特集

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TEXT:桂伸也 PHOTO:三橋コータ、曲香、N-yukano、桜坂秋太郎、桂伸也

 
新たな時代の風雲児となるべく奮闘を続けているロック男子たち。その姿を追う特集「ROCK SAMURAI STORY」。今回は、西洋、東洋のサムライ5人組による新たなロックの開拓者fadeを、4回のシリーズでお送りする。Part2、3では、Ozzfest Japanのステージを終えた直後の彼らに行ったインタビューをお送りする。
 
LOUD PARK 2009に続き、今度はOzzfest Japanというビッグステージに立った彼ら。様々なイベントでのゲスト出演も増えている中で、昨年末にメジャーレーベルからのデビューを発表した彼らは、今回のステージに立った経緯をどのように感じているのだろうか?また、これからさらに飛躍の道が予想される未来を、どのように彼ら自身は考えているのだろうか?メンバー個々の胸にある思いを、ステージ後のリラックスした雰囲気の中で語ってもらった。
 
今回登場するのは、fadeを象徴するヴォーカリストJonと、爆発的で派手なパフォーマンスで目を引くギタリストkansei、そしてボディペインティングの奇抜なスタイルでfadeの強烈な個性を際立たせているギタリスト。彼らのフロントマンとしての立場より、個々の思いと、その奥にある個の性質を探ってみたい。
 
hana
 

1.Jon Underdown(以下、Jon :Vocal)

 
 

 

バイオグラフィー:
 
大学の交換留学生として日本文化を研究するために来日、当初2年間の日本留学のはずが、「源氏物語や京都、奈良の町並み」などの風情に触れ、日本文化へのめり込み、魅力に取り憑かれて8年。
2011年、fadeと並行して、GACKT率いるYELLOW FRIED CHICKENzに加入、ツインボーカルとして活躍。さらにファッションモデルとしての活動をはじめアサヒビール、大正製薬、NEC、花王、日産自動車、ブリヂストン、グリコなど、実に30本を越える企業TVCMで歌ってきた、隠れた実績を持つ。2010年、Play Station 3のメガタイトル「GRANTURISMO5」ではメインテーマにシンガーとして参加。

 

—先程、STEEL PANTHERのステージを見て少しはしゃいでいましたね?彼らのような音楽はJonさんのバックグラウンドとしてあるのでしょうか?

 
Jon:ありますね。俺には姉ちゃんがいるんですが、彼女が14~8歳のころ、GUNS N’ ROSESGreat WhitePoisonWHITESNAKEなんかが活躍していて、そういう音楽が好きだったんです。そしてそんな音楽のカセットをいっぱい持ってたんです。
 
それを、彼女の部屋に忍び込んではくすねて(笑)、自分の部屋でよく聴いていたんですよ。ヘアメタルデビューは4~5歳だったかな(笑)。当時はやっぱりそういう音楽に人気があって、ラジオでもよく流れていたからね。
 

—そうでしたか。では、そのスタイルを継ぐ彼らとこうして同じフェスに出られたことには、やはりラッキーに思うところもありますか?

 
Jon:とてもクールなことではありますね。STEEL PANTHERなんかは、彼らはどちらかというと『LOUD PARK』的な雰囲気。このイベントはまたちょっと雰囲気が違ってBLACK SABBATHTOOL、昨日はDEFTONESとかが印象的。でも彼らも、小さいころからすごく好きだったし、そんなバンドと同じフェスに出られるっていうのはとてもクールなことだと思いますね。
 

—このフェスに出ると決まったのは、急なお話だったと思いますが、大きなフェスだけに何か気持ちに変化などはありましたか?

 
Jon:いや、それはないです。むしろ、こういったフェスにはドンドン出たいとメンバー全員思ってたし。ただ、すごく嬉しかったです。俺たちのステージからたくさんのお客さんが来てもらえたし。自分たちがイベントの中でラインナップ的にそれほどオイシイ位置にあるわけでもないし、11時30分から演奏なんて、あとから出てくるバンド目当てに来た人が、荷物をロッカーに入れながら聴いているだけで、ガラガラになっていたらどうしよう?ってたからね(笑)。
 
それと、やっぱりこういうフェスに出て一番いいことは、初めてfadeを見る人がほとんどだということなんです。今日も9割以上は初めてだったんじゃないかな?そんなスーパーアウェイ感の中で俺たちがどれだけやれるか?っていうチャレンジ。そこでいろんな人、新しいファンをつかむチャンスがあるから、それってすごくいいことだと思う。
 

—では、やはりフェス自体があったからと、それほど気持ちが変に上がったというわけでもないということでしょうか?

