特集

BEEAST太鼓判シリーズ第23弾アーティスト『ザ☆メンテナンス』

TEXT&PHOTO:桂伸也

本誌BEEASTが自信を持ってプッシュする太鼓判アーティストの特集、第23弾は強力なライブパフォーマンスでシーンの最前線を狙う新鋭ザ☆メンテナンスを紹介します。リーダーであるANCHANGはヘヴィメタルバンドSEX MACHINEGUNSのリーダー。ユニークな歌詞と硬派なメタルサウンド、そして完成されたライブパフォーマンスで一世を風靡したSEX MACHINEGUNSは、ドラマーの脱退により現在活動休止中。その流れから活動を開始したのがザ☆メンテナンスです。
 
メンバーはANCHANGを筆頭にSEX MACHINEGUNSSHINGO☆(Bass)、そしてANCHANGの旧友であり、2004年にANCHANGが一時ソロ活動を行っていたときのサポートメンバーだったHIROTA(Drums)とOYAKATA(Guitar)という構成。もうベテランと言われてもおかしくない世代のプレイヤーたちですが、さまざまな経歴を持つ個性派メンバーとの新たなケミストリーが期待できる、可能性の大きなニューカマーといえます。
 
先日BEEASTでもレポートした宮前重金属発掘計画には、アドバイザーとして参加しているANCHANG。その流れを受けてこのザ☆メンテナンスもイベントに参戦。以降、ベテランらしからぬ地道なツアーや精力的なワンマンライブを行い着々と実力を積み重ねている彼ら。今回は、バンド結成の経緯からその意図、そして今後彼らがめざしていこうとするものを、彼らへのインタビューと、7月28日に池袋Blackholeにて行われた彼らのワンマンライブの様子から紐解いてみたいと思います。
 
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1)インタビュー

 

—ANCHANGさんはもともと「SEX MACHINEGUN」(ANCHANGソロ。SEX MACHINEGUNSではない)という名義で2004年にも「the maintenance」というアルバムをリリースされていたかと思いますが、この活動自体とザ☆メンテナンスはつながりがあるのでしょうか?

 
ANCHANG:ありますね。そのときの曲も今、何曲か合わせてプレイしていますし。ただ、そのときは正直ソロユニットという意識でしかなかったし、その後僕はSEX MACHINEGUNSに戻ったということもありましたから、今回はザ☆メンテナンスというバンドにしようと。
 

—もともとこちらのお二人はどのような縁で?

 
ANCHANG:クサレ縁ですね、ひどいもんです(笑)。長い縁ですね。HIROTAは学生のときに知り合って20年以上。OYAKATAは対バンの相手で、インディーズにすら届かないような状態のバンドで活動していた時代に会ったんです。
 

—それは長い縁ですね。そのANCHANGのソロ活動で同行されてからもう9年になる現在ですが、改めて声が掛かったときにどのような気持ちになりましたか?

 
OYAKATA:いやもう、それは僕の人生的には最高のタイミングでしたね。ちょうど心に隙間が開いているときだったので(笑)。また「汗がかけるな」と(笑)
 

—ではやる気十分で、ここに賭けているという気持ちですか?

 
OYAKATA:そうですね。ANCHANGとやる、ということは、つまりそういうことだと思っています。俺もやれると思っていますし。
 
ANCHANG:OYAKATAとは知り合ってもう16~17年くらい、だったかな?歳は彼の方が一つ上なんですよ。
 
OYAKATA:俺が25歳くらいのときだったかな?国分寺の小さなライブハウスでね。高校のときの仲間なんかが集まる溜まり場のようなライブハウスがあって、そこで「面白いバンドがあるから、お前対バンしてみろよ」って言われたんです。行ったらそこに出てきたのがANCHANG。「「みかん」(SEX MACHINEGUNSの代表曲の一つ)やれよ、「みかん」!」とか、馴染みの客なんかになじられていて(笑)。でも、いいバンドだなとは思っていました。
 

—HIROTAさんは話を受けたときにどのように思いましたか?

