特集

TEXT:桂伸也 PHOTO:ヨコマキミヨ

国内のロックシーンの最先端を駆け抜け、輝き続けるフロンティアたちの横顔に迫るインタビュー特集「ROCK ATTENTION」。通算18回目は、その確固たるスタイルを貫き、今年結成10周年を迎えた、ロックンロールの雄THE MACKSHOWの登場だ。
 
ロックという言葉は既にサウンドというイメージを飛び越えて、ファッションのスタイルや思想、様々な文化にまで影響するほどにその言葉が人々の生活に関わっている。サウンドというイメージだけで捉えても、そのスタイルや様式の違いなどはまさに天文学的な数字に膨れ上がっている。しかし、その原点にあるものは、ズバリ“ロックンロール”と呼ばれるスタイルの、まさに創世記のロックスタイルであることは、誰も疑う余地もない。そんな素朴且つ生々しいエネルギーを継承する彼らの、今尚衰えない活動意欲とは何か?結成10周年の節目にリリースされるアルバム『GREASY!』の内容と共に、彼らが音に掛ける思いに迫ってみよう。

 

 

THE MACKSHOW
メンバーはKOZZY MACK(Guitar &Vocal)、TOMMY MACK(Bass &Vocal)、BIKE BOY(Drums &Vocal)。
共に広島市出身・THE COLTS のメンバーである岩川浩二(KOZZY MACK)トミー神田(TOMMY MACK)を中心に昭和七十七年(2002年)結成。まさに絶滅寸前・壊滅状態であった日本ロックンロール界に、覆面グループとして突如彗星のごとく現れ、全国のグッドオールド・ボーイズ?コアなロックンローラーから、ヤングなロックンロール・ファンまで震擦させる。持ち前のトウスティン・ビートにグッドメロディは初期ビートルズやキャロルがそうだったように、愚直なまでに正直で、どこまでもシンプル。踊れて笑えて、泣けて歌えてグっと来る、シンガロング・ロックンロール。王道を更に発展させた活動を精力的に進行中、昭和八十七年最新型「俺達の」ロックンロール・バンド!

 
hana
 

1.「聴こえないところに物事の本質がある」形で表わせない、良いと感じられるものが表現できればと思っています。

 

–今回のニューアルバムのタイトル「GREASY!」の名前の由来はどのようなものでしょうか?

 
KOZZY MACK(以下、KM):「油っぽい」「油っこい」とかいった感じの表現で、アメリカに行ったときに、コーディネーターの人が向こうのスタッフにTHE MACKSHOWの音を説明するときに“GREASY”という言葉を使用しているのを聞いたんですよ。「え?それどういう意味」って聞き返したら、「君達の音はこんな感じとイメージしたから」みたいな説明を聞いて、それはピッタリだし、言葉が気に入ったからこの名前を付けてみたんです。
 

—何かこう、ネチャッ!とした感じですかね(笑)

 
KM:うん、まあそういうのもあるけど(笑)いろんな意味が含まれているんですよね。その人曰く「高速道路のパーキングにある焼きそばみたいに、『まずいけど食っちゃう』みたいな」って(笑)
 
BIKE BOY(以下、BB):みんな好きでしょ?あれね(笑)
 

—では、それは元の「こういうものを作ろう」というポリシーに沿ったものというよりは、アルバム自体やサウンドの雰囲気を表現したタイトルとして付けられた名前なんですね。

 
KM:そうですね。「こういうものを作ろう」っていうところから決めたものじゃなくて、雰囲気を見ながら固めていけばいいかな、と思って付けたんです。
 

—元々今回のアルバムに関して作るときに「こういうものを作りたい」という思いは、最初にありましたか?

