”敏郎(Keyboards) [以下:TOSHI]は、5台のキーボードを左右に配置、後方にはレスリー・スピーカーを備え付けた東京公演ならではのセッティングを駆使し、体を上下に激しく揺らしている。甲斐“KAI”貴之(Bass)[以下:KAI]のピッキングから弾き出される重低音は心地よいリズムを刻んでいる。ダイナミック&パワフルなドラミングで轟かす工藤“KUDO”義弘(Drums)[以下:KUDO]は、この日も圧倒的な存在感を放っている。そしてMARCYは、いつものように表情豊かにしなやかなアクションで魅せている。
 
間髪入れずに「BRIGHT LIGHT AND SHADOW」が続く。KUDOの真骨頂であるツーバス連打が炸裂し、KAIのアグレッシブなプレイが全開だ。激しく且つメロディアスな曲調と相俟って、会場内は更にヒートアップしていく。

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「Oh Yeah!! EARTHSHAKER 35th Anniversary Tour ファイナルへようこそ!」とMARCYが第一声。この日は令和の時代が始まったばかりのライブということもあり、今上陛下と同世代でもあるMARCYは、陛下への敬意を表し、「俺たちもまだまだ頑張らねばならない」という決意を示した。昭和、平成と活動し、元号が変わっても、こうしてたくさんのファンの前で演奏できていることへの感謝の想いを語った。
 
「そんな想いや夢を未来に繋げていこうぜ!」と、続いてもニューアルバムからの3曲続けての演奏だ。まずはキーボードのメロディアスなイントロから激しく展開する「DREAM OUT LOUD」。SHARATOSHIの各々のソロが終わった後のツインでのハモリがスリリングだ。
 
続いては、ミュージック・ビデオも制作されたニューアルバムのリード・トラックである「愛の歌よ泣かないでくれ」。曲中盤のリズムが変化する場面では、SHARAのギター・カッティングと観客の手拍子が一体感を生み出している。そして、ミディアムテンポのノリの良い「KICK TO THE HEART」。ステージ上を漂うような軽快なアクションで歌うMARCY。そこにKAIの伸びやかなコーラスが重なり合う。SHARAの咽び泣くようなギターソロも堪らない。
 
さあここで、TOSHIの紹介だ。「35周年を機にまたTOSHIと一緒に歩んで行くという決断をした」という決意があらためてMARCYの口から発せられた。「4+1=5ではない」「何十倍、何百倍にもなる」と。そんな真剣な顔つきで話すMARCYであったが、一転して、その後のMCではMARCYSHARAはいつものようにTOSHIをいじり倒すのである。またそれに応戦するTOSHIが微笑ましい。しかしMARCYSHARAだけでなく、KAIKUDOら全員がTOSHIを敬愛し信頼していることが表情で窺えるのだ。
 
TOSHIの音楽の世界がプラスとなってバンドに刺激を与えてくれた曲を披露したい」とニューアルバムからTOSHIが作曲した2曲のバラードナンバーの演奏だ。「みんなの笑顔がもっともっと溢れますように」と紹介された「星に願いを」が始まる。ギターソロ終わりのタイミングを見計らい、振り返って後方の鍵盤でピアノの音色の奏でるTOSHI。そして後奏では両手を広げて左右の鍵盤を弾くという佇まいは、名キーボーディストの面目躍如である。
 
シーケンサーからリズムが送り出され、そこにピアノが絡み合い「旅人のララバイ」が続く。噛みしめるように歌うMARCY。ステージ上のライティングが色とりどりに変化し幻想的な空間を演出するなか、SHARAの右手がTOSHIを指した。TOSHIのソロの始まりだ。あまりに美しいメロディが会場内に響き渡る・・・。TOSHISHARAによるソロの掛け合いで、エンディングに向かうパフォーマンスは圧巻であり、ライブ序盤のクライマックスとなった。

 
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ここまで続けざまにニューアルバムから演奏してきたが、ニューアルバムからは最後の曲となった。「誰にでも決して忘れることの出来ない大切な場所がある・・・その誇りと運命の旗の下、拳を掲げて歌おうぜ!」とMARCYが煽る。ライブ序盤の最後を飾るに相応しい力強い曲「PRIDE AND DESTINY」だ。「OH~OH~OH~」と会場全体が拳を掲げて大声で叫ぶ。KAIのベースが唸りをあげるヘヴィな曲調にMARCYのハイトーンが冴え渡り、ニューアルバム収録曲の演奏を終えた。
 
「OK!ドラムス KUDO YOSHIHIRO!」恒例のKUDOのドラムソロだ!いまやハードロックのライブでソロを演るドラマーも少なくなったように感じるが、EARTHSHAKERのライブではKUDOのソロは必要不可欠である。語弊のある言い方かも知れないが、KUDOには円熟味という言葉は似合わない。派手なアクションから叩き出された衰え知らずなドラム・サウンドは、本当に今年還暦か?と思うほどに、若々しくパワフルであることは誰もが認めることであろう。エンディングでは、立ち上がって「どうだ!?」と言わんばかりの自信に満ちた表情を見せるKUDOは頼もしい限りだ。そんなKUDOを「良かった!良かった!みんな盛り上がってくれてありがとう(笑)」といじりながら再入場してきたMARCYであるが、強烈なソロを披露したKUDOに感服する笑顔を見せている。
 