 
HIROTA:そうですね、話を受けたときには(今もやっているけど)別のバンドをやっていましたが、やっぱりANCHANGに言われたら、「断る理由がない」と思っていましたから。
 
ANCHANG:本当は嫌らしいんですが…(笑)
 
SHINGO☆:断る理由がつけられないという…(笑)
 
HIROTA:何を言っているんだ、まったく!(笑)。でも本当に、一緒にやれる喜びというか。10年近くバンド活動のこととか、いろんなことを教えてもらった仲なので。苦しいながらも、やりきったときに感じる達成感みたいなものがこの活動から得られると思って、話を受けました。
 

—SHINGO☆さんはやはりSEX MACHINEGUNS活動休止の流れからそのまま自然に加入ということでしょうか?

 
SHINGO☆:そうですね。「ザ☆メンテナンスっていう変なバンドがあるから、やれよ」と言われて(笑)
 

—それは「声を掛けてもらって新加入」という状況とはちょっと違う感覚があったと思いますが、そのときはどのように考えておられましたでしょうか?

 
SHINGO☆:そうですね…最初はやっぱりSEX MACHINEGUNSの活動がストップして、「すぐ何かをやらなきゃ」って思っていたんです。だから正直なところ最初は何かしなきゃ、忘れ去られてしまうだろう、っていう焦りから安易に考えていたところがあったんです、僕的には。
 
でも、やっていくうちにだんだん「マジでやっていかなきゃヤバイな」と思うようになっています。ただ、僕とANCHANGがガッ!とやってしまうと、結局はSEX MACHINEGUNSになってしまうので、それをどううまく「ザ☆メンテナンス」としていくか、というところも考えています。
 
ANCHANG:彼は、意外とベースのプレイの幅が広い。本当はどちらかというとメタルスタイルではないんです。だからザ☆メンテナンスで彼のプレイが入るのは面白いんじゃないかと思ったんですよ。
 

ザ☆メンテナンスのアルバムの音を聴いた印象としては、例えばスネアのカンカンという金属的な音など、かなり軽快な感じがしますよね、SEX MACHINEGUNSに比べると。ちょっとメタルっぽさという部分の違いも見られます。

 
ANCHANG:そうですね。HIROTAはわりとフュージョン好きなので、また違う味があります。その感じでまたメタルをやると面白いかな、って。そういうところはアルバムにはうまく出たと思います。
 
HIROTA:まあ、メタルのようなパワフルなタイコは、実は苦手なところはありますが…(笑)
 

—そしてANCHANGさんはメタル、OYAKATAさんはどのような指向ですか?やはりメタルでしょうか?

 
OYAKATA:そうですね、もろにメタル世代で、メタルでバンドに入りつつ、The Offspringなんかが出てきたときにサッ、と鞍替えしたという(笑)。速い部分が好きで、速いというところだけで追っていくと、あんなアメリカ製のハードコアに近いものがあったという感じですね。
 
ANCHANG:初めて会ったときには「ド」がつくくらいのメタルな感じでしたね、恥ずかしいくらいに(笑)
 
OYAKATA:いや~本当に恥ずかしかった(笑)
 

ザ☆メンテナンス自体は、特にメタルにこだわっている感じでもないのでしょうか?

 
ANCHANG:もちろん、まったくこだわりはないですね。コンセプト的なもので言うと、ジャンルに関係なく、まずは疾走感というか、いい歳のオッサンばかりで、オッサンだけど速い!みたいな(笑)。オッサンだけど頑張っているというようなところを出したいなと思っています。
 

—SEX MACHINEGUNSの活動を休止されてザ☆メンテナンスに移るという決心をした際、そのほかにも選択肢はなかったのでしょうか?例えばソロ活動を始めるとか、また全然別のメンバーでバンドを始めるとか…

 
ANCHANG:そうですね、あったかもしれません。でも(ザ☆メンテナンスをやったほうが)手っ取り早いかな、というところで(笑)。適当というわけではないけど、正直僕にも焦っているということはなきにしもあらずではありました。SEX MACHINEGUNSは活動が止まった。でも解散ではないから後々またやることも考えなければいけない、さらに正直完全にゼロスタートでメンバーを集めるという余裕はなかったし。それで結果的にこの選択をしたという。
 

—先程おうかがいした、「ド」メタルな方向からこのような少し違うサウンドをめざしたのには、何かその焦り以外にも狙ったところもあるのではないかと思ったのですが、その点についてはいかがでしょうか?