 
KM:まず根本にあったのは、「楽しいアルバムにしたい」ということ。ロックンロールって元来楽しいものだから、とにかく楽しいものにしたいというのはありましたね。まあ、俺達の乏しいイメージでカリフォルニア=空が青い、ハッピー、サンタモニカって…(笑)っていう感じをまずは思い浮かべて。俺達も10年やってきてファンの皆もいてずっと活動してきたんだけど、ちょうど10周年で一区切り、ここが区切りでもスタートでもいいんだけど何か今迄と違うことをしたかったっていうのが一つ。それと、ちょうど震災から1年過ぎて全国の沈んだ部分に、底抜けに陽気な感じを聴かせたいっていう思いがありました。俺達がハッピーになることで、同時に皆が楽しんでもらえる様なものにしたかったんです。まあ、そういうのもあって、レコーディングの模様をUSTREAMで流したりもしました。まあ、(実際にレコーディングしていたっていうのを)信じていないっていう人が半分くらいはいたみたいだけど(笑)
 

—そういう意味では、具体的な音の印象というよりも、とにかく「明るいものにしよう」とか、意識的な部分を明確にした上で、このアルバムが出来た感じですね。

 
KM:そうです。だから、今回用意した曲の中には、新しく作った曲もあるし、随分初期に作った曲もある。それを向こう(アメリカ)で録ったらどうなるんだろう?っていうところを狙ってみたんです。もうアルバムも8~9枚作っているから、大まかな曲の流れの作り方っていうのは分かるんだけど、これをその明るいカリフォルニアに行って、その名門のスタジオで録ったらどんな音になるんだ?どんな感じになるだろう?っていう楽しみな部分にクローズアップして作りました。(TOMMY MACKに向いて)やったよな?
 
TOMMY MACK(以下、TM):やったね、うん、やった(笑)
 

—今回アメリカで録られたということと、名門『サンセット・サウンド』で録られたということについては、何か特別な思いがあったのでしょうか?

 
KM:まずL.A.に行ってレコーディングをしたいっていうことでいろいろ調べて、俺達みたいな音楽で、皆が一緒にボン!と録れるような部屋があるスタジオっていったら、『サンセット・サウンドが一番いいんじゃないか?』っていうことを聞いたのがまず発端でした。まあ俺達にとって見れば「敷居が高いスタジオだな」って思ったけどね(笑)それこそROLLING STONES、Led Zepperinなんてそうそうたる面子の実績が書いてあったし、それこそ名だたる名盤が誕生した所でもあり、ゴールドディスクなんかもロビーにバーン!って飾ってある。「えらいところに来てしもうたなぁ」と思いつつも(笑)、「俺達もロックンロールの歴史にある1ページの、端の番外の、この辺にでも載りたい!」っていう思いがあって、ここに決めました。まあ今時のレコーディングって、スタジオだけじゃなくて、コンピュータなんかを使って便利にやっているからいろんなところで出来ますよね。それにCDを一枚にかかる工数や経費も限られてきている中で、みんないいものを作ろうと思っているのはもちろん当たり前だけど、その中でもインディーズでやっている俺達が、アメリカに行くことでロックンロールっていうをどれだけいいものに表現できるのかっていうのは楽しみでもあったし、一つの大きなチャレンジでした。
 

—特に“アメリカ”という部分にこだわった理由ってありますか?日本では実現できないものとか…

 
KM:別に“行かなきゃいけない”っていう確固とした理由はなかったです、アメリカじゃなくても、日本でも、広島でもいい(笑)。機材も、スタジオも自前のものがあるしね。下手したら日本の方が、機材が良い場合もあるし(笑)。でも、やっぱりアメリカにしかない空気、『サンセット・サウンド』にしかない空気っていうのを取り入れたいと思っていました。例えばThe Beatlesで有名なイギリスのアビー・ロードスタジオなんかも好きで行きたかったけど、今回はいろんな意味を総合して、アメリカ、ロサンゼルスの『サンセット・スタジオ』がいいと思ったんです。僕は演奏と合わせて歌も歌うから、そういう設備も含めてやっぱり僕らが持っている音楽のルーツっていうのが、アメリカにあると思っているんです。だからアメリカで発祥したものが、いろんなフィルターを通して継承している中にある自分が、その生まれたところに行ってやるということが凄くエキサイティングなんですよ。
 

—では、その理由は何か具体的に見える音像以上のものをアルバムに作りたくて、ということですかね?

