演奏

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TEXT:桜坂秋太郎

REBECCAはずっと、触れてはいけないパンドラの箱だったけど、時が経ち、心に余裕ができてきて、このパンドラの箱を開く勇気が沸いてきた。そして勇気を出して開けてみたら、パンドラの箱の中でREBECCAは、熟していた。
 
2015年08月12日(水)と13日(木)に、横浜アリーナでの再結成ライブを発表したREBECCA。そのニュースはアノ時代を過ごした人の眠っていた魂を目覚めさせ、両日ともソールドアウト。80年代に多感な時期を過ごしたかつての若者にとって、REBECCAが特別なバンドであることは間違いない。もっと具体的に言ってしまえば、今、45歳から52歳くらいがREBECCAのストライクゾーンだ。私もジャストミートな世代。学生生活の想い出は、REBECCAを抜きに語れない。MTVによるビジュアル戦略が浸透し、音楽が音楽ファンだけのものではなくなった時代に青春を送った層は、登場したばかりのCDやLPレコードからダビングした自分用のカセットテープを、ウォークマンに入れて音楽漬けの日々を経験しているはず。
 
懐かしのテレビドラマでも、80年代のドラマはよく話題に出てくる。バブル経済に踊る日本の勢いは凄まじく、伝説として語り継がれる作品が多く登場した。REBECCAが主題歌をタイアップしたドラマ「ハーフポテトな俺たち」も、甘酸っぱい青春物語として当時人気があった。REBECCAは、青春の心模様の代弁者として、数多くの名曲を発表した。そして社会はバブル崩壊を経験し、音楽も細分化が加速した。気がつけば、大好きな音楽から、離れてしまった人もいるだろう。REBECCAのストライクゾーンの年齢は、今の日本を支えている中心層だ。職場でも責任ある仕事を任されている年齢であり、子育てという大きなミッション遂行する年齢。日々、意識はしなくとも、アノ時代を過ごした人の心の底には、REBECCAのメロディが流れている……。

A
B
 

REBECCAレベッカ
NOKKO(Vocals)、土橋安騎夫(Keyboards)、高橋教之(Bass)、小田原豊(Drums)、
是永巧一(Support Guitar)、中島オバヲ(Support Percussion)

ソールドアウトとなった横浜アリーナ2DAYSに先立ち、2015年07月28日(火)、豊洲PITにてREBECCAプレビューライブが開催されることになった。あらかじめ4~50分の内容であるとアナウンスがあり、まさに横浜アリーナ2DAYSの前哨活動と言えるだろう。その様子を今回はレポートしてみたい。会場時刻よりも早い時間に現地へ到着すると、すでに多くのファンが居る。平日の夕方というシチュエーションだが、ストライクゾーンの熱心なファンは、 半日有給休暇を取って参加しているのかもしれない。豊洲PITは、スタンディングで3千名も収容できる大型のライブハウスだ。REBECCAにとっては、ライブの感覚を取り戻すにちょうどよいサイズだったのだろう。入場口付近では、テレビの取材クルーが、ファンへのインタビューを撮影している。「この日を待っていた」というような話を、にこやかにするファンの顔が印象的だ。
 
18時の開場時刻にドアが開き、整理番号順に並んだファンが次々に会場内へ。今回はプレビューライブということもあり、会場ロビーの物販ブースはTシャツとマフラータオルにパンフレットという3点のシンプルなラインナップ。山積みになっている商品が、あっという間に減っていく。来場したファンの大半が、何かしらを購入しているように見える。併設されたCD販売ブースにも、人の山ができている。ライブハウスなので、ドリンクを購入するのだが、暑い日でもあり、一気飲みをする人が多い。会場のステージフロアに移動すると、客席は前方に指定席のイスが用意されていて、後方はフリーのスタンディングエリアだ。さらに後方、照明やPAがある付近も、一段高くなったスタンディングエリアが用意されている。
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19時の開演時刻間際になると、会場内は鮨詰め状態。パッと見で、クールビズ姿が多い。仕事を定時に切り上げて、豊洲に足を運んだのだろう。思ったより、女性の参加率が高いようだ。男女比率は女性がやや多い印象。BGMには、往年のREBECCAの名曲がデジタルリミックスで流れている。さらに人は増え続け、通路にも人が溢れてしまう状態。徐々に弱まっていた携帯電話のアンテナも、ついに圏外となる。見渡す限り、私と同年代ばかりだ。今夜は大掛かりなビデオシューティングが実施されるようで、機材クルーが慌しく動いている。開演時刻から10分押しで、ステージがスタート。NOKKOを除くメンバーがステージへ。小田原豊が手を上げてファンの声援に応える。ベテランアーティストなので、リラックスしたムードで登場だ。
 
