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BEEAST太鼓判シリーズ第11弾アーティスト『fade』

TEXT:下村祥子 PHOTO:桂伸也

【密着レポート第11弾:fade】 Part2 スペシャル・インタビュー
 
この日のリハーサル終了後、本番まで束の間のタイミングにてメンバーに直撃インタビューを敢行!このツアーを通して得たものを中心に、ここだけの裏話などを訊いてみた。わずかなインタビュー時間の中で、5人それぞれの観点により回答のポイントも異なり、バンド内での役目や個性が垣間見られる、非常に興味深い語り内容だ。ここからfadeが持つ魅力の秘密を探ってみるのも面白いだろう。
 
hana
 

◆kansei(Guitar)

 
まずはメイクルームで、まさにヘアメイク中のkanseiに直撃!
 

—メンバーの中でメイクに入る順番って決まっているんですか?

 
kansei:基本、僕が最初ですね。たとえば衣装のフィッティングなんかも、まずはkanseiからって。一番手っ取り早いのかな?どうなんでしょうね?
 

—ステージメイクを始めたのはいつ頃からですか?

 
kansei:まだ1年半か2年ぐらいかな。軽いメイクはありますけど、アイメイクとか本格的に入れ始めたのはここ最近ですね。(プロのヘアメイクが付いたのは)井上さんが初めてなんですよ。だからもう今日は完全にお任せですね。
 

—fadeのメンバーのメイクはどんな風に決めているんですか?

 
ヘアメイク担当の井上さん:5人の個性がバラバラなんだよね、fadeは。顔をすごく変えるというよりは、その人の良い部分を主張させるメイク。わたしがこうしたいなというのを提案して、本人の希望やバンドの意向を踏まえた中で仕上げています。ステージでのライティングの当たり具合も考えますね。
 

—ライブはいつもヘアメイクさんにお任せですか?

 
kansei:いや、普段の地方のライブは自分でやったりしてます。でもテキトーにやってるときはホントにテキトーになってるし、性格的に同じようにできないタイプの人間なんで(笑)。雑になる日と、「あ、今日上手くいったな~」っていう日では全然違いますね、メイクに関しては。(メイクにかかる時間は)自分でやるときは5分ぐらい。目を描くぐらいなので。
 
そして話題はこのインタビューに入る前にも話していた、本日のライブでの、トークコーナーのネタに逆戻り。相当、悩んでいる様子。
 
kansei:しかしどうしよう、MC。一応ネタは、仕込んできてるのはあるんですけど、でも自分の中で完成されてない(笑)。逆にどこかからヒントがないかなって思ってるんですよ。…なんかないスかね?(笑)あぁ~もう今日、MCやりたくねぇよー(笑)。

◆noriyuki(Bass)

 
場所を変えて、ミーティングルームに来てもらったのは、noriyuki
 

—本日がツアー最終日ですが、今回のツアーはいかがでしたか?

 
noriyuki:この1年2年でバンドを取り巻く環境が変わって、その結果として、今まで出逢わなかったファン層とか、ジャンルのファンの子とかが観に来てくれるようになった。新しい顔ぶれというか、応援してくれてる子が増えてきたのをすごく感じます。ライブでもお客さんのノリが違う。それは全然悪いことじゃなくて、すごく温かく迎えてくれて、後押しされてる形ですね。たとえば、JonYFCYELLOW FRIED CHICKENz:イエロー・フライド・チキンズ)に参加したことで、Jonを通してfadeを知ってくれた子たち。ライブ全体に新しい風を持ち込んでくれたかなって。時の流れの中でどういうきっかけにしろ、新しいファンがどんどん混ざり合ってきてると思う。今回のツアーもそうですけど、公演を重ねていく毎に、毎回すごく新鮮ですよ、その中で相乗効果も生まれるし。特に今回のツアーは新しい化学反応というか、そういうのをすごく感じますね。
 

—メンバーとバンドを始めてからもう長いですよね。

 
noriyuki:Jonが入って今のメンバーになって、fadeという名前になって結成10年です。もともと僕とドラムのrui、ギターのkanseiがニューヨークでバンドを組んだところから始まって。そこからオリジナルを作るようになって、日本に帰ってきてやるようになったのが最初でした。
 

—そこからバンドは変わりました?

 
noriyuki:変わりましたね、やっぱり。Jonが入ったことによって、今までやってた音楽性がガラっと変わった。昔はもっとUKっぽいのをやってたんですけど、彼はアメリカ人なので合わなかったんですよね。そういうのもあってアメリカンロック的なものにシフトした。1stアルバムと、2枚目のアルバムでは相当カラーが違う。面白いですよね、そういう意味では。10年やってきたことに加えて、ここ1~2年で音楽性でもまた新しい面白い風が入ってきたし、JonYFCから、今まで自分自身で知らなかったことを学んで持ち帰ってくれたり。いろいろ刺激になってますね。
 

—このツアーで得られたものは大きいですね?

 
noriyuki:そうですね。アルバム『天~TEN~』もうちらの“10年”にかけたタイトルではあるんですけど、そういうタイミングでフルアルバムを出せたっていうことが、すごくうちらにとっては大事なことだと思う。また今日を境に、この先の5年10年がすごく楽しみですね。

◆Jon Underdown(Vocal)

 
次にミーティングルームに顔を出してくれたのは、Jon
 

—今回のツアーはいかがでした?