 
KM:そうですね。音楽ってそういうところに実は多きものがあると思いません?聴こえているもの以外、ノイズも混ざっている音や、あるいは分析も出来ないようなマジックな音なんかも存在していて、それはいくら研究しても分からないんだけど、そこに音楽が持っている力が存在していると思っているから、そういうものが大きい部分を占めるものを作りたいと思ったんです。トレンドになっているコンピュータを使わないで、昔ながらのテープを使用するっていう手法をここ何年かやっているけど、そこに入るノイズとか、無菌状態に出来ないところの良さ、みたいなものを昔こういう音楽を聴いていた頃に感じていたから、そういうところが欲しいのかなって。具体的な形は見えないけど、「このレコードで聴いていたときに感じていたのは、ここだったのか!?」みたいな、ね。違うんですよ。聴くソフト、レコードやCDやデータで、音が違うっていう理由が、最近ようやくどんな違いなのかを理解してきたから、自分の求める音として、そうやって聞いてきたような音を作って聴かせられればいいなっていうところを突き詰めたいと思って、THE MACKSHOWではそんなアルバムのレコーディングを行ってきたわけなんです。
更に、それだけで表現できないもの、モチベーションや、気持ち的なところや、音に入り込むっていう部分、等があります。それは表現できないとなったときに、「それじゃ、どうしたらいい?」っていうと、もう本当にその場に行ってやってみるしかないよ!っていうのが、飲み話で出たのがアメリカに行くことになった発端でしたね(笑)まあ、日本でレコーディングするのと何ら変わらないし、お金の話をするのも何ですが今はドルが安いんで(笑)「あれ?それだったら、日本でレコーディングするより安いじゃん!?」って。あとは10年皆で頑張ったから、「行こうや!」って(笑)アメリカに行って、楽しもう!って感じもありました。
 

—結果として、逆に“これはアメリカならではじゃないか!?”っていうものを発見したり、体験したことってありますか?

 
BB:ドラムは生楽器だからそうなんだけど、音がまるで違いますね。あんなにいい音がしたのは初めて。湿度や空気、スタジオの鳴りとか理由はいろいろあると思うけど、凄くよく響きました。あれだけのいい音を聴いたのは人生でもナンバー1の出来事でしたね。チューニングを変えても日本じゃあんな風には鳴らなくて、ただ皮を張っているだけの音になるから、どんなにいい楽器でも、あんな音にはならないでしょう。今迄は一応日本で「絶品です!」っていわれているようなものを手に入れていただけだったから、その音しか知らなくてその音を「すっげぇいい音だな…」って思っていたんですけど、それが向こうで叩くと更に「何じゃこりゃぁ!」みたいな、凄くいい音が出るんです。アメリカに行かなかったら、知らずに終わったかもしれません、あんなにいい音がするって。
 

—それは現地ならではの体験ですね。TOMMY MACKさんの方はいかがでしょうか?

 
TM:まあ、“発見”っていうのは特になかったですけど(笑)。やっぱり空気感ですかね。単なる自己満足なのかもしれないけど、そこでやるっていうことで録った音とかは良くて、自分達の思いをよく詰め込めた感じはします。
 
KM:それが何か?っていうと分からないけどね。多分ウチのオカンに聴き比べさせたら“同じ”っていうだろうね(笑)。
 
TM:でも例えばベースラインをパッと思い浮かべるにしても、その場にいたからこそ生まれた、みたいなものはあったと思います。「こういう音だから、プレイはこんな感じで」みたいな雰囲気はありました。あまり深くは考えていないですけどね(笑)でもドラムの音が良いから合わせ易いとか、それがまた皆に影響したりね。みんな耳がいいから、その相乗効果はあったと思います。
 
