演奏

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TEXT:桜坂秋太郎

ガールズメタルバンドの中では、おそらく本誌最多の登場を果たしたDESTROSE。読者にはお馴染みのバンドだろう。そのDESTROSEが無期限の活動停止を発表し、目黒で開催されるワンマンを一つの区切りとし、ガールズロックシーンから離れることになった。HARD ROCK/HEAVY METALが好きで、ライブハウスによく通っている人なら、DESTROSEのステージを観た経験があるのではないだろうか。
 
ガールズロックの祭典、『WOMEN’S POWER』の常連バンドとして、また単独でも精力的な活動を続け、ガールズメタルシーンを牽引してきたバンドだ。本誌でも、数々のライブレポートだけでなく、特集「BEEAST太鼓判シリーズ第13弾アーティストDESTROSE」でのインタビューなど、強くプッシュをしてきた経緯がある。DESTROSEの方向性は結成当時からブレておらず、ツインリードギターをウリにした、メロディのあるHEAVY METALを奏でていた。
 
BEEASTは創刊から7年を迎え、紆余曲折しながら今に至るが、私がDESTROSEと出会ったのは、実はBEEATを創刊するより前のことだ。バンド仲間が出るライブを観に行った時、対バンとして登場したのがDESTROSEだった。まだ少し幼く見える女性たちが、頭を振りながらHEAVY METALを全身で表現していた。耳によく残るツインリードギターのフレーズが印象的で、DESTROSEの名前が私の中に残ることになった。
 
DESTROSEは度重なるメンバーチェンジにより、まさに波乱万丈のバンド活動を続けてきた。私の知る限り、ガールズメタルバンドで最多のメンバーチェンジではないかと思う。そして現在のDESTROSEには、オリジナルメンバーは一人も在籍していない。歴代のメンバーがDESTROSEのマインドを継承して、昇華させてきた特殊なバンドだ。公になっているかどうかは別にして、元DESTROSEのメンバーだったアーティストの中には、今のガールズロックシーンで活躍している人もちらほら見かける。

DESTROSE
成美(Guiitar)、miho(Bass)、RISA☆RISA(Drums)、IBUKI(Support Vocals)、MIKI(Support Guitar)

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あらかじめ活動停止となることを発表していたので、見逃してはならないというファンが集ったのだろう。開演定刻、会場のオーディエンスはすでに鮨詰め状態でメンバーの登場を待っている。SEにあわせてメンバーが登場し、1曲目は「Prologue」。いきなりシンガロング大会が始まり、見渡す限りのオーディエンスが歌っている。ツインリードのギターソロがDESTROSEの最大の持ち味であることを再確認する。そのままツインリードギターのリフで始まる「Rewrite the Curse」へ。イントロのメロディをIBUKIと一緒に精一杯歌うオーディエンス。今夜のDESTOROSE、そしてオーディエンスは、何かが吹っ切れたかのようだ。
 
すっかり定番となったmihoのMCへ。DESTROSEのリーダーになってからのmihoは、間違いなくアーティストとして一皮むけたと思う。おとなしく見えた加入当初に比べて、“私が引っ張っていく!”という気迫を、近年のステージからいつも感じていた。今夜は今まで以上にそれを感じる。続いて「Winds of Fall」。現メンバーでは、最後に加入したRISA☆RISAの2バスドラムが炸裂!その実力はこれからまさに華が咲くところ!DESTROSEのドラマーとしてのプライドが、スティックの先からほとばしっているかのようだ。間髪入れず「Destination」へ。IBUKImihoのハーモニーもキマッている。

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オーディエンスを見つめ、少し挑発するかの表情で弾く成美も、成長が著しい。ギターのテクニックもステージングも、ガールズメタルシーンでは頭一つ抜けた存在感を示している。そのまま「Fenixx」へと繋げると、オーディエンスの振る拳がより力強くなる!“ハイ!ハイ!”という掛け声が、大きく会場を揺らす。DESTROSEのカラーにうまく溶け込んだMIKIも、現場をたくさん経験してサポートの役割を完璧にこなす。初めてサポートに入った初々しいライブとはまるで別人、段違いの安定感だ。ここで2回目のmihoのMC。変にセンチメンタルにならず、いつも通りの展開を続けるDESTROSE
 
メンバー紹介から「Skykiller」。mihoのハーモニーパートを、野太い声のオーディエンスが大きく歌う。続けて「Hearts Grave」へ。ツインリードギターのハーモニーの上で、IBUKIの声が、会場に響き渡る。サポートボーカルという枠を超えて、ファンの心をつかんでいるのがよくわかる。続く「Lifer 13」ではmihoのグルーブするベースラインがよく聴こえる。エンディングのシンガロングもバッチリだ。そしてmihoの3回目のMCへ。DESTROSEのナンバーは、どれも体力を激しく消耗するタイプが多いが、彼女たちは息切れもせず、本当に凄い。休憩をとるほどに喋らず、すぐに「Brave hearted」へ。これは個人的に一番好きなナンバーで、ボーカルメロディにからめるmihoのハーモニーと、細かいツインリードギターがたまらない!

