特集

BEEAST密着取材_RCH

TEXT & PHOTO:桂伸也

【密着レポート第17弾:RIDER CHIPS】

元祖ジャニーズ出身のアイドルというイメージと対照的に、日本のトップクラスのロック・ギタリストとして名高い野村義男。昨年よりBEEASTのコラムニストの一人となり、そのギターに対する溢れんばかりの愛情を毎回語っているが、国内のギタリストとしてはファースト・コールに挙げられる一人として常に注目を浴びる存在となっている。
 
その彼を中心に日本のヒーロー・アクション・ドラマの金字塔を打ち立てた『仮面ライダー』の生誕30周年を記念して結成されたのがRIDER CHIPSだ。リズム隊には日本HR/HM界でも輝かしい歴史を作り上げ、今なおトップを走り続けている寺沢功一JOE、作曲、編曲、そしてサポートに定評のある渡部チェルというメンバーを従え、さらに男声/女声の両方の声域をカバーし、なおかつフロントマンとして強いアピール性を持つヴォーカリストRickyを迎えRIDER CHIPSは誕生した。バンド始動のテーマとなった仮面ライダーのイメージから、躍動感あふれるリズムとパワー感に、幼い子供でも受け入れられるキャッチ―なメロディこそはRIDER CHIPSの持ち味。さらにそうそうたるツワモノのロック・ミュージシャンたちが集い結成されたバンドだけにその完成度は言うまでもない。そんな彼らが2013年の新たな始まりを誓うべく、新年早々よりワンマンライブを実施した。その白熱の模様を今回は密着取材にてレポートしよう。
 
◆メンバーリスト:
Ricky(Vocal)、野村義男(以下、野村 :Guitar)、寺沢功一(以下、寺沢 :Bass)、JOE(Drums)、渡部チェル(以下、渡部 :Keyboards)
 
hana
 

1.ライブ前

 
1.1 サウンドチェック
 
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筆者が会場入りした際にステージにいたのは、野村一人だった。何度もギターをかき鳴らしながら自分の音を確かめていた。PAへコンタクトを求める。「(低音が)ない感じ?」「いや、出てますけど」「本当…?」会話をしながら野村のギターから流れ出していたリフはThe Beatlesの「Day Tripper」のリフ。ちょうど現れた寺沢と、ちょっとしたセッションが始まる。曲はやがてVAN HALENの「Ain’t Talkin’ ‘Bout Love」「The Best of Both Worlds」へ。派手なソロを弾くでもなく、ザラザラとしたコードワークや単音のリフを奏でたのは、彼はサウンドチェックに最適な音をよく知っているからこそだろう。
 
ステージには小型のカラフルなスピーカーキャビネットが3つ並ベられていた。サウンドチェックはクリーンから個々のエフェクト音をそれぞれと、細かく進められた。「大丈夫じゃない?」しかし野村は納得しない。ついにはスピーカーのキャビネットを開け始め悪戦苦闘の末、ようやく納得のいく音が得られたようだ。「お?(音が)太くなった!」ここまで音に執着するのは、彼が簡素なエフェクターの音に頼らず、ギターとアンプの音に向けた強いこだわりを持っていることを感じさせる。ようやくギターの準備は整い、ドラム・セットでJOEがキックを踏み始める。ドラムが終われば続いて寺沢のベース、そして渡部のキーボードとシーケンサーのチェック。準備完了だ。
 
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1.2 リハーサル
 
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「おはようございます、あけましておめでとうございます!」野村の正月なりのあいさつで、リハーサルが始まる。ボーカル抜きで「Full Force」のプレイからチェックが始まった。一点の曇りも感じられないほどに完璧なプレイをしながらも、ステージを動き回りながら音を確認する寺沢野村。その姿は、「リハーサルとはこうやってやるものだ」というお手本を示しているようにも見えた。曲が終わると三人がそれぞれPAにモニターの指示を告げる。かなり細かい指定をしていたが、自身の音のイメージがまとまっているようで、PAの方も迷いなく納得していたようだ。
 
いよいよバンドとしてのリハーサル開始。「リキ男ちゃ~ん!」野村の呼び声でRickyが登場。最初はやはり様子見という感じで回りの出方を待つようなプレイをしていたが、3曲目あたりからフロントの3人に動きがみられるようになってきた。体も温まってきたようだ。曲のプレイもそこそこに、途中で入るプレゼントの発表や曲間で行う予定のジョークなどの段取りまでも確かめている。さらに「ここで照明を…」「ここでミラーボール」と指示を出す野村。アーティストとしてステージを作り出す姿勢が頼もしい。そしてリハーサルも完了、最後も野村の一言で閉めた。「よろしくお願いします!」
 
