まず今宵の扉を開いたのはJaw fish。エンジのシャツで揃えたギターボーカル、ギター、ベース、ドラムの編成、70’s ロック&ブルースバンド。ハーモニカを取り出し、ポーズを決めるパフォーマンス、情熱とカッコ付けてる照れもあり、どこかに横浜の夜の街の若者らしさを感じます。ロック、ブルース、バラードありの全11曲を披露。

続いての絵夢、新橋ZZ満員御礼！

メンバーは中央には存在感抜群のメインボーカル清丸（きよまる）、上手には三味線＆ボーカルの菖蒲（あやめ）、下手にはアルトサックス&ボーカルの牡丹（ぼたん）、そしてバックバンドはベース裏方獅子丸にドラムの啓ちゃん。

まずはステージ上でおなご部隊はガンつけ、バンド陣はヤンキー座りで記念撮影。その前には客席に背中を見せて失礼極まりない絵夢様です。酒は飲むわ煙草を吸うわステージドリンクの水の入ったペットボトルをひっくり返すわ、客席でもコンドーム売りつけるわやりたい放題。Jaw fishが「70’s横浜スタイル」なら、絵夢は「路地裏に青竜刀が落ちていた時代の新宿極悪スタイル」を真面目にヤラカしています。

絵夢は殿、裏方獅子丸氏が同期音源で作り上げたトラックに手練れのギター、ベース、ドラムにお囃子おなご部隊の三味線、アルトサックスが乗った分厚いサウンドと清丸のハイパワーなボーカルが特徴。そして曲が増えるにつれどんどんひねくれた構成になっていく。先の読めない構成に乗せて歌うのは捩れた愛。ドロドロしてるくらいがちょうど良い、それがリアルな人生では？クリーンで爽やかなポップスを聴き飽きた大人達へ贈る、一体何をやってるんだというくらいのごちゃ混ぜミックス。R&B、HIP-HOP、JAZZ、FUNKにROCKに歌謡曲。

今回は「昭和の心」というイベントタイトルのため、ラップ曲は外していますが、基本はミクスチャスタイル。分かる人には分かる、分かる人だけ分かればイイ、そんな仕込みが沢山あります。そしてチャンチキ宴会楽団と見せかけて実は絵夢は相当な爆音バンド。客席には踊っている方も居て、何より最高の瞬間。

1曲目のtattooはオケが出ない！トラブルからスタート。それでも何事も無かったかのように叩き始める啓ちゃんは手慣れたもので流石の職人技。爆音歪みギターは神楽亭山吹の十八番。いつも五月蝿いよ、と清丸に怒られています。が、やはりギターは前に出るものでしょう！アルバム「豚に娼妓」のアプローチとはいつも違うことを弾くのですが、イントロはお洒落に決めたいようです。管の特徴的なテーマが繰り返される中、場所はバーでしょうか、タトゥーを入れた男の生き様を女が感じ取る歌。

ベース獅子丸は巨大アップライトベースからワーウィックのハードなベースに持ち替えていたのですが、暴れ馬を乗りこなしている様をカラスマスクとサングラスで平然と見せかけています。
続くTrickは正にタイトル通り。男女関係を女都合で歌い上げる。こんな駆け引きは下らないと思いながらも、面倒くさい言い訳を妄想で繰り広げている。このレポートを読んでいる方の中にはそんな痛みに共感できる人がきっと居ることでしょう。

regretは山口百恵の「秋桜」をベースに作り上げた曲、と前回種明かししてしまいましたが、裏拍のためかどことなくレゲエ風の黄昏感を爆音ながら感じます。

abondoned childは新宿は歌舞伎町に捨てられた孤児をイメージして出来た曲。鼓動の様なバスドラムが演奏している側にも聴いている側にもプレッシャー。切なさと苦しさといつ何が来るんだという不安が襲う、昭和歌謡風な一曲。菖蒲と神楽亭山吹のランデブータイムは籠女、三味線が少しずつ前に出て来る様になりました。この辺りは手練神楽亭の腕の見せ所でしょうか。

さて小休止したところでまだまだ仕込みがあります。新バンドのご紹介！我らがBEEAST編集長桜坂秋太郎氏率いるNezill（ネジル）。新規立ち上げのなんとも言えない興奮と未完成な疾走感。これがバンドの醍醐味でしょうか。

絵夢はNezillの空気を引き継いで、続いては中森明菜のTATTOOで上げていきます。しばらくライブでの演奏はしていなかったのですが、なにぶん「昭和の心」ですので、昭和の歌姫のカバーは外せません。そして最後の曲はwant a spice、Jazzの要素もあり、上から目線で見下している女の強気なパフォーマンス。