特集

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TEXT:山崎光尚 PHOTO:株本和美

Photo国内のロックシーンの最先端を駆け抜け、輝き続けるフロンティアの横顔に迫るインタビュー特集「Let The Music Do The Talking」。原題はAerosmithの同名曲が由来しているのですが、復刊に伴いちょっと化粧直し。今回より「ROCK ATTENTION」と題してお届けします。
 
通算第12回目となる今回登場するのは杉本恭一!87年のメジャーデビューからロックシーンを駆け抜け、後続のバンドにも多大なる影響を与えてきた、元祖ミクスチャーロックバンド・LӒ-PPISCH。バンドのメインソングライターであり、バンドと並行して積極的なソロ活動を展開してきたギタリスト・杉本恭一をライター山崎が直撃!昨年10月に、自身6枚目のソロアルバムとなる『Macka Rocka』を発表し、杉本恭一&The Dominatorsとして全国10ヶ所をライブして回った氏にインタビューを敢行しました。この”Tail Peace Tour”で得たこと感じたこと、そして結成25周年を祝して今年再始動するLӒ-PPISCHの展望について、語ってもらいました!


 

— まずは、The Dominatorsのみなさんとの出会いから教えてください。

 
杉本:2003年のLӒ-PPISCHツアーが終わってから、一人で弾き語りをしながら日本中を回っていたんだけど、そのツアー最終日のCITTA’で何か面白いことをやりたくて、終盤で突然バンドが出てくるという演出を思いついたんで、それに出てくれるリズム隊を探していたんですよ。で、当時のスタッフがベースの有江君(有江嘉典VOLA & THE ORIENTAL MACHINE)と知り合いでね。その有江君がドラムの矢野君(矢野一成)とThe Dominatorsというリズムユニットとして組んでいたんですよ。それで二人とセッションしたら、いい感じだったから一緒にやるようになったんです。二人とも当時30歳を越えながらも「音楽で勝負しよう!」という意気込みを持っていた人達だったから、ソロとしてゼロからやっていこうと思っていた自分の気持ちともリンクしたし、刺激も受けた。それでにギターに幼馴染の洋一宮崎洋一SKAFUNK)を引っ張ってきて、それからはずっと4人で。俺のソロのキャリアはほとんど、彼らと歩んできたものだと言っても過言ではないです。
 

— ステージ上の雰囲気からしても、みなさん仲よさそうですね。

 
Photo杉本:そうですね。たまたまメンバー全員、九州出身というのもあって、波長が合うんですよね。全員が俺の好きな阪神(タイガース)ファンというわけではないけど、そのことでモメたりもしませんし(笑)。
 

— 昨年末にツアーで10ヶ所回ったわけですが、やり遂げてみて今の心境はいかがですか?

 
杉本:まず、杉本恭一&The Dominatorsとして10ヶ所も回ったのは本当に久しぶりだったんで新鮮なことも多かったですね。最初のほうはMAGUMILӒ-PPISCHのヴォーカル)のバンドとも一緒に回ったし、親戚の寄り合いみたいですごく楽しかった。まあ、昔ほどライブ後に乱痴気騒ぎをしたりといった、いわゆる武勇伝は減りましたが(笑)。うん、その分ライブに全力をより注いでいる実感はあったな。大人になりましたよ、ほんと(笑)。ライブ以外で体力を使うのが、もったいないような気もしてね。
 

— ツアー最終日の原宿アストロホールでのライブを拝見したのですが、全25曲、ジャスト2時間フルスロットルで駆け抜けた圧巻のステージに興奮しました。単純によく体力が続くなあと、素人ながらに思ったのですが、普段から体力作りはしているのですか?

 
Photo杉本:ツアーの1ヶ月前くらいから体を動かすくらいはしてますけど、特別なトレーニングはしてませんよ。酒も飲むし、タバコも吸うし(笑)。う~ん、そうだな、ライブの体力ってのはライブをやることによってできるもんだと思うんです。だからツアーの最初の方のライブだと感覚を思い出すまで、余計な力が入ってるなとも思うし。
 

— あと、これも単純なのですが、よく声が枯れないなあと。

 
杉本:こういうふうに声を出すと、やばい枯れ方をするということは経験で何となくわかってます。だけど今回は札幌のライブで楽しくなって声だしすぎて一回枯らしてしまいましたけど(笑)。まあ、次のライブまで中1日あったので、なんとか治しましたけど。
 
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— さて、ニューアルバム『Macka Rocka』を引っさげてのツアーだったわけですが、新曲はもうライブで馴染みましたか?

