特集

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TEXT:鈴木亮介 PHOTO:矢沢隆則

今をときめく「女子高生支持No.1バンド」が、高校の軽音部を訪問し、部員たちに直接指導!そんな夢のような催しが実現した。登場するのは本誌特集「BEEAST太鼓判シリーズ」でもおなじみ、7!!(セブンウップス)だ!
 
事の発端は、7!!のインタビューでのことだった。「音楽の楽しさやバンドをやることの楽しさを伝えたい」「7!!のライブを観て『楽しそう!自分たちもバンドやりたい!』って思ってくれたら嬉しい」…そう語る7!!のメンバーから直接、高校生たちに”楽しさ”を伝えられる機会がないか…そうした企画は、連載「ロック1年生」「キャンパスロック図鑑」、高校県大会や様々なバンドコンテストのレポートを行うなど10代のバンドシーンを積極的に取材し、ティーン読者の支持を広げつつある本誌BEEASTとしても是非やりたいところ。ということで、(僭越ながら)10代の支持を集める者同士タッグを組み、Epicレコード全面協力のもと、企画を始動することが決まった。
 
沖縄と東京を行き来するばかりか、全国7都市ご当地アイドルとの対バンツアーもあり、まさに日本各地を飛び回って精力的に活動する7!!メンバー。一方、2月~3月は高校も入試や学年末試験などを控え自由に活動がしにくい時期。調整は難航したが、何とか協力校を発見!晴れて企画が実現する運びとなった。
 

7!!_Asya_S7!! プロフィール
メンバーはMICHIRU(Guitar)、NANAE(Vocal)、MAIKO(Drums)、KEITA(Bass)。
沖縄出身・在住の男女4ピースバンド。メンバー全員が作詞・作曲を手がける。
 
一見読めないバンド名の由来はボーカル「NANAE(ナナエ)」の名前を「7(ナナ)」と「エッ!!」に分け、それぞれを英語に訳した「seven」「oops」をつなげたもの。
2011年、映画『高校デビュー』主題歌「フォーリン・ラブ」でEPICレコードジャパンよりメジャーデビュー。
海外でも人気のアニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』のオープニングテーマに2ndシングル「ラヴァーズ」、アニメ『君と僕。』のオープニングテーマに3rdシングル「バイバイ」が起用され、世界中で広く知られる存在に。
2012年にはインドネシア・ジャカルタにて「Anime Festival Asia Indonesia 2012」に出演、初の海外ライブを大成功させた。5thシングル「さよならメモリー」はアニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』エンディングテーマに起用され、アニメファンにも認知は広がっている。また、映画『今日、恋をはじめます』テーマ曲に抜擢された「弱虫さん」は、渋谷の女子高生が選ぶ次に流行るアーティストランキング「kurucore」にて1位を獲得して話題に。2013年3月に発売された1stアルバム『ドキドキ』収録曲「ドキドキ」も同チャートにて1位を獲得し、2冠を達成!「弱虫さん」は「週間USEN HIT J-POPランキング」2週連続1位獲得と、今、最も注目を集めるバンドとなっている。

 
今回7!!が訪れたのは神奈川県藤沢市の県立藤沢総合高校(=藤総)軽音楽部だ。藤総軽音楽部と言えば、軽音がさかんな神奈川県の中でも数々のコンクールで入賞するバンド多数の強豪校(夏の県大会決勝レポート参照)。本誌連載「ロック1年生」でも「Chirol」「Quiet!!!!!」の2組を紹介している。
 
高校に向かうタクシーの車内で、MICHIRUは「沖縄には軽音部とか大会とかあんまりなかったからなぁ~うらやましいなぁ」と語る。確かに、高校時代は男女それぞれ異なる高校に通いながら4人の予定を合わせてスタジオに入って練習していた7!!にとって、身近にバンドを組める仲間がたくさんいるという環境はうらやましいのだろう。
 
楽しい催しの舞台となるのは、軽音楽部が普段活動している5階の視聴覚室。階段を一段一段上るたびに、7!!メンバーもドキドキが増している様子。階段を上りきれば間もなく、軽音部員と対面だ!
 

