特集

BEEAST太鼓判シリーズ第9弾アーティスト『Cyntia』

TEXT:桂伸也

本誌BEEASTが自信を持ってプッシュする太鼓判アーティストの特集!第9弾はCyntiaをお届けします!
近年ロックファン、ヘヴィ・メタルファンの中でも話題を巻き起こし、徐々にその勢力を拡大しているガールズ・メタル・ブーム。その中でもCyntiaは、新たなリーダー候補として今年4月にデビューし、その動向に大きな注目を集められています。

単に「女の子がヘヴィ・メタルをプレイしている」という時代に終止符を打ち、その華麗なルックスを始め女性ならではの感性を生かした特色、または性別すら超えたアーティスティックなセンスを遺憾なく発揮し、ヘヴィ・メタルというジャンルに新風を巻き起こしているガールズ・メタル・グループ。その中でもCyntiaは、YUI(Guitar)、KANOKO(Drums)を中心に、ミュージシャンとしての経験は浅いものの、実力、魅力抜群のSAKI(Vocal)、AYANO(Keyboards)という個性的なメンバーが集い、メタルのアグレッシヴさを叩き出しながらも、キラキラと輝くような華やかさ、美しさを兼ね揃えたサウンドが、要注目のバンドです。
この9月に待望のファースト・アルバム「Endless World」をリリースし、本格的なステージ活動に向けて気持ちを高揚させているCyntia。今回はメンバーの4人に登場を乞い、新たなステップとなるこのアルバム、ステージへの思い、そして明日のスターを目指すガールズ・ミュージシャンに対するアドバイスを頂くべく、話を伺いました。
 

 

 

 
hana
 

1.例えばメタルを知らない人でも、このアルバムを聴いていただいたことで興味を持ってもらうきっかけになれば。

 

—ようやく待望のアルバムがリリースされますが、現在の心境はいかがでしょうか?

 
KANOKO:「ようやく発売できた」という感じですね。4月にリリースしたシングルを録っていたときから、このアルバム用の曲作りも進めていて、やはり長かったですし。
 

—今回のアルバムのタイトル「Endless World」の由来ってどのようなものでしょうか?

 
KANOKO:リードトラックの「The Endless World」から取った名前です。結構バラエティに富んだ曲をそろえたんですけど、これが一番“歌モノメタル”というか、キャッチーな部分を表していて、やはりこの11曲の中ではリード・トラックと考えまして。
 
YUI:Cyntiaってガールズ・メタル・バンドじゃないですか?例えばメタルを知らない、興味がない人でも、このアルバムを聴いていただいたときに「あっ、メタルのバンドなんだ。ふ~ん、メタルってカッコイイな」っていう興味を持ってもらうきっかけになれるような曲でもあると思うので。
 

—なるほど。これがCyntiaとしては得意なパターンというか(笑)常套手段、持ち味なのでしょうかね。タイトルに何曲か漢字が入っているっていうのがちょっと気になるのですが、何か狙いの様なものがあるのでしょうか?

 
SAKI:それは特にないですね、たまたまというか。狙っているというか、2曲ほど私は作詞に関わっているんですが、一つ目の「黎明」は3人共作で歌詞を書いていて、出来上がった歌詞の中にも“黎明”っていうキーワードがあって、「タイトルにするならこれじゃない?」っていうところに落ち着きました。「色葬和音」については、AYANOの作曲で、タイトルを決めるときに彼女に「“葬る”っていう漢字のイメージを」って(笑)そこからタイトルをイメージして付けました。
 
AYANO:その2曲に関しては、「私達は日本人のメタル・バンドなので」というところから、日本のことを大事にしたいという意味で、楽曲を発信していく際に、これからビッグになっていくというところで(笑)日本語を大事にしていきたいというところも考えたり、それから「日本語もいいかなぁ」っていうことはあるかもしれません。
 

