演奏

CRACK DOWN TOUR Vol.1

TEXT:桜坂秋太郎 PHOTO:ヨコマキミヨ

『CRACKDOWN TOUR Vol.1』と題されたヘヴィメタルイベントが、東名阪ツアー形式で開催!主催は老舗ヘヴィメタルレーベルの「SPIRITUAL BEAST」。本誌読者には「レーベル資料館」の連載でも目にしているレーベル(こちら)だ。そんなヘヴィメタルへの熱い愛に溢れる「SPIRITUAL BEAST」が企画したイベントの最終日渋谷CYCLONEをレポートしよう。レーベル主催ということで、出演バンドのクオリティは保障されいる。安心してステージを観ることができるだろう。

このイベントに出演するバンドは、SATYRSURVIVESOLITUDEの3バンド。一言でいえばすべて“ヘヴィメタル”に該当するバンドかもしれないが、現代の細分化された音楽シーンでは、別のカテゴリーに属している。ヘヴィメタルという音楽は、特に2000年以降もっとも細分化が進んでいる音楽かもしれない。それぞれのサブカテゴリーにファンが付いているスタイルで、マーケットが形成されている。したがってこの出演者ラインナップを見ると、イベントが目指したい姿を現していると言える。

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1バンド目はSATYRサテュロス)。メンバーは、KEIGO(Vocal)・yo-chin(Guitar)・(Bass)・慶光(Drums)。ダウンチューンのブルータル系サウンドは、ニュースクールなハードコアや、メタルコア好きにはたまらないバンドだ。超強力なヘヴィモッシュの嵐に血が騒ぐ。フロントの3人はアグレッシブに動き回り、KEIGOは客席を常に意識してオーディエンスをあおる。MCでは2ndアルバムの発売が発表され、それにともなうツアーも計画中とか。動きながら難解なフレーズを余裕の表情で決めるyo-chin、大きなアクションでリズムを取る、派手なシンバルワークがカッコ良い慶光。次世代の日本のブルータル系サウンドを背負っていくバンドとして今後も要注目!

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■SATYR 公式サイト

http://satyrjp.web.fc2.com/

■セットリスト
M01. 723
M02. False
M03. Run After Chase
M04. Lib
M05. Another Side
M06. Just Want…
M07. Never Forget

■インフォメーション

2010/10/23(土)【吉祥寺】CRESCENDO
2010/11/03(水)【新 宿】ANTIKNOCK
2010/11/20(土)【下北沢】club251
2010/11/27(土)【浜 松】MESCALIN DRIVE

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2バンド目はSURVIVEサヴァイブ)。メンバーは、NEMO(Vocal & Guitar)・RYO-SUKE(Guitar)・SINJILOW(Bass)・HIROKI(Drums)。幻想的なSEからステージスタート。ストレートなスラッシュメタルを圧倒的な音圧でオーディエンスにぶつけてくる!NEMOは歌になるとギターがおろそかになるタイプではなく、歌いながらきっちりギターを弾き、ツインリードも完璧に決める。ローポジションからハイポジションへフレーズを弾きながら歌えるというのは凄い!RYO-SUKEはザクザクしたリフから、ロングトーンのソロまでヘッドバンギングで弾きまくる。ギターキッズらしいオーディエンスが食い入るようにステージを見つめる。SINJILOWは激しくジャンプしたかと思うと、狂ったようにオーディエンスをあおり、SURVIVEのタイトなリズムをHIROKIが叩き出す。高速2バスと楽器隊がバッチリとキマって気持ち良い!

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■SURVIVE 公式サイト

http://www.rebel-survive.com/

■セットリスト


M01. 15 Minutes Fall
M02. Spread Confusion
M03. Symbol Of Time
M04. Fuck Against The Authority
M05. What Matter Is Waiting
M06. Corruption
M07. Nothing Left On My Path
M08. Heading To The Hill
M09. Roots Rock Survive
M10. Master Of Puppets (Metallica Cover)

■インフォメーション

2010/10/30(土)【韓 国】V-Hall
2010/11/03(水)【高円寺】Mission’s
2010/12/12(日)【新 宿】ANTIKNOCK

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3バンド目はSOLITUDEソリチュード)。メンバーは、Akira Sugiuchi(Vocal)・Shingo Ida(Guitar)・Toru Nishida(Bass)・Takamasa “Mad” Ohuchi(Drums)。高円寺で開催された『Brave The Storm Tour』のワンマンライヴを本誌BEEASTでもレポート(こちら)したが、N.W.O.B.H.M(ニュー ウェーブ オブ ブリティッシュ へヴィ メタル)のマインドを正統継承しているバンドだ。メンバー登場と同時に大きな歓声。スタートと同時にフロントの3人はステージ前面でオーディエンスをあおる!Akira Sugiuchiは独特のヴォイスを巧みに操り、SOLITUDEの個性を明確にし、Shingo Idaの感情移入したチョーキングは、泣きのトーンとなってオーディエンスの心に染み込んでいく。Toru Nishidaは重低音をぶちかましながら、フロントモニターに足をかけてヘッドバンギング。昨年加入したMadは、ヘヴィメタルバンドにふさわしいマッドなドラミングで魅せる。オーディエンスは恍惚の表情を浮かべながら、SOLITUDEサウンドの洪水に身を任せる。

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■SOLITUDE 公式サイト

http://www.spiritual-beast.com/solitude/

■セットリスト


M01. You Were All Of My Life
M02. Brave The Storm
M03. Falling Down
M04. Angel’s Son
M05. Walk In Paradise
M06. Virtual Image
M07. Eagle Fly
M08. You Wish
M09. Volcano Of Anger
-encore-
M10. Frozen Rainbow – Rainbow Theme (Saxon Cover)

■インフォメーション

2010/11/20(土)【旭 川】CASINO DRIVE
2010/11/21(日)【札 幌】SUSUKINO 810
2010/11/23(火)【函 館】CLUB COCOA

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オーディエンスの層は20~40歳代と幅広いが、リズムに合わせたヘッドバンギングを見ていて、メタルが心底好きなファンが今夜は集ったのだろうと感じる。冒頭に書いた通り、ヘヴィメタルはサブカテゴリー化が激しい。そんなシーンだからこそ、このイベントを開催した「SPIRITUAL BEAST」を称えたい。同じヘヴィメタルでも、自分が未体験のサブカテゴリーの生ライヴを体験することは、大きな意味があるはずだ。

この日はSOLITUDEAkira Sugiuchiがバースデー。ケーキのサプライズがあり、アンコールはアットホームな空気。『CRACKDOWN TOUR』は良質で高グレードなヘヴィメタルバンドだけが登場するのが保障されたイベント。今回はタイトルにVol.1と付いていることから、Vol.2やVol.3という続きがあると思う。ヘヴィメタルファンを自称している人は、ぜひ足を運んでほしい。そこには「SPIRITUAL BEAST」が願う、ヘヴィメタルの未来が見つかるかもしれない!