オープニングナンバーは、5thアルバム『TIME』の2曲目に収録された6thシングル「LONELY BUTTERFLY」。会場は一気にアノ時代へとスリップ!涙ぐんだり、口に手をあてたり、ファンのその表情は、少年・少女に戻ったかのよう。NOKKOがステップを踏みながら、優しく歌い上げる。音の響きと分離がすばらしく、すべての楽器と歌がハッキリとクリアに聞こえる。サビのハーモニーは、高橋教之土橋安騎夫、そして是永巧一が担当。今のリアルなREBECCAの姿がそこにある。NOKKOの安定感が増した歌声と、抜群の演奏力が最高だ。愛がすべてを変えてくれないことを知っているファンの振る腕は、ひたすら表のリズムで刻んでいて、昨今の裏リズムの“オイ!オイ”的なノリとは一線を画している。アノ時代を想い出して胸が熱くなる。

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続いて、4thアルバム『REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~』の3曲目に収録された「Cotton Time」。高橋教之の踊るベースラインにのせて、白いワイヤレスマイクを手に、ファンへ微笑みかけるNOKKO。木綿の風が豊洲PITに吹いている。MCを挟んで披露されるのは、6thアルバム『POISON』の3曲目に収録された「真夏の雨」。NOKKOはMCで、「真夏の雨」は終戦の8月の歌であり、歌詞の内容がその悲しさをイメージされたことがあったと語る。当時はあまりそういう風には思っていなかったが、今となっては重なるところがあるかもしれないと続け、土橋安騎夫が印象的なイントロを奏でる。幻想的な照明と、雨を思わせるライトがよりいっそうREBECCAのステージを引き立てる。土橋安騎夫是永巧一のメロディのハーモニーがたまらない。
 
「真夏の雨」は、“静”のREBECCAを代表するナンバーで、ミニコンポ“リバティ”のCMに起用された8thシングル「Nervous But Glamorous」のカップリングにもなった。続いて披露するのは“動”のREBECCAを代表するナンバー「MONOTONE BOY」だ。7thシングルとして発表され、映画『微熱少年』の主題歌に起用されたロックチューン。ファンには良く知られた古くからのREBECCAサポートメンバー、是永巧一中島オバヲは腕を振り上げ、REBECCAのステージを心から楽しんでいるように見える。小田原豊高橋教之は、ファンへハンドクラップのポーズをしてあおる。エンディングのサビの前にメンバー紹介。NOKKOは、高橋教之土橋安騎夫小田原豊中島オバヲ是永巧一の順に紹介し、大歓声があがる。星明りのビーズの都会で、今REBECCAのステージを観ている“自分”に、会場中が酔っている!

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最後の曲です!とNOKKOの紹介から、5thシングル「Raspberry Dream」へ。プレビューライブということで、短めのセットリストは最初からわかってはいるのだが、それでも納得がいかないのがファン心理。まだまだ聴きたい!という心の叫びが伝わってくる。是永巧一がイントロのフレーズを弾く。ライブでは伝わりにくいフレーズだが、まるで音源を聴いているかのように、細かく正確に聴こえる。小田原豊がタイトなビートを刻み、土橋安騎夫がシンプルながら印象的なリフを奏でる。紛れもない本物の「Raspberry Dream」だ!身体の芯がゾクゾクする!ステップを刻むNOKKOに合わせて、女の子が腰をふり、男の子は手を叩きながら身体を揺する。悪い遊びを覚えた日を想い出すかのように、今この会場には、少年・少女しかいない!
 