—全体的な音の印象として、普通では引っ込み気味なキーボードやベースの音までかなりはっきり聴こえてくるイメージがあるのですが、この部分の拘りはありますか?近年リリースされているメタルの作品の中でも、あまり聴いたことがないオリジナリティを感じるのですが…

 
KANOKO:「一杯詰め込み過ぎ」っていうのはあるかもしれません(笑)「これもやらない?あれは?」って感じで。
 
AYANO:どちらかというと私が音をデザインするというか、サウンドを構築して皆に提案するっていうのが大好きで、その面が現れているのかもしれません。
 

—今回制作を進めるにあたり、例えばCyntiaのサウンドを構築するにあたって「ここは譲れない」と考えていたポイントってありますか?

 
KANOKO:「アルバムは」っていうより「Cyntiaは」っていう点ですが、やっぱり歌モノメタルっていうポイントですね。だから全曲統一して「歌える」ところを作りつつ、アルバムではいろんな面を見せたいので、曲によって全部激しいだけじゃないいろんなアプローチをしました。
 

—“メタル”という部分にもこだわりを強く持たれているのでしょうか?

 
YUI:そうですね。曲作りの中でも、リフから作る曲もあれば、「Voice」みたいにメロディの綺麗なところから作ったり、いろいろ作り方を変えながらも、とにかくギターはガンガン鳴らしたり(笑)
 
AYANO:テーマとか、「これはBPM=200でいく!」みたいにして、「ツーバスはこれ!」という感じで指定したり(笑)
 

—例えばバラードだと、「ヴォーカルだけでもいいんじゃない?」みたいなアプローチは、メタルといわれているアルバムでも、わりとありますよね。ピアノのバッキングだけとか。それでも、必ず「ギュイーン!」っていう感じでギターは入れる、と(笑)

 
YUI:すいません、でしゃばりで(笑)それにバラードだと、泣きのソロが弾けますしね。大好きなんです(笑)
 
AYANO:メンバー全員がどんな風にアプローチをするのか、それを聴くのは楽しみなので、曲を作ったら皆に弾かせようと思ってるんです(笑)。だからヴォーカルでSAKIとピアノで私だけっていうよりも、皆で音を鳴らす方向には行きますね。
 

—全体的にコーラスのアレンジが多いですよね。皆で歌っているというイメージもあります。曲を作る際にコーラスアレンジは強く意識していますか?

 
KANOKO:そうですね。ライブで「みんなに歌って欲しい」っていうことを考えています。お客さんもライブを見に来るだけじゃなく“参加”して欲しいし、全員が歌えるバンドもなかなかいないので、あえてコーラスパートを増やしてみたというのはあります。
 

—これだけコーラスパートが多い作品はなかなかないですね。ライブで全部プレイできるか心配(笑)。ユニゾンのコーラスであればわりと歌えるかと思いましたが、ハーモニーになると楽器を弾きながらではかなり難しい気もします。

 
KANOKO:そうですね。レコーディングのときは正直演奏とコーラスはバラバラやっていますからそれ程ではないですけど。でも今、一生懸命練習しています(笑)
 
SAKI:リハで、コーラスだけの練習等をしています。
 
KANOKO:SAKIちゃんにコーラスの先生になってもらって(笑)
 
AYANO:「高過ぎ~」「低過ぎ~」「ハイ駄目!!」みたいな(笑)
 

—曲によって、いきなりガツン!とギターで入ってみたり、一方では静かなピアノで入ってみたりと違うケースもありますが、YUIさんとAYANOさんお二人が曲を作られるということで、それぞれの主導を曲ごとに持たれてるケースはありますか?

