演奏

TEXT:鈴木亮介 PHOTO:矢沢隆則

「性別、世代を超えた人気作」――そういうキャッチフレーズを耳にすることは多いが、この作品は本当に男女問わず大好きな人が多い。高橋留美子原作の『犬夜叉』だ。1996年から2008年まで『週刊少年サンデー』で漫画が連載され、2000年から約4年にわたってテレビアニメが放送。そんな国民的人気作品が喜矢武豊(ゴールデンボンバー)主演(犬夜叉役)で舞台化され、2017年4月6日(木)から15日(土)まで東京・天王洲 銀河劇場にて上演される。
 
日暮かごめ役には若月佑美乃木坂46)が起用されたほか、同じく乃木坂46から伊藤純奈が抜擢。男女問わず支持を集める人気アーティストら人気アーティストらも出演している『犬夜叉』は、「そのままのキャラクター、見た目だけでなく心情をしっかりと表現している」と出演者たちが語る通り、疾走感あふれるアクションに加えて”妖怪””戦乱”といったテーマでありながらも現代に通じる心の機微が表現された、観応えたっぷりの2時間であった。

舞台は、妖怪がはびこる戦国の世。妖怪の父と人間の母との間に生まれた半妖・犬夜叉は、巫女・桔梗との悲恋の末にその魂を封印される。その後、500年前の戦国時代へとタイムスリップした15歳の中学生・日暮かごめと出会い、封印が解かれる。かごめは桔梗の魂の生まれ変わりだったのだ。そのとき、かごめの矢によって解き放たれてしまった四魂の玉のかけらを集めるべく、犬夜叉とかごめは旅に出る…
 
主人公・犬夜叉役を務めるのはゴールデンボンバーの(エア)ギタリスト・喜矢武豊だ。バンド活動はもちろんのことバラエティ番組でも活躍が目立つ喜矢武豊だが、近年は俳優としても活躍。2015年に『ふしぎ遊戯』で鬼宿役を務めたほか、2016年上演の手塚治虫『ぼくの孫悟空』を原作とした舞台『GOKÛ』でも主役の孫悟空を演じている。
 
 

 

漫画原作の舞台化作品でキャリアを積んだ喜矢武豊。今作では誰よりも稽古に勤しんだといい、共演者の木村了から「素晴らしい体のキレと、しなやかな動かし方をしている。多くの方に観ていただきたい」と称えられるほど、終始一貫してアクティブに動き回り、無鉄砲で破天荒、それでいてナイーブな心を持つ半妖・犬夜叉を見事に演じきっている。
 
そして、15歳の中学生・日暮かごめを演じるのは乃木坂46若月佑美だ。乃木坂46屈指の演技力で知られる彼女は、ドラマや映画の出演に加え、舞台でも2013年に『「2LDK」-2013-』、2015年に『ヴァンパイア騎士』、2016年に『嫌われ松子の一生』と既に3度主演を務めている。自身のブログでも「2016年の舞台仕事が『嫌われ松子の一生』という大きな作品で終わり2017年の 舞台始まりが『犬夜叉』というこれまた大きな作品で本当に本当に有難い」「面白くて深くてきゅんとする…とても素敵な作品である『犬夜叉』その原作の世界観を大切に一生懸命に、頑張りたいと思っています」と意気込みを語っている。
 
 

わずか2時間の中にこの超大作を収めるとあって、前半はシナリオもかなりハイスピードで進んでいくが、プロジェクションマッピングを巧妙に用いながら、ここぞというシーンでは役者の声と表情に重心を置いた、メリハリのある演出。前半、和尚が大蜘蛛の妖怪に変化するシーンでは、衣裳に、四肢から出る毒牙の糸をプロジェクションマッピングで融合。それでいてあくまで役者のセリフと動きは殺さず中軸に据えて…という、舞台作品だからこそ味わえる立体的な世界観が繰り広げられる。
 
悪役・奈落を演じるのは木村了。「つかみどころのない奈落という役を、原作に忠実に再現できているのでは」と会見で語っていた通り、妖艶かつ不気味なキャラクターで、強烈に個性を表す。そして殺生丸役の佐奈宏紀、弥勒役の滝口幸広といった俳優陣によるアクロバティックな演技も舞台に華を添える。さらに終盤には美しくも悲しい恋愛模様も描かれ、涙を誘う。
 
 

 

個人的には、桔梗役の伊藤純奈の存在感の強さが印象に残った。本作が舞台出演2作目という伊藤純奈は、圧倒的な声量と佇まいの重厚さで、使命感を持って戦う桔梗になりきっている。後半、怨念とともに蘇るシーンでは女性ならではの狂気を巧みに演じているのだが、つい先月高校を卒業したばかりとは思えない迫力満点の演技。身震いさせられた。
 
“強い存在(=妖怪)が、弱い存在(=人間)に憧れる”、”コンプレックスは、怨念となってさまよう” …改めて、『犬夜叉』で描かれているテーマは文学の根源的なテーマばかりだなと感じる。原作を知らない人でも楽しめる本作、最終日は全国の映画館でライブビューイングが行われるので、公演のチケットを入手できなかった人もぜひ映画館に足を運んでほしい。
 
  

 

◆公演情報

『犬夜叉』
・2017年4月6日(木)~15日(土)
 【東京】天王洲 銀河劇場
 
原作:高橋留美子『犬夜叉』(小学館刊)
脚本:松村 武
演出:茅野イサム
出演:
喜矢武 豊(ゴールデンボンバー)
若月佑美(乃木坂46)
佐奈宏紀 伊藤純奈(乃木坂46)
滝口幸広
野口かおる 小林健一
木村 了
ほか
 
(c)高橋留美子/小学館 (c)2017 ネルケプランニング/ユークリッド・エージェンシー/小学館

◆『犬夜叉』 公式サイト
http://stage-inuyasha.jp/
◆◆『犬夜叉』公式twitter
@stage_inuyasha

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