 
ANCHANG:確かにあるといえばあるかもしれません…実はソロをやったときに僕もオルタナみたいなことをやってみたいと思っていたときがありました。メタルしかやったことがなかったし。で、やってみたら意外とメタル癖が抜けなくて、何をやってもメタルになってしまうという葛藤があったんです。そのときに失敗したのは、僕なりにそのオルタナやメロコアみたいなことをやってみようと思ったことじゃないかなと思うんですね。
 
だから、「そういうことをやってみよう」とは思っていない。ただ、メンバーを集めてみたらこういう音になった、という感じというところがポイントといえばポイント。例えばもっとメタルな音にしたいと思ったら、ドラムはHIROTAじゃないと思うけど、理想としてHIROTAが持っているスタイルの中で、敢えてメタル的なところを埋め込みたい。要素として一つ加えてもらいたいというか。OYAKATAにもメタル魂みたいなところをある意味復活してもらいたい。そんなところは、ザ☆メンテナンスの「中途半端さ」ではありますが(笑)
 

—各自の持ち味を生かしながら、ということですね。

 
ANCHANG:そう、SEX MACHINEGUNSの話ばかりになっちゃうんですけど、これはもう完成しているバンドなので、避けられないんです、自分として。ある面伝統芸能みたいなものをめざしているところがあって、その中で戦っていくのがSEX MACHINEGUNS。でも、ザ☆メンテナンスは「玉虫色」じゃないけど、よくわからないところで、やってみて化学反応が起こっていけばいいな、と。
 

—アルバムを聴かせていただいた限りでは、既に起こっているような気もしますね(笑)

 
ANCHANG:どうでしょうかね?まあ正直、僕らはやっている側なのでわからないところではありますが。難しいですよね。お客さんもマニアな人も多いし、「SEX MACHINEGUNSのコピーみたいな感じじゃないの?」と言われる人もいるし、まったく別物だと言ってくださる方もいるし。自分で言うのも何ですが、最大の敵がいるとすれば、それはやっぱりSEX MACHINEGUNSなんです。だから、このバンドではそうではないものを出したい、というところですね。
 

—なるほど。これからバンドのメンバーとして、またアーティストとしてという二つの面で、皆さんはそれぞれどのように活動していきたいと考えますか?まずOYAKATAさんはいかがでしょう?

 
OYAKATA:やっぱり、このメンバーにしかできないことが必ずあるはずで、なくてはならないものになれると思うんです。AEROSMITHMETALLICAだって、なくてはならないという必然性があるわけで、このメンバーでそれを考えていきたいと思っています。
 

—それはご自身のギタープレイがどうだという細かいくくりではなく?

 
OYAKATA:そうですね。ギターという点ではANCHANGとやっていかなければならないので、精進のみ。最初は技術がまったく足りていないので、我流なんかは捨てて、このバンドのメンバーとして自分が出さないといけないところを目指していくだけです。
 

—意気込み十分ですね。HIROTAさんはいかがでしょう?

 
HIROTA:僕はザ☆メンテナンスというバンドで一段でも上に上がれるように頑張っていきたい。それは自分の努力もさることながら、メンバーと協力してやっていかなければいけないなと。それが自分のスキルとなって、自分のドラムとしての引き出しや質が高まっていく、そんなふうにバンドとしてもプレイヤーとしても両立していけるよう自分が努力していければ、お互いに限りなく成長していけるんじゃないかと。オッサンになってもそういう期待だけは持って、活動していきたいと思いますね。
 

—気持ちがとてもフレッシュな感じですね。

 
HIROTA:いやもう、ずっと丁稚(でっち)みたいな生活をしていたので、誰にも威張れない性分なんですよ(笑)。この活動が自分の自慢となるように頑張っていきたいですね。
 

—控えめですね(笑)。でも素晴らしい志だと思います。SHINGO☆さんはいかがでしょう?

 
SHINGO☆:ザ☆メンテナンスは、もうみんないい歳だと思うんですけど、変に「趣味のバンド」というふうにはしたくないんです。「生活を送りながら好きでやっているバンド」みたいな。人生の一ページではない、表紙くらいの意気込みで、コケるならコケて、行くなら行く、くらいの気持ちをもっと持って、どうせなら大きなところでやりたい。「めざせ!武道館!」くらいの(笑)。それくらいの気持ちでやりたいですね。当然、生きていくことも大事なんですけど。
 

