演奏

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TEXT & PHOTO:タカシミッシェル

毎年1度のスペシャルライヴ遠藤正明・生誕祭は東名阪の3公演
衰えを知らぬ歌唱力に、正直“ズルイ”て思ってしまうほどの若々しさ…こんな51歳見たことがない!!

 
遠藤正明は女性曲を軽々歌い切ってしまうほどのレンジを持ち、歌唱力だけでなく爆発的な声量を持つロック系アニソンアーティストである。ソロシンガーとしての活動は勿論、アニソン界のスーパーユニットJAMPrpjectの主要メンバーとして、国内外を問わずファンを増やし続けており、過去にSTEEPLE JACKBLIND PIGといったロックバンドのヴォーカリストでもあった。その為、ロックシンガーとしての力強さ、アニソンシンガーとして大人~子供まで支持される普遍性を持ち合わせている稀有なシンガーである。甘いマスクにトレードマークのブロンドヘア、抜群のファッションセンスで幅広い層から人気がある。毎年8月28日の東京公演1回開催のバースデーライヴなのだが、今年は東名阪の3回のツアー形式で行われた。今回はその大阪公演、2018年9月2日の梅田クラブクアトロの様子をレポートしたい。なお本レポートと合わせて、遠藤正明のPVを見て頂ければ幸いだ。

開場時間から程なくしてフロアは満員となる。ファン層は広く、女性ファンも多く見られる。いつも完売するツアーTシャツに身を包んだ多くのファン、MOTREY CRUEDEEP PUPLEといった海外ロックバンドのスタンダードが流れるフロアはハードロックコンサートの雰囲気そのものだ。開演時間ジャストにフロアの照明が光を失い、鳴り響くSEが待ちわびたファンをエキサイトさせる…。ステージに5人のバンドメンバー、そして本日のヒーロー、遠藤正明が登場すると歓声がフォルティッシモ。キックオフチューンは「エンジン」。そして、ステージ上の6人の猛者達は、アルバムタイトルでもある“V6遠神”そのものだ!!会場のボルテージは熱いエンジンのごとくエネルギッシュだ。間髪入れず遠藤正明自ら曲名をコールし「孤独のDreamer」へ。バースデーライヴらしく久々に聴ける人気ナンバーに会場のテンションは更に上がる。続く「CIRCUMFLEX」ではコール&レスポンスが自然発生。「SCRAP&BUILD」はグルヴィーなギターと強靭なリズムが歌詞にある通り“ヤバイヤバイヤバイヤバイテンション”を作り上げる。頭4曲はガッツのあるハードロックナンバーで爆走。

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「東京でバースデーライヴをやっていたのですが、たまにはツアーでもやろうじゃないか」ということで生誕祭・東名阪ツアーが実現したようだ。大きな歓声から“来年もツアーやって!”という強い想いがファンから伝わってくる。そして、この大阪公演で初めてバースデーライヴに参戦できたファンも多かったようだ。MC明け1曲目はメロディアスなハードロックナンバー「キミノモトへ」。「それじゃあチュッチュッチュッしようじゃないの~!」のコールから「東京スキャンダル」へ。ホンキートンクピアノと“チュッチュッチュッ”のコーラスが理屈抜きに楽しく、非常にライヴ映えする曲だ。遠藤正明が作詞・作曲したJAMProjectのナンバー2曲を一人で歌いきる。「JAMProjectの曲を一人で歌うのはシンドイな~」と言いつつ形にしてしまう力技も凄い。また、JAMProjectのツアーが東京・大阪各2公演行われることもアナウンスされた。MC明けのナンバーは「LOVE SONG」スケールの大きなミドルテンポのサウンドに遠藤正明は情熱的かつ骨太なハイトーンドラマティックに歌い上げる。そして都会的なピアノのイントロとグリッサンドが印象に残る「ランナーズハイ」へ。整合感の高いサウンドに熱いハイトーン。一転して、ミドルテンポで重いリフとリズムが印象的な「NO MORE GOOD BYES」と全くカラーの違うオリジナルナンバーが3曲続けて披露された。

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そして遠藤正明・生誕祭のトピックでもある、大好きな曲と共に遠藤正明が人生を振り返るという趣旨のカヴァーコーナーが幕を開ける。1年ごとに洋楽・邦楽と入れ替わり、今年は洋楽の年である。また、バンドメンバーがその楽曲にちなんだコスプレで楽しませてくれる。カヴァーコーナー1曲目はThe Beatlesの楽曲の中でも最も激しいといわれる「Helter Skelter」。カヴァーコーナー2曲目はElvis Presleyの「Jailhouse rock」でフロアはダンスホールと化す。遠藤正明は何度も「プレスリー!」「プレスリー!」とコールし、バンドメンバーも渾身のツイストでロックンロールパーティーを演出する。カヴァーコーナー3曲目はイギリスの歌姫Adeleの「Hello」をオリジナルキーで歌い上げる。「Hello」は耽美なピアノのフレーズはオリジナルに近いが、フロアタムを目一杯叩くドラムサウンドはオリジナルよりも重量感がある。複雑な歌いまわしの前半からサビで一気にキーの上がる同曲を何事もなく歌ってしまう遠藤正明。 “Back to the boyz’n the hood”のコーナーはMCを含めて40分程あったが、楽しい時間はあっという間に過ぎ去った。

