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TEXT:鈴木亮介 PHOTO:吾妻仁果

Photoガールズバンドが大集結するイベントの草分け的存在「NAONのYAON」の5年ぶり復活や、23年ぶりとなるシングル「V.S. MYSELF」のリリースと全国ツアー開催など、年間を通じてファンを楽しませ続けたSHOW-YAによる、素晴らしき「熟女の大忘年会」だ。
 
「V.S. MYSELF~熟女なめんなよ!歳忘れ暴れ倒しGIG~」と題した2013年最後のギグが、年末にZepp DiverCity Tokyoにて開催された。「大暴年会」というテーマを持ったこの日のギグは、指定席の一部に「飲み放題シート」を設けるというSHOW-YAらしい計らいに加え、SHOW-YAが過去にリリースした全てのシングルを一夜に披露するという、バンド史上初の試みを行うことが事前にアナウンスされた。一年の暴れ収めにふさわしいスペシャルなギグ。SHOW-YA姐さんと一緒に頭振りまくりながら、その素晴らしいヒストリーを追体験せよ!
 
SHOW-YA メンバー:
寺田恵子(Vocal)、五十嵐”sun-go”美貴(Guitar)、中村美紀(Keyboard)、仙波さとみ(Bass)、角田”mittan”美喜(Drums)

元祖・ガールズロックバンドたるSHOW-YAがメジャーデビューを果たしたのはさかのぼること28年前、1985年8月31日。デビューシングル「素敵にダンシング(Coke is it)」はコカ・コーラのCMソングに起用され、メンバーもCMに出演した。その後1990年9月5日「ギャンブリング」まで11枚のシングルをリリースし、寺田恵子の脱退と解散を経て、2005年に再結成。近年は精力的にライブ活動を展開。そして2013年7月24日に実に23年ぶりとなる12thシングル「V.S. MYSELF」をリリースした。
 
もちろんこの他にもたくさんのアルバムがリリースされており、数々の名曲を持つSHOW-YAだが、「シングル全曲を披露」というのはこれまでありそうでなかった試みだ。会場には大勢のファンが押し寄せ、フロアは開演直後にして既にパンパン。そして2階席の一部に設けられた「飲み放題シート」では、早くも乾杯を始めるオーディエンスも。SHOW-YAの演奏を前に大酒を飲みまくるとは、なんと粋な年末の過ごし方だろうか。

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さあいよいよギグの幕開けだ!SEはLed Zeppelinの「Immigrant Song」。角田”mittan”美喜中村美紀五十嵐”sun-go”美貴仙波さとみ、そして寺田恵子が、「アアア~ア!」に乗せて勢いよく登場!待ちに待った1曲目は、絶叫必至の「奪いとれ」!両手でガッツポーズを取り、歓迎するオーディエンス。序盤からトップギアに入った5人の演奏は手加減なし。続く「流星少女~Shooting Star 196×~」も、静かなオルガンの入りから、一挙に追い越し車線を爆走!寺田恵子の挑発に、オーディエンスもタオルを旋回し応じる。角田”mittan”美喜の圧倒的な厚みのあるツーバス。「Are you ready!」準備はできてるぜ!3曲目「LOOK AT ME!」でも重厚な音と声を届ける。五十嵐”sun-go”美貴のギターソロにしびれ、アドレナリン全開!
 
「ハロートーキョー!年末だよ!」寺田恵子のMCに、再び歓喜するオーディエンス。今年(=2013年)が29年目で、30周年を目前に辛抱たまらず今日のスペシャルギグを開催したのだと伝える。そして「最初の頃のシングルは”知る人ぞ知る”になっているからね」「『限界LOVERS』(=1989年2月リリースの8thシングル)から入ったファンがほとんどでしょ?」と自嘲する。長年のファンたちに囲まれ、温かい時間が流れる。
 