ニューアルバムから殆どの曲を演奏し、KUDOのソロが終わった後は、再結成後4人のEARTHSHAKERで制作した曲を「TOSHIのパワーを注入して凄いサウンドにしたい」と奮い立った曲を披露する時間である。2000年以降のアルバムに収録された約100曲ある楽曲から3曲をピックアップし、今回のツアーで演奏しているが、MARCY自身「このコーナーが個人的に一番楽しい(笑)」と語る。このツアーでは新曲をたくさん演りたいし、もちろん代表曲も演らねばならないので、苦渋の決断で3曲に絞り込んだわけだが、その約100曲から、更にピックアップした曲だけで、今冬にツアーをやる予定であることを発表してくれた。選曲はファンからのリクエストに準ずるようで、MARCYから「マニアックな曲はやめてね(笑)」と観客に語りかけると、SHARAから「そんなこと言ったら余計にマニアックな曲ばかり来るで」と的確なツッコミが入り、会場内は大爆笑だ。
 
そんな今冬のツアーを期待しつつ、「最高に楽しいコーナーをやりたいので盛り上がっていきましょう!」と25周年記念アルバム『Quarter』から「愛の技」でスタートだ!オリジナル音源のキーボードより前面に押し出されたTOSHIのアレンジは、気持ちの良いサウンドを作り上げている。もしこの曲がセカンドやサード・アルバムあたりに収録されていたら、代表曲として常に演奏されていたのではないかと思えるほどの、ポップなメロディにハードな曲調は、これぞEARTHSHAKERという曲だ。このような名曲が2000年以降にもまだまだ数多くあるということなのだ。

 
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続いては、再結成後のフル・アルバム『Birthday』に収録されている「Birthday Song」。この曲はオリジナル音源ではキーボードが入っていないが、そんなことはものともせず、TOSHIの躊躇のない大胆なアレンジが際立っている。キーボード・ソロを組み入れるだけでなく、終始派手に鳴り渡るオルガンをフィーチャーしたサウンドは、原曲を凌駕している。「約束の場所で、また巡り会った」というフレーズには、再結成当時に涙したものだったが、今また5人が巡り会ったと解釈し、胸が熱くなった・・・。
 
このコーナーの最後は前作『BIRD』から「TABOO」だ。節目のアルバムのオープニング曲でもある先の2曲と比べ、この曲がセットリスト入りしたのは意外ではあったが、所謂王道的な曲でなくても、「TOSHIが加われば、どんな曲でもかっこよく仕上げることができる」という5人の意志の表れだと感じた。兎に角この3曲のパフォーマンスは、まさにMARCYが標榜する“凄いサウンド”となっていた。
 
いよいよライブは終盤を迎えた。MARCYの青春が詰まった大事な場所を歌う「GARAGE」だ。このTOSHI在籍時の代表曲は、再結成後も4人で何度も演奏されてきたが、35周年を機に、本来の5人のEARTHSHAKERで演奏することができたのである。曲後半で、MARCYはマイクをフロアに向けて観客に委ねた。男性ファンと女性ファンがちょうど半々にミックスされた歌声は、EARTHSHAKERライブならではだ。
 
SHARAのブルージーなギターが聴こえてきた・・・。「Say Goodbye」だ・・・!私の大好きな曲でもあるこの曲が、「GARAGE」と同時にセットリスト入りし、且つ続けて演奏されたことは、今回のツアーのサプライズの一つとなった。MARCYKAIのツイン・ヴォーカルはいつ聴いても素晴らしい。この名曲を作り上げた1年後に解散してしまったEARTHSHAKER。私の中では、この曲が置き土産になってしまったという想いがずっとあったため、20数年の時を経て、5人のEARTHSHAKERで体感できたことは大変感慨深いのである。
 
名バラード2曲の演奏後は、本編ラストに向けてスパートだ。SHARAの弾くイントロと同時にMARCYがマイクスタンドに持ち替えた・・・。勿論「MORE」だ!ステアリング・ホイールを用いたマイクスタンドを高く掲げるMARCY、そのマイクスタンドをMARCYと分け合うKAI、フロント3人が中央に揃うギターソロのフォーメーション、KUDOの気迫溢れるドラミング、ガンガンと鍵盤を掻き鳴らすTOSHI。これがEARTHSHAKERライブの様式美だ。
 
「いつものように、もっともっとでかい声で歌おうぜ!」の掛け声で「RADIO MAGIC」が本編ラストとして演奏される。「いつものように」といつものようにMARCYは叫んだが、この言葉の持つ意味合いは深いのである。エンディングでのKUDOは、ドラムソロのような強烈なプレイで、本編最後を盛り上げてくれた。