KM:例えばアメリカに行ったときには珍しいくらいに雨だったんだけど、それでもアメリカに行っている、ってことで凄くウキウキしていたんですよ。日本だったら「渋滞で雨まで降って…」ってイライラするだろうね(笑)何か気分的にリラックスしていて、例えば車のワイパーが動いたり、ラジオのスイッチが入らなかったりするっていうことすら楽しいんですよ。日本でこんなことありえないよね、ラジオのスイッチが入らなくて楽しいなんて(笑)でもそれが楽しくて、曲が出来ちゃった、みたいな。何かあるごとに「うぉ~いいねぇ~」って、別に良いことが起こったわけでもないのに楽しくなって、それで曲が出来ました。
 

—アルバム用の曲作りは、全てアメリカで行われたのですか?

 
KM:いや、12~3曲ほど作ったあとに俺だけ先にアメリカに行ってレコーディングの準備をしていたんだけど、結局その8割を使う格好になりました。向こうで出来た曲があって、準備の段階で“これもいいな”って思って作った曲や、スタジオでセッションをしながら作った曲もある。先行で出したシングル曲のカップリングの「きこえないラブ・ソング」っていうのがそれなんです。「きこえないラブ・ソング」っていうのは、先程のレコードの話にも繋がるところがあると思うんだけど、「聴こえないところに物事の本質がある」ということを示しています。“聴こえないもの”を「これだ!」って言っても説得力ないけどね(笑)曲中には直接そういうことは歌っていないんだけど、聴こえないはずのところに鳴るレコードの溝の音とか、テープの音みたいなものは、今のデジタルデータであれば、そこは0か1か、音が鳴るか鳴らないかだから、音をなしには出来るけど、レコードやテープはシューっていうノイズが入りますよね。聴こえないけど入っていたっていうのが、調べればあるんだけど、実はそこに雰囲気のいいものが含まれていると思うから、それを大切にしたいと思うんですよ。だから、向こうで出来た「きこえないラブ・ソング」は大切に思いながらレコーディングしてきたんですよ。
 

—そういう意味では、曲作りの比率は日本と向こうで8:2ということだけど、実際の意味合いとしてはその2割以上の比率を持っているという感じでしょうか?

 
KM:そうですね。その曲が持っている意味合いとしては大きいと思っています。
 

—カバー曲として「JUSTINE!」「BACK IN THE USA」を選んだ理由は何かありますでしょうか?

 
KM:「BACK IN THE USA」は、俺の大好きなロックンローラーであるChuck Berryの名曲ですが、「世界中を回ってアメリカに帰ってきたぞ!」っていう感じの歌です。それを俺達は「アメリカに来たぜ!」っていう気持ちと、俺達のルーツがアメリカだっていう、期待を帯びた感じを入れたくて選びました。50年代のロックってよく出来ているんですよ。音楽の要素の、全てのものが含まれていて、完成されているといっても過言じゃないくらい。この曲もいろんな要素を含んでいて、これ1曲でサウンドチェックも全て出来るし、全部の音が出せるし、ピアノから、ギター、ベースの音まで上から下まで全部使われているし、ドラムとのバランスとか、全部含まれているんです。だからセッションがてらそれをやって、雰囲気を作って、という意味で、それをやったんです。
「JUSTINE!」は、R&Bの初期の頃の曲なんだけど、ロックっていうものが世界的地位を持つ前の音で、その頃のロックって音も悪いし、劣悪な状況で黒人がやっていたんです。だからこそのパワーを持っている曲でもある。マイクは音が割れていて、パワーだけで最後まで音を持っていくみたいな。だから、「50年代のマイクを使ってみよう」って、出してきて使って、実際プレイしたときにそういうパワーを感じたから、これはもう「JUSTINE!」しかないな、って思いまして。
 

—なるほど。では、もう直感的なイメージで「これはもう入れるしかない」と感じたわけですか?