懐かしい思い出トークとともにシングル曲が披露されるということで、期待が高まる。「シングル曲、行ってみよ~う!」寺田恵子の掛け声とともに、パッとステージが眩しい光に包まれ、いよいよシングル曲の演奏がスタート!4曲目「ONE WAY HEART」はテレビドラマのエンディングにも起用された3rdシングルだ。閃光の中、寺田恵子のボーカルがとどろく。スペーシーなキーボードサウンドと、規則的に叩き出される重低音。壮大な世界が広がる。
 
続く5曲目「しどけなくエモーション」は湯川れい子が作詞を手掛け、中村美紀が作曲した1986年2月発売の2ndシングルだ。その中村美紀の盛大な鍵盤音がオーディエンスを沸き立たせる。そして6曲目はなんと寺田恵子いわく「初めて演奏するかもしれない」という、1stシングル「素敵にダンシング(Coke is it)」!シンプルなフレーズにミディアムテンポの楽曲だが、マイクスタンドを手に寺田恵子が熱唱し、五十嵐”sun-go”美貴のエモーショナルなギターフレーズが加わり、仙波さとみの分厚い重低音を鳴らすと、ゴージャスな楽曲になる!

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「熱い?そんなにハードな曲まだやってないんだけどね…」バテてる場合じゃないぞ、とオーディエンスに喝を入れる寺田恵子。たった今演奏したばかりの3~1枚目のシングルを振り返って「曲はすごくいいんだけど…顔に合わない?」「その当時、女バンドがデビューするって言って、誰もかれもどうしていいか分からないわけ」自らの軌跡が前例のない奇跡の挑戦であったことを、冗談口調で振り返る。デビュー当時はどうやって売り出していったらいいかと、ミニのワンピースを着たりおかっぱ頭になったりしたことを振り返る。
 
続いて7曲目は「AU REVOIR」。この曲は1stシングル「素敵にダンシング(Coke is it)」のB面に収録された両A面的な曲で、作詞を寺田恵子、作曲を中村美紀が担当しSHOW-YAメンバー自らが編曲している。「AU REVOIR」は寺田恵子いわく「ミニ抵抗の曲」。デビュー当時に「初々しいSHOW-YAです!でも本当は私たちは…」という思いが込められた曲なのだという。「聴き比べてごらん?いや、聴き比べるんじゃなくてちゃんと頭振ってね!真面目に聴くんじゃないよ!」そんな寺田恵子のMCを暗黒のギターフレーズ、凶悪なドラムが切り裂く。仙波さとみの地を這うベースラインに、オーディエンスも自然と体が反応。「お前の姿が消えて行く~髪を夕陽に赤く染めて~」「つよくつよく抱きしめて」歌詞の一言一言も音の世界観にぴったり融合し、これはもう頭を振らずにはいられない!「頭振れ~!」寺田恵子が油を注ぎ、オーディエンスは大炎上!
 
その熱量を保ったまま、1990年3月発売の10thシングル「叫び」で冒険に出発!続く9曲目は1987年10月リリースの6thシングル「孤独の迷路(ラビリンス)」。4枚目から6枚目にかけてのシングルはいずれも作詞:秋元康&作曲:筒美京平がタッグを組んだ作品だ。ギターソロ、寄り添うシンセ、ドドンと踏まれるバスドラ…スケール感の大きさを感じる。

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「時々自分の年を忘れることがあって…」そう語り始める寺田恵子。メンバーそれぞれを紹介したのち、「なんだみったん、前に来たいのかよ?」とステージ前に呼びよせ、マイクを預ける。大勢のファンで埋まったフロアを間近にした角田”mittan”美喜、「この年末の本当に忙しい中、このライブを選んで来てくれたことが何よりうれしい」と興奮気味に話す。
 
続いて中村美紀も懐かしいエピソードを披露。自ら作曲した「しどけなくエモーション」について、アレンジで盛り込まれたパーカッションに本当は納得していなかったけど言えなかったことや、当時はメンバー全員で共同生活をしていたため、台所に集まってこの曲のコーラス部分を練習したことなどを披露。「あぁ青春だったなぁ」「あの頃があるから今こうやってできるんだなぁ、みんなありがとう」としみじみ。さらに五十嵐”sun-go”美貴も「しどけなくエモーション」のプロモーションビデオをロンドンで撮影した際のエピソードなどを明かした。
 