 
Jon:そうですね。内容自体、実際本番に対しての気持ちや準備なんて変わらないです。ただ、ステージに向き合うメンタル的としては同じでも、200人キャパの小さなライブハウスの魅力も、こういった大きなライブの魅力もそれぞれあるし、それぞれの楽しみはあるし、今日はとてもやっていて気持ちよかったです。
 
人がたくさんいるっていうのも気持ちいいんだけど、今日のお客さんが「こんな感じの反応だろう」っていう予想よりさらに反応が良かったし。あと、会場が大きくなればなるほど音が響くじゃないですか。自分とバンドの音が壮大な形として感じられる。その響きがメチャクチャ気持ちいい。
 

—今回のイベントや、以後続々イベントのゲスト出演とか、UNIVERSALレーベルからのメジャーデビューの話もありますが、自分たちの気持ちの中で芽生えたものはありますか?「自分たちの可能性が広がる」という、変化に対する希望や、「あくまで通過点」という自己に対する変わらない意志、など。

 
Jon:その両方ですね。いままで作ってきたいいところをキープしながら、新しいものも取り入れていく。プラス、その両方を合体させたものをどう伸ばしていくか?どう広げていくか?それはアーティストの役目、使命だと思う。俺たちは新人じゃないけど、「俺たちはこれでいいや」っていう自己満足はあってはいけないことだと思うんです。
 
自信を持つことと自己満足に陥ることって、とても微妙なラインだけどね。それでも成長し続けたい。そう思う気持ちは昔から変わっていない。たとえば来年は今回のようなイベントで、オープニングアクトじゃなくて夕方の6~7時くらいのステージに立てるようになるには、俺たちはどういうことをしていかなければいけないか?それを考えていきたいですね。
 

フロントマンであるがゆえに、fadeを一番もっとも表現しているのがJonだ。しかしそれは見た目の華やかさや、歌のうまさ、パフォーマンスの秀逸さという表面的な印象だけでなく、心底までアーティストとしてのこだわりを持ち続けているスタンスから発せられているように見えた。「成長し続けなければいけない」という、自己に対して厳しい思いを持ちながらも、反面常に華やかでハンサムな笑顔で回りを魅了するJon
 
自分たちにないスタイル、新しいスタイルへの探求にも貪欲で、インタビュー最初に語っていたSTEEL PANTHERのステージには狂喜しはしゃいだり、一方で人間椅子のステージを興味深く見つめるような姿も見せたりと、自分たちにないものを探すことについては常に前向きな意志も見せていた。
 
この日のステージを目いっぱい満喫しながらも、新たな方向に突き進もうとしているその姿勢は、まさしくfadeには欠かせない存在。彼の強い思いは、fadeの未来へとつながっている。
 
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2.kansei(カンセイ :Guitar)

 

 

バイオグラフィー:
 
富山出身、ニューヨークで育つ。いちギタリストとしても、音速ライン、OLIVIA、中川翔子など、サポート実績多数。ジャックダニエルをがぶ飲みする「イッキ」パフォーマンスと軽妙なトークはfadeライブの名物。ギターを持った暴れん坊。

 

—kanseiさんはいつもステージ脇にジャックダニエル(ウィスキー)の瓶を置かれていますが、あれは本物ですか?

 
kansei:もちろん、今日も置いていましたよ(笑)
 

—本当ですか!?ステージ前にラッパ飲みされていましたよね(笑)。景気づけですかね?

 
kansei:そうですね。とにかく僕は酒が大好きで、ライブをやっていると飲みたくなる。楽しくなると飲みたくなる。だからイコールなんですよ、ライブ=酒、って。こんなこと言ったら怒られるかもしれないけど(笑)
 

—では今日もかなり…

 
kansei:いや、今日はさすがに控えめに行きましたけどね(笑)
 

—でっかいステージでやるというのは、小さなライブハウスとは違うことを感じましたか?

 
kansei:そうですね。やっぱり広い、というのはあります。ただ、結局やることは変わらないし。まあ酒もその一環で(笑)、同じようにプレイするよう心がけるだけですけどね。
 

—気持ちとしては普段と変わることはありませんか?

 
kansei:ないですね。ただ、やっぱり人がたくさんいる前でプレイできることはいいチャンスだと思うし、今日もやっていてすごく楽しかったです。
 

—小さいライブハウスと違って、全身を見られるというのもあるから、思い切ってやれるということもあったのではないでしょうか?

 
kansei:それはありましたね。人の笑顔を見たり、ノッている姿を見たりするとこっちも楽しくなるし。
 

—今後同様にビッグイベントのステージ出演や、メジャーデビューという点でバンドの注目度はさらに大きくなっていくと思いますが、バンド側のメンバーからすると、現状から今後をどのように感じられているのでしょうか?「まだあくまで通過点です」というところなのでしょうか?