 
KM:そう。それをやってバチっとアルバムにハマって…ハマったというか、はめたんですけどね(笑)でも持っている雰囲気っていうのは皆に伝わるし、その場の空気とアメリカに来て重要な曲をやっているという重要な役割を担っていると自分達で思ったから、その2曲の良さはいい感じで出ましたね。まあやっぱりウチのオカンが聴いても、別にまた“同じ”って言うかもしれませんが(笑)
 
BB:オカンが2回出てきましたね(笑)
 
KM:例えば俺達のやっている音楽っていうのをあまり聴いたことがない人が、「何だろう?」「どういう音楽なんだろう?」って思いながら俺達の音を聴いて、結果的に「シンプルで楽しめました!」みたいな感じで楽しんでもらえたら嬉しいけど、そういう中で機材がどうしたとか、アメリカのこういうスタジオがどうとかって、実はあまり関係ないんですよね。出たモノ勝負というか。何回か聴いて「おっ?いいじゃん!?」っていうのは、多分何も説明できないようなものだと思います。胸を打つものとか、印象に残るものとか。そこに賭けているんです。だから今回も、最初に立てた目標があったとしたら、その「胸を打つもの」「印象に残るもの」というのがポイントで、そこに向かうやり方としてアメリカとか機材の話があって、それ自体が目標ではないということです。それがまた、形が見えないだけに、人から見たら無駄遣いにしか見えないかもしれないけど(笑)もっとレコーディングなんてノードパソコンで出来ちゃうくらいだから安く出来るでしょ?それをわざわざアメリカに行って…
 
BB:遊びにいったんだろ?とか思われますよね(笑)
 
KM:まあ現実を考えればそういう考えも自然なんだけど、でもだからこそ音楽が細ってCDも売れなくなってしまっている一つの原因だと思っているんです。…かといって打開策は出てこないんですけど(笑)でも今音楽を聴いている人って本当に音楽を好きな人で、「まあ、どっちでもいいけど、聴いてみるか?」みたいなあいまいに音楽を聴いている人が減っているだけで、本当に音楽が好きで聴いている奴って減ってないと思うし、そこに“何故わざわざ…?”と思われながらもお金を出して買ってくれるリスナーは居るんです。そういう人が音楽を好きでいられるような、音楽に希望を持てるような音が何十年も前からそういうやり方で存在していたっていうのは、凄く当然のことだと自分では思っているし、それを信じてこれを続けています。やる価値があるものだと思うんですよ。楽しいし、刺激的だし。結果は大して変わらないものかもしれないけど、でもきっと残るのはそういう部分じゃないかな、って思います。
 

—ではそのいろんな思いを込めた結果出来上がったアルバムについて、その聴き所はどんなポイントでしょうか?

 
KM:先程少しお話ししたところですが、「聴こえないところ」ですかね、なんて(笑)さっきの話と重複するけど、例えば途中でノイズが入ったり、スティックを置いた音が入ったりとか、そのままCDにのせているんです。テープって無音状態のところでも厳密にノイズが入るので今はそういうのをきれいにするけど、今回はきれいにせず、そういう部分を含めた楽しみ方、レコードに近いような楽しみ方が出来る、っていうのを試みているんです。やけに整ったものっていうものも多いけど、そうじゃないものも沢山ありますから。それはそれとして、まあ僕達は、見た目で損していますからね(笑)「楽しいのかな」「分かり易いのかな?」って、どんな風に見られているのやら…
 
TM:「怖いんじゃないか」って思われたりしてね(笑)
 
KM:「きっと楽しいんじゃないか」っていうのが伝わるようにはなってきてると思うんですけどね。
 

2.「この音は、思ったより重要なポイントじゃないか?」THE MACKSHOWを始めた後に気が付きましたね。

 

—アルバムのリリースツアーのスケジュールが出始めていますが、かなりの数を回りますね。これに対する意気込みっていかがでしょうか?