—そこにはもう年齢なんて関係ない、という感じなんでしょうね。

 
SHINGO☆:そうですね。「全部捨ててみようか!?」っていう。賭けですよね。だって人生は一回しかないし。ちょっとやって「ハイ、安全コース」「楽しかったね」「おじいちゃんになったからやめようか」っていう風にはやりたくない。やるならとことんやりたいです。その中で僕というベーシスト、僕は自分のことをあまりベーシストと思っていないんですが、一アーティスト、パフォーマーとして、「SHINGO☆」という存在を強くアピールしたい。例えば「明石家さんま」は「さんまさん」でどこでも通るじゃないですか?しゃべりとか個性で。そういう面でSHINGO☆をアピールしたい。ザ☆メンテナンスだとそれがいろいろできるし、SEX MACHINEGUNSもやっているので。
 

—ベースヒーローというくくりではない、唯一の存在になりたい、と?

 
SHINGO☆:そうですね。例えばギターを弾けるのであれば、僕はギターも弾きたいし。
 

—なるほど、高い志が感じられますね。最後にANCHANGさんはいかがでしょうか?

 
ANCHANG:偉そうに聞こえると何ですが、バンドプロデューサー的な感覚を僕は常に持っているつもりで、よくみんなに言っているのが、「『プレイヤー』に比べて『アーティスト』というものは価値が高い」と思うんです。すなわち「プレイだけではない」という意味で。しゃべりがうまいとか、立ち振る舞いがカッコイイ、衣装がカッコイイとか、何でもいいんです。
 
そんなところでメンバーには、「アーティストになってほしい」と思っているので、いろんな部分を磨いてもらわなければいけない。OYAKATAは俺が言っているからかもしれないけど、「オッサンだからこのテンションで行こう」という考えはもうやめよう、としています。変な話オッサンだけどフェスに出て「ザ☆メンテナンスって、スゲー!」って言われるバンドにならなければ意味がない。難しいことではあるけど、若者の中でも行けるところまで行って「スゲー!」って言ってもらえるようになりたい。
 
HIROTAOYAKATAは、僕が勝手に言っていることではあるけど「アマチュアの垢(あか)」というものがあって、「俺らはここまで」と思いがちなところがあると思うんです。プロとしてやっていく為にはそんな垢を落としてもらいたい、そういった考え方やマインドを変えていかないとプロの中で戦って勝つことはできない。それをもう毎日のように言い続けているんです。そういう意味で彼らにも「アーティスト」になってもらいたい。メンテナンスをやったことによってHIROTAOYAKATAという人物が少しでも注目されるようになってもらいたいし。そして注目され始めたら「プロデュースしたのは俺だ!」と出てきてやろうかな、と(笑)
 

—では、バンドとしては今始まっているとはいえ、実はそれができて初めてザ☆メンテナンスとしてスタートが切れるということでしょうか。そのスタートを切った先についてはどうでしょうか?

 
ANCHANG:例えば武道館、とかいうとそういうバンドではないとはまず思います(笑)。ただやっぱりでっかいところでやりたいですね。イメージですけど、「汚いけど、デッカイハコ」みたいなところ。或いはどこかの倉庫みたいなところがザ☆メンテナンスには合うかな。ホールでプレイするバンドではないです。だからフェスなんかは僕のイメージの中にはあるんです。そしてフェスに出てひっくり返したいっていう。
 

—ライブにはこだわりたいところですかね?

 
ANCHANG:そうですね。自称「ライブバンド」なので。ライブで勝ちたい。CDが売れない時代ではありますし、そこばかりにあまり価値を求めるわけにも行かないと思います。だからある分野のライブではナンバーワンにもなりたい。メジャーデビューして、カウントダウンTVの上位を取るようなバンドでもないと思うし(笑)、ヒット曲を出せるバンドではないし、ルックスも汚いし(笑)。ましてや狙ってもない。でも「ライブハウス界隈で聴いたらダントツ一位でしょ!」みたいな存在にはなりたいですね。
 

—でも、ファンの方は女性が多くて素晴らしいですよね(笑)

 
ANCHANG:まあ結構お歳を召している方が多いですが(笑)。でも良いようにとればオッサン、オバハンでもいいんですよね。ザ☆メンテナンスというバンドは。なかなか若い子が取り込めないという厳しい現状もありますが、その辺はSHINGO☆にアピールしてもらって(笑)。若い子に来てもらいたい、というよりはいろんな世代に来てもらいたい、オッサン、オバハンでもはじけられる、若い子でも楽しめるバンドになっていきたい。
 