 
AYANO:特徴的なところは出ていると思います。私はギターのリフみたいな要素には弱いので、そこはYUIに任せたり、別の曲では「こういうのはどう?」って、ピアノのアルペジオで始めてみたり、わりと役割分担的なところはあります。ただ、曲単位ではやはり一緒に作り上げているので、それ程分かれているという感じではない、共作です。
 

ここで、Cyntiaのメンバーによるファーストアルバム『Endless World』の全曲解説をご覧いただこう。
 
1.Moonlight Roulette
 
YUI:いきなりギターのリフで“ガツン”。という感じですね。結構早い段階で作った曲で、もともとアルバムの1曲目というよりはライブの1曲目にしたいという感じで、先に出来ていました。聴き所としては、私的には、AYANOとのユニゾンの部分で、これはCyntiaを始めたときからやりたいと思っていたところなんです。
 

—サビの部分は、ライブでの掛け合いをイメージしているようにも見えますね。

 
YUI:そうですね。「幻想!」「幻影!」って。「幻影」っていう詞を入れたかったんです(笑)
 
2.色葬和音
 

—「葬る」という漢字が、とてもコワイ感じですね(笑)華麗なピアノの調べと、ゴリゴリのギターリフを絡ませているのが、とても斬新な感じがしますね。

 
AYANO:私の勝手にイメージする(笑)“月の女神”っていう感じを、SAKIが歌うことを意識して作り始めた曲だったので、いろいろ“痛み”のイメージと共に「美しさ」、を表現した曲です。
 
SAKI:彼女から貰ったイメージとしては、「湖に“月の女神”が背泳ぎをして…月が浮かんでいて」みたいな(笑)情景のイメージを聞いてこの歌詞を作ってみたんです。
 

—作られた歌詞のイメージとしてはどのような内容なのでしょうか?

 
SAKI:やっぱり“月の女神”が登場人物としていて、彼女がいる世界に対しての思いです。それは激しい負の感情もあるし、何かに向けて強い感情っていうのを放出したいけど出来ない、っていうジレンマ、みたいなものです。
 

—アルバムを通して、この曲を中心にイメージを広げていくようなことはされたのでしょうか?作ってもらう部分で他の作詞者にコンタクトを取られたり…

 
KANOKO:そうですね。コンタクトはしました。逆に作ってきていただいたものに、「こういう感じのものだよ」っていう説明を受けたり、普通に話をしている中で「こういうことをしたいんだ」っていうことをお伝えしたりしてイメージを共有しました。
 

—サビの転調部分がかなり新鮮な感じですね?

 
AYANO:そうですね、何かそういう気が付かないけど、「あれ?」っていう感覚で聞き戻してもう1回、っていうのが、私は凄く好きで、そういうドッキリ感を皆さんにも味わってもらいたくて、入れてみました。
 
3.The Endless World
 
YUI:これは、皆で歌ってもらいたいところを考えており、歌がメインと考えていたので、バッキングはひとまず置いておいて、歌を重視でこんな感じにしてみました。メタルを知らない人にも、興味を持って欲しいっていうところがポイントになります。
 

—“World”っていう言葉が、この曲と7曲目の「Beyond the World」にも使われていますが、何か通ずるものがあるのでしょうか?

 
AYANO:2曲に特につながりはありませんが、“World”という言葉については、「いろんなことがあって辛く悲しいかもしれないけど、未来を見て!私達も頑張るから!聴いた人も元気になるよう私達も頑張っていきたい!未来は続くから!」みたいな、未来の展望を表すイメージを感じています。
 
4.Run to the Future
 
YUI:シングルでリリースされたものに対して、ギター・ソロ・パートを取り直しています。シングルはテーマを作ってハモッて見たいな感じで作ったのですが、アルバムはアーミングでグイグイやっちゃう、みたいな感じで(笑)
 

—それは自分でそうしたいと主張して?

 
YUI:いえ、周りから「やれ!やれ!」みたいな感じでリクエストがありまして(笑)
 
5.Through the Fire and Desire
 

—思い切り“ヘヴィ・メタル”な感じというか、ハードな曲ですね。「The Endless World」と比較すると180度違う感じです。こういう部分もやはりメタルという部分で押していきたいというポイントでしょうか?

