演奏

TOKYO VERONICA

TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎

2010年7月19日、蒸し暑い渋谷の雑踏を抜けてCLUB CRAWLへ。今夜は東京ヴェロニカのツアーファイナル。モダンな歌で魅了する彼らが、ツアーを経て得たものを観たいと思う。残念なことに現メンバーでのライヴは当面無いということで、余計に目に焼き付けておきたいライヴだ。私と同じようなことを思っているだろう人の波が、CLUB CRAWLへと続く。会場に入ったらまずは冷たいビールをいただこう。

東京ヴェロニカのツアーファイナルをサポートするバンドは、THE BULLET CABARETMOSQUITO SPIRALTHE BULLET CABARETは名前の通りストレートなロックが魅力のライヴバンド。実は前から一度観たいと思っていたバンドだ。MOSQUITO SPIRALは、すでに弊誌でも5月のワンマンをレポートしたことがある。楽曲もステージも文句なしのロックバンド。この2バンドと東京ヴェロニカという組み合わせは、どれほど楽しいライヴになるのか想像するだけでワクワクする。

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トップバッターは、THE BULLET CABARET。メンバーは、シライショウゴ(Vocal & Guitar)・ ナカガワシンイチ(Guitar)・オオノヨウスケ(Bass)・オオバヤシシュンスケ(Drums)。トリを務めてもおかしくないバンドが、トップバッターで登場。いきなりテンションが上がる。手にしていたビールをグイっと一気に流し込む。「Magic Moment」でスタート。オオノヨウスケオオバヤシシュンスケが作り出すビートが会場に響き渡る。そして歌メロが印象的な「青い犬」へ。ヤバイくらいにカッコ良いバンドだ。

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まさに弾丸!そんな印象の「このまま壊れてもいい」は今春リリースしたシングル。ソリッドでタイトなロックが好きな人にとって、THE BULLET CABARETはたまらないバンドだ。この直球さが最高。個人的には「夜の逃亡者」というナンバーが好みだ。ナカガワシンイチのギターは、レスポールなのにエッヂのあるサウンドを聴かせ、シライショウゴはしっかりカッティングを刻みながら歌う。バンド全体として安定したプレイを披露してくれる。現場(ライヴ)で鍛えた実力は本物だ!

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■THE BULLET CABARET 公式サイト

http://thebulletcabaret.com/

■セットリスト
M01. Magic Moment
M02. 青い犬
M03. dance in the dead end
M04. このまま壊れてもいい
M05. ゴーストタウン
M06. ロージー(THE ROOSTERS)
M07. 夜の逃亡者
M08. baby,don’t cry
M09. lightning
M10. Shot me,baby
M11. アナーキーバス

■インフォメーション

2010/09/18(土)【新 潟】CLUB RIVERST
2010/09/25(日)【渋 谷】CLUB CRAWL

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2バンドはMOSQUITO SPIRAL。メンバーは、BAKI(Vocal)・KASUGA(Guitar)・ANAI NIKICHI(Bass)・KYO(Drums)。もはや説明不要のメンバー。各メンバーのバックボーンについては、こちらのMOSQUITO SPIRALワンマンレポートを参考にしてほしい。「CAFE THE BLACK」でスタート。暑い日に熱いナンバーはもってこい!「REFLECTION」ではオーディエンスもシンガロング。ANAI NIKICHIKYOの圧倒的なリズムで攻めてくる「GO INSANE」にオーディエンスもノックアウト寸前。

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地獄から聴こえるかのようなBAKIの「POWER NOIZE」に思わず拳をあげてしまう。KASUGAのギターは独特のグルーヴを持ちつつパワフルなフレーズが全開。「MONSTER」になるとオーディエンスも狂乱状態!ラストナンバーは「SPIRAL DREAM」で完全燃焼。前回ワンマンを観ているだけに少々物足りな気もする。しかしMOSQUITO SPIRALは、限られた時間の中でも最高のステージを展開してくれるバンドだ。ファンの期待を裏切らない!