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そして「Romancer」。ツインリードギターのハーモニーと印象的なサビは、まさにDESTROSEの美味しさが堪能できる名曲。途中でオーディエンスの大きなハンドクラップが入り、汗だくのオーディエンスが腕を振り上げる!ステージ後方から取材している私の目には、汗で一段と色が濃くなってしまったTシャツばかりが見える。すべてのオーディエンスの背中に、“今日は思いっきり楽しむぞ!”と書いてあるかのようだ。静と動の叙情的な展開が魅力の「Beautiful Dreamer」へ。RISA☆RISAがタイトなビートを刻む!カッコいい!そこからミドルテンポの「Fade Out」。たまらない構成だ。DESTROSEの歌詞の中でも、「Fade Out」はとても可愛らしい歌詞で、女性ファンにも人気のナンバー。
 
4回目のmihoのMCへ。少し長めに話し、他のメンバーにもマイクを取らせて、声を会場へ届けている。気配りの仕方に、リーダーらしさを感じる。曲は、モダンでメロディアスな「悠遠」へ。安定したリズム隊の上で、成美MIKIが美しいメロディのハーモニーを奏でる。間髪入れず「Eutopia」。すでに1時間半近くも盛り上がっているオーディエンスの腕の力強さが、まったく衰えない!天井をつきぬけるかのようなパワーで、バンドへの愛情を伝える!メンバーもその様子を見て、どこか満足げな顔をしている。当たり前だが、彼女たちはこのライブで活動を停止するのだから、全身全霊をぶつけてステージをしている!本気の魂が、会場の空気を極限まで熱くする!

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◆Setlist
M01. Prologue
M02. Rewrite the Curse
M03. Winds of Fall
M04. Destination
M05. Fenixx
M06. Skykiller
M07. Hearts Grave
M08. Lifer 13
M09. Brave hearted
M10. Romancer
M11. Beautiful Dreamer
M12. Fade Out
M13. 悠遠
M14. Eutopia
M15. Headless Goddess
– encore –
M16. 破壊の薔薇
◆DESTROSE Official Website
http://destrose.net/
 
◆Information
本公演をもってDESTROSEは無期限の活動休止となりました。

 
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最後のmihoのMCに少し涙を誘いながら、ラストナンバー「Headless Goddess」へ。思い残すことがないよう、完全燃焼をしようとしているメンバーの表情がすごい!本気で勝負に出ているアスリートの顔だ。オーディエンスも負けてはいない。大きくシンガロングしながら、振り上げた腕やヘッドバンキングから、汗をシャワーのように空中へ広げている!エンディングまで気を抜かないステージを披露し、DESTROSEは舞台袖へと消える。アンコールの声がすぐにかかり、5分後、衣装をTシャツに着替えてメンバーが再び登場。まずはMC。mihoが、物販の品が売り切れ続出でのお詫びをする。オフの素朴な人柄で出て微笑ましい。
 
そしてアンコールは「破壊の薔薇」!イントロでパイロ爆裂!それを合図にするかのように、オーディエンスは全身を激しく揺さぶる。エンディングではスネアドラムに深いリバーブがかけられ、RISA☆RISAがタメにタメてフィニッシュ!すごいライブだ。これだけの実力を持ち、高いクオリティの楽曲を備えたガールズメタルバンドは数少ない。DESTROSEの歴史はいったんフリーズとなるが、いつの日か再始動することを願いたい。記念撮影のため、メンバーがステージ前方に集まり、オーディエンスと空間をメモリーする。DESTROSEの歩んできた道は、けして楽ではなかった。しかしDESTROSEのファンは、いつも愛を持ってバンドに接してきたのではないだろうか。その愛があったからこそ、DESTROSEは形を変えながら、マインドを継承できたのだと思う。DESTROSEの想い出を大切に、今後のメンバーの活動を見守りたい。

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