 
AYANO:そうですね。とにかくライブで盛り上がる曲が欲しくて、「スピードはこれくらい、YUIのギターから始まって、強く押し出して…」みたいなコンセプトを考えました。
 
KANOKO:聴いていても、結構「お決まりのキメがあって」とか、急に早くなって、ソロがあって、みたいに王道な感じですね(笑)。
 
AYANO:歌詞も結構凶暴な感じ(笑)。SAKIが歌っているのを横目で見ながら、「おお~コワい…」とビビッていました(笑)
 
6.黎明
 

—わりとイントロの方はヘヴィ・メタルな感じで、変拍子なんかも入れたり、コーラスも複雑な感じですね。詞を3人で作られたということですが、どのような格好で作られたのでしょうか?

 
AYANO:それぞれ3人で、デモの段階を聴いてどんな歌詞が思い浮かぶかを考えて送り合って…でも、纏まらなかったので、私の家で…
 
SAKI:鍋パーティーをしながら作りました(笑)皆で紙に書き出して、「この言葉はいいよね」って、選んだりして、本当に3人で作ったんです。
 
AYANO:バラバラの言葉をつなぐときに、お互いに「私はこう、ここはこう考えるから…こういうイメージなんだよね」という感じでイメージのやり取りをして、共通の感覚を共有しています。
 
7.Beyond the World
 

—ゆったりとしたバラードから、途中ソロの部分はかなり複雑で激しい展開になりますね。

 
YUI:最初はストレートでパワー・バラード的なイメージを感じだったのですが、ちょっと変化を付けたくて展開を考え、拍子を変えようということになりました。
 
AYANO:その拍子も、最初は6/8だったんですが、紆余曲折して最終的には5/8に落ち着きました。
 
8.Meteor Calling
 

—この曲もシングルのカップリングですかね。アルバムのこの位置に入れたところに何らかの意図があるのでしょうか?

 
AYANO:順番を考えるのは、凄く難しかったんですよ。先程KANOKOが言ったとおり、いろんな方向を見せられる曲ばかりだったので、“あれ、どうしようか?”って。この曲はシングルリリースのときにも良い評価を頂いていたし、最終的には、ちょうど中間地点くらいに入れる格好で落ち着きました。
 
KANOKO:順番は結構悩んだんです。この曲は一番頭に入れようかな?とも考えたりしていました。
 
9.Shaman Dance
 

—アルバムの曲中で唯一イントロのリフがかなり凶悪というか(笑)アクセントになっている感じですね。

 
YUI:リフにしても単音のフレーズ的なものを作りたいと思って、“中近東系”みたいな感じをやりたかったんです。
 

—コーラスはフロアの観衆と一緒に歌うと、かなり盛り上がりそうな感じに見えます。

 
YUI:「Moonlight Roulette」と同じころに作られた曲なんですが、早くライブをやりたいという思いもあり、盛り上がる曲を作りたいと思っていました。
 
10.Voice
 

—これもシングルのカップリング曲ですね。これもアルバム・ヴァージョンっていう格好ですが…

 
YUI:はい、これも最後のソロを取り直しています。(笑)
 
SAKI:しかも長くなっている(笑)
 

—全般的にギターソロは聴かせどころですね。

 
AYANO:はい、そうですね。Cyntiaを象徴するポイントとしてサウンドの中核を担っていますから(笑)
 
YUI:やっべ~~!(笑)
 

—得意の“泣きのギター”ですか…?

 
YUI:そうですね、大好きなんです(笑)
 
11.幻覚の太陽
 

—長い曲なのに、あまり長いという感じを受けないのが不思議ですね。メンバーそれぞれのソロパートも盛りだくさんな上に、コーラスも複雑なアレンジがあるし、アルバムの集大成的なところを収めているという感じでしょうか?

