2009年12月26日、東京都下の福生市にある「福生UZU」で、やさぐれ、VESSE、ココロー&ヘルニアンズ、HAIRSPRAY PSYCHEが集結したライヴイベント『COSMIC DRIVE Vol.3〜After X’mas Rock’n Roll Party〜』が開催されました。
「福生UZU」は、80〜90年代のジャパニーズ・ロック界を席捲したストリート・スライダーズ、ZIGGY、JUN SKY WALKER(S)、最近では、気鋭のスリーピースバンド、SISTER JETを輩出したことで知られる登竜門的な存在のライヴハウス。この日、福生の街は日が落ちてから急に冷え込んで来ましたが、辿り着いた「福生UZU」の扉を開けると、店内は人が溢れ、熱気に満ちていています。ステージでは今夜のオープニングを務めるガールズバンド、HAIRSPRAY PSYCHEが演奏をスタート。
HAIRSPRAY PSYCHEは、バンド名の通りサイケデリック・ロックと、アメリカが誇るロックシティ“デトロイト”が生み出した、MC5やSTOOGESにも通じる、破壊力満点のストーナー系ロックンロールを鳴らします。メンバーは、S.A.T.O(Vocal & Guitar)、M.I.H.O(Guitar)、kao☆run(Bass)、Nori(Drums)の4人組。60年代のフラワーチルドレンを思わせるカラフルでヒッピーチックなコスチュームに身を包んだ4人は、狭いステージ上で艶やかに輝きながら、ハートビートに直結したワイルドなガレージロックンロールをプレイして、オーディエンスを熱狂させています。
僕はHAIRSPRAY PSYCHEを福生のロックカーニバル「カニ坂ロックフェス」のステージで目撃したことがあるのですが、今夜のステージでもS.A.T.Oの荒ぶるパワフルなシャウトと、ロッキッシュなツインギターの絶妙な絡み、そして粘りのあるリズム隊の演奏が冴え渡り、60〜70年代ロックへのオマージュが錯綜する彼女たちのライヴはとにかく最高。ラストの2曲は、BEATLESの「Helter Skelter」とIGGY & STOOGES「NO FUN」の壮絶なカバーでピークを迎えます。
M1. Anything
M2. Sweet baby
M3. New moon
M4. Robber
M5. ゆら
M6. Rainbow
M7. Joy
M8. Helter Skelter(THE BEATLES)
M9. No fun(THE STOOGES)
二番目に登場するのは、ココロー&ヘルニアンズ。軽快なブリティッシュ・ビートと、熱いロッキンブルースで聴衆を絶え間なくダンスさせる彼らは、とてもソウルフルな5人組バンドです。爽快なオープニングナンバー、「ヒッパレ魂」が始まるなり、フロントマン、コイケココロー(Vocal)のソウルシャウトが炸裂します。その傍らでは高田ジッピー義久(Guitar)が、KEITH RICHARDS譲りのロックンロール・ギターでバンドのテンションをグイグイと上げて行きます。
ボトムを支える菅佐原‘DUCK DAI’大介(Bass)と、熊谷クーミン智明(Drums)は、タイトなビートを淀みなく生み出し、ムードメーカー的存在の菅佐原‘shunboy’俊介(Vocal, Guitar, Harp & Percussion)は、ひょうひょうとした佇まいでブルースハープを巧みに吹き鳴らしています。DR.FEELGOOD、SAM COOKE、RCサクセション等から得たR&B精神を武器に、魅力的なオリジナルナンバー6曲をプレイし続けた彼らは、客席にいた盟友バンド、THE HOT ROCKSのメンバー(ICHIROとJUN)をステージに招き、CHUCK BERRYの名曲「Johnny B Good」を華々しく演奏してライヴ終了。
M1. ヒッパレ魂
M2. ジョニー三太郎
M3. ミミズマン
M4. ハッピーソング
M5. 孤独のワンダー
M6. 極東のロックンロール
M7. Johnny B Good(WITH 一郎&ジュンfrom THE HOT ROCKS)
続いて登場するのは、自らを平成日本のThe Rolling Stonesと標榜する、神奈川県海老名市で結成されたVESSE。なるほど、ステージに登った5人のメンバー、JUN(Vocal)、JC(Guitar)、Lightnin’ Aoshiba(Guitar)、Sekido(Bass)、Takehe(Drums)の気だるく妖しい雰囲気を漂わせる立ち姿を一目見れば、彼らがThe Rolling Stonesの子供達であることは間違いないと誰もが納得することでしょう。
長い髪を振り乱し、ステップを踏みながらライトの光に浮かび上がったJUNは、DAVID JOHANSEN張りのロックンロールヴォイスを轟かせて、音の渦の中に切り込んでいきます。…The Rolling Stonesのみならず、STREET SLIDERS、FLAMIN’ GROOVIES、そしてあの村八分を彷彿させるサウンドを聴かせてくれます。グラムロック期のLOU REEDを思わせる「She is Monkey」と、スローブギの「退屈天国」「雨上がり昼下がり」では、Lightnin’ AoshibaのMICK TAYLOR張りのスライドギターが眩い光を放ち、VESSEのロックンロール・ショウは熱狂の中、終了。
M1. これが恋だって
M2. ドクの唄
M3. 君がいてくれる
M4. She is Monkey
M5. 退屈天国
M6. 雨上がり昼下がり
M7. 君のくちびる
M8. あの娘わがまま
そして、本日のラストを務めるのは、北海道札幌で結成され、横浜を拠点に活動中のやさぐれ。メンバーはDASS(Vocal)、純也(Guitar)、弦斗(Bass)、文平(Drums)、無空(Djembe)の5人組。、「零の世界」の鋭く切り込んで来るワウワウ・ギターが唸りを上げ、リズム隊がポリリズミックな音の波を作り出し、GEORGE CLINTONのようなカラフルなドレッドヘアが強烈な印象を与えるDASSがマイクに向って吠え出すと、並み居るオーディエンスは立ち上がって、熱い声援をメンバーに向けて送ります。「寄らば切る」と言わんばかりの殺気を漂わせるやさぐれのライヴがついにスタート。
やさぐれのステージングは本当にエキサイティングです。メンバー全員が激しく体を動かしながらの渾身のプレイは圧巻の一言。聴覚を弄するワイルドなギタープレイ、秀でたテクニックを見せつけるリズムセクションによる16ビートの洪水と、呪術的な魔力を持ったDASSのパフォーマンスに魅せられた人々は、フロアーで思い思いのダンスを披露し、観衆の熱気に煽られたバンドの演奏はますますヒートアップ。神秘性さえ感じさせる瞬間が次々と繰り広げられて行きます。強靭にうねるアフロリズムが腰を直撃する「ちょうちん」、鮮烈なファンクロックビートが襲いかかって来る「眠れる獅子を呼び起こせ」をラストナンバーに、やさぐれのステージは終了。
M1. 零の世界
M2. フーテン半分
M3. 黒い鴉
M4. ちょうちん
M5. 眠れる獅子を呼び起こせ
バンドとオーディエンスが一体となって、福生の深い夜を熱く盛り上げた、今夜の『COSMIC DRIVE Vol.3〜After X’mas Rock’n Roll Party〜』。4組の出演バンドの音楽性は、それぞれバラエティに富んでいて、さすが、出演者のクオリティの高さには定評がある「福生UZU」ならではのイベントだったと思います。次回Vol.4も決定したようです!このロックンロールパーティーに是非、読者の皆さんも参加して欲しいと思います。
詳細のお問い合わせは福生UZUまで。