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1.3 オープン準備
 
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新春ということもあり、入り口の物販のそばには甘酒の樽まで置かれ、見ているだけで楽しくなってくる。こんな雰囲気も、「どんなステージになるのだろう」と、予想外の展開を期待させる一つの要因となる。楽屋では4人がすっかりくつろぎ、談笑しながらステージの時間を待つ。ステージ前には控室でストリーム放送まで行っている。マイクに向かって話す野村。「あと10分でステージが始まるんだけど…」ステージ直前にここまでやる余裕のあるRIDER CHIPSに死角はない。
 
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hana
 

2.ライブ

 
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フロアはすでにいっぱい、人、人、人で埋め尽くされた。今か今かと彼らを待ち受ける観衆。不意に会場が暗転、そしていよいよRicky以外のメンバー登場。正月のステージらしく、スタートから、野村が「1月1日」のメロディをギターで奏でる。その姿はさながらJimi Hendrixが「星条旗よ永遠なれ」を奏でる姿を彷彿(ほうふつ)させる。そして三度のブレイクの間にRickyが登場、最初はクラッカーで、最後にはバズーカによるド派手な演出。これには観衆も大喜びの歓声を上げる。「Happy New Year! 暴れていこうぜ!!」Rickyが叫ぶといよいよステージの開始だ。
 
オープニングは「パニくり」。ドキドキ感のある妖しいトーナリティに、巧みな遊び心を感じさせるAメロからブリッジ、そして盛り上がり必至のサビへと、フロアのボルテージを一気に上昇させるにはピッタリのキラーナンバーに観衆も大喜びだ。ハードロック界では名の知れたJOE寺沢という強力なリズム隊だけに、リズムの安定感は無論のこと、そのグルーヴ感は抜群。その上でまるで遊び心を見せるかのごとくリラックスしながらも聴かせてくる野村のギター、そしてアピール性抜群のカッコよさを感じさせるRickyのヴォイス。彼のリードからサビのキメをピッタリと合わせてくる観衆。フロアからステージに向けてのばされた腕は前へ後ろへ、そして右へ左と規則的に波を作る。超絶サウンドが繰り広げる中で、歌っている彼が楽しそうに見えるのだから、観衆がそのステージを見て楽しいと思わないはずがない。クールでカッコいいサウンドを展開しながらも、そこに楽しさを忘れない、そんなRIDER CHIPSのステージは展開していく。
 
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「最高のライブにしていこうぜ!今日はまっとうなライブをするぜ!道は逸(そ)れないからな!カッコいいCHIPS見せてやるからな!!」Rickyがそう叫ぶと、女性の「キャー!」という声とともに女声の笑い声があちこちで上がる。そしてMCになれば野村Rickyの漫才のようなトークが会場を笑いと和やかな雰囲気に包む。RIDER CHIPSからすると若いRickyは大きな看板となる存在、その意義を強く推すかのように野村は彼をイジリ倒す。その雰囲気が観衆として見る側からするととても心地よい。ツワモノぞろいのバンドは、メンツだけ見てしまうとどうしてもロックという側面で注目されがちで、筋金入りのロックファンでなければとてもライブには行きづらい印象を与えてしまうかもしれないが、RIDER CHIPSにはそんな雰囲気を払拭する力がある。それは楽曲の中にあるバラエティ性も、このようなメンバー間の関係が生み出すバンドの雰囲気もしかりだ。「カッコいいCHIPS」「アットホームなCHIPS」「ファニーなCHIPS」と、誰もが何か一つ自身の気持ちを引かれるポイントを持っている。
 
6曲目の「The people with no name」で、Rickyのコールから渡部のキーボードソロが始まった直後、突然演奏はブレイクし会場にはなぜか正月の定番曲「春の海」が流れ始めた。「演奏の途中ですが…」野村がいかにも怪しい語り口でMCを語る。新春早々のライブということで、ファンに対してお年玉を送ろうといういきな計らいだ。そんな心憎いまでの演出にも彼らの気配りが感じられた。楽しそうにお年玉袋を振りまくメンバーと、それに歓喜するフロアの観衆。そして続いたこの日唯一のバラード「Touch」、新曲の「BEASTBITE」で歌おうとするRickyに対し野村がなぜか茶々を入れるというユニークな演出。この状況でプレイができているという点でも驚きを隠せないが、単にロックするというストレートな路線以外のRIDER CHIPSの表情が垣間見られ非常に面白い。
 
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「さあ、ここからはショータイムだ!!」Rickyのコールを機に、いよいよステージは終盤に向かう。昨年末にリリースされた「Blessed Wind」を起点に、ドライブ感たっぷりのナンバーが聴くものの気持ちを目いっぱい高揚させていく。センターに立つRickyは、ヴィジュアル系のルックスとは対照的に、親しみを感じるのも大きな魅力の一つだ。そんな彼が象徴するかのように、RIDER CHIPSの楽曲、サウンドは一つに絞れない魅力にあふれている。ポップさ、キャッチ―な雰囲気を感じる、渡部の作り出すハーモニーの中で、Rickyのクールなヴォイスは時に妖しく、時にパワフルに聴くものをコントロールしていく。そしてロックならではの重量感がありながらも、躍動感あふれるグルーヴを生み出す寺沢、JOEのリズム。そしてロックならではのワイルド感とテクニカルで遊び心あふれるギターワークが交互に現れる、楽しさいっぱいの野村のギター。
 