 
YUI:そうですね。“大作”を作りたいというところを考えました。
 
SAKI:本当にそれぞれみんなのやりたいことを詰め込んだんです。それをアルバムの最後に、バラエティに富んだものとして持って行きたかったんです。
 
12.Bittersweet Nightshade
 

—これは通常版のみのボーナストラックですが、アルバムのイメージとはまたガラっと変わった感じですが。

 
KANOKO:本当はもともとアルバムの曲として入れたかった曲なんです。コールアンドレスポンスが多いライブ曲というか。盛り上がれればいいなという風に思っていました。

 

—このアルバムの推し処はどのようなポイントでしょうか?

 
SAKI:やっぱりギターというのも一つですが(笑)皆それぞれの音ですね。私の部分で言えば、この11曲にあるいろんな楽曲や曲調の中で、それぞれの世界観の違いを汲み取って、それぞれ歌い方や声色を変えたりして歌っているので、そこを聴いてもらいたいと思っています。
 
KANOKO:凄く音が詰まっていて、いろんな音を重ねていたりするので、私もいろんなレコーディングに携わった経験がある上で、今このアルバムを何度繰り返して聴いても「あ、こんな音が入っているんだ」「こんなアプローチをしているんだ」「SAKIちゃん、こんな歌い方をしているんだ」というところを深く感じていて、何回聴いても飽きないアルバムになったんじゃないかなと思います。是非何回も聴いて欲しい!
 

—ドラムは凄く大変そうですよね。歌いながら叩くって…

 
KANOKO:ライブももちろん頑張ります!私、結構“ワイワイ隊長”なので(笑)
 
SAKI:始めて聞いた…“ワイワイ隊長”って(笑)
 
AYANO:心にメモしておこう(笑)。聴き所、推し処としては“全部”と言いたいです(笑)。例えば、何か仕事をしているときにスラーっと流して聞いていただければ、1曲ずつ何があるのかとか、音のバランスと組み合わせ等に興味を持っていただけると思います。1曲1曲の展開も激しく、「ここはBメロヌキで」「ここは転調して」みたいな、その流れも聴いてもらいたいですね。更に曲やパートごとにSAKIの歌い方が、時には艶っぽかったり、逆に爆発していたり、その違いも面白いと思います。それらを何度も聴き込んだあとにCyntia自身に興味を持っていただいて、「次回作はもっと凄いことをやってくれるんじゃないか?」と、関心を持っていただいたら嬉しいですね。
 
YUI:私は何よりもアルバムを聴いていただいて、ライブに来ていただいて、一緒に盛り上がりたいっていうところを思っていますね。もうすぐライブだし。
 

—ライブのお話を伺えればと思います。先日インストアイベントでCyntiaとして初のライブを行われましたよね?そのときの気持ちはいかがでした?

 
KANOKO:スタッフさんから「会場一杯にお客さんが入っているよ」っていうのを聞いて、凄くドキドキしていました。(笑)信じられなくて。「お客さん一人だったらどうしよう」とか思いながら出て行ったら皆さん盛り上がっていただいたので、とても嬉しかったです。
 
YUI:Cyntiaとして初めて」という部分で、どうなるかと思っていましたが、お客さんが凄く暖かくて…嬉しかったし、楽しかったです。
 

—次につながる手ごたえのようなものを感じましたか?

 
YUI:そうですね。終わったあと握手会をやらせていただいたときに、お客さんとお話をさせていただいたときには、「早くライブをしてもらいたい」というお話を沢山頂いたんです。次を望んでもらえたということは、やっぱりライブを楽しんでもらえたんじゃないかと思っています。
 

—では、何か皆を驚かせる嗜好などはあります?(笑)

 
AYANO:それは秘密です!(笑)
 
SAKI:考えていますよ、もちろん!9月のワンマンライブがソールドアウトしたことから、3ヶ月連続でステージを行わせていただくことになりましたし。
 

—目標とされている“アリーナでのライブ”も近くなってきましたね!(笑)

 
YUI:そうですね、早くやりたい!(笑)頑張ります!
 