さてライブも後半戦。10曲目は「愛さずにいられない -still be hangin’ on-」。1988年6月リリースの7枚目のシングルであるこの曲は、Journeyのキーボーディスト・Jonathan Cainと、Cheap Trickのギタリスト・Rick Nielsenの2人が作詞・作曲し、寺田恵子の訳詞を載せた、SHOW-YA屈指のワールドワイドなナンバー。ギターとキーボードがそれぞれ1本大黒柱のように君臨し、主張。寺田恵子は情感たっぷりと歌い上げ、ただ大きいだけでない力強さを感じる楽曲に仕上がる。
 
11曲目は5thシングル「水の中の逃亡者」。ベースとドラムがしっかりとビートを刻み、寺田恵子の流麗な歌声を引き立てる。12曲目は4thシングル「その後で殺したい」。こちらはゴリゴリのギターフレーズが冴え渡る、ダンサブルなナンバーだ。寺田恵子が妖艶に腰をくねらし、髪を振り乱すと、オーディエンスもたまらず両手を挙げて応える!

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「今日はシングルを全曲やるけど、ハッキリ言って、聴き納めの曲がほとんどです!」寺田恵子からまさかの宣言が飛び出し、客席から大ブーイング。と言っても、笑いも交じった愛嬌あるブーイングだ。「SHOW-YAはメタルだと思ってなかった、普通にロックバンドという認識だったのに」と続けると、他のメンバーから「ボーカルの衣装やMCが原因では?」とツッコミ。たまらずぶりっこな喋り方で応じる寺田恵子。そこからなぜかメンバーそれぞれのモノマネ大会に!そのレパートリーは「二井原実」「いっこく堂」「ミッキーマウス」「芦田愛菜」と、ジャンルも完成度も様々!誰がどのモノマネをしたのかは、ライブに参加したファンだけの特典ということで、ここでは伏せておこう。
 
来年(=2014年)は曲作りやライブはもちろん、テレビにもガンガン「熟年代表」として進出していく、と嬉しいMCもあったところで、ライブもいよいよクライマックス。「ここからは速い曲しかないから、あんた達!覚悟しといて!」「ここからは暴れ倒すぞ!」13曲目は最新シングル「V.S. MYSELF」!角田”mittan”美喜の強烈なバスドラに心拍数がますます高まっていく!寺田恵子もマイクスタンドを巧みに操りながらオーディエンスを煽る。14曲目は1990年9月リリースの活動休止前ラストシングル、「ギャンブリング」。イントロのギターのなった瞬間の客席の高まりと言ったらもう、まさに表題の通りの「大暴年会」!ラウドなサウンドに、コーラスも綺麗に決まり、オーディエンスのボルテージも最高潮。
 
曲が終わってもなお、客席の熱気が全く鎮まらない。そこにさらに追い討ちをかけるように、五十嵐”sun-go”美貴がギターをかき鳴らし次の曲へ。遂に来た、9枚目のシングルにしてSHOW-YAの代表曲の1つとなった「私は嵐」だ!仙波さとみもステージを縦横に動き回り、客席をいっそうヒートアップさせる。鋼鉄なサウンドに頭を振りまくる!限界まで!本編最後は8枚目のシングル、「限界LOVERS」!レーシングカーに乗ってサーキットをぶっ飛ばす!そんな突風を感じるSHOW-YAの演奏は、そんじょそこらの若者より速く、それでいて重厚長大!何というパワーだ。最後の最後、寺田恵子が脳天ぶち破ってくれた。「熟女ナメんなよ!!」

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歳忘れの暴れ倒しギグは、まだまだ終われない。アンコールの拍手に応え、ステージには角田”mittan”美喜が一人再登場。渾身のドラムソロで魅せる。色が、温度が、風景が見えるドラムソロ。最後は大きなバチで背後の大銅鑼を激震させると、他のメンバーを呼びこむ。
 