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■MOSQUITO SPIRAL 公式サイト

http://mosquitospiral.com/

■セットリスト
M01. CAFE THE BLACK
M02. REFLECTION
M03. SHINING ON
M04. GO INSANE
M05. SAKEBEODORE
M06. POWER NOIZE
M07. DARKSIDE MOON
M08. FEAR
M09. MONSTER
M10. BORING
M11. SPIRAL DREAM

■インフォメーション

2010/10/03(日)【池 袋】CHOP
2010/10/10(日)【江ノ島】OPPALA
2010/10/23(土)【吉祥寺】ROCK JOINT GB
2010/10/30(土)【心斎橋】Club ALIVE!
2010/11/07(日)【新 宿】club Doctor

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更なる熱気が会場を包み込む。私もバンド転換中に2杯目のビールを飲み干す。最高のロックと冷たいビールの組み合わせは、本当に無敵のコンビネーション。準備が終わったようだ。さて、いよいよ東京ヴェロニカ。メンバーは、山本篤(Vocal & Guitar)・上根龍志(Bass)・安庭ノリコ(Keyboard)・鶴岡恵里子(Trumpet & Percussion)・蔵本真彦(Drums)。今夜のライヴをもって鶴岡恵里子がしばらく休業(今後は4人で活動を続けるようだ)になるとのことで、5人の東京ヴェロニカをしっかり観ようと、会場後方にいたオーディエンスも前へと詰めかける。

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スタートは「バナナボート」。安庭ノリコのキーボードから山本篤の歌へ。心に響いてくる歌声だ。蔵本真彦の叩き出すビートに酔いながら「BOPPIN’ WITH THE TOKYO VERONICA QUINTET」そして「俺のアイドル」へ。上根龍志はウッドベースを斜めに構えてクールにキメる。「若すぎたメロディー」は鶴岡恵里子のトランペットと山本篤の歌が絶妙に絡み合ってゾクゾクさせる。そして歌詞が印象深い「桜雪」から「東京ヴェロニカ」。蔵本真彦のパワフルなドラムが気持ち良い「清廉唱歌」の後は、これぞ東京ヴェロニカ!“アナタは誰ですか?”の「東京ビート」。

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■東京ヴェロニカ 公式サイト

http://www.tokyo-veronica.com/

■セットリスト
M01. バナナボート
M02. BOPPIN’ WITH THE TOKYO VERONICA QUINTET
M03. 俺のアイドル
M04. 若すぎたメロディー
M05. 桜雪
M06. 東京ヴェロニカ
M07. 清廉唱歌
M08. 東京ビート
M09. 風の歌を聴け
M10. 波止場のマリー(encore)
M11. 薔薇色の毎日(encore)

「風の歌を聴け」で、なぜか涙が出てきた。東京ヴェロニカは“何とかロック”と一言で表現するのは難しいバンドだ。まさに“東京ヴェロニカ”という一つのジャンルのよう。山本篤の歌はザラザラしたその声質で、人の心にズカズカと入り込んでくる。気が付いたら東京ヴェロニカのステージは終了。アンコールを求めるオーディエンスの声で我に帰る。アンコールは「波止場のマリー」だ。上根龍志のベースラインと鶴岡恵里子のトランペットで、また涙が出てくる。何というバンドだろう。激しく心を揺さぶられる。

そして「薔薇色の毎日」。山本篤が激しくギターをかきならし、叫ぶ。本当の最後のナンバーのようだ。『BOPPIN’ WITH THE TOKYO VERONICA QUINTET TOUR』のファイナルライヴ。メンバーも思い残さないよう全力で演奏しているのが伝わってくる。…終了。オーディエンスは力の限りの拍手をバンドに送る。私も取材中に涙が出てきたのは初めての経験だ。惜しみない拍手をバンドに送ろう。東京ヴェロニカ、実に素晴らしいステージをありがとう。この感動を一人でも多くの人へ、これからも届けてほしい。