 
TM:体調管理を注意することですかね(笑)
 
KM:やっぱりね、体調管理(笑)こいつ(BIKE BOY)は、もう既にツアー始まる前から ギックリ腰やっていますから(笑)
 
BB:(笑)でも、昔はこれよりもっとやっていますからね。年間150~170本とか。
 
KM:まあそれもかなりやれる範囲で入れたんですけど、やっぱり生で見られる良さって、CDとは違うものがあると思いますから、そこをいろんな地方に行って直接やりたい、それには結局自分達が行くしかないので、これだけのツアーになっているわけで。とにかく「やるから、見に来い!」と(笑)年々キツくはなっていますけどね(笑)ライブは見て欲しいです。
 
TM:でもやっぱり基本はライブバンドなんでね。ライブを見て欲しいですね。
 
KM:今はパソコンで何でもやる時代なんで、本当のライブを見て聴くっていうのがストレス解消にもなるし、楽しいですよ。パソコンで見ているだけでは実現できないところもライブではあるし。音楽って直接見るとやっぱり違うものがあると思うんですよね。見て楽しいものとしてスポーツとかいろいろあるけど、音楽はその代表格みたいなものじゃないでしょうか?是非見に来て欲しいですね。まあ、見た目がこうだっていうのはあるけど(笑)全然楽しい感じでやっていますから。
 

—例えばKOZZY MACKさんやTOMMY MACKさんにはTHE COLTS等、他の活動もある中で、THE MACKSHOWという活動を10年続けられているわけですが、この活動はそれぞれの生き方の中でどのような位置づけとなっているのでしょうか?

 
KM:この音楽は、今自分がいろいろやっている好きな音楽の中の、ごく一部の、ほんのわずかなところでもあるけど、それが自分のスタート地点、言い換えれば根っこの部分でもあるんです。10年前にそのルーツを訊ねるべくやってみようということになって、やったわけですが、やった時点で「あれ?ここは思ったより重要なポイントじゃないか?」って思いました。最初にこのバンドを始めたときは、こんなに10年もスポットを当てるつもりなんかなくて、やっていることのごく一部をピックアップしようという、ほんの些細なことがきっかけでしたが、それが結局「実は自分の中で大きな部分だった、だからやるべきなんじゃないか」って。それでもう少しやってみるかと思っていたら10年過ぎちゃった、って感じなんです。
 

—自然な感じなんですね。TOMMY MACKさんはいかがでしょうか?

 
TM:まあ同じようなところですが、自分のルーツ的なところというか、最初に踏み込んじゃったところなので、それをやったことでいろんな音楽を知ったわけですが、このTHE MACKSHOWをやり始めたときに「あっ、これは忘れていた!」っていうような思いが芽生えましたね。それで一つ遣り甲斐のあるものが出来たって思いながら10年が過ぎちゃいましたね。(笑)だから、いい感じで来ていると思うんです。忘れていた大事なものを思い出しながら、っていうか。例えば「ここだけは譲れない」っていう壁を立ててそこを頑なに守り続けるというより、もっと気楽な感じでやっていたものが、いつの間にか外せなくなってしまった、という感じ。
 

—なるほど。BIKE BOYさんはいかがでしょうか?

 
BB:僕は元々TOMMY MACKKOZZY MACKのローディーをやっていて、実は音楽自体はそんなに知らないんです。キャロルビートルズくらいしか聴いたことなくて。でも、まあその辺なら少し出来るかな?ってやらせてもらって。2人とはやってきたレベルが違いますから、夢中でしがみついて気づいたら10年経っていたような感じです。実際には3年くらいしか経っていないようにしか感じていないけど。始めた頃を思い出すと、本当に10年も過ぎたとは思えないんですよね。
 

—では、振り返るなんてどころではなく、現在進行形?