 
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観客の「アースシェイカー!」連呼のなか、アンコールに応え再登場。「令和のEARTHSHAKERもひとつずつ頑張っていくので良い時代にしたい」とMARCYが意気込みを語る。アンコール演奏前の和やかな雰囲気のなかで、次の節目である40周年に向けてMARCYSHARAは「これまでの5年とは違って急でキツイ登り坂やろうねー(笑)」と自虐的に話していたが、MARCYはすぐさま「楽しみやなあ!ぜひやりたいなあ」と言ってくれた。本人達は40周年に向けて自信たっぷりの気合い充分なのが感じ取れて嬉しい限りである。
 
35周年ツアーではあるが、ツアーを乗り切ってきたこの日では、デビューしてほぼ36年を迎えており、その36年前に発売されたデビュー・アルバムのオープニングを飾る「EARTHSHAKER」でアンコールがスタートした。SHARAが刻むイントロのリフに呼応し観客全員が拳を突き上げる光景は、36年前に私が観た光景と何ら変わりがない。“バンドの原点”であるこの曲の演奏シーンで、EARTHSHAKERの歴史の重みをあらためて認識した・・・。
 
間髪入れずに「COME ON」だ。「Come On Everybody!」掛け合いでの観客の声も一際大きくなっている。曲中盤で「令和の時代も続くぜ!KAIジャンプだ!」とのMARCYの掛け声で、上手に移動したKAIが躍動し大歓声があがる。エンディングではKUDOが大きなアクションで観客を煽り、MARCYの「ありがとう!最高です!」の挨拶で一回目のアンコールは終了した。
 
再びアンコールに応えてくれた。KUDOTOSHIは肩を組んでステージに戻ってきてくれた。「ここまで活動できてきたのは、自分達の力だけではなく、応援してくれるみんながいるからです」「みんなは俺達に“カッコいい”って言ってくれるけど、応援してくれるみんなのほうがよっぽどカッコいいよ!」「そんな大切なみんなには頑張って走り続けていたら会える・・・だからこれからも続けていきます」そんなMARCYの言葉の通り、EARTHSHAKERの想いやスタンスを込めた曲といえば・・・そう!「走り抜けた夜の数だけ」だ!メンバー全員が笑顔に溢れている。もちろんフロアのファン達も同じだ。こんなに笑顔が似合うハードロックバンドが他にあるだろうか。エンディングの大音量のなか、なんとMARCYは、メンバー全員の名前をコールし、最後に「WE ARE EARTHSHAKER!」と絶叫した。まさにツアー・ファイナルに相応しい締め括りだった。
 
ニューアルバムの壮大なインスト曲である「#9」がクロージングSEとして場内に流れるなか、前方の観客とハイタッチをしながら、カーテンコールを迎えた。SHARAはフロアまで下りて、最前列の柵の前をハイタッチしながら駆け抜けている。MARCYSHARAKAIKUDOTOSHIは、名残惜しそうな表情を見せながらも、笑顔と満足感に溢れていた。
 
メンバー達がステージから降りた後も、ステージ上はライトに照らされている・・・。中央で光り輝くドラムセット、回転し続けるレスリー・スピーカーのホーンが、この日の熱狂の余韻を残していた。
 
ツアー序盤は、ニューアルバム発売直後の意気込みもあり、ステージでMARCYは何度も「THE STORY GOES ON!俺達、そしてみんなの物語はまだまだ続いていくぜ!」と叫び、決意を表明していたが、ツアーも公演回数を重ねるにつれ、自然とこの言葉を発することが少なくなってきた。敢えて口にしなくても、各地のファン達との間で分かり合えていることを、ツアーが進むとともにMARCYは感じ取ったのだろう。
 
この日で35th Anniversary Tour全ての公演を大盛況のうちに無事に終え、終演後の楽屋でのメンバー達は、満足した表情を見せていたが、何かをやり遂げた、何かを終えたような雰囲気はなかった。35周年も通過点のひとつであり、まだまだこれからもEARTHSHAKERのSTORYは続いていくのである。
◆Official Website
http://www.earthshaker.jp/
 
◆Setlist
M01. THE STORY GOES ON
M02. BRIGHT LIGHT AND SHADOW
M03. DREAM OUT LOUD
M04. 愛の歌よ泣かないでくれ
M05. KICK TO THE HEART
M06. 星に願いを
M07. 旅人のララバイ
M08. PRIDE AND DESTINY~DRUM SOLO
M09. 愛の技
M10. Birthday Song
M11. TABOO
M12. GARAGE
M13. Say Goodbye
M14. MORE
M15. RADIO MAGIC
EN1. EARTHSHAKER
EN2. COME ON
EN3. 走り抜けた夜の数だけ
◆EARTHSHAKER
MARCY(西田昌史:Vocal)
SHARA(石原愼一郎:Guitar)
KAI(甲斐貴之:Bass)
KUDO(工藤義弘:Drums)
TOSHI(永川敏郎:Keyboards)

 
 
 

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【レポート】EARTHSHAKER 35th Anniversary Tour【THE STORY GOES ON】
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【レポート】EARTHSHAKER 35th Anniversary Tour【THE STORY GOES ON】part2
http://www.beeast69.com/report/177134
 
 


 
 
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