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後半戦はアニメ「殺戮の天使」OP主題歌「Vital」。雷鳴のようなギタースライドサウンドから始まるメロディアスなハードロックだ。20小節以上あるのではないかという長い速弾きギターソロを含め、バンドサウンドを前面に押し出したスタイルが実にカッコいい。そして「侍ハリケーン」ではサビでタオルハリケーンが巻き起こる。続いても遠藤正明のソロライヴではお馴染みの「LIFE」へと続く。サビでオーディエンスの手振りが入り、ギターソロに入る前にメンバー紹介が行われる。ドラムスの青山英樹はキレのあるキックと豪快なドラムロール、ベースの三宅博文がフレットレスベースのソロとフィードバック奏法で魅せる。キーボードの河合英史は小ネタを披露し、ギターのTAKEOは「Smoke on the Water」のイントロ。そしてギターの鍋島圭一が速弾きで勢いを付ける。続いて「Jumping on the Monster Beat!!」でコール&レスポンス!「OK、ラストチューン!」と遠藤正明がコールし「SPEC」に突入。6人の遠神達の熱いパッションが会場を包み込む!

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2分ほど続いたアンコールが6人の猛者達を呼び戻す。アンコール1曲目は「FIRST COMES ROCK」。ステージ上のメンバーとオーディエンス、どちらも笑顔があふれている。アンコール2曲目は「CLOWN」。ツラいこともイヤな事もサーカスのピエロのように笑いに変える道化師。人生は矛盾や理不尽に満ちているけど、笑って過ごせるようなそんな術を一緒に探していこうじゃないか!そんなポジティブなメッセージを筆者は感じた。そして今日もラストを飾るのは勿論、遠藤正明のアンセム「勇者王誕生!」だ。オーディエンスも力強く拳を突き上げる。大コール&レスポンス大会に。まるで会場全体がスクラムを組んだかのような大合唱!全員で作り上げた“ファイナルフュージョン”だ。「楽しんでくれましたか、また来ますありがと~!」と遠藤正明。全力を出し切ったオーディエンスからは「えんちゃんありがとう」の声がこだまする。素晴らしい公演であっただけでなく、大阪の中でもアクセスのいい会場、しかも休日にバースデーライヴを行ってくれたことに関する感謝の気持ちも大きいに違いない。ステージを去ってゆくヒーローに惜しみない拍手が送られながら、約160分の大阪初生誕祭は幕を閉じた。遠藤正明は年末の『christmas acoustic night 2018 ~present of the voice~』、そして年明けのJAMProjectで、また大阪に還ってきてくれるだろう。

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◆遠藤正明 Official Website
http://endoh-masaaki.com/
 
◆MEMBER
遠藤正明(Vocals)
鍋嶋圭一(Guitar)
TAKEO(Guitar)
三宅博文(Bass)
青山英樹(Drums)
河合英史(Keyboards)
 
◆SETLIST
M01. エンジン
2. 孤独のDreamer
3. CIRCUMFLEX
4. SCRAP&BUILD
5. キミノモトヘ
6. 東京スキャンダル
7. YAKUSOKU NO MELODY
8. ランナーズハイ
9. NO MORE GOODBYES
10. Helter Skelter(The Beatles)
11. Jailhouse Rock(Elvis Presrey)
12. Hello(Adele)
13. Vital
14. 侍ハリケーン
15. LIFE
16. jamping on the monster beat
17. SPEC
18. FIRST COMES ROCK [encore]
19. CLOWN [encore]
20. 勇者王誕生![encore]
◆LIVE
christmas acoustic night 2018
~present of the voice~
 
■2018年12月15日(土)
兵庫・アルカイックホール オクト
開場 16:30/開演 17:00
■2018年12月16日(日)
愛知・名古屋芸術大学 音楽講堂ホール
開場 16:30/開演 17:30
■2018年12月24日(月/祝)
東京・第一生命ホール
開場 16:30/ 開演 17:00
★前売り 5,500円(税込・指定席)
 
<オフィシャルHP先行>2018/10/12(金)12:00~10/28(日)23:59
※チケットぴあにて受付
<一般発売>2018/11/17(土)10:00~下記プレイガイドにて受付
*チケットぴあ *イープラス
問=(株)ハイウェイスター/info@h-star.jp

 

 
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