2.「思い切って飛び込んでみろ!」でも、人とのつながり、礼儀、責任を忘れずに

 

—BEEASTでは現在、ロック・アーティストを目指す女の子を応援しようという主旨で「ROXY GIRLS AUDITION」というイベントを開催しています。Cyntiaは、オーディションで参加されたSAKIさんを始め、バンド未経験だったAYANOさん、そして中心となるYUIさんとKANOKOさんも、一人で志を持たれた上で、それぞれこの世界に飛び込んでこられ、多くのセッションに参加された経緯があると思いますが、その視点からこういったチャンスを目前としたロック・ガールズ達に対し、何かアドバイスを頂ければと思います。

 
SAKI:私がCyntiaのオーディションを受けたのは、「ガールズ・メタル・バンドのヴォーカリストを募集するオーディションがある」というお話を聞きつけたのがきっかけでした。最初は一度落ちてしまったのですが、どうしてもガールズ・メタルがやりたくて、諦めずに特訓して1ヶ月後に再度見ていただいた結果に採用されました。
最初はバンド経験がなかったのでやっぱり戸惑うことや分からないことが多かったけど、周りの方やメンバーに躊躇せず質問して、リハも重ねていくうちにバンドの音が纏まっていくのが楽しいな、って思ったし、今のメンバーは志が皆同じで、みんなで“アリーナ!アリーナ!”って言ってるんだけど(笑)本当に皆で頑張っているので、最初は本当にどうなることやらって思っていたんだけど、やっていると本当に楽しくて、本当に“居場所が出来た”っていう感じになったんです。
 

—最初にそのオーディションを受けよう、っていう覚悟を決めたきっかけって、どんなことだったのでしょう?

 
SAKI:もともとタレント活動等をしていて、幼いときから歌うことも好きでいながら、それ一本ではなくいろんな道を進んできたけれど、一度「全部辞めよう!」って思ったことがありました。でもそのとき、「歌いたい!」っていうモヤモヤした気持ちがあって、そのときにオーディションの話を聞いて、最初は私がメタルは分からなかったけれど、調べてAldiousLIV MOON等の映像を見たときに、「女性でメタルを歌うのって、こんなにカッコイイんだ!」っていう憧れを持ってしまったんです。例えば中学生がバンドを組むということに憧れを持つような気持ちを遅咲きで感じで、自分で盛り上がってしまいまして(笑)だから、一度落ちても諦めきれませんでした。
 

—それは、1歩踏み込むというところで、不安より「前に進みたい」という気持ちの方が強かったという感じだったのでしょうか?

 
SAKI:そうですね。オーディションで他のメンバーに会ったときや、メンバーで個々にプレイしているのを映像で見たときに「ああ、このメンバーと一緒にバンドをやれたら、凄く楽しそうだ」って思いました。自分がそこで歌っている姿を想像して、「これはやらないとダメだ」って。やらないと絶対後悔するから頑張ろうって、オーディションに望みました。だから今は全く後悔がなくてシアワセです!(笑)
 

—AYANOさんはもともと音楽大学におられたとのことですが…

 
AYANO:そうです。どちらかというと裏方というか、楽曲提供やアレンジの仕事を目指して、そちらの方について勉強していました。
 

—何かプレイされる方面にも行きたいと考えられていたのですか?

 
AYANO:いえ、あくまで自分が表に出るよりも、曲を作って提供したいという思いの方が強かったですね。だから自分がプレイヤーとして表に出て行くということは全然思っていませんでした。
そんな中で、知人から「AYANOちゃんってさあ、鍵盤が弾けたんだっけ?」って、このバンドのことを知らされたときに、私も何かやりたい、って、自分の可能性をもっと広げていきたいと思って飛びつきました。やっぱり同じような局面に遭遇している人がいるとしたら、私から言えることは、チャンスがあれば、掴めるか掴めないかなんて考えないで、まずは「飛び込んで欲しい」ですね、何か困難なことがあっても。私もCyntiaを始めたばかりのころは、キーボードでライブをしたこともない、やったことないことだらけでした。でも自分には出来るということを信じていましたので、ちょっと無理なことでもゲージを上げ続けるという努力をして欲しいと思いますし、自分も頑張っていきたいと思います。
 

—KANOKOさんはいかがでしょう?

