演奏

TEXT:岡本恵里

※記事の公開が遅れた事をお詫びいたします。(編集部)


Photo「ドラマーに音楽的にもパーソナリティにもスポットライトを」という趣旨のもと、Sakuragibkiy gibkiy gibkiyTHE MADCAP LAUGHSRayflowerZIGZO)が2015年から行っているドラマーにスポットをあてたイベント「Busker Noir(バスカー・ノワール)」。Sakura作曲の”複数台のドラムセットだけで成立する”楽曲達を中心に、毎回テーマに沿った名曲達をドラマーならではの発想でアレンジするという、レアでコアでワクワクするイベントが、2018年4月にオープンしたばかりの新ライブハウス、アメリカ村「BEYOND」のオープニングイベントの一貫として、今回大阪初開催となった。
 

PhotoPhoto

PhotoPhoto

PhotoPhoto

PhotoPhoto

舞台を増設してセッティングされた、ドラムが向かいあうように3台設置されたビジュアルは圧巻だ。主役であるSakuraのドラムはオーディエンスに背を向けるように配置され、Sakuraのドラムプレイをバックスタイルから見られるという普段では見られない光景。その奥に設置された2台のドラムは今回のゲストドラマー、上手側にLEVINLa’cryma Christi)と下手側にshujiJanne Da Arc)。3人ともPearl楽器の人気ドラマ―でもあり、統一感のある芸術的なセッティングは溜息が出そうなほど美しい。
 
「BEYOND」を経営しているベースオントップグループのスタジオで行われているドラムレッスンの講師でもあるSakuraのイベントということで、この貴重な夜に駆け付けたのは、アーティストのファンはもちろんのこと、ドラムスクールの生徒さんたちやドラムスティックをかかえたキッズ、お母さんと共に参戦したなんと8歳という未来のドラマーまで様々。会場は超満員になっている。
 
そんな中、重く美しい「ドンッ」の一音からスタートするステージ。Sakura作曲の”ドラムのアンサンブルだけで成立する曲「Drum Song#4」だ。日本でもトップクラスのドラマー3人の競演は想像以上に凄まじく、その圧力と迫力は会場中に緊張感をもたらすほど。中心のSakuraはもちろん、ゲストドラマーの2人も合わせて”テクニックが素晴らしい”なんて言ってしまうと今更過ぎて失礼になってしまう一流ミュージシャンだが、「打音一音でその人のバンドの音がする」のが本当に凄い。
 
そんな情熱的なオープニングのあとはマイクを取り、「Busker Noir」の趣旨と、今回大阪では初開催になることを落ち着いた雰囲気でゆったり話すSakura。普段のバンドのライブではメインでMCをすることがあまりない彼の進行で進む感じも貴重な体験だ。さらに今夜を彩るゲストミュージシャンにSORA(vocal/ex.INO HEAD PARK)、YOSHIHIRO(Guitar/ギルド)、田浪真悟(Bass/Z’s)、荒井かずみ(Keyboard)を呼び込むと、舞台はドラム3台がゲストミュージシャンを囲むスタイルに。

PhotoPhoto

PhotoPhoto

PhotoPhoto

「西の人間はみんな知ってるけど東の人間(Sakuraは東京都出身)は知らなかった」という次の選曲は、確かに関西の人間に知らない人はいないだろう某有名番組のテーマ「ハートスランプ二人ぼっち」だ。初の関西公演ということでわざわざその曲を選んでくれるというチョイスにオーディエンスは大盛り上がり。ゲストミュージシャンとアイコンタクトをとりながら進むドラム3台の豪華セッションは見るべき場所が多すぎて目が迷う。
 
続いて「昨日の夜決まった」という特別企画、ギターのYOSHIHIROがメタル好き、特にLOUDNESSフリークなことから、「LOUDNESSの楽曲をやりたい」ということでLEVINが「S.D.I」、shujiが「CRAZY DOCTOR」のセッションを披露。まさか昨日演目が決まったとは思えない一流クオリティのセッションは流石ベテランのミュージシャンたちの競演だ。
 
次のコーナーは「それぞれのドラムのアプローチの違いを楽しむ」ということでまずじゃんけんで順番が決められる。3人ともが自分の好きな曲をアレンジして叩くという企画で一番手となったshujiは最近テレビで偶然聴いてかっこよかったという「時代」をアレンジ。「実はあんまりドラム入ってないんやけど(笑)」と言いながらも照明も相まってアダルトで大人なアレンジのアプローチは新鮮だ。
 
そして二番手はLEVINが「本当に好きな曲」という「歌うたいのバラッド」をチョイス。華やかでダイナミックなプレイのイメージが強い彼だが、実は「シンプルでおしゃれなドラムが大好き」だそう。そんなLEVINのプレイが見られるのもこのイベントならでは。
 
ラストはSakuraの「いっそセレナーデ」。Sakuraのプレイスタイルは本当に多様で、いろんな顔を持っているのに、打音ひとつでSakuraの音だとわかる。どうして打楽器であんな色っぽい音が出るのか、不思議でたまらない。

PhotoPhoto

PhotoPhoto

PhotoPhoto

そしてステージは次のドラムのみの楽曲「Drum Song#5」へ。曲を作るときに必ずテーマを決めるというSakuraの今曲のイメージは「西海岸のLAメタル的なポップ」だそうで、それぞれの音がお互いに呼応して躍動する感じや、基本のリズムがどんどん変化していく様など、頭をからっぽにして今この場にある音に酔いしれることができる気持ちのいい曲だ。
 