なかなかライブハウスもいっぱいにならないけど、宣伝がほぼゼロの状態でザ☆メンテナンスというバンドが世に出られたらいいな、と思っています。「SEX MACHINEGUNSの人でしょ?」というのではなく。現状はSEX MACHINEGUNSと比較されてしまうのはしょうがないし、逆にそれにより知られているところもあるから、ゼロスタートでもないし自分たちとしてもラッキーなことではある。でも、いつまでもそこに乗っかっているわけにも行かない。そういう意味では、OYAKATAHIROTAにかかっているところは大きいですね。
 

—今は敢えてその評価には甘んじるけど、「見ておれ!そのうちひっくり返すから」という意気込みですかね。

 
ANCHANG:そうなればいいですね。これからじゃないかな。これから二人(HIROTAOYAKATA)のマインドが変わっていくことを期待しつつ。
 

 

2)ライブレポート(2013/07/28 @池袋BlackHole)

 
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会場ではそれまで流れていたへヴィメタルのSEから一転、「銭形平次」のテーマが流れ始めました。この意表を突くスタイルがザ☆メンテナンスとして、強烈な個性を放っているように見えます。やがてステージにメンバーが現れると、SEとギターがクロスフェードしながら、そこにけたたましいスネアの連打。オープニングは「メンテナンスのテーマ」。このSEとの落差に、聴くものは一気に気持ちを奪われてしまいます。
 
疾走感と、キメのリズム、そしてブレイクで「嫌な臭いは元から絶たなきゃダメ!」というANCHANGの叫びに、観衆は同調しヘッドバンギング!続いたのは「爆乳ダイナマイト」。先日レポートした『【PHOTOレポ】ザ☆メンテナンス × 快進のICHIGEKI 2MAN SHOW 』の際のセットと同じ出だしですが、この流れは彼らの常勝パターンの一つであるように見えます。必死にその強力なリズムに喰らいつくように観衆がヘッドバンギングを繰り返し、フロアが大きく波を打っていました。
 
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「どうもこんばんは!久々のワンマンでございます~!そうです我々が、ザ☆メンテナンス!」一同そろっての自己紹介が決まると、フロアのあちこちから「ANCHANG~!」「キャ~!」と叫ぶ女性の声が上がりました。「やっぱりワンマンをやるってなると、駆け出しのオッサンバンドですから緊張が走るわけですが、今日の池袋は、のっけからイケているじゃないか!?」「Yeah!」「思ったより男も多いじゃないか」「Yeah!」「若いのはいるか!?」シ~ン、「おらんのかい!?」そして大爆笑。
 
他愛のない挨拶ではありますが、のっけから観衆の気持ちをつかむそのセンスは非常に見事!さらにたたみかけるようにSHINGO☆とのオチャラケ。このあたりはなかなか若いバンドでは難しい、ベテランぞろいならではの味というようにも見えました。
 
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「日本人なら?」「米食べろ!」そんなバンドの掛け声で始まった「米食べろ」。アメリカンロックのようなゆったりしたスイング感の中で、広大なスケールのハーモニーとともに、このテーマを歌うアイデアがとてもユニーク。インタビューでもあった、以前リリースされたANCHANGのソロアルバムの曲ですが、先にプレイされた「爆乳ダイナマイト」などと合わせて、ライブに溶け込んでいるところから、改めてザ☆メンテナンスが、ANCHANGのソロ活動の延長であることが感じられます。曲中のリズムに合わせたOYAKATASHINGO☆の振り付けなど、見せ所も満載です。
 
一転してプレイしながらジャンプするダイナミックな「シロナガスクジラ」など、また息もつかせない強烈なビートナンバーへ。さらにOYAKATAがメインボーカルの「合金戦士」と、バラエティに富んだ曲調、構成がうまく展開。MCでの、OYAKATAのケガ話から鋼の体、そして「合金戦士」というキーワードのつなぎなど、一件グダグダに見える語りの中に、実はかなり計算されたものがあるようにも見えます。ANCHANGという強力なフロントマンがいる中でも、彼ならではのボケやプレイ中の存在感など、徐々に頭角を現しつつあるOYAKATAの位置にも注目すべきものがあります!
 