 
Jon:すごく良かったですよ!良かったっていうのは、初めてこれだけ本数の多いワンマンツアーで、ライブもバンドの調子もすごく良いし、お客さんからの反応もすごく良いし。すごく熱くなって!アルバム『天~TEN~』からの曲を一番多くやってるんですけど、俺もすごく好きだし、お客さんもすごく聴き込んで来てくれてる。昔からfadeをサポートしてくれてる人もいれば、初めて俺たちのライブを観に来てくれた人も多くて。
 

—それはステージに立っててもわかるんですか?

 
Jon:MCで訊くんです「今日初めて来た人ー?」って(笑)。そうするとすごく手が挙がるんです。その中で、初めてfadeを観に来て、次のライブもその人たちが来てくれて。そういうのがすごくうれしいんですよ。それプラス、fadeを10年間やってきて、お客さんがライブに対して今が一番いい反応。
 

—活動の中で、一番力を入れている部分ってどんなところでしょうか?

 
Jon:アルバムに関してもライブに対しても“自分を表現し切る”っていうこと。とにかく表現、良い表現をしようっていうのを意識してる。あと今回のチケットって、今までで一番高いから、尚更よりエネルギーをお客さんに届けたい、っていうことを一番意識してるかもしれない、ライブに関しては。
 

—今回のツアーでメンバーとの絆がより深まった実感はありますか?

 
Jon:うん、10年間の中で今一番いいと思う。今までが別に仲が悪かったってわけじゃないんだけど、今回の『天~TEN~』のレコーディングで、すごくハマるようになった気がするんですよ。今までになかった繋がりや、俺たちのエネルギーがアルバムに出てると思う。今回のツアーもそう。今後の活動のためにも、絶対に良かったと思う。ある種、本当にリスタートっていうか、やっと始まったぞっていう気持ちがすごいある。
 

—fadeにとって今回のツアーは大きかった?

 
Jon:すごく大きい。今までに比べて、ライブに対する反応が一番良いんだよね。それは今までもあったけど、でも今回特にこの勢いは初めてかもしれない。ライブが終わったあと、物販のコーナーに行くわけ。そのときにお客さんと直接話をしたり。それからツイッターやブログをやってるからさ「今日はどうもありがとう、すごい楽しかったよ。みんなはライブどうだった?感想を聞かせてね」って書くと、そのときにさ、跳ね返ってくる感想が、すごく熱い!超熱い!!「ここだけ観に行こうと思ってたけど、ライブが最高なので、思わず他の場所も全部回っちゃった!」みたいな、そういう動きもあるし。
 

—うれしいですね。

 
Jon:めっちゃうれしいよ…。いや、そりゃうれしい!!自己満足じゃないんだけど、自分で「これ、めっちゃカッコイイぞ!」って思っててもさ、反応がないときは、それはそれで…。でも反応が返ってくるっていうのはさ、やっぱりそれが何よりだと思う。それが今回のツアーでもう遥かに感じてる!
 

—最終日もたくさんの反応が返ってきそうですね。

 
Jon:あぁ、もう絶対に起こします!!

◆rui(Drums)

 
楽屋にお邪魔して、リラックス中のリーダーruiをキャッチ!
 

—今回のツアーで得たものはありますか?

 
rui:得たものというか…大体、俺はツアー中、いつも呑みまくってるんで。朝7時8時ぐらいまで呑んで、ライブやって、っていう印象しかないですから、ハイ(笑)マジな話をすると、新しいお客さんが増えてくれて、俺が作った曲も直でお客さんの反応がわかるから、やってきて良かったなってカンジはすごくしましたね。今度のアルバム『天~TEN~』は、より多くの人に聴いてもらいたい、っていうのが僕の中ではありました、曲作りのテーマとして。一般ウケっていうか、わかりやすいものを作ろうというところから、曲作りを始めた。(自分が)他のアーティストへの楽曲提供の仕事で作ってるような曲を、初めてfadeでやったんですよ。以前はそこは完全に分けていたので、今までだったらたぶんfadeでやらなかったような曲を、今回は結構アルバムの中に入れた。それを初めてライブでやったら、意外とその曲が地方で回ってるうちに反応が良かったので。より多くの人に伝わってるんじゃないかなっていうカンジは良かったなぁと。得たものっていうのはそこかな。
 

—ライブ中、ドラムのポジションからメンバーを見ていて、変わったと感じることは?

 
rui:やっぱりメンバーの意識は、すごく変わってきたなぁって思いますよね。実際に後ろから4人がどういう動きをしてるかっていうのは見えるから。だいぶ細かいところまでみんな意識がいくようになったなって、見ててすごくわかる。シンプルなことかもしれないですけど、曲がバーンと終わって音を切るタイミングが以前はバラバラだったんですよ。いつもメンバーに「おまえらちゃんとやれよ」って言ってたけど、今までは全然できなかった。でもそれが今回のツアーで、みんな同じタイミングでできるようになったりとか。みんなそれぞれ意識っていうか、ライブに向けての態度、そういうものが後ろから見てて変わってきた気がしますね。
 

