演奏

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TEXT & PHOTO:タカシ ミッシェル

 

今やアニソンファンのみならず、ラウドロックファンからも絶大な支持を受けているLiSA
“歌は身体のデカさや声のデカさで歌うもんじゃない、心のデカさで歌うもんだ!”
   そんなメッセージが伝わってくるかのような強烈なパフォーマンスで、
「こんな笑顔みたことあらへん!」ってぐらいのアルティメットなSmileが会場に溢れていた

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阿倍野キューズモールで行われたインストアライヴが荒天で途中中止になり、その数か月後にリベンジインストアライヴが行われたこともあったりと、LiSAにとってもファンにとっても大阪は「何かが起こる?!」そんな不思議な縁を感じる西の都でのワンマンライブ。今回はLiSAのデビュー5周年ツアー『Live is Smile allways~Hi! FiVE~』の15公演目、大阪公演の様子をお届けしよう。このツアーは全16公演が、SOLD OUT!! 開演前の待機列に目をやると、多くの人がLiSAのツアーTシャツに袖を通している。またロックフェスのTシャツを着ている人も少なくなく、アニソンを越えて広くロックファンに支持されていることが伺える。
 
女性専用エリアも設けられた客席は、時より拍手が、時より「ウォー!」というような歓声に包まれる。ヒロインの登場を待ちきれないLiSAッ子(LiSAファンの通称)達は期待感だけを胸に、和やかな雰囲気の会場で抑えきれない感情を発散させている。そして客席の照明が光を失いステージ下手からバンドメンバーが登場し歓声が上がる。今日のヒロインの登場に「LiSA!」という大歓声が会場全体から沸き起こる。その歓声が1周した時にLiSAは、「Believe in myself」をアカペラで歌い上げる。それは、暗い会場に鋭い光が差し込んでくるかのようであった……。
 
「ようこそ『LiVE is Smile Always~Hi! FiVE~』セミファイナルへ。サイコーに楽しんでいきましょうっ!ピース!」のワンセンテンスでLiSAッ子のハートを一気に掴み上げ、ファンの体に染み込んでいるあのピアノイントロが聴こえてくる。キックオフチューンは大ヒット曲「crossing field」。初っ端からハイライトがやって来たかの状況に、オーディエンスは既にCrazyだ!誰が決めた訳でもなく起こる大歓声、大コールに印象的な高速ベースライン、そこにLiSAのハイトーンがクロスする。いや、意図的にクロスさせようとしたのかもしれない。圧巻だ。
 
ボトムの効いたイントロが流れ、踊れるロック「ROCK-mode」へ突入する。叫びにも似た歓声、サビの“たりらたりら”コールは凄まじく、前柵とステージの狭間にいた筆者はその声圧に圧倒される。勿論、ステージ上のLiSAにもその攻撃力は十分に伝わっていただろう。間髪入れず「oath sign」に移行する。TVアニメ「Fate/Zero」のオープニング主題歌でもあるこの曲でLiSAのファンになった人も少なくないであろう。名曲にLiSAッ子は「OiOiコール」で応える。のっけから襲い掛かる人気ナンバーの連続に「今日は全ての曲がメインディッシュか?」と期待感が高まらざるを得ない。

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この日は1Fに女性専用エリアも設けられていたが、男性ファンに対し「女子を守ったってよ」とさりげなく気を配る。難しい部分ではあるが、ロック系アニソンライヴではアニメを回想しながら観戦しているファンも少なくなく、モッシュ・ダイブ上等のストロングスタイルは噛み合わないという気がする。筆者は“激しき中にも礼儀あり”のマインドがロック系アニソンにはマッチすると思っている。そんな理屈はさて置き、「ラブリーデイ」でライヴはリスタートする。“Good time Good life Good try Good day for the paradise”の大合唱がハネ気味のリズムと絡み、オーディエンスの心は踊る。更に「say my nameの片想い」が発動される。FuFuFu!コールとハンドクラップに包まれた会場はまさにLiSAとLiSAッ子の両想いだ!
 
一転してテンポはアップしストレートでガッツのあるギターイントロが鳴り響き「Get free」に移行する。会場の雰囲気は歌詞のごとく“Keep on Singing! Keep on going! I won’t back down!”「大阪いきますか?」とLiSAが囁く。チョーキングの効いた妖艶なギターイントロが印象的な小悪魔的ロックナンバー「DOCTOR」だ。LiSAのステージアクションもセクシーだ。幼少期時代のミュージカル経験がこういったところにも活かされているのだろうか?歌だけではなくボディーランゲージも表現豊かだ。一転して、ゴリッとしたアップテンポなラウドロックナンバー「She」でLiSAッ子はラウドロックモードへとチェンジし、捨て身のOiOi‼コール!これがヘヴィなサウンドとミックスされる。更に「L.Miranic」でラウドさが増してゆく。
 
LiSAッ子の大合唱やコール&レスポンスが、ラウドロックバンドの会場にいるのかと錯覚する。いや、本場のラウドロックに負けないエネルギーが充満しているのだ。これだけラウドロック色を前面に打ち出している日本の女性シンガーはなかなか思い当たらない。そういう意味でもLiSAは日本のロック界において貴重なラウドロッククイーンではないだろうか?LiSAはいったんステージを去り、花火大会帰りに感じる夜風のような涼やかなピアノサウンドがオーディエンスの粗熱を静かに冷ましてゆく。ピンクの浴衣に衣替えしたLiSAが鍵盤を携えて再登場。「LiSAカワイイ~」の声援があちこちから聞こえる。自ら鍵盤でイントロを演奏し「一足先に夏祭りしませんか?『オレンジサイダー』」とLiSA本人から曲紹介がある。叶わぬ恋をオレンジのサイダーに見立てたちょっぴり切ないミドルテンポ曲。