 
杉本:うん、だいぶ馴染んできたし、発見もあった。特に「オー・ソレ・ミオ」なんて演れば演るほど、よくなっていく手ごたえがあったし、「Piece of cake!」は最初はそんなに積極的にセットに入れようとは思ってなかったんだけど、思いの他お客さんの反応があったので、その後は定番になっていったし。ツアー前もスタッフやメンバーの反応も感じながらセットリストを考えるんだけど、ライブをやってみてからどんどん進化していく感覚があって、面白かったですね。まあ、全曲自分で作っているわけですから、どの曲にも愛着があるわけですが。
 

— 個人的には「ENCORE」の疾走感がとても好きですね。1曲目にやってほしいなと思っていたら、本当にやってくれたので嬉しかったです!

 
杉本:確かに、あの曲はライブのスタートにに合いますね。
 
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— 1曲目なのに「ENCORE」ってタイトルも、シャレてますよね。

 
杉本:ああ、ありがとうございます。
 

---「ENCORE」もそうですが、歌詞の世界観も相変わらずちょっとひねくれた感じがあって、杉本節は健在ですね。カッコいいだけで終わらせない、カッコよさがあるとでも言うか。

 
杉本:う~ん、変にカッコつけているロッカーの歌詞って、ヘタすりゃ笑っちゃう雰囲気ってあるじゃないですか? 嘘だろ、そんな言葉みたいな(笑)。無意識のうちに、そうならないようにしているとは思いますね。まあ、性格が反映されるものなんだろうし。
 

— あと、「アレコレそれこれ」とか「真っ赤赤」とか「ムニャムニャ」など、言葉を”音”として使う感覚も、杉本節の特徴だと思うのですが。

 
Photo杉本:ああ、そのへんも単純に好きでやっているんでしょうね。たまに強引な語呂合わせもありますが(笑)。う~ん、47歳にもなって「ムニャムニャ」もないだろうとも、たまに思いますがねえ(笑)。
 

— いえいえ、ファンとしては何歳になっても続けてほしいです(笑)。事前に知った情報で「キャロラインベッキー」は、キャロライン洋子とベッキーを足しただけのタイトルだそうですが(笑)、これもすごい語呂合わせですね~

 
杉本:語呂合わせと言えるんですかねえ(笑)。いや、この曲は結構重いことをテーマにしてまして、でも、重いだけじゃなんだか嫌だったんで、色んな角度から破壊していったんです。で、とどめの破壊をタイトルでやってやったと(笑)。でも、この曲と『Fantasia』は、キーボードも入ってるので、ライブでどうやろうかと迷いましたね。ギターアレンジに変えてリハでやってみたりもしたんだけど、しっくりこなかった。最終的には東京以外では同期でキーボードの音を鳴らしてやっていました。
 

— 最終日の東京公演では、キーボードで扇愛奈(ジ・アジナーズ)さんも駆けつけましたね。

 
杉本:彼女のおかげですごく助かりましたよ。上田現LӒ-PPISCHのキーボード、サックス、ヴォーカル/08年他界)の「コリアンドル」やLӒ-PPISCHの「ポルノポルノポルノ」といったピアノが映える曲も演れたし。
 

— そういえば、MC中に平泉成のモノマネをしてましたね。普段からモノマネは得意なのですか?

 
Photo杉本:あれは楽屋でやったら思いの他、洋一のウケがよかったから、ついステージでもやってしまっただけです(笑)。いえいえ、得意じゃないですよ!大体、平泉成のモノマネって多分誰でもできるし(笑)。
 

—ニューアルバムは『Macka Rocka』というタイトルにもあるように、”赤”がテーマであると、杉本さんのブログで書かれていたのを拝見したのですが、杉本さんにとって”赤”という色のイメージとはどんなものなのですか?

 
杉本:まあ、単純にエネルギーとでも言うか…2011年はやっぱり激動の年だったわけじゃないですか? そういった背景から自然と出てきた今、欲しているエネルギーに溢れた色なんだと思います。
 

— さて、来年はLӒ-PPISCH結成25周年ということで活動するわけですが、意気込みのほどは?

 
杉本:今までも大体毎年1回は集まってライブやったりしてたのですが、来年は何らかの形で作品も出そうかと。節目の年でもあるし、どうせツアーやるなら新しい作品があったほうがより楽しいかなかと。まあ楽しみにしていてください。
 

— 最後に若い世代に向けて一言お願いします。

 
杉本:今の若い世代って、情報が溢れすぎていて聞く音楽を選ぶのも大変だと思うのですが、そういう子たちの琴線にも触れるような音楽を作りたいですねえ。


 
さてここからは、”Tail Peace Tour”の12月17日最終公演の模様をお届けしましょう!
 