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この日のMCには、とかく前日にANCHANGが見たというサッカー(Jリーグ)の話が出るのですが、そのMCの論点の広げ方や、サッカーをモチーフとした会話という部分で、SHINGO☆のツッコミが話を展開。そして空気を読まないOYAKATAの割り込み方、ボケがバラエティ感をさらにかもし出してきます。
 
そしてSHINGO☆が強烈な自虐トークを打ち込んだあとに「俺、今メッチャ向かい風やで~!」と次の曲「WIND」につなげるなど、非常にステージング、パフォーマンスの組み立て方が緻密!ANCHANがこれまでに発表したザ☆メンテナンスSEX MACHINEGUNANCHANGソロ名義)の作品は、個々の楽曲同士につながりを見出すことはできませんが、ステージの組み立て方でそこにさまざまな展開を組み立てているように見えました。まさに絶妙!
 
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さらに6/8の複雑なリズムの「GO TO HELL」から、SHINGO☆HIROTAのセッションタイム(ドラムとベースだけでインタープレイを見せるコーナー)へ。このあたりはヘヴィメタル以外の音をバックグラウンドとして持つ彼らならではのプレイ。HIROTAのプレイは、ザ☆メンテナンスの楽曲の中ではヘヴィさを持ちながらも非常に丁寧なプレイを見せているようにも見えました。抜けるようなスネアの音には、聴くものは必ず心躍らされてしまうことでしょう。そこにマルチなテクニックを持つSHINGO☆のプレイとシンクロして、また一風変わったグルーブをステージに作り出しました。
 
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ステージは後半へ。「サイレン」「SAMURAI NO.7」「JUNK FOOD」と、SEX MACHINEGUNSの楽曲が続きました。ANCHANGの語った、彼らが「一からのスタートではない」という意味を表すようなポイントであり、ある意味リスクがある部分ではありますが、見事にザ☆メンテナンス流のプレイを披露!歌うこと、メインでギターを弾くことはあくまでANCHANGですが、コミカルなパフォーマンスを繰り広げるOYAKATASHINGO☆と、完全なメタルのノリとは違うグルーブを持つHIROTAのリズムを絶妙にミックスすること、そしてかつこのステージに合ったプレイをすることを強く意識していることがわかります。結果的には観衆に「馴染みの曲の新しい楽しみ方が増えた」という新鮮な感覚を与えたことでしょう。
 
そしてクライマックス。サッカーネタに興奮しながら、最後は強引にSHINGO☆OYAKATAに絡みケンカ腰となり、キメ文句として「さちこが悪い!」と、「さちこ」へ。迫り来るエンディングに向かってメンバーの声にも力が入ります。OYAKATAはフロア側へ身を乗り出して観衆をあおり、観衆はさらに興奮をあおられました。猛烈なビートは「お茶の間ショッピング」から「大逆転」へ。ヘヴィでありながらパンキッシュ、さまざまなカラーが観衆の気持ちをグッとつかみ、絶頂へと引き上げていきました。彼らのこれからの「大逆転」を誓う思いが感じられた瞬間です。そしてフィニッシュ。ANCHANGの「ありがとうございました!」というひと言で、彼らはステージを降りました。
 
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「メンテナンス!」「メンテナンス!」彼らの名を連呼する声が拍手と共に続きました。いつまで続くのかと思われたそのとき、ようやくその呼びかけに応えるようにメンバーが再び登場。SHINGO☆「こんな呼んでくれているなら、またやらしてもらっていいですか!?」「Yeah!」OYAKATAHIROTAも、その呼びかけにグダグダになりながらも懸命に応え、これからの行く末に対しての強い意気込みを叫びました。
 
そして、「コブラクロー」、定番の「宮前兄弟」とたたみかけながら、2ndアンコールに応え「コブラツイスト」へ。清々しさすら感じるバラードチックなそのサウンドは、ここまでのザ☆メンテナンスの楽曲とはまったく異なるものでしたが、そのスケール豊かなサウンドの中には、これからの彼らの前に無限に広がる可能性すら感じられました。そんな清々しいエンディングに、「これからもメンテナンスは続いていく」というANCHANGの言葉と、最後に「ヨイショ!」という会場にいた全員の掛け声で、この日のステージは幕を閉じました。
 
