演奏

TEXT & PHOTO :桜坂秋太郎

右近健一。弊誌BEEASTのレポートとしては初登場。劇団☆新感線に所属し、音楽や歌唱指導も行っている才能に溢れた役者だ。そんな右近健一が2010年から定期的に「右近健一一人芝居」と題した公演を行っている。第一章として「2010年宇宙の旅」「2011年宇宙の旅」。そして第二章は「ヌッツォの逆襲」。今回はその再演があるというので、吉祥寺STAR PINE’S CAFEへと足を運んでみたいと思う。

 


 


 


 


右近健一が一人三役をこなしてストーリーがスタート。地球制服をたくらむヌッツォ、ロックスターになりたい健ちゃん、劇団員右近のキャラクターを演じている。ユーモアとハイテンションな空気で、一気に右近健一ワールドへ引きずり込まれる。すごい!とにもかくにも圧倒的な存在感。バンドSpiders from cabaretの安定感ある演奏をキャンパスに、右近健一が自在に絵を描いているかのようだ。

 


 


 


 


「宇宙の旅」の続編という設定になっているが、前編を知らない人でも十分に面白い。お腹を抱えてしまうセリフが続き、右近健一のハチャメチャなストーリーに夢中になっている自分に気がつく。バンドのLIVEにおけるMCのようなトークもあり、会場との一体感もバッチリだ。今回は劇団☆新感線からのスペシャルゲスト三人娘、山本カナコ中谷さとみ保坂エマが登場。ステージがいきなり華やかになる。

 


 


 


 


右近健一の動きに合わせて演奏をキメるSpiders from cabaretのメンバーは、粒の揃ったギターサウンドがドライヴするクッキー(Guitar)・ハイフレットを上手に使ってグルーヴする道上いづみ(Bass)・パワフル過ぎるパワーを、あえてグッとこらえたかのようにビートを刻む切風鷹力(Drums)。不安のない高い演奏力は、ただ聴いているだけでも、素晴らしく気持ちが良い。まさに耳と目で楽しめるステージだ。

 


 


 


 


第1部が終わるとスクリーンを使った世界旅行へ。ロックのLIVEには無い感覚が味わえる。このインターバルは、次のストーリーへのアプローチとして有効であり、着座スタイルならではのゆとりにも繋がっている。私も仕事柄何バンドも立ちっぱなしで取材することがあるが、プライベートでは着座してビール片手に観たいお年頃。そうこうするうちに第2部がスタートし、再び右近健一ワールドへ。登場するだけで空気が変わる!

 


 


 


 


弊誌BEEASTは2009年の創刊時から演劇やミュージカルのレポートを続けてきた。満足できる数はこなせてないが、それでもロック媒体で紹介しているメディアは他にないと思う。約2年前、劇団☆新感線の「薔薇とサムライ〜GoemonRock OverDrive」をレポートしているが、キャストの中に右近健一の名を見つけることができる。劇団☆新感線の音楽と歌唱のキーマンとしての活躍は、何を今さら!といったところだろう。

 


 


最前列のお客さんをストーリーに入れた展開もあり、流れに飽きることがない。後半も三人娘が登場して、きらびやかな歌を披露。右近健一が三人娘と一緒の振り付けで楽しい。会場を見渡すと、笑顔にあふれている。この一人芝居は、右近健一を中心に形成された、まさに宇宙規模の面白ストーリーだ。終演、大きな拍手が会場を包み込む。何度もアンコールに応える右近健一。ヌッツォ!そうヌッツォが耳から離れない。完全にハマってしまった。これから私の頭の中では、いつまでもヌッツォォォォォ!がこだましていることだろう。

◆セットリスト

M01. WELCOME SONG
M02. あいつは怪人二十面相
M03. 愛の讃歌
M04. 人生はロックンロール選手権
M05. ロックスター

M06. 砂山
M07. あたしを止めないで
M08. 今こそヒーロー
M09. パパイヤ軍団
M10. スパイダー数え歌

 

◆右近健一 公式サイト
http://ukrocks.net/

◆ヌッツォの逆襲

作・演出 ・出演:右近健一
 
スペッシャルゲスト
from 劇団☆新感線
東京公演:
山本カナコ中谷さとみ保坂エマ
大阪・松山公演:
村木よし子
 
Spiders from cabaret
ギター:クッキー
ベース:道上いづみ
ドラム:切風鷹力