楽曲の完成度からも、どれもサビでは盛り上がり必至のナンバーばかりで観衆は熱くならずにはいられなかった。観衆はまるでRickyの虜(とりこ)、彼の一挙一動にしっかりと反応し、体を揺らしながらさらに大きな声を上げていく。「どこまでも行っちまおうか!」「Yeah!」「行っちまおうか!」「Yeah!」「All right!どこまでも行っちまいなさい!!」強烈なRickと観衆とのコール&レスポンスに続いていよいよエンディングへ。ラストナンバーは「果てしない炎の中へ」。怒涛の盛り上がりを見せたクライマックスでステージは締めくくられた。
 
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RIDER CHIPS!RIDER CHIPS!」アンコールをせがみ、彼らを呼ぶ切なる声がフロアから続いた。もっと楽しいひと時を過ごしたい、その一心で続くコール。そしてその言葉に答え登場する野村達。アンプのそばにおいていた「シアワセのガマオヤビン」をみなに紹介すると、先程までの白熱した空気は一転しリラックスした和やかな雰囲気に。そしてアンコールへ。RIDER CHIPSのステージでは恒例の、ステージとフロアで「BAN BAN!」というコールを楽しむ「BAN BANタイム」とで気持ちを盛り上げる「Bang! Bang! Revolution」から新年のライブに相応しいまさに大入りのアンコールタイムへ。途中プレゼントタイムをはさんだり、新年への意気込みを語ったあとは「タオルを!?」「FULLFORCE(振るフォース)!」とばかりに、これもRIDER CHIPSのステージでは定番の観衆によるタオル回しが印象的な「FULLFORCE」からラストナンバーの「Sitting On Dynamite」へと、2度のアンコールタイムによる怒涛のエンディングを飾った。
 
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3.ライブ後

 
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ライブ後の彼らは、リラックスして余韻に浸っているような雰囲気だった。それはミュージシャンとして数々の修羅場をくぐってきたという貫禄という風格、また一方では新たな年を迎え次のステージに対して闘志を燃やしている、決して油断のない気持ちの表れとも見えた。
 
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◆セットリスト:
M01. パニくり
M02. Flashback
M03. ELEMENTS
M04. Goldmine
M05. 熱風Rider
M06. The people with no name
M07. Touch
M08. BEAST BITE
M09. Blessed Wind
M10. Strength of the earth
M11. Ride a firstway
M12. 果てしない炎の中へ
【Encore】
M13. Bang! Bang! Revolution
M14. 0⇔100MAN
【2nd Encore】
M15. FULLFORCE
M16. Sitting On Dynamite
 
◆公式サイト
http://www.riderchips.jp/

 
hana
 
RIDER CHIPSの魅力は一つに絞れない。日本HR/HM界でその名をとどろかせている寺沢、JOE、ハーモニーとインパクトでサウンドに幅を持たせる渡部、そのヴォーカリストとしての実力とヴィジュアル系的ルックス、パフォーマンスをアピールするRicky、そしてサウンド、テクニックともに聴かせどころ、歌心たっぷりの野村。それぞれの個性が絶妙にマッチした抜群のプレイと、観衆との境界を作らない親しみやすさ。誰もがカッコいいと思い、かつウキウキした気持ちになるステージ。ライブのの楽しさを知り尽くした彼らだからこそできるイベントといえる。
 
この2月には、この日のライブでもプレイされた新曲「BEASTBITE」がシングルとしていよいよリリースされる。新たなキャラクター、仮面ライダービーストのテーマとなる曲だ。ロックならではのドライブ感、パワー感にあふれたカッコよさと、仮面ライダーというキャラクターにマッチした、幼い子供にも受け入れられるポップなテイストが織り込まれたナンバーは、この日はまだできたばかりだったが、それでも観衆を熱狂させるほどの魅力にあふれていた。年も明け、ますますその活動を拡大していこうと強い意気込みを見せたRIDER CHIPS。仮面ライダービーストのクライマックスにおける決まり文句である「メインディッシュ」を、次に彼らが想像以上のものとしてみんなに披露してくれる日が待ち遠しい。
 

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RIDER CHIPS New Single「BEASTBITE」(Single, CD+DVD)
AVCA-62210/1,890円(税込)
2013年02月27日リリース

 

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RIDER CHIPS New Single「BEASTBITE」(Single, Maxi)
AVCA-62211/1,260円(税込)
2013年02月27日リリース

 

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