 

藤総軽音部員による演奏

 

     

 

熱烈な拍手で出迎えられて、7!!メンバーが登場!いつもの練習場所、いつも座っている椅子に、ホンモノの7!!が!と緊張を隠しきれない部員たち。そんな中、部を代表して2組が楽器を持ち、7!!に向けて歓迎の演奏!まずは2年生と3年生混合のガールズバンドBacon & Eggが登場し、ハードでありながらキーボードがアクセントになって、カッコよさとキュートさが共存するオリジナル曲を披露!
 
楽曲と演奏の完成度の高さに、7!!メンバー4人は一様に驚きの表情。緊張気味だったBacon & Eggメンバーも、「アレンジも自分たちでやってるなんてすごい!」(MICHIRU)、「他の曲も聴いてみたい!」(NANAE)と称賛され、表情が柔らかくなりホッと一息。さらに、「エフェクターの音飾が増えたらもっと面白くなりそう」「女子4人だからみんなでコーラスできる曲があったらいいと思う」と、7!!目線でしっかりとアドバイスも。上辺だけでない、4人の演奏をしっかりと聴いた上での具体的なアドバイスは、きっと彼女たちのパワーになったに違いない。
 
 

 

続いてもう一組、男女混合・3年生3ピースバンドのぼたもちが登場。唯一の男子メンバーである副部長の鈴田卓也君(Bass)が自己紹介しつつ「今日はすごい方(=7!!)が来るということで、みんなめちゃ緊張してる…」と語ると、7!!メンバーから「楽しんで!」「楽しもう!」とエールが送られる場面も。しかし演奏が始まると一転、堂々としたパフォーマンスで、ジャジーなリズム隊に大人っぽい女性ボーカルが見事に絡むオリジナル曲を披露。「(演奏前は緊張していたのに)ベース豹変した!かっこいい!」と7!!の4人も大絶賛!
 
 

     

 

「世界観に引き込まれた」「めっちゃかっこいい」「男女2人でハモっててハッとした」と口々に感想を語る7!!メンバー。「作詞作曲は誰がしてるの?」「普段はライブハウスで演奏する?」と、ぼたもちの3人へ逆質問の嵐!
 
演奏を披露した2組がいずれも女性ドラマーだったこともあり、MAIKOはひときわ感銘を受けた様子。「おんなじドラマー同士、頑張ろうね」と優しく語りかけ、部員たちもはにかみながらうなずいていたのが、印象的だった。
 

 

7!!メンバーを囲んで、大質問大会!

 
音楽を通じて心の距離がグッと近づいたところで、今度はいっそう7!!メンバーと交流を図ろう!ということで、車座になって大質問大会!「どういう経緯でバンドを結成したのですか?」「一番影響を受けたアーティストは?」といった質問から「(男3:女1の構成で)女性ボーカルなので目立たせたいが、激しい曲でどうしてもギターが目立ってしまう、どうすれば良いか…」といった相談まで、バンドを初めてまもない高校生たちから様々な疑問・悩みが飛び出す。
 
悩める軽音部員に、KEITAは「演奏する楽しさに気づいて、こういうフレーズを弾きたい!とか、ギターは歪ましたい!とか色々出てくる時期だと思うけど、引き算も大事。一番最初のシンプルな状態にして、ずっと8ビートにして、ギターはコードだけにして…そこから隙間、隙間に何を入れていくかを考えていった方が良いと思う」と助言。NANAEは「ボーカルの『一番聴いていていいな、と思えるキー』をメンバーが把握していることが大事。歌ってもらっていて『このフレーズが一番良かった』というのを覚えていて、曲を作る時にそのコード、その音程が活かせる曲にしていったらいいんじゃないかな」とコメント。メンバー4人全員が作詞作曲を手がける7!!だけに、ベーシスト(男性)、ボーカリスト(女性)それぞれの観点からのアドバイスは高校生にとって貴重だ。
 
 

 