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少しの間をおいて、ゆったりとしたピアノのイントロが流れてくる、「ソードアート・オンラインII」のエンディング主題歌「シルシ」だ。音数の少ない演奏と相まって力強い歌声を堪能。再び力強いMCでオーディエンスを精一杯アジテイトしたLiSAは、「新曲やります『Brave Freak Out』いくよっ!」とトラクションを目一杯かけ、勢いよく飛び出してゆく。TVアニメ「クオリディア・コード」のオープニング主題歌である同曲は、手数の多いドラミングを軸に中々にテクニカルな曲であるし、なにせオンエアはされているが未発売の新曲だ。そんな条件にも関わらずオーディエンスは真新しいビートに千切れず追走してゆく。そしてミニアルバム『LUCKY Hi FiVE!』のリードトラック「Hi FiVE!」へと移行。「Hello, Hi FiVE!」の合唱、そして曲タイトル通り5本の指を高々と掲げ(下から上に5本の指を上げる動作であるため、下から上のグータッチやハイタッチの事をHi Fiveと呼ぶ)LiSAの5周年を祝うかのようである。
 
そして「コズミックジェットコースター」がパンキッシュな音を立てて疾走する。「Psychedelic Drive」ではバブル時代を思わせるようなピンクの扇子と共にLiSAも激しくスウィングする。そしてピアノイントロが流れた瞬間、ひと際大きな歓声が上がり、「Rising Hope」へ!筆者もプライベートで何度となくLiSAのライヴを観戦しているが、今日一番良かった曲のアンケートを取ったとすれば毎回1位になりそうな名曲。節目節目で入る「Here we go!」「Go ahead!」などのCallが実にカッコイイ。歌うように吐き出される独特のラップは、コール&レスポンスを加えながら一方的にシンガーがメッセージを放つだけのラップとは一線を画している。ミクスチャーロックのラップは少々とって付けた感が漂ってしまうものだが、ノーマルヴォイスとラップがモノコック構造になっているのか?と言っていいほど一体感がある。こういったありそうでなかなか耳にすることができない作編曲のセンスの積み重ねがこの曲をレガシーに押し上げている要因かもしれない。
 
名曲の後は理屈抜きでとにかく楽しい「Rally Go Round」だ。ハネたリズムに思わずジャンプやハンドクラップしたくなる。続いてミドルテンポの「終わらない冒険」に。LiSAは「未来を生きてる誰よりも、過去を生きてきた誰よりも、今生きている私たちが誰よりも楽しんでくださいOK?ありがとうございました~!」とオーディエンスに深々と最敬礼で謝意を示す。今日のヒロインLiSAに、LiSAッ子がTHANX返しの声援を送る。18曲の全力パフォーマンスを目撃できたラッキーなオーディエンス全員の表情が実に晴れやか。まるで大きな試合の勝者の様だ。

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◆LiSA Official Website
http://www.lxixsxa.com/
 

◆Setlist
M01. crossing field
M02. ROCK-mode
M03. oath sign
M04. ラブリーデイ
M05. say my nameの片想い
M06. Get free
M07. DOCTOR
M08. She
M09. L.Miranic
M10. オレンジサイダー
M11. シルシ
M12. Brave Freak Out
M13. Hi FiVE!
M14. コズミックジェットコースター
M15. Psychedelic Drive
M16. Rising Hope
M17. Rally Go Round
M18. 終わらない冒険
M19. halo-halo(encore1)
M20. ジェットロケット(encore2)

メンバー全員がステージを去り、すぐさまアンコールが起こる。アンコールはもっと観たい観客が終演後帰ろうとせず、会場の収拾がつかなくなり、全パフォーマンスを終えた演者が止む無く追加のパフォーマンスを行うようになった事がルーツだと言われている。今日のオーディエンスも勿論アンコールなしで帰る気などさらさらない様相だ。フルボリュームのアンコールがヒロインの再登場で歓声に変わる。「アンコールありがとう、もう……泣きすぎたわ」汗を拭いながら、感極まったかのようなLiSA。バンドメンバー全員が被り物装着で会場の雰囲気が少し和む。そんな中またサプライズ。LiSAが「ウチのライヴツアーのボスを」との紹介があり″ボス登場!″ 舞台監督であろうか?いずれにせよこうした舞台裏を支えるスタッフがライヴに参加するという事は極めて稀だ。「特別にボスから心の叫びを言ってもらうので今週のやつお願いします」とLiSA
 
「愛されたいか~!」とボス絶叫でオーディエンスから大歓声が起こり、アンコール1曲目はアップテンポでパンキッシュな「halo-halo」。ラストと思われるMC「キミが持ってる気持ちはキミだけのものだから、ずっとずっと大事にしてよOK?」「もう一歩だって迷わないで そう最高なセミファイナルの大阪を~見せてね!」と「ジェットロケット」の冒頭をアカペラで歌い、大きな音と共に発射されたテープとオーディエンスの手拍子がラストナンバーを飾る。「run run run」の大合唱、そして「ピース!!オオサカサイコー!!セミファイナル大阪、15本目ありがと~!」「本当に本当に本当に……ありがとう!AhAh!」。こうしてライヴは幕を閉じる。演奏後は、バンドメンバーとLiSAッ子と恒例の記念撮影。「できるならおばあちゃんになっても『Brave Freak Out』を歌っていたいです」というLiSA。今年の11月26日と・27日の横浜アリーナ公演を、「アリーナでしかできない最高の事を用意しています。もう1回言うけど期待しかしないでっ!」とさりげなくアピール。オフマイクで、恒例の「今日もいい日だ!ばいちっ!」で締め、オーディエンスからは「LiSAありがと~」の声援が送られる。横浜アリーナ公演が待ち遠しい……。

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