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ファンで埋め尽くされた、原宿アストロホール。ツアー最終日で、初の東京公演ということもあり、杉本恭一の登場を今か今かと待ちわびています。
そして、SEが鳴り響きニューアルバムのコンセプトである”赤色”のライトがステージ上から客席に向け照らされると、まずはThe Dominatorsの面々が登場。そして、「KY? O……. IC! H♡I」と記された赤いパネルを持った杉本恭一が颯爽と現れ、オーディエンスを煽ります。
 
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スピーディーな中にもメロディーのよさが冴え渡る「ENCORE」、キメのリズムに乗らずにはいられない「愛の国ガンダーラ」をまずは連発すると、「ツアーファイナルへようこそ! 東京ではアルバムの曲初お披露目。今日はたっぷりやるんで、楽しんでいってください!」との嬉しいMCで、ファンはやんやの大喝采! その言葉とおり、新旧バランスよく織り交ぜたソロの曲はもちろんのこと、上田現の「コリアンドル」のカヴァーやLӒ-PPISCHの「プレゼント」など、往年のファンにはたまらないナンバーも飛び出し、オーディエンスたちの興奮度は高まる一方。
 
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特に、「Antique Radio」~「moon」の幻想的なムードの時間と、扇愛奈のピアノとコーラスを要した「キャロラインベッキー」~LӒ-PPISCHの「ポルノポルノポルノ」までのスリリングな展開が対照的で、実に飽きさせない曲構成でした。
 
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そしてアンコールで再登場した際には「来年の予定も、ぽつぽつ決まり始めました。LӒ-PPISCHもやります。忙しい年になりそう!」と、さらに嬉しい予告をしてくれ、ダブルアンコールで叩きつけた2011年最後のナンバー「TACO」では、ハンドマイク片手に前列のファンと手をたたき合いながら完全燃焼し、今回のツアーは幕を閉じました。
 
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インタビュー中でも語っていたとおり、激動の年を乗り越えたんだから、今年は色んな意味で景気よくいこう!といったポジティブな意志が見受けられる、ハイエナジーな素晴らしいライブでした。2012年もこの男とLӒ-PPISCHを、さら~に注目していきたいと思います!
 

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セットリスト
M01.ENCORE
M02.愛の国ガンダーラ
M03.レイラは唄う
M04.Piece of Cake!
M05.ダミーリリック
M06.カナリヤ
M07.Antique Radio
M08.ピース
M09.moon
M10.Flowers
M11.キャロラインベッキー
M12. Fantasia
M13.コリアンドル(上田現
M14.プレゼント(LӒ-PPISCH
M15.ポルノポルノポルノ(LӒ-PPISCH
M16.昭和生まれ(LӒ-PPISCH
M17.Brand New Life
M18.RED MONKEY
M19.ワ-パー電波(analers
M20.Marking Point
-EVCORE-
M21.オー・ソレ・ミオ
M22.Welcome to Wonderland
M23.APPLE
M24.HAPPY BIRTHDAY
M25.TACO

◆杉本恭一 公式サイト
http://www.kyoichi-s.com/

◆インフォメーション
・2012年01月23日(月)「ワンツースリー!2012」
【下北沢】CLUB Que
出演:杉本恭一 & The Dominators / Theゆうたろうバンド / BAZRA
OPEN18:30 / START19:00 TICKET前売 ¥3,000 当日¥3,300
(問)CLUB Que:03-3412-9979

・2012年02月03(金) アイモコpresents 東日本大震災復興支援イベント「魂、打ち鳴らせ!!」
【那覇】桜坂劇場
出演:アイモコ / 水戸華之介+伊東ミキオ / 杉本恭一+MAGUMI from LӒ-PPISCH / タテタカコ / こきざみインディアン
OPEN 19:30 / START 20:00 TICKET¥2,200
(問)桜坂劇場:098-860-9555

・2012年02月19日(日) 「Rock-paper-scissors」
【渋谷】O-WEST
出演:fringe tritone / 杉本恭一 & The Dominators / 武藤昭平 with ウエノコウジ
OPEN17:30 / START18:00 / TICKET前売¥3,500 / 当日¥4,000
(問)O-WEST:03-5784-7088

・2012年03月03日(土)LӒ-PPISCH ~25周年のその1
【川崎】CLUB CITTA’
チケット発売:2/4(土) 電子チケットぴあ0570-02-9999 (Pコード:158-963) / ローソンチケット 0570-084-003(Lコード:75168) / イープラス(e+) http://eplus.co.jp
(問)クラブチッタ 044-246-8888

・2012年03月10日(土) 「不死鳥~第九条」
【渋谷】O-WEST
出演:水戸華之介(vo)/澄田健(g)/内田雄一郎(b)/田中元尚(ds)/藤原マヒト(Key)ゲスト:杉本恭一 / 和嶋慎治(人間椅子) / 吉田一休(ドミンゴス)
OPEN18:00 / START19:00 / TICKET前売¥4,000 / 当日¥4,500
(問)O-WEST:03-5784-7088 / スマイリーズ:03-3304-8734