「男女混合でバンド組んでる所はどのくらい?」「部内恋愛とかないの?バンド内で付き合ってるとか…うちらは全然ないけど」と、7!!からも藤総軽音部員に逆質問!和気あいあいとしたムードの中、先ほど素晴らしい演奏を披露してくれたBacon & Eggメンバーからは、「どうやったらコーラスをうまく決められますか?」と質問。
 
NANAEMAIKOは夜な夜な練習スタジオ以外でも一緒に歌ったり、自分たちの歌に限らず人の歌でもコーラスが多い歌を選んで一緒に歌って、ハモることに慣れる。っていうか、何となくで音を探せるレベルになるまで日々やっていたらできるようになると思う!練習がモノを言う!」(MAIKO
 
「コーラスはボーカルに添い寝する気持ちで!」(NANAE
 
「そう、添い寝するくらいの余裕がないといけないから、自分の音は自分の中で把握して歌えるようになって、そこからボーカルも聴けるようになって、息継ぎのタイミングも合わせられるようにしっかり聴いて…でも大変だよね!叩きながら歌うの」(MAIKO
 
…と、こうして文字に起こしてみても、NANAEMAIKO2人の息の合った様子、そして親身になって答えようとする強い思いが伝わってくる。
 
 

 

「皆さんがここに来るまでに一番苦しかったり大変だったことは?」という質問。それに対して、MAIKOが胸の内を語る。「高校卒業していざバンドをやるぞ!って時に、私たちは音楽学校を出ているわけでもないし、どうやったらデビューできるかもわからず、現実はバイト三昧の日々。モチベーションが下がる日もあったり…」
 
確かに、7!!がデビューしたのは2年前だから、高校卒業後およそ5年間、フリーターをしながらデビューに向けて下積みを重ねていたことになる。NANAEも「スタジオに籠ってノルマのように曲作りをしていって、それをライブで披露して…という、同じことの繰り返し。このままずっとやっていて良いのかなと思っていた」と当時を振り返る。さらに「そうしているうちに、周りの友達が就職を決めたり、高校の時に話し合っていた夢をどんどん叶えていって、『あ、まだバンドやってるんだ?』って言われてめっちゃ悔しくて…」と語るMAIKOの目には涙が。
 
「まだやってるんだ?」という言葉は、「まだ頑張っていてすごいね」という前向きな評価だったかもしれない。しかし、思うように事が運ばず、進路を決めた周りの友人たちから取り残されているというような焦燥感でいっぱいだった当時の彼女たちにとって、その言葉は「まだこんなことやってるの?」という冷たい言葉に聞こえてしまったのだろう。
 
 

 

前に進みたくても進めない状況。それを救ったのは、「人」だった。MAIKOは続ける。「でも7!!は人運が強くて…出会う人出会う人みんながアドバイスをくれたり助けてくれたりしたの。それを自分たちの中で7!!らしく消化(昇華)していく中で、今の事務所の社長さんに出会えて、デビューが決まって…」そしてMICHIRUも「確かに当時、モチベーションを保つのは大変だったかな。でも音楽は好きだし、このバンドをずっとやりたかったから、その気持ちだけでずっと続けてやっていきました。」と加える。
 
そして、MAIKOは軽音部員一人ひとりを見つめながら、こう語った。「あきらめが大事って言われるけど、あきらめないことも大事だと思う。本当にやりたいことは、強く願って取り組んでいたら、いつか光は当たる。あきらめないで!」
 
そのほか、本気でプロデビューを目指しているという部員に向けて「デビューしたら練習する時間や曲を作る時間が全くなくなるから、その辺の準備はしっかりしておくと良いよ」(MICHIRU)、「私たち自身も、今のうちにいっぱい練習して、いっぱい曲を書いておきなさいって言われていて、当時は『そんなまさか』と思っていたけど、本当になくて!10代の時のストックは本当に大事」(NANAE)と、リアリティのあるアドバイスも。
 
「何でもできた方が、テレビやラジオでのトークやライブのMCでも活かせるし…」という話の流れから、KEITAが突然「モノマネできる人、いる?」と無茶ぶり。緊張気味だった部員たちもすっかり笑顔に。先ほどまで涙目だったMAIKOも笑顔いっぱいに「常に自分の趣味を持つことも大事。音楽に関係のないことでも、何でもチャレンジすれば自分の新た強い観点になって、それが意外と歌詞や楽器のプレイに反映してくる。気になったら何でもやった方がいい!」と部員たちの背中を後押しする。
 