再びゲストミュージシャンを呼び出し、次に披露されたのは”お願いソング”のターン。「○○の曲を○○っぽく」というテーマのもと、YOSHIHIROがアレンジを担当し仕上がった3曲とは…まずはLEVINの”クリスマス・イブLUNASEAバージョン”。「怒られるから言うなよ!!(笑)」といいながらも、ステディなハイハットでスタートした名曲がどんどん大先輩を彷彿とされるダイナミックなアレンジに…。
 
続いてはSakuraの「空と君のあいだにハイスタバージョン」。大胆なパンクアレンジを施され、今にもモッシュが起こりそうなノリノリの場内で、どんなスタイルのドラムも魅力的な彼のセンスに脱帽する。ラストはshujiの「ラブ・ストーリーは突然にメタルバージョン」。「さっきの(LOUDNESS)とほとんど同じやん(笑)」と言いながらもスピーディーながらもどっしりとした貫禄のプレイを披露し、サビではヘドバンするオーディエンスも続々。
 
このように、オーディエンスを楽しませる工夫をふんだんに盛り込みながら進む「Busker Noir」。バンドの根幹としてなくてはならない楽器ながら、普段はあまりスポットライトを浴びる機会が少ないドラムという楽器について、また縁の下の力持ちとして活躍するミュージシャンたちについて触れる貴重な体験の連続だ。

PhotoPhoto

PhotoPhoto

PhotoPhoto

PhotoPhoto

佳境に入ったステージでは、中東~アフリカ大陸のイメージで作曲されたという「Drum Song#7」が演奏される。今夜披露されたDrum Songの中でもとりわけ強く音からイメージを感じ取れる気がした。まるで太古の原始的な儀式を見るように神聖で、何かが降臨してきそうな迫力ある大きく拡がる世界観の中で、トリップしそうになる楽曲だ。
 
そしてなんと次は3人が「ドラムを叩きながら歌う」という、この上ないレア企画!これまで舞台に背を向けるスタイルでプレイしていたSakuraがオーディエンスと向き合う形に。演奏された曲はなんと「仮面舞踏会」だ。後から「我々は昨日打ち合わせで飲みに行くのではなくカラオケで練習するべきであった(笑)」と言わしめたこのナンバー、ドラムスタイルに注視する余裕もないぐらい味のある歌で会場中は大盛り上がりに。そして本編ラスト曲はゲストミュージシャン全員との「飾りじゃないのよ涙は」。アルコールの似合いそうな大人のアレンジで締めくくった。
 
アンコールはやはり本日の主役であるDrum Songから「Drum Song#1」。ダイナミックさと繊細さが絶妙なバランスで共存する、スタートの一音でこの曲の持つ世界にグッと引き込まれる感じは、一瞬のような永遠のような不思議で心地よい感覚だ。様々なアプローチでドラムの世界を堪能できた今日のステージだったが、複雑に構成されながらも音自体はとてもシンプルに心に響くこのDrum Songの数々は、今までに聴いたことのない新鮮な音楽でもあり、はるか昔から受け継がれてきた音楽のような荘厳さも持ち合わせていて、目も耳もフルに使って楽しむことができた。
 
こうして終了した「Busker Noir」。本当に最初から最後までどっぷりと「ドラマーに音楽的にもパーソナリティにもスポットライトを」当てたイベントだった。なんとラストでは次回の東京での開催が8月31日であることも発表。うっとりするほどドラムに酔いしれることができる貴重なイベントなので、ぜひ足を運んで頂きたい。
 

◆セットリスト
M01. Drum Song#4
M02. ハートスランプ二人ぼっち
M03. S.D.I(LEVIN)
M04. CRAZY DOCTOR(shuji)
M05. 時代(shuji)
M06. 歌うたいのバラッド(LEVIN)
M07. いっそセレナーデ(Sakura)
M08. Drum Song#5
M09. クリスマス・イブ(LEVIN)
M10. 空と君のあいだに(Sakura)
M11. ラブ・ストーリーは突然に(shuji)
M12. Drum Song#7
M13. 仮面舞踏会
M14. 飾りじゃないのよ涙は
-encore-
M15. Drum Song#1
◆Sakura 公式サイト
http://sakurazawayasunori.jp/
 
◆インフォメーション
Sakura presents “Busker Noir”
・2018年08月31日(金)【東京】大塚 Deepa
 開場 19:00 / 開演 19:30
 前売¥5,000- / 当日¥6,000- (税込 / D別)
出演:
 Drs:Sakura(gibkiy gibkiy gibkiy / THE MADCAP LAUGHS / Rayflower / ZIGZO)
 Drs:LEVIN(La’cryma Christi)
 Drs:shuji(Janne Da Arc)
ゲスト:
 Vo:SORA(ex.INO HEAD PARK)
 Gt:YOSHIHIRO(ギルド)
 Ba:田浪真悟(Z’s)
 Key:荒井かずみ

 
 
  コラムニスト
SABER TIGER
SABER TIGER
2018年8月12日更新
SABER TIGER「牙虎見聞録」第20回
The HIGH
さかもとえいぞう
2018年7月12日更新
人生の宿題その2
mondo
中村 “MR.MONDO” 匠
2018年8月27日更新
第十一回「スペインツアー2018」
PINK SAPPHIRE
PINK SAPPHIRE
2018年4月12日更新
第19回「TAKA」
木暮“shake”武彦
木暮“shake”武彦
2017年12月10日更新
その7「Heart Of Gold」
永川敏郎
永川敏郎(Toshio Egawa)
2018年5月22日更新
Progressive Man 第40話