 
kansei:まさしく、本当にそうですよ、「通過点」。まだまだだと思うし、本当にいろんな人の支えで今日のステージも出られたと思うので、これからメジャーになることに対しても「もっと頑張らなきゃ」って思っています。
 

—メジャーデビューについては、世界的にも大手のレーベルからということになりますが、プレッシャーのようなものはありますか?

 
kansei:もっと努力しなければと思うところはあります。自分のやっていること、たとえばステージとかに責任というものは感じていて、一つ一つのクオリティを上げていかなければいけないということは考えています。まあ、プレッシャーというか、それは当たり前のようにあるかもしれません。ただ、だからといって前から何かを変えたというわけでもないし。
 

—今この現状は、自分たちが思い描いていた通りのシナリオと思うところもあるのでしょうか?

 
kansei:いや、まだこれからそこに近づけていきたいと思っているところです。そしてもっとたくさんの人に、僕たちの音楽を聴いてもらいたいですね。
 

前回の取材でも見せたジャックダニエルの一気飲み、そして激しく派手なステージパフォーマンスで強烈な印象を残すkansei。しかしそれは一つの飛び道具に過ぎない。あくまで彼自身のパフォーマンスには、彼自身が「ステージで楽しむ」という思いと、プロフェッショナルならではの「責任のある」プレイを見せるという思いが並行して存在しているように見えた。
 
彼の派手なパフォーマンスと愛くるしさすら感じるルックスはfadeの看板の一つでもあるが、その芯にはもっと自分がプロであること、ミュージシャンであること、そしてfadeであることに対する自覚の強さが感じられる。kanseiは見た目だけでは推し量れない、玄人肌のギタリストだ。そのことに是非注目してもらいたい。
 
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3.5°(ゴド :Guitar)

 

 

バイオグラフィー:
 
ステージ上でアクセントとなる、毎回趣向を凝らしたボディペイントはfadeライブの名物。ミュージシャンとしての活動以外でも、絵画展の開催や小説執筆・発表するなど美術、文芸分野でも才能を発揮。2012年第45回かわさき市美術展では優秀賞を受賞。

 

—前回の取材から、少しボディペイントやステージのファッションも今日は変わりましたが、何か「変えてみよう」という心境の変化もあったのでしょうか?

 
5°:いや、そういうものは特には。根が気まぐれなんで、その都度変わることはありますが(笑)
 

—でも、思いついたことをすぐ実行、みたいな、芸術家肌なところはあるのでしょうかね。

 
5°:あるかもしれませんね。基本的にペイントも即興でやっているので。緻密に考えたこともない(笑)
 

—今日のステージに向けた意気込みとしては、やはり「いつもどおり」という面持ちだったのでしょうか?

 
5°:そうですね。ただやっぱり会場がデカいですから、音を出した時の爽快感はありましたね。
 

—そういう場で、たとえばいろんなスタイルで自分をこれから見せていきたいという気持ちはありますか?たとえばそのペイントもしかり、スタイルとか、今後も何か考えられていることなどはありますか?

 
5°:そうですね。基本的に人と同じにはなりたくないので、他人とは差別化を図っていきたいと思っています。
 

—サウンド面よりもどちらかというとビジュアル面で注目はあると思いますが、サウンド面で「こういう自分の色を出していきたい」と考えられているところはありますか?

 
5°:そうですね。基本的に僕はリズム隊的な位置づけだと考えているし、リードや空間的なサウンドはkanseiが受け持っているから、僕はドシッと、タイトに構えているところで、noriyuki(Bass)やrui(Drums)と同じように構えているというのが自分なりの認識で、その部分では積極的に取り組んでみたいと思っていますね。
 

—特に最近メジャーデビューやイベント出演などで注目が集まっているという所感があるのですが、ご自身にはそういう意識はあるのでしょうか?