終わってほしくない時間ほど、終わりが早く感じる。メンバーが手を振りながら舞台袖へ。直後から大きなアンコールの声。日常生活では大声を出すことが少ない年齢の少年・少女が、ステージへ精一杯の大きな声援を送る。長めのインターバルから、再びメンバーが登場。NOKKOはお洒落な帽子はそのままに、Tシャツに着替えている。他のメンバーもTシャツに着替えていて、アンコールらしい雰囲気だ。メンバー全員による御礼の一言コメントの後、NOKKOが生きていてよかったと語る。ファンも同じ想いだろう。私も生きていてよかった。今のREBECCAはとても素晴らしい。すでに横浜アリーナの2DAYSはソールドアウトだが、さいたまスーパーアリーナの追加公演が発表されている。無理をして観に行っても価値があると断言できる。迷っているファンは、足を運ぶことを強くお薦めしたい。

T5s
T6s

小田原豊のカウントから、本日最後のナンバーへ。4thアルバム『REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~』の8曲目に収録された4thシングル「フレンズ」。言わずもがな、REBECCAを国民的バンドへと導いた名曲。同アルバムの7曲目に収録された「ガールズ ブラボー!」と共に、ドラマの主題歌としてお茶の間へ一気に浸透した。会場中がシンガロング大会となり、ファンの声がバンドにも届いているのだろう。ステージのメンバーは皆が笑顔だ。そして、ずば抜けた才能を持つギタリスト、是永巧一がステージポジションの上手から下手へ移動してファンをあおる!ヒートアップするファンの情熱は、ポケットのコインをあつめて、夢をかぞえた頃のままだ!
 
「フレンズ」のクライマックスで、NOKKOが手を会場へ差し延べる。指先を動かし、ファンと指をつないで時を止めようとするかのよう……。演奏が終わり、メンバーがステージ前方へ集合する。高橋教之が親指を立てて、やったぜ!という表情をする。NOKKOはメンバー紹介をした順に、高橋教之土橋安騎夫小田原豊中島オバヲ是永巧一とハグをする。最後はメンバーが手をつないでファンへ頭を下げる。プレビューライブでこれだけの感動があるのだから、横浜アリーナ2DAYSとさいたまスーパーアリーナの大きな感動は、想像に難くない。遠方やその他の理由でアリーナライブへ行かれない人も安心してほしい。一人でも多くの人と感動を分かち合えるよう、本日の豊洲PITのプレビューライブと、横浜アリーナ公演2DAYSの様子が、8/30(日)にWOWWOWで放送予定があるようだ。パンドラの箱を開け、復活の狼煙を上げたREBECCA。アノ時代を胸に、明日はきっといいことあると信じて!
 


◆REBECCA Website
http://rebecca0421.com/
◆REBECCA Label Website
http://www.sonymusic.co.jp/artist/Rebecca/
 
◆Setlist
M01. LONELY BUTTERFLY
M02. Cotton Time
M03. 真夏の雨
M04. MONOTONE BOY
M05. Raspberry Dream
M06. フレンズ(-encore-)

 
◆News
豊洲PITと横浜アリーナ公演2DAYSの様子が、WOWOWで8/30に放送予定!
http://www.wowow.co.jp/music/rebecca/

◆Live Information
・2015年08月12日(水)【神奈川】横浜アリーナ*SOLDOUT
・2015年08月13日(木)【神奈川】横浜アリーナ*SOLDOUT
・2015年11月29日(日)【埼 玉】さいたまスーパーアリーナ
 
◆Release Information
http://mora.jp/artist/11321/h
2015年7月29日よりハイレゾ配信開始
REBECCA IV~Maybe Tomorrow~
WILD & HONEY
VOICE PRINT
TIME
BLOND SAURUS
POISON
Nothing To Lose
REBECCA-revive-  (配信順)