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◆公式サイト
http://themaintenance.smg-fire.com/
◆ライブ情報
~快進のICHIGEKI presents【大江戸大決戦】~
2013年09月14日(土) 【東 京】渋谷Star Lounge
ザ☆メンテナンス 秋のイベントTOUR
2013年10月02日(水) 【愛 媛】SALONKITTY
2013年10月04日(金) 【広 島】Namiki Junction
2013年10月05日(土) 【岡 山】倉敷REDBOX
2013年10月07日(月) 【京 都】MOJO
2013年10月18日(金) 【東 京】新宿Wild Side Tokyo
2013年10月26日(土) 【大 阪】ESAKA MUSE
2013年10月27日(日) 【和歌山】橋本GATTO
2013年10月29日(火) 【愛 知】名古屋Heart Land
◆セットリスト
M01. メンテナンスのテーマ
M02. 爆乳ダイナマイト
M03. 米食べろ
M04. DAI
M05. シロナガスクジラ
M06. 合金戦士
M07. 出たらいいな
M08. WIND
M09. GO TO HELL~Drums &Bass Session
M10. サイレン
M11. SAMURAI NO.7
M12. JUNK FOOD
M13. さちこ
M14. お茶の間ショッピング
M15. 大逆転
 
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E01. コブラクロー
E02. 宮前兄弟
 
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E03. コブラツイスト

 
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ANCHANGを中心に、SEX MACHINEGUNSで活動を共にしていたSHINGO☆、それと「新人のオッサン」であるHIROTAOYAKATAの二人。キャリアもここまでたどってきた経緯もまったく違う4人ですが、あるところではピッタリと息を合わせ、MCになればまるで個々が空回り!かと思えば絶妙なタイミングで話がつながっていくという驚異のトーク。
 
完成度もさることながらそのステージングのバラエティ感は、彼らが新人でありながら既に天下一品。以前、ANCHANG『ROCK SAMURAI STORY 快進のICHIGEKI(Part4)Side A』で語っていた、「他にないバンド」というイメージは、実はザ☆メンテナンスにも当てはまるのではないでしょうか?
 
「他にないバンド」というイメージは、決して「突拍子もない、唯一無二の」という意味ともまた違うようです。例えばいろんな情報を集めたり、誰かの指導を受けたりすれば彼らと同じようなバンドはできるかもしれませんが、彼らには長い年月で培ったものが自然に彼らのスタイルに現れています。個々の個性を、ANCHANGの経験で培った感性で組み上げられたバンド、それがザ☆メンテナンス。新人ではありますがまだ今年デビューしたてでこのスタイルをアピールできているのは、彼ら最大の強みとなっています。
 
ANCHANGの語ったとおり、あとはHIROTAOYAKATAという二人がザ☆メンテナンスの、将来のカギを握っているところ。意気込みは十分な二人だけに可能性は未知数!またアピール性抜群のSHINGO☆の動向も見逃せません。彼らと同年代である筆者には、彼らが「ひっくり返す」というそのときが、非常に痛快で爽快な場面とイメージでき、期待せずにはいられません!ニンマリと歯茎をむき出しにして笑うANCHANG、彼の胸の内にある次のたくらみとは一体どんなものか!?皆さんも一度、「心と体のメンテナンス」(「ザ☆メンテナンスのテーマ」の歌詞の一部)を受けに、彼らのライブに足を運んでみてはいかがでしょうか?
 

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ザ☆メンテナンス Latest Album『工事中』
CMXR-10034/3,000円(税込)
発売中
収録曲:
M01. メンテナンスのテーマ
M02. DAI
M03. お茶の間ショッピング
M04. お茶
M05. シロナガスクジラ
M06. 合金戦士
M07. さちこ
M08. コブラクロー
M09. 緊急警報
M10. 宮前兄妹

 

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ROCK SAMURAI STORY 快進のICHIGEKI(Part4)Side A
http://www.beeast69.com/feature/75398
【PHOTOレポ】ザ☆メンテナンス × 快進のICHIGEKI 2MAN SHOW
http://www.beeast69.com/report/74392
【ピックアップ!】宮前でロックフェス?ザ☆メンテナンス、Mary’s Blood登場【ロックインフォメーション】
http://www.beeast69.com/news/rockinfo/67222
【ピックアップ!】宮前区長をANCHANGが表敬訪問【ロックインフォメーション】
http://www.beeast69.com/news/rockinfo/56841
【新譜聴こうぜ!】SEX MACHINEGUNSのメンバーが初音源を発表!【ロックインフォメーション】
http://www.beeast69.com/news/rockinfo/55200