SHOW-YAメンバーが5人そろったところで、2014年も4月29日にNAONのYAONが開催されることが発表。そして「今年全員(50歳代の)大台に乗りまして…」というMCから、寺田恵子はシリアスな表情を浮かべると一呼吸。そして実に心強い口調で「目指せ武道館なので…」と、バンドの目標を公にする。「いつまでも初心忘れるべからず…前に進んでいこうという気持ちと、それを一緒に叶えてくれる仲間と、それを応援してくれるみんながいて初めて、大きな夢とか、一歩一歩前に進むことができているのだと思う」と、ファンへの感謝も忘れない。「みんなのパワーを、見せてくれ!Show me the power !!」
 
アンコール1曲目は鋼(はがね)のギターが突き刺さる「BATTLE EXPRESS」。サビの「Show me the power!」(寺田恵子)、「power!」(中村美紀)の呼応で、オーディエンスも一緒に呼応する。間奏でギター、ベース、オルガン、ドラムスとそれぞれが見せ場を作る曲構成も、アンコールにもってこいだ。そしてアンコールの最後はハードなサウンドをとことん求道する楽曲、「FAIRY」!五十嵐”sun-go”美貴仙波さとみが頭の振りをシンクロさせると、オーディエンスも同調。皆で一つになって、最後は2013年の締めくくりとして煩悩の数だけ…108回を絶叫カウント!全員で限界超えを果たしたところで、歳忘れ暴れ倒しGIGは大団円を迎えた。

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◆セットリスト
M01. 奪いとれ
M02. 流星少女~Shooting Star 196×~
M03. LOOK AT ME!
M04. ONE WAY HEART
M05. しどけなくエモーション
M06. 素敵にダンシング(Coke is it)
M07. AU REVOIR
M08. 叫び
M09. 孤独の迷路(ラビリンス)
M10. 愛さずにいられない -still be hangin’ on-
M11. 水の中の逃亡者
M12. その後で殺したい
M13. V.S. MYSELF
M14. ギャンブリング
M15. 私は嵐
M16. 限界LOVERS
-encore-
E01. BATTLE EXPRESS
E02. FAIRY
◆SHOW-YA 公式サイト
http://show-ya.jp/
 
◆リリースインフォメーション
「V.S. MYSELF」
2013年7月24日~発売中

◆NAONのYAON 2014 開催決定!!
・2014年04月29日(火・祝)【東京】日比谷野外大音楽堂
 14:00開場/15:00開演 ※雨天決行
★出演アーティスト 第1弾発表!
SHOW-YA、森高千里、相川七瀬、中川翔子、杏子、土屋アンナ、LoVendoЯ、FLiP、Gacharic Spin、渡辺敦子(ex. PRINCESS PRINCESS)、富田京子(ex. PRINCESS PRINCESS)、小林香織、力石理江、はたけやま裕、YukiD_Drive)、ChiikoD_Drive

※今後も続々と出演者決定!
 
★2014年の「NAONのYAON」オープニングアクトをかけたオーディションライブ
「Cute Girls Live 2014~Road to NAONのYAON~」も始動! 現在、出場者募集中!

 
『Cute Girls Live×NAONのBATTLE』
・2014年02月22日(土)【渋 谷】duo MUSIC EXCHANGE
『Cute Girls Live~卒業GIG~』
・2014年03月22日(土)【渋 谷】Star Lounge
『Cute Girls Live 2014 ~Road to NAONのYAON~』
・2014年04月05日(土)【代官山】UNIT
 
◆NAONのYAON OFFICIAL SITE
http://naonnoyaon.net/
◆Cute Girls Live OFFICIAL SITE
http://cutegirlslive.net/

 

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【PHOTOレポ】SHOW-YA 「QUEENS BIRTHDAY」
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【連載】新譜るLIFEダイアリー SHOW-YA「V.S. MYSELF」
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【特集】大盛りレポ!ロック増量Vol.4 NAONのYAON 2013
http://www.beeast69.com/feature/68447
【特集】WOMEN’S POWER 20th Sp. 2012/1/9@渋谷O-WEST
http://www.beeast69.com/feature/9087
【レポート】SHOW-YA 2011 FIRST IMPACT!
http://www.beeast69.com/gig/2344