 
BB:いやもう全然、現在進行形ですよ(笑)。10年だから何かしなきゃ、なんていうのは感じないですね。アメリカに行ったことに10年っていうのをあわせて考えると、ようやく10年過ぎたって感じました(笑)初めてアメリカに行って、右も左も分からなくて、コーラ一つ買えなかったですからね(笑)でもまだ見たことない世界に触れたというのもあるので、世界中また行ってみたいと思いました。お金があれば(笑)
 

—逆にTHE MACKSHOWがやっている音楽が、現在の音楽シーンの中で、どういう位置づけのものだと思いますか?

 
KM:伝統芸能じゃないですけど、それを勝手に継承しているのかなって思っています。別に頼まれたわけじゃないですけど(笑)ロックンロールの初期のスタイルを伝えていっています。人間がドンドン進化して今のスタイルになっている上で、今の音楽がこうして存在しているわけだけど、最初に感じた良さというものを持ち続けていたい、まだ感じたことのない人に、同じように感じてもらいたいっていうの思いがあります。
そんな中で音楽の良さっていうものを凄くシンプルに感じられるものとしてロックンロールがあると思うんですよ。そこから派生していろんな音楽があるんだけど、根っこの部分にはロックンロールがあるんです。音楽の、人間でいえば15~6歳くらいの青春時代かと思いますが、音楽でいえばそれはビートルズとか50,60年代の音楽でしょうかね。その良さみたいなものを伝えていきたい、感じさせたいんです。
まあ、別にこんな音楽を通らないでも音楽好きな奴は一杯いますよね?テクノとかヒップホップとか。でもそれは、ルーツの上に成り立っているというか。そこに使命感もあるし…使命感だけじゃやっていけないし、親に頼まれたわけじゃないけど、まあ、これに対してのうまみや良さってとてもよく知っていると思うし、これが好きなんですよね。
 

—知っているからこそ、自分達がやっていかなきゃならないと?

 
KM:そう。そこで限定した中でもいろいろあって、それはまだ僕達も体験している途中、そんな中で、また新たな疑問もあるし、「こうならないか?」「あれどうか?」っていうのもあって、続けているところですね。厳密に言えば、世の中的に本当に必要なのかどうかは分からないですが(笑)
 

—では、最後に読者に向けてメッセージを御願い出来ればと思います。特に、30~50歳代とその子供、という読者層のターゲットがあるのですが、それを踏まえてお言葉をいただければと思います。

 
KM:THE MACKSHOWのライブって、親子で来るお客が多い。40~50台の、俺達と同世代の人が、「同じくらいの年齢でやっているんだ!」って見に来てくれる人が大勢ね。そういう人たちが子供と「一緒に行こうよ!」って。他の音楽は買わないけど、THE MACKSHOWは買ってくれるっていう人がいて、とんでもない車に乗ってくる人もいて、そういうお父さん、お母さん連中は、割と若い頃に「やっちゃってた」人が多いです(笑)でも、そういう方々は、親子でこういうところに来ることをとても大事にしていますね。その架け橋に自分達がなれるのであれば、俺達はとても嬉しい。ライブをやっているとフロアの両端はいつも“子供ゾーン”みたいになってて(笑)お父さんが楽しそうにしていれば子供も楽しいし、そういうのをいつも見ていて、こっちも楽しいし。それがいいと思うんです。
何もルールがないのに、おのずと子供がそういうポジションに来て、安全に楽しめるような空気になるっていうのがね。音楽っていうのは、喋ることの次くらいにシンプルなコミュニケーションだと思うし、ライブは本当に親子で来る人が多いから、是非楽しみに来て見てください。まあ、こういう見た目の格好の奴らを親子で、って想像がつかないかもしれないけど(笑)本当に親子で楽しんでいる人が多いから、きっと楽しいですよ。ちゃんと子供用に安全な席を作りますから!(笑)
 