—ライブで意識していることはありますか?

 
rui:意識してること…いやもうどこのステージだろうが、フルに120%出し切ってライブをするっていうことですかね。それがたとえば、お客さんが1人だろうが10人だろうが、100人だろうが1000人だろうが、そんなの関係ないっていうか。常に自分のそのときに持っている力を出し切る。そこですかね。
 

—今回のツアーではその力を十二分に発揮して?

 
rui:そりゃあもうそうですよ!朝まで呑んだり遊んだりって言ってますけど、仕事は仕事でちゃんとそこは全然出し切ってるつもりなんで。まぁ、それがあるからバンドの一体感がすごく出てきてるって思う。
 

—リハは、ドラムの音を決めるのも一番に始めて念入りで、かなりストイックなカンジが。

 
rui:いや、ストイックじゃない。テキトーですよ、テキトーが好きっていうか(笑)
 

—…あの、近寄りがたいほどの雰囲気でした。

 
rui:見た目がこんなカンジなんで、それいつもファンの人に言われます。「しゃべってみると意外といい人」なんて言われるんですけど。(ライブが終わったあとに話かけても)全然大丈夫ですよ!そこで近寄ってくるファンもいますし、「怖くて声をかけられなかった」って、あとからツイッターとかでファンから返ってきたりもしますし。あの…ツイッターの方が俺、全然絡むんで(笑)。

◆5°(ゴド:Guitar)

 
最後に、ライブ直前の楽屋でボディ・ペインティング中のに訊く。
 

—ボディ・ペインティングはいつも自分でされているんですか?

 
5°:そうです。はい。たまに、絵を描いてる友達の都合がついたら、手伝ってもらうんですけど。ひとりだと、後ろを描くのが大変なので。
 

—ステージでは上半身裸、ですよね?

 
5°:はい。汗をかくとだんだん色が落ちていくという。皮膚に描いてもそんなに悪くない絵の具です。サッカーのサポーターが顔に描いたりする、ああいう人たちも使ってるみたいですね。(ギターのストラップにも)めちゃめちゃ付きますよ(笑)。
 

—いつも同じデザインなんですか?

 
5°:いや、違いますね。今回はアルバムのタイトルが『天~TEN~』なんで、それをモチーフに。(地方のツアー先では)同じ『天』のモチーフでも、色でバリエーションをつけて。
 

—ファンの方から反応はあります?

 
5°:そうですね、あります。すごく楽しみにしてくれる人たちもいて、うれしいですね。…演奏してるより、描いてる方が長いっていうウワサもありますけど(笑)
 

—…しゃべってるとボディ・ペインティング、描きづらいですか?

 
5°:いや、全然大丈夫ですよ。
 

—右手でも左手でも描かれてるんですね。あと、くすぐったくないですか?(笑)

 
5°:よく言われますね。大丈夫です。自分で描くと大丈夫。自分だと描く所がわかるから。他人にやってもらうと、自分の予期しないところに描かれるんで…(笑)
 

—これから顔もメイクもされるんですよね。ステージではだいぶ変わりますよね。

 
5°:今日はどうでしょう?アー写の、あれぐらいまではいかないかもですけど。カラーコンタクトを入れたり。
 

—ヴィジュアルにかなり力を入れてるんですね。

 
5°:そうですね、結果的に。完全にそうなります。誰が観てもそう思いますよね(笑)。
 

—ファンの方にアピールするとしたら、俺のどこを見ろ、と?

 
5°:絵のあいだに垣間見られる乳首をみつけてみろ、と。…真面目に音楽のことを言った方がいいですか…?(笑)
 

—(笑)ギターはリハから2本使ってましたが?

 
5°:柄の方のギターは自分でペイントしたんですよ。あれは弦も7弦あって、自分で描かせてもらった、世界で一本のギターなんです。音はレスポールの方が気に入ってるんですけど。半年ぐらい前?1年近いかな?たまたま木が余ってるのがあって、そのメーカーの人たちが「ペイントして作りますか?」って言ってくれて、まぁ軽い流れで。アルバム『天~TEN~』のレコーディングが録り終わったあとに出来上がったんです。世界で一本だけのギターなので注目してください。
 

—リハーサルでは、もうリハから台の上に乗ったり、みなさん揃ってアクションしたり。熱いですね!

 
5°:リハから本番の動きを意識して、何もせずにいきなり本番でやってもやれないですから。スタジオでもやったりします。台は無かったりしますけどね。
 

—今回のアルバム『天~TEN~』の中で、新しい試みなどはありますか?

 
5°:いつも心がけているのは、邪魔しない程度のテクニカル。アルバムを重ねる毎に、徐々に洗練はされてきたかなと。まだまだ追いつけていないですけど。そこを追求してます。
 
hana
 

 
こちらも是非ご覧ください。
密着レポート 第11弾 fade 『天~TEN~ LIVE TOUR 2012』 2012/07/14 @新宿BLAZE Part1
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