 
5°:いや、特に自分はあまり変わらないけど、周りの方やレーベルの方が目まぐるしく動いて、バンドの状況は変わっていることは感じています。そういう意味で、これからドンドン今日みたいなイベントで強力なライバルたちとステージを共にするようになると思うので、もっと気合いを入れて精進していかなければと思います。演奏も、アートも。
 

その朴訥(ぼくとつ)な語り口に惑わされてしまいがちだが、彼もまた相当の仕事をするプロフェッショナルのアーティストといえる。kanseiのように明確に自己の責任感を明示するタイプではなく、ステージでは一見控えに回っているように見えるが、実はそうではない。
 
ボディペイントを特徴とした独特のルックスや、堅実なリズムプレイと、fadeの奏でるサウンドが彼ら独自のサウンドとして成立するためのピースとして彼は存在しており、彼がここに埋まることで彼らのステージは魅力を放ち始める。そのボディペイントのように千変万化の変化を見せる。次はどんな変化を見せていくだろう。その変化の過程をたどるのも、fadeの魅力を探る絶好の方法といえよう。
 
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hana
 

予告

次回、Part3では、Part2に引き続きOzzfestのステージを終えた彼らのステージの所感、そしてこれからのfadeに対する思いを語ってもらったインタビューをお送りします。登場するのは、リズム陣のnoriyukiruiです。お楽しみに!
 

◆トピックス


 
1.UNIVERSAL INTERNATIONALからのリリースがいよいよ決定!※NEW※
昨年末に報じられたUNIVERSAL INTERNATIONALからのメジャーデビューがついに現実となる。2013年11月27日にDigital Single 「Cross Road」がリリース。9月28日に行われたHEAD PHONES PRESIDENTのイベント『FUSE THE SOUL』でのステージにて、正式に発表された。これを機に更なるバンドの躍進も期待できよう。また、新たにUNIVERSAL INTERNATIONALのfadeサイトも開設された。是非チェックしてみてほしい。
 
【リリース情報】
Digital Single 「Cross Road」

11月27日 配信リリース
 
UNIVERSAL INTERNATIONAL fade アーティストページ
http://www.universal-music.co.jp/fade
 


 
2.fade主催イベント『DAMAGE LIVER TOUR 2013』開催が決定!※NEW※
この12月に、東名阪をまわるfade主催のライブイベント『DAMAGE LIVER TOUR 2013』が開催されることが決定。これも9月28日に行われたHEAD PHONES PRESIDENTのイベント『FUSE THE SOUL』でのステージにて、正式に発表された。「DAMAGE LIVER」とは肝障害のことで、ここでは「肝臓をぶち壊すほど飲む」という意味を表わしたスラングを指す。2012年に引き続き行われるこのスペシャルイベント、対バンにはROOKiEZ is PUNKD、RIZING 2 END、Another Story等、強力な布陣が出揃う。2013年の締めくくりとしても要注目のイベントであることは間違いない、是非チェックしてみてほしい。
 
fade Presents DAMAGE LIVER TOUR 2013
全公演出演アーティスト:ROOKiEZ is PUNKD / RIZING 2 END / Another Story / DJ Tatsuya(激ロック)
各地出演アーティスト:東京NEW BREED、名古屋EACH OF THE DAY、大阪(後日アナウンス)
2013年12月13日(金)【東 京】下北沢GARDEN
2013年12月20日(金)【愛 知】今池3STAR
2013年12月23日(祝)【大 阪】心斎橋CLUB DROP


◆ライブ情報
 
2013年10月12日(土) 【大 阪】FM802 MINAMI WHEEL@SOMA
2013年10月20日(日) 【愛 知】NAGO-STEP@CLUB3STAR 今池店
2013年10月21日(月) 【大 阪】心斎橋CLUB DROP
2013年11月20日(水) 【神奈川】横浜FAD
2013年11月21日(木) 【埼 玉】さいたま新都心HEAVENS ROCK
2013年11月28日(木) 【千 葉】千葉LOOK
2013年11月30日(土) 【北海道】札幌BESSIE HALL
2013年12月10日(火) 【福 岡】福岡BEAT STATION
 
【主催イベント開催決定!】
fade Presents 『DAMAGE LIVER TOUR 2013』

全公演出演アーティスト:ROOKiEZ is PUNKD / RIZING 2 END / Another Story / DJ
Tatsuya(激ロック)
各地出演アーティスト:東京NEW BREED、名古屋EACH OF THE DAY、大阪(後日アナウンス)
2013年12月13日(金) 【東 京】下北沢GARDEN
2013年12月20日(金) 【愛 知】今池3STAR
2013年12月23日(月・祝) 【大 阪】心斎橋CLUB DROP

 
【ファンクラブイベント】
2013年11月15日(金) 【東 京】渋谷タンジェリン fade family FC Meet & Greet
 
◆公式サイト
http://fadeonline.com/

◆関連記事
ROCK SAMURAI STORY fade(Part1)
http://www.beeast69.com/feature/79397
密着レポート 第11弾 fade 『天~TEN~ LIVE TOUR 2012』 Part2
http://www.beeast69.com/feature/32970
密着レポート 第11弾 fade 『天~TEN~ LIVE TOUR 2012』 Part1
http://www.beeast69.com/feature/32991