    



あっという間に、お別れの時間。最後は、直前まで7!!のライブDVDを観て研究していたという藤総軽音部員たちの提案で、ウサギの耳を作って「ウップスポーズ」で集合写真!かつて7!!メンバーが「人運」に恵まれて輝かしいステージに立てたように、藤総軽音部員の皆にとっても今日の7!!との出会いはまさに「人運」、かけがえのない瞬間となったことだろう。
 
後日、藤総軽音楽部の長野莉佳部長から7!!メンバー宛てにメッセージが届いた。
 

今回聞かせていただいたお話は、軽音楽部活動の向上にとっても、これからプロを目指す高校生にとっても、参考になる貴重なものばかりでした!
沢山のお話を聞いてから、7!!さんがもっと好きになりました。
そしてどんな苦難に直面してもバンド活動を続けたという皆さんを見習って、これからもっと上達できるように頑張ります!!
ありがとうございました!!そして是非また藤沢総合高校へいらしてください!!

 
タイトなスケジュールを縫って駆けつけてくれた7!!の4人。ラジオの生放送に出演すべく、急いでタクシーに乗り込む。帰り際、MAIKOは「7!!にとっても初めてのことで、あの子たちに何を残してやれたやら…言いたいことはいっぱいあったけどちゃんと伝えられたか…」と、まだまだその思いを伝え足りないといった表情で、心情をつぶやいた。いやいや、最後のこの集合写真の表情を見れば一目瞭然、その熱い思いはきっと部員たちに伝わったはず!
 
そして、記事末筆ながら今回の企画にご協力いただいたEpicレコードの皆さま、そして藤沢総合高校軽音楽部顧問の先生に厚く御礼申し上げたい。本誌BEEASTでは今後もまた、こうした”ロック1年生”たちの背中を押せる企画を開催していきたいと思う。
(ご協力いただける高校およびミュージシャンの方募集中!副編鈴木までご一報を…
 



 

◆7!! 公式サイト
http://7oops.com/
 
◆7!! メンバーブログ
http://ameblo.jp/7-oops/
 
◆リリースインフォメーション
7!! 6thシングル 「ReReハロ~終われそうにない夏~」
2013年8月14日(水)発売決定!

少女漫画「ReReハロ」とコラボレーション!
(c)南塔子/集英社 別冊マーガレット

 
◆ライブインフォメーション
7!!全国10ヶ所を回るワンマンツアーが決定!
「7!!のうぷぷなツアー2013~ドキドキ~」

・2013年06月20日(木)【高 松】DIME
・2013年06月22日(土)【広 島】BACK BEAT
・2013年06月23日(日)【福 岡】DRUM Be-1
・2013年06月26日(水)【新 潟】CLUB RIVERST
・2013年06月28日(金)【仙 台】darwin
・2013年06月30日(日)【札 幌】COLONY
・2013年07月04日(木)【名古屋】Electric Lady Land
・2013年07月06日(土)【梅 田】シャングリラ
・2013年07月07日(日)【渋 谷】CLUB QUATTRO
・2013年07月15日(月祝)【沖 縄】桜坂セントラル
※詳細は http://7oops.com/ まで!

photo
【取材協力】
神奈川県立藤沢総合高等学校
http://www.fujisawasogo-ih.pen-kanagawa.ed.jp/

 
◆関連記事
【レポート】風は吹くのか!? Vol.2 (バニラビーンズ/7!!)
http://www.beeast69.com/report/61637
【レポート】7!!「さよならメモリー」発売記念インストアイベント inアニメイト横浜
http://www.beeast69.com/report/57508
【特集】BEEAST太鼓判シリーズ第19弾アーティスト『7!!』~延長戦~
http://www.beeast69.com/feature/58145
【特集】BEEAST太鼓判シリーズ第19弾アーティスト『7!!』
http://www.beeast69.com/feature/54965