 
KANOKO:私は小さいころからドラムをやっていて、実はその頃から「プロになる」ってことを疑っていませんでした。「私は中学校に行かない、プロになるから」みたいなこともお母さんに言ったこともありまして(笑)でも地元にいたときは周りにバンドや他の楽器の子がいなかったので、このようなオーディションにも一杯応募していました。お姉ちゃんが持って来てくれたりして。今思えば、「うまく演奏しよう」とかいう部分で気が張っていたり、そのときに、とても人見知りだったりしていて、思っていることも言えずじまいだったけど、そうではなくちょっと面白い部分というか、もっと自分をドンドン出していければよかったなって、思うことがあります。
 

—音楽の道で、「もしダメだったら」って思うことはありませんでしたか?

 
KANOKO:高校生くらいから大人になってきたときに、そういうことを考えたことはありました(笑)高校生のときは資格をやたらと一杯とりました、超リアルだけど(笑)。あと、地元のドラムの先生が後任を探しているっていうのを聞いたので、ちょっと「お願いします」とか言っていたり。
 

—自信があっただけではない、ということですか。

 
KANOKO:保険をかけていましたね、たまには現実を見て(笑)でも、どうしても音楽の道を捨てきれずに東京を行くことを決めたんです。まあ「ダメだったら先生やろう」とか、「パソコンできれば何か出来るかな」とか考えていましたね(笑)やっぱり捨てきれなくて、こうなりたいっていう思いが強いからこそ続けられたし、こういうメンバーと出会えたんだろうと思います。まあ覚悟というか、やる気というのは本当に必要じゃないでしょうか。
あと、余談ですが意外に女子の方が、腹が決まってきますね。女子の中にある、“女子じゃない部分”(笑)っていうのがあって。もちろん女の子らしい、カワイくしたりすることも好きだし、そういう部分も活動していく上で大切だけど、実際にみんな遥かに男らしいというか、それくらいじゃないとやっていけないですね。
 

—YUIさんはいかがでしょう?

 
YUI:私もきっかけは同じで、オーディションに受かってこちらに来ました。でも、本当に幼いころはやっぱりなかなかうまくいかなかったのですが、Youtubeの投稿やモーターショウの演奏等がきっかけでお仕事が増えて、今に至るという感じです。そういう意味では、AYANOちゃんが言ったとおり本当にチャンスがどこに転がっているか、何がチャンスかは全く分からないので、何でも一生懸命にやることだと思うし。
 

—なるほど。やっぱり行き着くところは「思い切って飛び込んでみろ!」と(笑)

 
KANOKO:そうですね。いろいろ捨ててきたものも多いですけど(笑)
 
YUI:え~何それ!?怖い…(笑)
 

—「思い切って飛び込め!」っていうこと以外に、注意すべきこと等のアドバイスを頂けますか?

 
AYANO:「おかげさまで」ということを忘れないことです。自分が今ある状態は周りのスタッフさんやメンバー、ファンの方々のおかげで、それがなかったらここにはいなかったと思うので、それだけは、何年やろうが、アリーナで成功しようが、ドームに行こうが、海外ツアーをしようが、はたまた宇宙に行こうが(笑)絶対に忘れないです。
 
SAKI:ずっと一緒にいると馴れ合いになっちゃったりすることがあったりするけど、やっぱり「親しき仲にも礼儀あり」で、人としての基本を忘れずにいるべきです。何かしてもらったら「ありがとう」っていうことを忘れないでいればいいと思います。
 