hana
 
KOZZY MACKも語ったが、50~60年代のサウンドには、全てがあるというポイント、これは彼らのサウンドにも言えることだろう。楽しさ、明るさ、ポップ感、激しさ、そして、音楽であること。サッと聞き流しただけでは気が付くことのない、音を楽しむ要素が、彼らのサウンドにはふんだんに含まれている。その秘密はもちろん、素朴な手順に従って、手間隙を掛けて大事に作ったというポイントに他ならないが、決して手軽に出来る手法に対する反抗等というものではなく、あくまで彼らが一ミュージシャンとして信じるものに対して貫いた意志の表れと見ることが出来るだろう。リスナー個々に好みの音や性質はあるかもしれないが、是非一度、彼らのサウンドに触れてみて欲しい。単に“楽しさ”を追及したその音の中に、思いもよらなかった発見を多く見出せるかもしれない。「聞こえない部分に真実がある」そのサウンドの中に、その意味を示すヒントは確かに存在する。より良い音を楽しむ第一段階として、彼らのサウンドをきっかけとして原点を探求してみてはいかがだろうか。

Photo
「GREASY!」初回盤(CD+DVD)
発売日:昭和八十七年九月十九日(2012/09/19)
FAMC-087/3,150円(税込)
CD収録曲:
1.REAL DEAL ROCK AND ROLL
2.LET ME ROLL
3.GTライダー
4.JUSTINE!
5.サニー・カリフォルニア
6.きこえないラヴ・ソング
7.今夜はビート・クレイジー
8.NINE LIVES
9.BACK IN THE USA
10.ヘイ!リトル・リッチ・ガール
11,1T’S SO HEAVY
12.無言電話
DVD収録内容:
初回限定盤特典DVD(29分)
「THE MACKSHOW IN CALIFORNIA」
I.LET ME ROLL(PV)
 


 

Photo
「GREASY!」通常盤(CD)
発売日:昭和八十七年九月十九日(2012/09/19)
FAMC-088/2,835円(税込)
※初回盤未収録音源2曲収録
1.REAL DEAL ROCK AND ROLL
2.LET ME ROLL
3.GTライダー
4.JUSTINE!
5.サニー・カリフォルニア
6.きこえないラヴ・ソング
7.今夜はビート・クレイジー
8.NINE LIVES
9.BACK IN THE USA
10.THIS IS A SONG FOR TEDDY BOY
11.ヘイ!リトル・リッチ・ガール
12,1T’S SO HEAVY
13.無言電話
14.グリース・ミー(California jam ver.)

 

【ライブ情報】
『全国リーゼント化計画発令中!ザ・マックショウ「GREASY!」発売記念
10周年スペシャル・エキサイティング・コンサート’87』

昭和八十七年十月六日 青森サンシャイン
昭和八十七年十月七日 仙台RIPPLE
昭和八十七年十月八日 栃木・宇都宮ポップガレージ
昭和八十七年十月十三日 熊本ジャンゴ
昭和八十七年十月十四日 福岡CB
昭和八十七年十月二十日 愛媛・宇和島BOOBY
昭和八十七年十月二十一日 香川・雷神
昭和八十七年十月二十七日 和歌山ラグタイム
昭和八十七年十月ニ十八日 岐阜・柳ヶ瀬アンツ
昭和八十七年十一月二目 大阪・樟葉Px9cafe
昭和八十七年十一月三日 兵庫・神戸VARIT
昭和八十七年十一月四日 奈良ネバーランド
昭和八十七年十一月十日 京都ミューズ
昭和八十七年十一月十一日 高知BAY5SQUARE
昭和八十七年十一月十七日 滋賀・近江八幡COCOZA
昭和八十七年十一月十八日 長野ジャンクボックス
昭和八十七年十一月二十三日 福島AREA559
昭和八十七年十一月二十四日 盛岡CLUB CHANGE WAVE
昭和八十七年十一月二十五日 北海道・札幌BESSIE HALL

 

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THE MACKSHOWのサインを、抽選で1名様にプレゼント!
 
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