YUI:凄くいいお話いただいたり、いいことがあっても調子に乗らないで、「やらせていただいている」という謙虚な気持ちを持て、と先輩方からも今もお言葉を貰うことがあります。「ありがとうございます」「おはようございます」「おつかれさまです」って。また、オーディションの話を持って来てくれた人達と出会わなかったら、ここに今私はいないと思います。だから、チャンスを大事にしつつ、人との出会いっていうものを大切にすることが大切ですね。知らない人同士でバンドを組んだとしても、「人の音を聴こう」っていうのと同じように、「人の話を聴こう」って。コミュニケーションってハートだと思うので、楽器を練習するのも大事だけど、人としてのハートは更に大事です。
 
KANOKO:こういうオーディションの話を聞いても、私は結構ホイホイって行っちゃうんですよ、やるのはタダじゃないですか?(笑)ただ、もちろんチャンスを逃さないという意味でドンドンとトライするのは大事なんですけど、それが通ってその道に進むとなると、やっぱり責任も凄く出てくるし、自分がやるだけじゃなくメンバーやスタッフさんも出てきて、それに会いにきてくださるファンの方もいるし、関わる人の範囲が大きくなってくると、自分だけの問題ではなくなるので、その責任感というか、自分だけがいいと思ってやれることだけじゃないんだぞ、っていうことを考えるべきだと思います。
 
hana
 
インタビューでの彼女らの物腰は、本当に普通の女の子といった様子ではありました。しかし、その様子の一端は、ヘヴィ・メタルという激しい音楽を一風変わった聴こえ方にするような個性の現れであったようにも見えました。また、そんな彼女らが「ROXY GIRLS AUDITION」へのアドバイスをお願いした際には、表情に真剣さも見られるなど、華麗なパフォーマンスやサウンドだけでは推し量れない、ミュージシャンという位置に対する真摯な姿勢すら感じられました。ガールズ・メタルというシーンで新たな道を切り開こうとしている彼女らには、個性を前面に押し出していこうとする積極的な意向と、スターダムに向かい突き進んでいく為の強い覚悟が感じられました。将来どのような進化を遂げていくのか、その動向には非常に注意が必要です。

数々のメディアで語っている目標は、“アリーナでのライブ”。女性ならではの繊細でキラキラ輝くような表現の一方で、スケール感の豊かなサウンドを持ち味としている彼女らのステージは、アリーナでのライブも非常に映えて聴こえてきそう。その日がもう間近であることを願って止みません。
 

「Endless World」 CD+DVD【限定盤】
発売日:2012/09/05
BSRS-008/3,500円(税込)
収録曲:
01. Moonlight Roulette
02. 色葬和音
03. The Endless World
04. Run to the Future (Album Version)
05. Through the Fire and the Desire
06. 黎明
07. Beyond the World
08. Meteor Calling
09. Shaman Dance
10. Voice (Album Version)
11. 幻覚の太陽
 
★DVD収録内容:「The Endless World (Music Video)」
「Run to the Future (Music Video)」
「The Endless World (Music Video メイキング映像)」

「Endless World」 CD【通常盤】
発売日:2012/09/05
BSRS-009/2,800円(税込)
収録曲:
01. Moonlight Roulette
02. 色葬和音
03. The Endless World
04. Run to the Future (Album Version)
05. Through the Fire and the Desire
06. 黎明
07. Beyond the World
08. Meteor Calling
09. Shaman Dance
10. Voice (Album Version)
11. 幻覚の太陽
12. Bittersweet Nightshade

 
◆ライブ情報
 
Cyntia Live 2012 「Endless World Vol.1」 2012年9月17日(月・祝)表参道GROUND(東京)
※SOLD OUT!
Cyntia Live 2012 「Endless World Vol.2」 2012年10月18日(木)表参道GROUND(東京)
Cyntia Live 2012 「Endless World Vol.3」 2012年11月18日(日)表参道GROUND(東京)
 
・ミニライブ&サイン会
2012年10月7日(日)18:00~ 開催場所:タワーレコード新宿店(7Fイベントスペース)
・サイン会
2012年10月14日(日)18:15~ 開催場所:NACK 5 TOWN(さいたま市大宮区)
 
◆公式サイト
http://www.spinninginc.jp/m_lineup/cyntia.html